―――AM:11:00、鎮守府波止場
大本営からの船が1隻波止場に着く。中から出てきたのは三名。男が二人に女が一人。ここの提督が言っていた
「さて、秋山くんは元気にしていますかね」
「大丈夫ですよ。私たちが直々に鍛えた子なんですから」
「いやいや、流石に彼でも女の子の扱いは苦労すると思うよ?」
三人は話をしながら、鎮守府へと向かっていった…
―――鎮守府前
「遅かったですね、みなさん」
「おや、秋山くん出迎えですか。では後ろの彼女たちが君の?」
「ええ、うちの艦娘六名です」
波止場から鎮守府の入口まできた三人を俺たち所属の七人は入口で出迎える。よかった、今は仕事モードのようだ。全員がキリっとした表情をしている。内心ホッとしていると、不知火がこっそりと耳打ちしてくる。
「司令、三人のお名前をお聞きしたいのですが」
「工廠で仕事が終わった後にでも交流会をやるから。それまでは待っていてくれ」
そう言うと納得して引き下がってくれた。…この人たちを仕事の前に暴走させるわけには行かないからな。
「それでは秋山くん。われわれは早速仕事に取り掛からせてもらいますが、よろしいですか?」
「ええ、お願いします。時間はどのくらいかかりますか?」
「そうですね…二時間もかからないと思います。もうお腹がペコペコでしてね。早急に終わらせようと思います」
「わかりました。響、北上、工廠に案内してやってくれ」
「「了解」」
「他のメンバーは昼の準備だ。食堂行くぞ」
三人を響と北上に任せ、他のメンバーを連れ立って食堂へ向かった。
「(さて、食事の後どうなるか…大人しくしてくれるわけないからな…)」
この後来るであろう事態を想定しながら、大きく溜息をついた…
――AM13:00 食堂
「作業ご苦労様でした、お三方。まさかこんなに早く済むとは思いませんでしたが…」
「平賀くんが張り切ってしまってね。私たち三人とも来るのを楽しみにしていたものですから」
「はは…それはどうも」
「それよりアキ、その気持ち悪い敬語をさっさとやめろ。なんかムズムズする」
「…姐さんはもう淑女モード終了か」
「当たり前だ、どうしてここで余所行きの気遣いしなきゃならんのだ」
「おっしゃる通りで…」
一応ここも鎮守府という意味では公的な場なのだが、姐さんに言っても無駄だろう。今ここには本性を知っている人たちしかいないのだから。
「それより同志。僕たちも彼女たちに自己紹介したほうがいいんじゃないかな?」
「…そうですね。では言いだしっぺの平賀さんからお願いします。うちのメンバーも気が気でないようなので」
「ええ!?ヤブヘビだったかなあ…」
メガネをかけた、やせ型の彼は咳払いをすると話し始めた。
「コホン、僕は平賀幸篤。階級は海軍少将で佐世保第二鎮守府の提督を任されてる。歳は38かな?機械いじりが趣味だよ、よろしくね」
かなり省いて自己紹介したな…まあ他の二人もそうなるだろうから、あとで補足説明が必要だろう。続けて残り二人も自己紹介する。
「私は黒木奏。階級は陸軍中将、歳は秘密。格闘技が趣味だ、よろしくな」
「私は下瀬雅宗。階級は海軍中将で佐世保第一鎮守府の提督です。歳は35。趣味は…まあいろいろと、よろしくお願いします」
「…随分省きましたね三人とも。もう数分もすれば本性ばれるでしょうに」
「形だけでも最初は好印象を与えておきたいじゃないか。それに黒木さん以外は彼女たちには無害だよ?」
まあ、たしかに下瀬さんの言うとおり、
「自己紹介は終わったが…誰か聞きたいことがあるやつはいるか?」
そう言うとまず不知火が手をあげる。
「じゃあ、不知火」
「了解しました。では下瀬中将にお聞きしたいのですが」
「私が答えられることならなんでも答えましょう」
「ありがとうございます、先ほどの発言で気になったのですが、佐世保は開けてきて大丈夫なのですか?」
「なるほど、最もな疑問ですね。では心配はいらないと答えておきます。佐世保は全部で第四鎮守府まであるので、誰かが不在の時はその役目を肩代わりできるようになっているのです」
「…しかしそれは指揮系統的にはどうなのでしょう?」
「…そうだね、じゃあ佐世保鎮守府についてちょっと教えておきましょうか。秋山くん説明をお願いします」
「結局俺が説明するんですか…じゃあ全員にまとめて説明するぞ。まずこの中で誰か海援隊という組織を聞いたことがある奴はいるか?」
「確か元海軍元帥の人が組織している部隊だったよね?司令官」
「そうだ。ってか響は大体知ってるだろ、前に教えてやったし三人にもあったことあるし。…俺説明しなくてよくないか?」
「…アキ」
「はい、説明させていただきます」
姐さんが声を低くする。…うちの艦娘達もジト目で俺のことを見ていた。
「海援隊―さっき響が言ったとおり元海軍元帥が組織している会社の名前だ。詳細は省くが現在の日本の海事産業の役5割を担っていて、それと同時に佐世保鎮守府の防備、指揮を任されている。さらに、もし横須賀の大本営が機能停止した場合、ここが代わりに全体指揮を執るように命じられているんだ」
「司令官、なんで佐世保なのかしら?呉や舞鶴でも問題無いように思えるんだけど?」
「…その話をすると長くなる。大まかに言えば海援隊創始者が佐世保、つまり長崎に本拠を構えていたのが理由だ」
「それじゃあ、提督。提督が何人かいなくなっても回る理由は?」
「元々一人で回るものを四分割しているからだ。あそこには全鎮守府の中で特に
「ひどい言い草だなあ、同志。君もそのうちの一人だろうに」
「あ な た た ちと一緒にしないでください、平賀さん」
来てもらった三人に多少茶々を入れられながらも、現状の佐世保の戦力や役割などを当たり障りなく説明し終える。さて、
「司令官さん、佐世保鎮守府の特徴はそれで終わりなのですか?」
「いや、ここからが重要だ。佐世保鎮守府は能力が高く、その他諸々に問題がある人…所謂問題児を集める場所なんだ。この三人も例外でなく――」
いざ説明を始めようとした矢先、俺は姐さんに呼び止められた。
「待て、アキ。折角の機会だ、私たちが直々に自己紹介をしよう」
「いや、せっかくの申し出だけど、大人しくしてくれると嬉し――」
「さて、艦娘の諸君。すまないが席を立ってそこに整列してもらえないかな?」
「聞けよ!」
俺の申し出も虚しく、?マークを浮かべながら
「響くん、私は整列してほしいといったのだが」
「…前回ので懲りてるんだ、遠慮させて欲しい」
「ふむ…まあいいか、それでは――」
響から目を離したと同時に、姐さんの姿がブレる。次の瞬間、
「ふむ、白、白、薄桃色、ライトグリーン、黒+ガーターベルトと来たか…いい趣味だな」
「「「「「~~~っ!?!?」」」」」
「さて、挨拶も終わったことだし改めて自己紹介をしよう。黒木奏、31歳。好きなものは女子と女子が身につけていたもの全般だ。よろしく頼む」
そう言って満足気に席に座りなおす姐さん。ほんとに実践付きでカミングアウトしてくれるとは思わなかったよ…
「…とまあこのように、本性はおっさん精神丸出しのレズビアンだ、仕事の関係以上によろしくするのはやめとけ」
一言補足を付け足すと、被害者全員が無言で首を縦に振る。そんな中響が席を立つと、俺の後ろへいたらしき人物へと全力の蹴りを放った。
「司令官に手を出そうとするのはやめて欲しいな、下瀬さん」
「ぐ…見事な蹴りです、響さん。危なく不能になるところでしたよ」
「そのまま不能になってくれるとありがたいんだけどね。大丈夫かい司令官?」
「ああ、まだ何もされてない。…さてほか二人の紹介する。まずはさっき響に金的決められたこの人、下瀬雅宗さん。好きなものは男子、かつホモでドMで眼球フェチの変態だ。秘書官は基本的に龍田、香取、曙」
俺がそう言うと見事にみなドン引きである。姐さんと雅さんは外面滅茶苦茶いいから、本性を知るとかなりがっかりされることも多い。…付き合いの長い同性に本性を明かしたときは、もう手遅れの時も多いが(毒牙にかかる的な意味で)。
「それで最後に平賀幸篤さん。俺の開発技術の師匠で機械フェチの味覚障害者だ。この人が工廠に居るときは入らないことをオススメする。秘書官は基本的に比叡、磯風、明石、夕張」
「改めてよろしく。同志が言うとおり、何かしら目印になるものを置いておくから工廠に入るときは気をつけてくれ」
それぞれが安堵の表情で彼を見ていた。…どうやら平賀さんは比較的好印象だったようだ。
頭の痛くなりそうな自己紹介タイムを終え、宴会が始まった。くだらない雑談を交えながら、いつの間にか酒が入り、次々とメンバーは酔いつぶれていった…
PM22:00――Side:響
「…ぷはっ。あれ、もうなくなったのか」
今日は久しぶりにお酒の制限がないということで、いろんな種類のお酒に手を出していた所、いつの間にかそこら中に缶や瓶の山が出来上がっていた。……どうやら私は司令官のようにアル中への道を着々と進んでいるようだ。司令官はどこにいったのだろうと、立ち上がると足元が少しふらつく。どうやら少し酔っているみたいだ。酔いつぶれてひっくり返っている不知火や、部屋の隅で下瀬中将を足蹴にしている電と時雨を横目に見ながら、私は食堂を後にした。
「さて、司令官は仕事だろうか…」
食堂には半分位しか残っていなかったから各々はどこかへ行ったのだろう。お酒に夢中になって気に留めていなかったが、最初に部屋を出て行ったのは黒木中将と天津風だ。中将が「うへへ…お持ち帰りだ」と言っていたのはきっと気のせいだと思いたい。執務室へ向かう廊下の途中、お風呂上がりの北上さんと会った。どうやら今日はもう寝るらしい。相変わらずのお酒好きだね、と少しからかわれた。北上さんと別れて執務室へと着くと中に司令官はいなかった。代わりに平賀さんが司令官の椅子に座っていた。その彼と、目があった。
「やあ、響ちゃん。満足のいくほどお酒は飲めたかい?」
「ええ、まあ。ところで司令官を知りませんか?」
「同志ならもう寝ているよ。睡眠不足を黒木さんに見抜かれて、度数50以上の酒をしこたま飲まされて酔いつぶれてしまってね。僕が寝室に運んでおいた」
「司令官が…酔いつぶれる?」
「はは、想像できないかい?まあでも同志だって人間さ、どんなことにだって無敵じゃあないんだ」
笑いながら話す平賀さんは上機嫌そうだった。彼はふと、笑うのをやめて私の方をじっと見た。何かをまるで懐かしむかのような目で。その目は極希に司令官が私に見せる目でもあった。
「あの…なにか?」
「ん、ああすまない。僕の知っている人に君が似ていたからね、ちょっと感傷に浸ってしまっただけだよ。まあ気にしないでくれ」
「……それはもしかして司令官も知っている人ですか?」
私がそう聞くと、平賀さんは少しばかり、しまった、といった表情を見せた。
「同志は君に、昔のことを話したかい?」
「いえ、まだ。最初は興味本位で聞いてみたことがありますが、そのうち話すとは言われました」
「…そうか。じゃあ僕からもその質問については答えることはできないね。少なくとも響ちゃんは彼自身の口から聞かなくてはダメだろうから」
「……そうですか」
「すまないね。代わりと言ってはなんだけど、海援隊にいた頃のことなら少しは話してあげられる。聞きたいかい?」
「!よろしければ、是非」
「分かった。少し、外に出ようか。酔いを覚ましながらの方がいいだろうから」
平賀さんは立ち上がると、そのまま執務室の外へ出て、正面入口へと向かう。私はその後ろを少しワクワクしながらついていった。
―――PM22:30、鎮守府波止場付近
平賀さんが教えてくれたのは海援隊時代、所謂司令官の士官学校時代のことだった。悪い癖のせいで海軍内ではやや孤立気味だったこと。逆に陸軍ではかなり人気があったこと。教官に反発し、何度も争ったこと等々、色々な失敗エピソードなどを交えて話してくれた。一通り聞いたあと、最後に平賀さんはあることを教えてくれた。未だ本人から聞けていない、数ある秘密のヒントを。
「響ちゃん。同志が生身で深海棲艦と戦えることは知ってるよね?」
「ええ、ここに着任して一週間ほどしてから、一度一緒に出撃したことがあります」
「うん、そのことについてだ。どうして同志は、と言っても同志だけではないんだが、生身で深海棲艦と戦えると思う?」
「え、それは…偶々戦える力があったから訓練を受けられた…と聞いています」
「このご時世に偶々なんて、そんなにあるもんじゃないさ。…同志は
「あること…ですか?」
「そう、全部で三つある。ある出来事に見舞われれば、普通の人でも割と考えること。…同志のことについて言えることはこのくらいかな。そろそろ戻ろう、だいぶ興が乗って話し込んでしまった」
平賀さんはそこまで言うと、来た道を戻り始める。来た時と同じように私はその後に続く。このあたりにしては冷たい風がヒュウと吹き抜ける。酔いはもう冷めてしまったようだ。
「半年待っても何も話してくれない…まだ信用されていないのかな」
何はともあれ平賀さんのおかげで司令官のことについてようやく一歩進むことができた。……今夜は考え事で眠れそうにない。
Side out
現在のブルネイ第一泊地
鎮守府レベル:31
攻略完了海域:5
保有資材量
燃料 25350
弾薬 23410
鋼材 29225
ボーキ 34520
修復材 550
建造材 400
希少石 1
提督コメント:
【第一艦隊】
旗艦 響 LV43 司令官にはまだ信用されてないのかな。少し、寂しい。
二番艦 北上 LV41 すっごい人たちが来たねえ…陸軍の中将さんからは大井っちと似た匂いを感じたよ…
三番艦 電 LV38 眼鏡の人にドMの世話を任されたのです。時雨ちゃんの後押しをしてあげるのです♪
四番艦 時雨 LV38 なんだろう…この人を踏んでると何かに目覚めそうな気がする…
五番艦 天津風 LV39 私、いつの間に部屋に戻ってベットに入ってたのかしら…というかなんで服を着てないのっ!?
六番艦 不知火 LV40 しらにゅいに…何か、落ち度でも…ZZZ
【第二艦隊】
旗艦 None
二番艦 None
三番艦 None
四番艦 None
五番艦 None
六番艦 None
ようやく三話投稿にこぎつけました。艦これの春イベ終わっちゃったよ!(白目)
新実装艦は全部手に入れましたが、去年取れなかった早霜が出ませんでした…
響の敬語が難しい!敬語でそのキャラっぽさを出すほどの技量はまだ私には無いようです…
資料集はまた大幅に更新予定です。変人三人組の紹介になりそうです。オリキャラが増えてきたら提督、艦娘組とオリキャラ組で資料は分けるかもしれません。
この小説にお気に入りが10人もいて、歓喜しました。これからも読んでいただけると幸いです。
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