枝を司る者   作:ペンラ

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3話 アーティファクト

「っん」

 

体に違和感を覚え意識が覚醒する。

 

「なんなんだ?」

 

布団にくるまって寝ていたはずなのに布団の感触がなくベットみたいに床が柔らかくなく硬いし冷たい。とりあえず目を状況を確認するため目を開ける。

 

「は?」

 

思わず息をのむ、そこはいつもの見知った自分の部屋などではなく、目の前には鳥居がそびえたっていた。

 

「??????」

 

何が何だかわからない俺は確かにベットに寝ていたはずだ。

 

「そうだ!スマホ」

 

ズボンのポケットを急いでまさぐる。心臓の周りが凍える感じを覚え手には汗がにじんでいる。

 

「あった!」

 

急いでパスワードを入力しホーム画面に飛ぶ、そこには

2015年7月30日  20:00 と書かれていた。

 

 

 

記憶をインストールする

 

「いっ⋯⋯!」

 

ーーー頭痛。膨大な記憶が流れ込んでくる。

 

「⋯っなんなんだよ」

 

経験したはずのない記憶がめぐってくる。この後に起きる惨劇も。

 

「は?、なんだよこれ俺は死んだのか?」

 

記憶の中で無くなったはずの左手を強く握る。

 

(大丈夫ちゃんとある)

 

そうこう考えている内に地面が激しく揺れ始めた。

 

「っツ」

 

バランスを崩し転んでしまった。

 

(まさか、本当におきるのか)

 

そう考えながら空を見上げた。

 

(っな)

 

空から何かが降ってきた。それは全身が不自然なほど白く、人間よりもはるかに巨大で、不気味な口のような器官が付いた化け物だった。

 

(俺は、あいつに殺されたんだ、逃げよう)

 

そう考えた俺はすぐに立ち鳥居と逆方向に逃げようとした。そのとき微かに誰かの悲鳴が聞こえた。

 

「⋯ っ、」

 

(神社の中にはたくさんの人がいるのが見えた、この後に起きることを知っていて襲われていた人たちを見捨てるのか、逃げるってどこにいけばいいんだ?あそこで意識が途切れる寸前に誰かが化け物を倒していた、ならあそこに化け物を倒せる誰かがいるはず、だったら怖くても行くべきだろ!)

 

そう思い足を止めあの場所へ向かおうとする。

 

(何をすれば最善なのかわかっているはずなのに)

 

体が動かない、あそこには可能性がある、だがあの痛みを思い出すと体がいうことをきかない。

 

(動けよ!俺の体!)

 

そう俺は自分の体が動くところを想像した。

瞬間体の中から何かが湧き出るような感覚と左胸あたりが熱くなる感じがし、体に巻き付いていた鎖が一気にほどけたような気分になった。

 

「動く」

 

体が一気に軽くなり、走れるようになる。記憶の通りに通った道を走り出す。刀を持った

誰かへ会うために。

 

「俺の記憶だともうすでに襲われているはず」

(あそこに行っても俺に何ができるんだ?)

 

そう考えながらも走り続けついに曲がり角にたどり着いた。

 

(ここを曲がればあいつらがいる、バレないようにそーっと見よう。)

 

哲也は気づかれないように祈りながら曲がり角をそーっと覗き込む、同時に背中あたりが熱くなるような感覚がしたが気のせいだろう。そこには大量の化け物に囲まれて動けない人々がいた。

 

(ここまではいいでも、この後どうする?)

 

もうちょっと詳しく見ようと、顔を突き出した瞬間、地面に転がっている石につまずいてこけてしまった。

 

(まずい!)

 

急いで立ち上がり身を引っ込める。自分のことに気が付かれたと思い。逃げる準備をする。

だが、こっちに来る気配がしない。

 

(バレてない?よかったあー)

 

バレなかったことに一安心しつつも哲也は、おかしいところに気が付いた。

 

(あれ?なんで気づかないんだ?)

 

記憶の中だとほんの少し声を出しただけで振り向いてきたやつがもっと大きな物音をたてたのに気づかない?さらに、絶望の顔をしている人達とも目が合ったのに存在が認識されてないかのように重なっていた目が通り過ぎる。

そんな時、半壊した寺から刀を持った俺と同年代ぐらいの女の子が飛び出してきた。

 

(あの人だ!)

 

心の中で喜んでいると化け物は少女を見たとたん複数の個体が一箇所にまとまり、巨大化しつつ姿を変えていく。

あるものはムカデのように長い体型となり。

あるものは体表面に矢のようなものを発生させ。

あるものは体組織の一部が角のように硬質化して隆起していた。

 

(進化したのか?)

 

大型化した個体の一匹が、進化した体に発生した矢を射出した。

 

(なんだよあれ)

 

たった一発の矢で奥にあった寺を三分の一ほどぶっこわした。

絶望している間にも化け物は次々と融合し進化していく。

 

(結局俺は死ぬのか…)

「あきらめないでください」

 

そんな声が聞こえた気がした。顔を声が聞こえたほうに目をやると一人の少女が半壊している寺から出てきた。

 

「これから私に付いて来てください!安全な場所へ誘導します!」

 

そう微かに聞き取れた。

 

「生きた者は、私たちについて来い!」

 

何かわからないけど、ついていかないと駄目な気がする。そう思い化け物どもに見つかることを覚悟して先回りするように走り出した。

(頼む、バレないでくれ)

そう思いながら目をつぶり必死に走る。

後方から風を切るような音がする。その音は次第に近ずいていく、とうとうその音が耳元で聞こえてきた。

 

(っえ?耳元で聞こえたのに何で痛くないんだ?)

 

目を開けると目の前を白い化け物が通っていった。

先頭の集団には小さい化け物どもが襲い掛かっているのに俺には一切やってこない。

 

(何でだ?)

 

疑問に思いつつも何とか必死に走って集団に追いついた。そして俺たちは周囲に壁と門で囲まれている本殿にたどり着いた。入って後ろを見ると襲い掛かってきた化け物は中に入る直前に止まり退散していった。おそらくこの中には入ってこれないのだろう。

それを見てやっと肩の荷が下りたことにより地面にヘタレ込んだ。

 

「俺は、生きてるんだ。」

 

一度死んだ記憶がある以上感動にふけっていた。

 

(あれ、よくよく考えたらなんで死んだ記憶があるんだ?正夢にしてはリアルすぎる死んだときの痛みも苦しみも本当に起こったかのように感じた記憶がある。そもそもなんで俺はこんなところにいるんだよ………考えても仕方ないか。)

 

そう思いとりあえず持っていたスマホを使おうとポケットに手をっ突っ込んだがなかった。

 

(あれ?さっきまであったはず。)

 

そう思い周りを見渡すと床に転がっていた。おそらくへたり込んだ時におとしたのだろう。取りに行くのめんどくさいなと思いつつ右手を伸ばして取ろうとするがギリ届かない。

 

(めんどくさいなあ)

 

そう思いながらも体を動かして取ろうとしつつ、スマホを使って何しようと考えていたら、右手の甲に青く輝く紋章が現れた。

 

「っえ」

 

手が止まる

 

(スティグマなのか?なんで俺に、そもそもこの位置にスティグマがあるってことは)

 

改めて俺の目の前にあるスマホが自分のものだと強く意識した瞬間右手の中にスマホが瞬間移動してきた。

 

「うわっ!」

(なんだこれ?現実なのか?なんで9-nine-のアーティファクトが?)

(いや、現実かなんて今に始まったことじゃないか。てことは来るときに白い化け物に襲われなかったり怖かったのに急に冷静になったりしたのって無意識に使っていたってことなのか。3人の能力が俺にはあるのなら)

 

回りを少し見渡し寺の陰に移動する。

そして

 

「ジ・オーダー、アクティブ」

 

呟いた瞬間目の周りに青く輝く紋章があらわれ目に形容しがたい何かが集まっていくのを感じる。

照準を目の前にある木に合わせる。

 

「パニッシュ」

「何をしている!」

 

言い終わる前に横から少女の声が聞こえた。

 

(えっ)

 

声の聞こえた方向に目を向けるとそこには先頭を走っていた二人がいて、一人は睨みながら刀をこちらに向けてもう一人は怪しむようにこちらをみていた。

 

(まずい、アーティファクトを使っているところを見られた。しかも今みられたら一番まずい相手にだ。)

「その目に浮かんでいる青い物で何をしようとしていた!」

 

そう言いながら刀をこちらに構える。

 

「待ってくれ!俺はただ…ただ」

(なんて説明すればいいんだよ!?)

「ただ何だ」

「た、ただ罪を裁こうとしていただけだ!?」

 

何を言っているんだと言う顔をしたあとすぐにこちらをさらに強く睨んできた。

 

(だからなんて説明すればいいんだよ!正直にアーティファクト試してたなんて言えるわけないだろ!そもそも間違ったこと言ってはいないぞ)

「まともに答える気がないのなら力ずくで」

「い、いや違うんだ、ただ少し力を試そうとしただけで」

「力ですか?」

 

隣いた黒髪の人が聞いてくる。

 

「あ、ああ」

「力があるのなら何故ここに来るまでに使わなかった。」

刀を持っている人の方がごもっともなことを聞く。

「さっき自分に力があることを知ったんだ!」

「力があることをさっき知ったのならばなぜ慣れたように詠唱していた!」

(そうだよなあ知らなかったて言うわりにはどう見ても分かってるように構えていたよな。)

「の、能力は知っていたが持っているとは分からなかったんだよ」

「それがさっき言っていた罪を裁く、と言うことですか?」

「あ、ああ」

(どうする、ここで変なこと言って怪しまれたら本当に死ぬぞ)

「この紋章みたいなやつには罪を認識すればそいつを裁くことができる力がある。」

「なるほど」

「ひなたが感じた違和感の正体はそれなのか」

「お前こそなんだよその刀普通の小学生が持っているはずないだろ」

「これは神楽殿の中で拾った。名は生大刀」

 

どうごまかすか考えていた時突然ひなたと呼ばれていた人が頭を押さえ苦しみ始めた。

 

「ひなた大丈夫か?」

「ええ、でももうすぐここを出ないといけないそうです。」

 

そのことを聞き少し不安そうな顔をしたところを見たのか。

 

「大丈夫です。ここから先も、安全な道がわかりますから。」

「まあ、なんとなくですけど」

 

そう言いながらも微笑んでいた。その迷いない口調は、不思議と信じてもいいと思えてきた。

 

(俺にアーティファクトが宿ったように何かそういう力をこいつらもやどしたってことか?)

「ひとまず避難が先だ、そのあとに詳しく聞かせてもらう。」

「ああ、分かった。あと、一つ聞かせてくれ、名前はなんだ」

「乃木若葉だ」

「上里ひなたです。あなたはなんていうんです?」

「俺は天…いやナインだ」

 

休息を取った後、俺たちは避難者たちと共に本殿を出た。上里の指示通りに進むと、なぜか白い化け物と遭遇することはほぼなく、たまに出会っても乃木の刀で掃討することができた。

 

俺たちは、南東に向かって進み続けた。何日も何日も、その間に俺はあらゆる建物が崩壊してしまった街や無数の死体を、地平線の彼方に巨大な炎が絶えず燃え続け、空は暗闇と白い異形どもに覆いつくされ、大気は死臭で満ち溢れていた。

 

 俺は悟った、俺は世界が終わってしまっている世界に来てしまったのだ、と。

どれだけ歩いただろう。俺たちは海にたどり着いた。すでにスマホはなぜか使えなくなっていたから此処がどこだかわからないが、目の前にある橋は、人々を導くように、破壊されることなく元の威容を保っていた。

 




9-nine-の能力知らない人向け
九條 都「他者の所有権の奪取」物だけでなく視力や記憶などの実体のないものも奪える。
新海 天「存在感の操作」能力使用中は例外を除いて感知されなくなる。
香坂 春風「思考の具現化」能力にバフをかけたり相手の意識を無意識に誘導できる。
結城 希亜「罪を裁く力」発動には「ジ・オーダー、アクティブ」「パニッシュメント」という必要がある。
新海 翔(ナイン)の「オーバーロード」過去に記憶を送れるが過去で枝分かれするだけであって元の枝は変わらない。
新海 翔「幻体」幻体を生み出せてある程度自由に操れる。

9-nine-知っている人向け
ゴーストやレナは出しません理由は出したら戦闘を全部まるなげするから。

やっと2015年が終わったー
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