この頃キラの様子がおかしい。おかしい原因は一応俺にもあるからな。友達としてしっかりと聞いておかないと。
「なぁキラ。あんまり根詰めするなよ。お前のせいではないんだからさ」
「わかってる。大丈夫だよ」
「どう見ても大丈夫じゃねえだろ。アレはどうしようもなかったんだ。辛いし悲しい気持ちはわかるけどよ」
「なぁラウオ、キラの奴どうしたんだ?なんつうかよ。その…上手く言えねえんだけどよ」
「あぁ…ロウさんにならいいか。ユニウスセブンが連合の核で崩壊したのは知っていますよね」
「ああ。昨日、ニュースで流れてきてたな。なんか関係あるんか?」
「…プラントにキラの幼馴染が住んでてな、その母親がそのユニウスセブンで働いてたらしいんだ」
「あ…まさか」
そのまさかなんだよな。これは俺にも責があるからな。俺達がナチュラルでもお手軽に操縦できるOSを開発に乗り出して2日くらい経った頃だ。俺はあることを思い出した。もし、変えられるなら変えたいと思い俺はキラに聞いてみた。
「なあキラ、お前ってヘリオポリスに来る前は月のコペルニクスに住んでたんどよな?そこで友達とかいなかったのか?」
「一応、幼馴染の友達がいたよ。アスランって言うんだけど。このトリィもアスランに作ってもらったんだ」
「へえ!お前がいつも肩に乗っけてはたまにどっかに飛んでいくこの鳥型ロボット、その友達が作ったのか?すげえな。そいつがいればOSも早く完成するかもな。なぁ、その友達はコペルニクスにいるのか?」
「ううん。プラント、アスランのお父さんはプラントの議員をやってるらしいんだ」
「そうなのか。なぁ、そいつとは連絡とか取ってるのか?友達なんだろ?毎日とはいかなくても数日に一回くらいは連絡くらいした方がいいんじゃないのか?幼馴染なら尚更だろ?」
「それはさすがに」
「ば〜か、昔らからの親友ってのは大事だぞ。俺だって昔はオーブに住んでたけど今はヘリオポリスに引っ越してな。それでも数日、長くても一ヶ月に一回は連絡とかしてんだよ。これでもオーブで友達結構いるからな」
「そうなんだ。すごいな。僕とは大違いだ」
「何言ってんだ。友達は大事にしな。今の友達も、昔の友達もな」
「…うん。わかったよ。久しぶりにアスランと話がしたいし」
俺との会話でキラは少しお金がかかるがモニターを使っての通話をするようになった。それからキラは前よりちょっと明るくなったな。アスランとまた話ができてよかったんだろう。何でも俺の事を話していてアスランがいつか話をしてみたいと言ってきてた。アスランと話か…アスランってコミュ力が低いんだよな。
心の思いを言わずに要所要所しか言わないからな。続編の主人公のシンなんかそのせいで一応尊敬はしてるけど納得というか気に入らないって感じだもんな。けどそんな話をする余裕もなくなったんだよな。連合がプラントに戦争を仕掛けることになったことがニュースになったんだよな。
狙ってるのがユニウスセブンだと分かってキラはかなり焦ってた。アスランの母親がユニウスセブンで働いているのを知ってアスランに伝えようとしたら通話ができなくなって困ってしまったんだ。俺はキラにバレないように連合にハッキングしてもらうように言った。
そしてわかった。連合は核ミサイルを積んでることが。だから俺はキラにプラントに連合が核ミサイルを積んでることを。けど結局は伝わってなかったようで核ミサイルはユニウスセブンを崩壊させた。それからだ。キラに陰りができたのは。
「そっか…それは、どう言ったらいいんだろうな」
「まさかそのようなことが起こるとは。世の中は不条理で出来ていますね」
「キラ君、かわいそう」
「このままだとキラの奴、身体を壊しちまうよ。意地でも休ませないと」
「だけどよ。俺達じゃあどうしようもできねえよ。どうしたら」
「…俺達じゃあ無理でも両親なら」
俺は心を鬼にしてまたキラに話しかける。
「キラ、ユニウスセブンのこと、友達の母親を死なせてしまったのはお前のせいじゃない」
「わかってるよ。それでも、僕に…僕に力があれば…!もしかしたら」
「もしとかだったらなんて言うな。そんなもしものことなんか言っても現実は変わらないんだ。抱え込んでも仕方ないんだよ。俺達には吐露したくないならさ。両親に吐露しちまえよ」
「…吐露」
「ああ。俺達じゃあ一緒に泣けねえ。だけどよ、お前の両親ならさ、一緒に泣いてくれる。悲しみは吐き出しちまえ。苦しみを吐き出しちまえ。そんで前に進もうぜ。無理に進むのはよくねえ。だからさ、今日は帰って両親に吐露しちまえ。そんで泣け。泣いて泣いて、気持ちを切り替えて前に進もうぜ。俺達がやってるのはな、俺の夢かもしれねえがお前の夢になるかもしれねえんだ」
「僕の、夢…」
「今日は帰ろうぜ。流石に今のお前とは頑張れねえよ」
「うん…」
「じゃ、帰ろっか。今日はここまでにしてさ。すまねえなロウさん」
「気にすんなよ。キラがこうじゃ仕方ねえよ。また明日な。バリバリ頑張ろうぜ!」
「はい!」
ロウさんが話の分かる人でホントに助かったよ。早めに切り上げて俺とキラは帰ることに。これでキラが立ち直ってくれればいいんだけどよ。それにしてもどうしたものか。もう夜だし寝ないといけねえんだけどよ。このモヤモヤ感はなんだろうな。俺はただ、モビルスーツに乗って操縦したいだけだった。
この世界のことなんか二の次、そこまで考えてはいない。けど…キラのあの思い詰めた悲しい顔を見るとな。どうしても…俺は…どうしたらいいんだ?何が正解なのか分からなくなってきちまった。確かにこの世界はどうしようもない。ガンダムシリーズの中でもトップレベルでおかしいしイカれてる。
そんな世界に転生して生きることになっちまった俺。俺は…
『…誰か…』
…ん?なんか、声が聞こえてくる。なんだ?いや、なんだここは?俺は、ここは何処なんだ?まるで、まるで初代ガンダムのニュータイプ同士が共鳴し合う世界に入り込んだみたいな。ここはいったい。
『貴方は…誰なのですか?声が聞こえてきました。誰かの声。それは、貴方なのですか?』
………は?え?ど、どういうこと?なんで?なんでラクス・クラインがいる?え?は?ちょっとまって?どういうこと?おかしいおかしいおかしい。確かにラクス・クラインならあり得るよ。だってラクス・クラインは映画でコーディネーターじゃなくてアコードという人種だってことが判明したんだもん。
アコード、コーディネーターと同じだが読心能力ができるようになった人種。所謂上位互換とも言われている。それはわかるよ。だけどなんで俺?俺はただのナチュラルだよ?アコードのような能力なんか持ち合わせていないよ。なんで?わけわかんねえ。
『あの…聞こえているのでしょうか?』
『えと…あ、ああ。ごめん。結構混乱しててさ。あまりにも非現実な展開でさ。えと、君はよく落ち着いてられるね』
『うふふ…最初は戸惑いましたが貴方のその慌て混乱しているお姿を見てたらなんだか落ち着いていられるようになりましたわ』
『あ〜…それは、恥ずかしいわ。ええと、多分俺だと思う。え〜と、君は?』
『私はラクス・クラインですわ』
『ラクス・クライン…俺はラウオ、ラウオ・カンベだ』
『ラウオさん、ですか。素敵な名前ですわ』
『そ、そうか。皆は仰々しい名前だって言われたりするんだ』
なんか名前を褒められるって初めてだわ。俺の名前って結構仰々しいからさ、褒められるとかなかったんだよな。それにしてもラクス…こうしてたら普通に可愛い美少女だよな。初めてSEEDを観た時はキラのことを羨ましいと思ってたしな。続編のSEEDDESTINYでは悪女扱いされてたんだよな。
俺はなんで悪女扱いされてたのかわかんなかったんだよな。まあ色々と問題があったからな。で、映画でのSEEDFREEDOMで再評価されたんだよな。俺はラクスはなんか無理してる感があったんだよな。だって元は議長の娘だもん。んで今のラクスを見て確信したわ。
ラクス、普通に女の子だ。歌姫で生きてよかったのに周りがもう色々としてるせいでそうなったって感じなんだよな。キラもそうだったけど二人とも自身を追い詰め過ぎなんだよな。周りも悪いし。
『それでラウオはなぜ悩み、迷い、苦しんでおられるのですか?』
『…わかるのか?』
『はい。私には貴方の心が何故かわかりますわ』
『そっか。まあ…これは夢だと思えばいいか。ちょっとな、友達に余計なことをしてしまったかなと』
『余計なこと、ですか?』
俺はラクスにキラのことは伏せて言った。プラントに住んでいる友達と連絡を取ったほうがいいということ。その友達の母親がユニウスセブンで働いてること。連合が核を積んで戦争を仕掛けてきたこと。それをザフトに匿名で送ったこと。結局ユニウスセブンが核で崩壊したことを。
『そうだったのですか』
『そのせいで友達は苦しんでな。俺は間違ってたのかなと』
『そんなことはありませんわ。ラウオは善意で行ったことですわ』
『確かに善意さ。けどそれが悪い方へと向くこともある』
『難しいですわね』
『全くだ』
それから俺は暫くラクスと話をしていたがどうやら空間がおかしくなってきた。これは…どうやら終わりのようだ。
『あら?なんだか離れる感覚がありますわ』
『夢から覚めるのかもしれんな』
『また、会えますか?』
『さあな。もしかしたら心が繋がってれば、会えるかもな』
『心が、繋がっていれば。そうですわね。それではラウオ、また会いましょう』
『おいおい、そう簡単に会えるとは』
『会えますわ。私にはまた貴方に会えると』
『そっか。じゃあ、信じてみようかな』
『はい!』
…………ん?何だったんだろう。今の感覚は?やっぱり夢なのか?それとも。俺はホントに、ただのナチュラルなのか?ん〜…!あ〜!考えてもわかんねえ!俺にはそんな頭脳とかねえからな!もう寝よ寝よ!ラクスには悪いけどそう簡単に会えるとは思えねえしな!
それから数日が経過した。あのラクスとの繋がりは夢だと思いたかった。けど、現実だと思い知らされてしまった。何しろここ数日、毎日ラクスと繋がってんだもん。なんで?どうなってんの?共鳴する要素何処にあるの?訳がわかんねえ。だけどラクスと話せて嬉しかったよな。
ついつい色々と話してしまったよ。俺がモビルスーツを操縦したいこと。その為にキラやジャンク屋の皆とでOSを作成してることとかを。おかげでなんかラクスとの距離が縮まったような気がするんだよな。かなり疑問が残る共鳴なんだけどなんだか楽しくなってる俺がいるんだよな。
ヘリオポリスとプラント、かなり距離があるのに繋がれる。不思議な感覚なのに嫌な気持ちとかないんだよな。もしかしたらラクスという少女の魅力なのかもな。
「おい…!おい!どうしたラウオ、お前が考え事なんてな」
「ん?ああ、悪い。さて、そろそろだな」
「ああ、ようやくこぎつけたぜ。後はちゃんと動くかどうかだな。頼むぜラウオ!こけさせるなよ!」
「わかってるよ!キラ、いいか?」
「大丈夫だよ。初めてラウオ」
キラも元気になれてよかったぜ。家族に打ち明けて一緒に泣いたらしい。いい家族だよなキラの家族は。とても本当の家族とは思えないくらいだ。何も知らなければ本当の家族だと思っちまうくらいだ。知ってる身としては言葉にできねえけどな。さて、そんなことよりもようやくだ。
ようやく俺の夢が叶う。この夢が現実になるんだ。今、俺はジンに乗っている。本来ならコーディネーターじゃなければ動かせないジンにだ。
「いくぞ…!」
「おぉ…!おおおおっ!!」
「や、やった…!動いた。動かせた…!こんな、スムーズに…!ハハッ…!」
やった!とうとう…!とうとう俺は…!モビルスーツを操縦できた!皆歓声を上げている!たくさんの人達のおかげでできた俺が、ナチュラルでも操縦できるOSを!
「すげえ!すげえぞラウオ!とうとうできたな!マジですげえよ!俺は初めて感動したぞ!こんなに感動するとは思わなかったぜ!」
「ありがとうロウさん!ロウさんがいなかったらこんなにも早く完成するとは思わなかったよ!」
「何言ってんだ!俺なんかよりもキラだぜ!キラのおかげでできたんだ!」
「ああ、そうだな!キラ、ありがとう!俺の夢が、とうとう叶ったんだ」
「よかったねラウオ。僕も最初は無理だと思ってたけど、ここにいる皆のおかげでできた。なんだか感動して、涙が出てきちゃった」
「あっははは!キラ!何泣いてんだ!いや、こういうのは嬉し泣きか!いいぜ!嬉し泣きしようぜ!」
皆皆歓声を上げてる。リーアムさんもあまりの素晴らしさに感動しているしプロフェッサーさんは怪しく眼鏡をクイクイしてる。樹里さんはロウさんに駆け寄ってる。ジャンク屋の皆なんか酒を出して祝いだなんだと宴会状態だ。マジで、マジで最高の気分だぜ。
「さて!完成はしたが問題がある」
「問題ですか?それは」
「それは、このOSの名前だ」
「名前、ですか?」
「ああ。このOSをただのナチュラル用のOSなんかじゃねえ。もっと先を見据えたOSだ。そんなOSの立派な名前を付けてやろうぜ」
「名前」
「ラウオ、なんかあるか?」
「なんか…何かあるかな。魔法のようで、色々と簡略できたOSの名前。う〜ん」
「なら、こういうのはどうですか?戦術的思考型OS」
「それだと名前が長いよね。何ていうか、英語的なのがいいよな」
「でしたらタクティカル・サイバネティクス・オペレーティング・システム。頭文字を取ってTC-OS。これならどうですか?」
「TC-OS…うん!いい名前じゃねえか!皆はどうだ?」
「いいですね。とてもカッコいいです」
「俺も」
「よっしゃ!このOSの名前はTC-OSだ!」
マジか…!マジかよ…!俺はガンダムSEEDのおかげでロボット物に興味を持ってそっからめっちゃ好きになったスーパーロボット大戦OriginalGenerationのシステムが採用された!名前まで同じになるなんてマジで最高じゃねえか!俺は、もしかしたらスパロボogの要素を入れるかもしれねえ!
俺は…!俺の夢は、もっと大きくなるかもしれない。俺の夢は終わらねえ。夢はもっと膨らんでいく。夢を現実にできる。皆で頑張れば!よ〜し!頑張るぞ!
キラ・ヤマト
原作主人公。コペルニクスに住んでいたが情勢によりヘリオポリスに引っ越してくる。隣に住まうラウオとの出会いで運命は大きく変わる。本来出会わない人達と出会い、プラントへと引っ越ししてしまった友達との連絡、その母親の死などを経験。ほんの少しだが精神が原作よりも成長するように。なお、面倒くさがりは変わらず。