後記期末試験が終わり、ようやく執筆が出来ました。
sts開始あたりまでのプロットもどきのようなものも形になってきましたし、また忙しくなるだろう4月あたりまで頑張っていくつもりです。
という訳で以前メイ・クイーン様からご指摘いただいた矛盾箇所を修正すべく作られた挿話01です。
警告事項:捏造設定、ご都合主義入ってるような気がする
また、今回から所謂Side手法を自粛してみようかと思っています。
読みづらい個所があれば気軽にご指摘ください。
それでは、どうぞ。
‡‡‡ 新暦58年11月上旬 第97管理外世界≪地球≫日本国海鳴市
一にして全能たる物世に在らず。
我等が脈々と受け継ぐ弓も亦全能に非ず。
故に我等は己が表となり、同時に裏となる対を求めた。
彼等も亦対を求め、我等は出会う。
そして我等と彼等は盟友となった。
我等が源流たる**貫*流と我らが対となるように、彼等もまた表と裏、御神の剣と不破の剣を持つ。
……よし、これで何とか意味は通るか。
先日那須家が昔交流を持っていた剣士の家系があると文献に書いてあったのを思い出して、それを読み解いているところだ。
最初見たときはそこまで重要視していなかったから目印をつけていたため、思いのほか時間がかかってしまった。
しかもこの文献、草書で書いてあると見せかけてただ字が汚いだけという天然の暗号だ。
というか完全に識別不能の文字もある。
一文字目は糸偏であるような気もしなくもないが、わからない。
こんな感じでなかなかに面倒なものがある。
まぁその辺は置いておくとして、この一節で分かったことをまとめるとしよう。
1. 剣士の家系は2つではなく、根源的には1つの家系である
2. 表と裏があることで全能に近づき、それを互いに求めての交流だった
3. 2から剣士の家計の表と裏の剣も同じ理念から生まれたものと予想でき、御神が表、不破が裏だと思われる
4. 一月かかってこれだけしかわからないとか笑えない……
‡‡‡ 新暦59年1月上旬
さらに2月ほど経った。
この間に新たにわかったことがいくつかある。
御神宗家の所在地、交流が途絶えたときに復縁を望むのに使う文言などだ。
――二流の剣客より神の小弓に祈りを奉げたく存じます。
――幼子の弓を剣神に奉げたく、此処に参上いたしました。
前者が御神、不破からの那須家へのコンタクト時に使う文言、後者がその逆となっている。
少々記憶に引っかかるものがあるのだが、正直思い出せそうもない。
なのでとりあえずはこの二つを最大の
――という訳で。
御神宗家
これは予想外だった。
文献に書いてあったが間違ってるわけでもあるまいし、この公園が
「うーむ、まいったなぁ……。」
ここにきて手がかりが消えてしまったのだ。
困惑や消沈の一つや二つくらいしてもバチはあたるまい。
アポもなしに突然訪問というのも失礼ではあるが、文献に乗っていた文言があればまぁどうにかなるかと思っていたし、見込みが甘かっただけとも言えるが。
しかし訪問どうこう以前に家がなくなっていてはどうしようもないというものだ。
縁はやはり切れるべくして切れてしまっていたということだろうか。
「仕方ない、いったん帰……いや。」
公園になっているということは、だ。
もしかしたら何らかの石碑があるかもしれない、ということでもある。
具体的には公園のルーツあたりのが書いてある石碑があればビンゴだ。
帰る前にそれくらい探してみておくべきだろう。
そう気を取り直して公園の中に入る。
元が住宅だとすればかなり広い敷地ではあるが、公園としてみればそれほど大きいわけでもない。
整備も手入れもされているし、もしそういった石碑があればすぐ見つかるはずだ。
無ければ家に帰ってまた文献と辞書を手に解読のやり直しになるだけだ。
何も気にすることはない。
……うん、何も気にすることはないが、見つかってくれ。
――さっくり発見した。
石碑によると、数年前に謎の爆発事故があったらしい。
そして土地は市に買い取られ、この公園が出来た、と。
いいところなのに人が少ないのもこれが原因なのかもしれない。
結局新たな手掛かりはなし、か。
だが、これなら近くに当時のことを覚えている人が必ずいるだろう。
中には御神家と親しかった人もいるはずだ。
その人を引き当てて、話聞いて、たぶんいるだろう生き残りの人と連絡を取る。
これが俺の出来ることだ。
思い立ったが吉日、とりあえず片っ端から訪問してみるとしよう。
――ピンポーン。
「はーい、どちら様ですか?」
「私、那須というものです。少々尋ねたいことがあるのですがお時間よろしいでしょうか?」
「……すみません、今手が離せないので。」
「あ、いえいえこちらこそ忙しいときに申し訳ありませんでした。失礼します。」
……幸先悪くいきなり撃沈。
まぁ気にしても仕方ないし、気にせずどんどん行くか。
――数時間後、そこには少々やつれた秋鷹の姿があった。
それもそのはず、この数時間で訪問した家の数は100近くに上り、門前払いが7割、出てきてくれた人も皆「御神家なにそれ?」という状態だったのだ。
徒労ばかりが溜まる上に不審者扱いされないようにも気をつけなくてはならない。
疲れもするというものだ。
「今日は一旦帰るか。……しかし隣人に無関心な最近の風潮をここまで疎ましく思ったことないぞ……?」
そう寂しげに呟き、秋鷹は帰宅するのだった。
‡‡‡ 新暦59年1月下旬
――「あの公園のところに建っていたお宅のこと何か知ってませんか? 知っていたら教えていただきたいのですが……。」
「あぁ、あの家のことね。ごめんなさい。私はわからないわ。」
御神家、ではなく公園のところに以前建っていた家、と聞くようになってから手ごたえは多少良くなっている。
助言してくれた西村の昇給かボーナスかを考えてもいいかもしれない。
まぁそれでも知らないという人ばかりだし、門前払いが多いのも相変わらずだが。
「そうですか。……すみません、お忙しいところ。」
「別にいいわよ。どんな理由かは知らないけど、頑張ってくださいね? 町内会でもお話が出ていましたし、そのうちひょっこり知ってる人が出てくると思いますし。」
「え? そんな話が出てるんですか?」
「えぇ。なんでも公園のところの家のことを聞きまわってる男の人がいるって。怪しいと言えば怪しいけれど悪い人ではなさそうだから何か知っている人がいれば協力してあげてくださいって回覧板で回ってきたわ。」
「そんなことに……。ありがとうございます。」
「気にしなくてもいいのよ。私たちも謎の爆発事故っていうのが少し怖いっていうのもあるんだから。そっちで何かわかったら私たちに教えてくれればそれでいいわ。」
「わかりました。ありがとうございました!」
うん、これはうれしい誤算だ。
流石に毎日は来れていないが、これならばもしかしたらもうすぐ手掛かりが見つかるかもしれない。
だが同時に付近で訪問していないところもかなり減ってきている。
一度訪問したところももう一度回ってみるべきか。
……いや、何も家にこだわる必要はない。
小学校やら中学校、病院に老人ホーム。
そういったところでも十分情報が集まる可能性はある。
‡‡‡ 新暦59年2月上旬
さて、今日は老人ホームに行こうと思う。
お歳を召した方ならば公園のところの、よりも御神家の方が通じるだろうか。
考えても仕方ないことでもあるし、さっさと行くとしよう。
「……わからんのぅ。すまんなにぃちゃん。」
「ははは、もうにぃちゃんなんて呼ばれるような年じゃないですよ。」
「にいちゃんがにいちゃんじゃなきゃ儂はおじいちゃんになってしまうだろうが! わしはまだおっちゃんじゃい!」
そこはこだわるところなのか。
こだわるところなのかもしれない。
にいちゃんからおっさんに代わるときは抵抗がすごかったし、それと似たようなものならばだが。
「なーにボケたこといってるんだい衛門くんは。」
「ふん。ヨミちゃんだっておばあちゃんって言われたくはなかろう。」
「おばちゃんもおばあちゃんも大してかわりゃしないよ。そんなことよりそこの若いはどうしたんだい。」
「あ、初めまして。那須 秋鷹と申します。」
「これはご丁寧にどうもありがとうねぇ。わたしは御影 世美子だよ。で、こんなところにどうしたんだい?」
「はい、ちょっと人を探しておりまして。手がかりは御神か不破っていう苗字だってことしかないんですけれど……。」
「ふむ……御神に不破、ねぇ……。……御神? 御神……。」
「! 何か知っているんですか!?」
「おぉ、ヨミちゃん伊達に歳食ってる訳じゃないのぉ!」
「うっさいね二人とも! 思い出せそうなの邪魔するんじゃないよ! あと衛門くんは後で覚悟しときな!」
「は、はい。すみません……。」
「なんだよ大して気にしてないんじゃなかったのかよぉ。」
「……おとなしく誤った方が良いと思いますよ、衛門さん?」
女性を歳のことでからかうのはNGもいいところだ。
本人がネタにしていても、こっちは絶対にネタにしてはいけない。
女性はいつまでも17歳とか18歳なのだ。
+何か月かは些細なことでしかない。
「あぁぁ! どこかで聞いたことあると思ったら娘が乳母をしてたところじゃないかい!」
「え! 本当ですか!?」
「嘘ついてどうするってんだい。連絡してあげるからちょっと待ってるといいよ。」
そういって御影のおばあちゃんは携帯電話を取り出す。
ボタンが3個しかついていない、あらかじめ電話先が設定してあるお年寄りや子供向けの物だ。
和人が大きくなったらやはりああいった類のものを渡すのが良いか。
けど和人は結構頭いいみたいだしなぁ。
そのうち綾佳と相談しよう。
……GPSとか携帯に搭載されないだろうか。
されたらそれにしたいところだ。
いまでもあれだけ元気なのだから、大きくなったらどんなやんちゃ坊主になるやら。
だが、元気なのはいいことだ。
弓も怪我しないように、しっかりと教えていこう。
数年後が楽しみだ。
そんなことを考えていると、いつの間にやら話が付いたようだ。
「どうでしたか?」
「確かに御神家で乳母をしてたって言ってたよ。その子の親から毎年年賀状も届いてるんだとさ。」
「……よかった……。それで、住んでる場所とかは……?」
「流石に見ず知らずの相手に住所を教えるわけにはいかないって聞かなくてねぇ……。聞き出せなかったよ。」
「ぅ。ま、まぁ仕方ありませんか。」
「落ち込むんじゃないよ。苗字は高町に代わってて、海鳴市ってとこで翠屋って喫茶店をやってるって言ってたよ。そこに行ってみな。」
「海鳴市ですか!?」
「急にどうしたんだい、そんな大声出して。」
「いえ、私は海鳴市に住んでいるんですよ。そんな近くにいるとはつゆとも思っていなかったもので。」
「へぇ。なんだかんだで縁があるんじゃないのかいそれは。」
「そうかもしれませんね。古くからの縁というものはやはり切れにくいものなのでしょうか。」
「縁っていうものはそういうものさ。ほら、手がかり掴んだんだからさっさと行ってきな。」
「わかりました。本当にありがとうございました!」
「よくわからんが御神って人が見つかったんか? よかったのぉ、にぃちゃん。わしは昼寝でもするかの。」
「衛門君は何を聞いていたんだい。それに、話があるって言ったのもう忘れたのかい? もうボケが始まったんじゃないだろうね。」
「あはは。それでは、失礼します。」
「はいよ、見つかる事を祈っておくよ。」
「また来るんじゃぞー。」
‡‡‡ 新暦59年2月中旬
翠屋――商店街の一角に店舗を構え、家族で切り盛りしている最近できた喫茶店。シュークリームが絶品で、リピーターを獲得中。
ということらしい。
綾佳を連れて行ってもいいかもしれないが、和人を置いていく話にもいかないし、連れて行ってうるさくなっては本来の目的を果たせないかもしれない。
……一人で行くか。
ケーキ屋さんじゃなくてよかった。
目玉がシュークリームあたりそちらに近いかもしれないが、それでも喫茶店ならば男一人でもそこまで抵抗は覚えない。
――カランカラン。
「いらっしゃいませ。何名様でしょうか?」
男の子が接客をしているようだ。
高町家の息子さんだろうか。
かなりたくましく見え、かずとも同じくらいになるのかも知れないと妄想があふれ出しかける。
――いけないいけない。
人差し指を立てながら返答する。
「ひとりです。」
「カウンター席とテーブル席のご希望ありますでしょうか?」
「カウンター席で。」
カウンター席なら調理しているだろうお父さんの暇を見つけて話しかけることが出来るはずだ。
そのために14時というものすごく半端な時間に来たのだし。
「あれ? 那須さんですか?」
「!? え、えぇそうですが。何故私の名前を?」
「神主してますよね? 以前お会いしたことがあるのですが覚えていらっしゃいませんか?」
「……すみません。ちょっと思い出せそうにないです。」
「あぁ、まぁ仕方ないですよ。こちらは一参拝客でしたし。あ、私は高町 士郎といいます。ご注文は何にしますか?」
「アスパラときのこのスパゲッティをお願いします。」
「はい、少々お待ちください。」
……会ったことがあるとは。
世界は本当に狭い。
それともあちらは御神家としてか不破家として那須家に接触を図ってきたのだろうか。
そのほうがありそうな気もする。
――「神の小弓を祈りを……」「我が神社の御神体は小弓では……」
ふと、そんな会話の断片が浮かんだ。
神の小弓と言えば連想されるのはやはりあの文言。
その文言を知った時に感じた違和感が、ここにあると直感がうるさいぐらいに主張してくる。
……料理を渡されたときに思い切って言ってしまおうか。
外れだと変な人の認定は免れえないだろうが。
「お待たせしました。アスパラときのこのスパゲッティです。」
「ありがとう。……ときに高町さん、少しいいかな?」
「? なんでしょうか。」
「こんな言葉に聞き覚えないですか? 『幼子の弓を剣神に奉げたく、此処に参上いたしました』って。」
「!? ……那須さん、時間ありますか?」
「ありますよ。もちろん。」
「そうですか。……では、食べ終わったら少し待っていてください。」
「わかりました。」
◇ ◇
昼食が終わり、コーヒーを片手にぼーっと時間を潰していると、高町さんが喫茶の閉店作業を終えてこちらにやってきた。
「すみません、閉店にさせてしまって。」
「いえ、いいんですよ。お昼の書き入れ時は終わっていますし、この時間だとケーキを買って帰るお客様も多いですからね。」
「そういうものなですか。」
「少なくともうちではそういうものですね。……本題に入りましょう。先ほどの文言、どこで知りました?」
やはりかなり気になっていたらしく、一足飛びにこの話題へと入ろうとしてきた。
が、こちらにやましいことがあるわけもなく、しようとしているのは旧縁を温めようとしているだけ。
期限を極端に損ねないようにだけ注意しながらどんどん行ってしまってもいいだろう。
記憶の断片と直感とが正しいのであれば、おそらくこの人は私に、那須家に接触しようとして来ていたのだから。
「我が家に伝わる文言ですよ、高町さん。いや、御神さんか不破さんかどっちかでしたっけ。」
「その名はあまり口にしない方が良いですよ。那須さん。それと、以前私から言ったときには知らなかったようですが?」
「最近知りましたのでね。……あまり腹の探り合いをするつもりもありません。単刀直入に言いましょう。私の息子を、助けてやってはくれませんか?」
「……どういうことですか?」
「1年ほど前の息子の1歳の誕生日に信託を受けたんです。戦いの雰囲気を纏ったものに、息子に精霊とやらが憑いた、と言われました。そして息子は親の贔屓目を考慮しても、明らかに成長が早い。しかし我が家系の弓術失われ、書物でしか残っていないのです。ゆえに、その書物に書かれていた旧縁をすがろうと決めました。」
「なるほど……。………………いいでしょう。この不破 士郎、古の盟約に従い、あなたの息子を助けましょう。」
「……! ありがとうございます!」
「それじゃあ、とりあえず我が家に来てもらえますか? うちの剣術を見せます。書物を紐解いて文言を知ったということは総摩貫鳴流の復活も手掛けているのでしょう? 並び立つところを見ておいてください。」
「そう、ま……?」
「おや? 違うのですか? 御神や不破を頼るならそうだと思ったのですが。」
判読不能だった那須流弓術の裏流派のことが頭に浮かぶ。
**貫*流、としか読めなかったやつだ。
「おそらく、ですが。その……ぇー」
「総摩貫鳴流、ですか?」
「はい、その総摩貫鳴流というのはうちの裏流派なのではないかと思います。」
「総摩貫鳴流の表、ですか……。聞いたことはありませんね。」
「那須流はそれから派生した表らしいので、認知度が低かったんじゃないでしょうか?」
「そうかもしれませんね。今度その書物を見せてもらえますか?」
「わかりました。今度持ってきます。」
「よろしくお願いします。それでは行きましょうか。」
「は、はい。よろしくお願いします。」
――――結果だけお伝えしよう。
分かったことは一つだけ。
――あれは、人間ではない。
訳が分からないと思うが錯覚とかそんなちゃちなもんじゃあない。
……とりあえず、俺は並び立つことは出来ない。
というか並び立っていたご先祖様が恐ろしい。
まぁなにはともあれ、だ。
交流が途絶えてどれだけ立ったのかはわからないが、那須家と御神、不破家との
和人が巻き込まれるかもしれない「戦い」というものがどれほどのものかはわからない。
一般人として直接手伝えないこともわかってしまった。
けれども俺は親だ。
和人を守り、助ける義務がある。
故に俺は俺に出来る限りのことをする。
……願わくば、私の人騒がせな妄想で終わってくれるといいのだが。
◇ ◇
‡‡‡ 新暦65年4月8日 第1管理世界《ミッドチルダ》首都クラナガン
65.4.8.
Today, we have
A side story is ended, and the main story will start again...
挿話01 復縁、いかがだったでしょうか。
割と気合で体裁を整えているので少々無理がある気もしますが、ご了承ください。
+αの部分は……さて、いつになったら回収できるのだろうかこれは。
これの主はとある9歳児という設定なので、ところどころ拙いようなかんじがしなくもありませんが、わざとです。
筆者の英語力も割と残念なので素も混ざってますが。
ちなみに
英語で書けよって言われても書きません。デバイスは微妙ですが。
以上。
次回はいよいよ第1章に入ります。
長かった……
P.S.
ルビ文字制限が鬱陶しい……!!
P.S.2
2013/2/6 kana様より感想欄でご指摘いただいた箇所を修正しました。kana様、ありがとうございました。
P.S.3
2013/2/12 darkbaron様よりメッセージによりご指摘いただいた箇所を訂正いたしました。darkbaron様、ありがとうございました。