魔王だけど王道進んで何が悪いの?   作:ジャック・オー・ワンタン

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皆さんこんにちはJACKです。本日より私の第4作品目を投稿します!


第1話:魔王ヘイン

「ヘイン。俺はこの戦いで死ぬだろう。そうしたらお前が次期魔王だ!この国を頼むぞ!」

 

先代魔王である父からそう言われた後、彼は戦死して僕は魔王となった。この時、僕はまだ7歳で当然ながら国を運営するにはとても若すぎた。

 

唯一の救いは父の「息子を頼む」という遺言を無下にせず僕に付いてきてくれた一部の部下が忠誠を誓ってくれていることだろう。

 

魔王に即位してから8年。いつものように座り慣れた玉座で寛ぎながら部下達を見る。この光景も飽きたなぁ・・・。今年から本格的に魔王として政務に取り組むんだけど先代魔王達のやってきた記録を見て吐きそうになった。

 

国民には困窮しても税金や食料を軍が強奪。更にその軍は実力の無い兵を次々と切り、国を強くするやり方・・・所謂、覇道ってやつだ。

 

こんなことをしてたらそりゃ民から反感買うし、それが原因で他国に攻められても文句は言えない。密かに隣国へ亡命した人だっている。

 

なにが「この国を頼む!」だ。こんな民も兵も疲弊してる状況でどうやって国を守れるんだ?言った本人は一丁前に先に死んで無責任にも程がある。

 

「魔王様。本日、民から徴収したものです。」

 

今日も魔王軍の指揮官が頭を下げながら強奪してきた作物や米の入った袋、金品が載った荷車を見せてくる。

 

「魔王様。如何なされたのですか?」

「何でもない。それよりその荷車に載っているものは民から取り上げたのか?」

「はっ!この通り、我が軍の力を持って・・・」

「返してこい。」

 

僕の低い声で放たれた言葉に指揮官は思わず目を丸くする。

 

「聞こえなかったか?返してこいと言ったんだ!」

「い、いやしかし・・・先代迄この様にして魔王様に献上品を・・・。」

「だったら頭を下げてお願いしろ!民を労らぬ兵など魔王軍には要らん!」

 

漆黒の稲妻を纏って威圧する僕に指揮官は怖気付く。本当はこんな脅しまがいなことは部下にやりたくない。

 

「し、失礼致しました!直ちにこれらのものはお返して参ります!」

「返すだけでは足りぬ!バロム!」

 

僕は側近のバロムを呼び出すとこれまで民から奪った米の入った袋と金品を持ってこさせる。

 

「なっ・・・こ、これまでお返しするのですか!?魔王様!それでは魔王様のお食事が・・・」

「我のことは気にするな!それより民の衣食住を保証しろ!誰のおかげで魔王軍とディモニックの明日があるのかを考えよ!」

 

その言葉に指揮官はハッとした表情になると急いで兵達と奪ってきたものを荷車に積み込んで去っていった。

 

「魔王様。相変わらずお人柄が良いですな。」

 

兵達が去った直後、バロムがこちらに顔を向けてそう声を掛けてくる。

 

「ああやって尊大な態度で接するのは僕は好きじゃないんだけど。」

「魔王様の威厳に関わります。続けて下さい。」

「えぇ〜もう嫌だよぉ〜」

 

バロムの回答に玉座でだらんと項垂れる。僕は魔王。でも、これまで覇道を進んだ魔王達とは違う。優しさに溢れた王道を征く魔王になるんだ!

 

◇◇◇

 

翌日。僕はバロムと数人のお供を率いて城の外に出た。戦争以外で魔王が外出するのは珍しかったのか城の外を見たいと言い出した途端に部下達は雷に打たれたかのように固まっていた。

 

「魔王様。こちらが民が住まれている村です。」

 

お供の一人が村を指差すとそこに広がる光景を見て息苦しさと申し訳ない気持ちが湧いてきた。

 

荒廃した家屋、枯れた田畑、流れる川の水は泥のような何かと交わって濁っており、鼻をつまみたくなるような異臭が漂ってきていた。住民も皆、痩せ細ってとても人が住んでいい環境ではないとよく分かる。

 

これが先代達が僕に遺してきたものなのか?本当にふざけるなと言いたい。こんな痩せて荒廃した民と集落に何も出来やしないし、ここまで苦しめてきた事を無視した我々に全部責任がある。

 

「酷いな。父上は民に何か支援は?」

「いえ、先代魔王様迄は民から略奪を絶やさぬようお伝えしておりました。」

「・・・その考えは正さねばならない。バロム。直ぐに配給を行い、兵に田畑と川の整備を行えと指示をしろ!」

 

僕の指示を聞いて了承したバロム以外の部下達は驚きを隠せなくなる。

 

「魔王様!?本気ですか!?民を支援なさるのですか?」

「民が豊かでなければ魔王軍は強くならない。その為にはまず、民を豊かにするべきだ。」

「理解できませんな。」

 

そんな僕の考えに否定的な声を挙げる者が馬に乗りながら現れた。魔王軍を指揮する将軍バルドだ。

 

「何故、下民をお助けになるのです?この者達は弱者。その弱者に構う暇などありません。」

「その弱者に支えられているが我々だ。民を強くしなければ我々も強くならない。」

「フッ・・・魔王様は腰抜けですな。先代ならばそこまで気にはしませんぞ。」

「バルド!王に失礼であるぞ!」

 

不敬な態度をとるバルドに怒ったバロムを宥めながら僕は彼を見る。

 

「腰抜けかどうかは今は関係ない。僕は先代のやり方に従わない。」

「そうですか。まあせいぜい抗うと良い。」

 

バルドはそれだけ言い残すと馬を走らせて去っていく。彼の様に僕のやり方を気に食わない人は残念だが多い。先代魔王と同じく覇道を征く者こそが全てを制すると信じて疑っていないのだ。

 

それでも僕はやるしかない。進むしかない。自分が正しいと思った王道の道を!固く拳を握り締め、改めて誓うのだった。

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