校正あんまりできていないので、ミスがある可能性がいつもより高いです。申し訳ありません。
見つけたら報告していただけると幸いです。
それでは、第6話、どうぞ。
‡‡‡ 新暦62年3月20日 第97管理外世界≪地球≫日本国海鳴市
*** ~西村 樹~ view ***
今日は和人坊ちゃまの5回目の誕生日だ。
――4年前、秋鷹様がお告げとともに受け取ったという碧い宝玉が和人坊ちゃまに渡される日でもある。
結局、この4年間宝玉の正体はわからないままだった。
私はただの宝石だとは思うのだが、秋鷹様はそうは思っておられないようで、非常に厳しい訓練を和人坊ちゃまに施している。
非常に長い距離、時間の歩行練習やかけっこ、山登り縄跳び――ここまでは百歩譲って普通だと仮定しよう――加えて去年からは弓の訓練まで始めたのだ。
そして、秋鷹様がそうであるということは、綾佳奥様もそうであるということだ。
それが証拠に、とりあえずやってみましょうか、という体で始めていたはずの3カ国語の勉強は、気がづけばかなりしっかりしたものになっていた。
既に和人様はそれぞれの言語の検定で3級、いや準2級くらいは取れるのではないだろうか?
「西村!」
「は。ただいま参ります。」
綾佳奥様がお呼びだ。
おそらくそろそろ出かけるのだろう。
「そろそろ出発するわ。前に伝えておいたと思うけれど、パーティーの準備とかよろしく頼むわね。」
「承知いたしました。いってらっしゃいませ。」
「お見送りご苦労様。」
そう言って綾佳奥様は出て行った。
秋鷹さまと和人坊ちゃまはすでに外で待機しているのだろう。
目的の遊園地まではここから2時間はかかる。
到着するのは10時を回るかどうかくらいと見た。
――さて、ここからが本番だ。
使用人を上手く指揮して準備を完了しておかなければ。
*** ~西村 樹~ view ended ***
*** ~那須 綾佳~ view ***
家のことは西村に任せておいたので、大丈夫だろう。
後顧の憂いは絶った。
――多少大げさな気もするが。
だが、これで今日は秋鷹と和人の家族3人で遊園地で思う存分遊ぶことができるだろう。
「で、アキ。どこからまわりましょうか?」
「そうだなぁ。一周しながら和人に決めてもらおうか。和人の誕生日なんだし。」
「そうね。そうしましょう。和人もそれで良い?」
「いいよー。」
有名な遊園地だけあって、人が多い。
平日であるから、多少はマシなのだろうけれども。
パンフレットを片手に3人でぶらぶらと回る。
――しばらくして、和人が最初に選んだのは。
「あ!あれ乗ってみたい!」
スプラッシュなんとかという、水の絡むジェットコースターのようなものだった。
……まずい。絶叫系は軽いものでも苦手なのに。
というか、苦手という言葉では生温いほどだというのに。
もちろんアキはそのことを知っている。
だから、和人のその提案を撤回させようとしてくれているだろう。
「うーん。良いけど早くて恐いぞ。いいのか?」
「だいじょうぶー。乗りたい!」
「でも「大丈夫よアキ。」……よし、乗るか!」
「わーい!」
やっぱり止めようとしてくれた。
だけど、せっかく和人が最初に選んだ乗り物なのだ。
それで和人が楽しいなら安いもの、虎穴に入らずんば虎児を得ず、と自分を奮い立たせる。
――そして。
少しの間だが記憶がなくなっていた。
服の一部が濡れているが、どうしたのだろう?
「楽しかった~!また乗るーーー!」
……何かまずいものを思い出しかけたので、すぐに蓋をする。
何があったにせよ和人が笑顔なのはいいことだ。
「あ、あぁ。けど次は父さんと二人で乗ろうか。」
「え~~!お母さんも一緒が良い!」
「い、いや、お母さんはちょっと疲れちゃったみたいだからね。休ませてあげよう?」
「う~。。。」
うなりながらこちらを見てくる和人。
アキにも心配させているしけどここで乗るとか言ってしまったらもっと大変なことになりそうだし……。
と、どうしようか迷っていると。
「わかった!お母さんは休んでてね!」
と、和人が言ってくれた。
私と行きたいのを我慢してくれているのに心配までしてくれて、和人は優しい子だ。
「わかったわ。しっかりとそこのベンチで休んでおくから、和人は父さんと楽しんでらっしゃい。」
「はーい。」
「よし、じゃあ行くか和人。」
そう言って二人はまたスプラッシュなんたらの列に並んだ。
……また?
い、いや、またじゃないはずだ。
そういうことにしておこう。
*** ~那須 綾佳~ view ended ***
『まずったねぇ、かずくん?』
『あはは……そうだねぇ。』
とりあえず子供らしくジェットコースターに乗りたいといい、はしゃいで見せたのだが。
乗ってすぐに、いや、乗る直前にはもうその選択肢が間違いだったとわかってしまった。
何故かというと、母さんが真っ青になり、震え始めていたのだ。
しかし、乗る前に気付いたとはいえもはやどうしようもなく、母さんに辛い思いをさせることになってしまった。
『まさか母さんがジェットコースター系めちゃくちゃ弱いとは。』
『最初お父さんが止めようとしたの、お母さんのためだったんだねぇ。』
『だな。だから珍しく慌ててたんだろうし。』
まぁ、考え方によっては最初に引き当ててまだましだったのかもしれない。
最後に引いたりしてたら目も当てられないし。
ちなみに、降りた後もう一回と言ったのは、母さんに対し俺が普通の子供であることを装うためだ。
本当はそんな事したくなかったのだけれども、去年父さんに色々と話した後にそう決めたのだ。
「嘘を吐かないようにしようというのは大事なことだが、今回の話は繊細なことだ。」
「母さんには俺が機を見て伝えていくから、それまでは和人は普通の子供であるふりをしてくれ。多少ぼろを出した方が良いかもしれないけどな。」
父さんがそう主張し、俺はそれを論破することは出来ず、父さんの言い分を受け入れた。
「和人、これ終わったら違うの乗りに行こうな。お母さんと一緒に。」
「わかった。というか父さんも母さんがジェットコースター系苦手って先に言っといてよ。」
「はは、すまんすまん。直前まで忘れてたんだ。」
「うわ、ひどいなぁ。」
とりあえず、また乗るにしても次からは母さんが回避できる状況でだけ言うようにしないとな。
父さんと話しながら順番を待っていると……
『あ。』
『?どうしたんだシルフィード。』
シルフィードが唐突に声を上げた。
こういう時のシルフィードは大抵何らかの情報を持ってくる。
そしておそらくそれは……
『悪い知らせ。後1時間したら雨降るよ。10mmくらい、時間は1時間くらいかなぁ。』
『やっぱり天気予報か。……なんでこんな日に降るかねぇ。』
『そだねー。せめて雪なら……。』
『それはそれで寒いからやだな。』
『でも雨でもこの時期は濡れたらものすごく冷たいよ?だからどっちかって言うときれいな雪の方がましなような気がするなー。』
『確かに、そうかな……?ま、なんにせよ雨が降るのは変わらないし。ありがとね、シルフィード。』
『ふっふーん。このくらい風の精霊には朝飯前だよ~♪』
まぁ確かにそうなのだろう。
風の精霊が大気の状態がわからないわけがない。
加えてアクエリアの協力だって要請出来るんだ。
それで予想できないわけがないという話だ。
「父さん。」
「ん?どうした和人。」
「天気予報。これから1時間くらいしたら10㎜くらいの雨が降るってさ。1時間くらい続くらしいから、早めのお昼にしない?」
そう言うと、父さんはちょっとびっくりした顔をする。
「朝の天気予報ではそんなこと言ってなかったけどなぁ。ま、和人の雨予報は外れたことないし早めのお昼ご飯にするか。」
「はーい。」
――1時間後。
当然のごとく雨がザーザーと降りだしたのだった。
*** ~那須 秋鷹~ view ***
1時間ほど前、和人が雨予報をした。
内容は1時間ほど、10㎜の雨が降るという内容だ。
そしてつい先ほど、レストランに入ったのだが、それからすぐに雨が降りだした。
今、外はちょうど10㎜くらいの雨が降っている。
「さて、雨も降ってることだし、ちょっと早いがお昼ご飯を食べるか。」
「そうね。やむのを待ちながらゆっくり食べましょう?」
「はーい!」
和人に憑いているという精霊が和人に雨が降ると教え、和人がそれを俺たちに教えてくれる。
綾佳がいるときは、そんな気がすると言い、俺と二人だけの時は予報、と言い方に気を付けているようだ。
本当は綾佳にも話しておきたいのだが……。
どうにも綾佳がそういう話になりそうなときにすすすっと逃げていってる気がしなくもない。
いや、まだ2回しか話そうとしたこともないから、偶然かもしれないのだけれども。
……しかし久々の庶民派外食だな。
高級店ならどれを選んでも美味いが、こういうところはそうもいかないだろう。
というか比べる相手が高級レストランやら我が家の料理人やらなのでどう考えても味は劣るはずだ。
どうせなら庶民派!ってものを食べておきたいような、別にどーでもいいような。
「和人は何食べたいの?」
「エビフライー!」
「俺はハンバーグにするかなぁ。ハンバーグなら外れは掴まされないだろ。」
「んー、私は和人と同じエビフライにするわね。……すみませーん!注文お願いしまーす!」
「はい!ただいま参りまーす!」
――昼食が終わって。
多少弱くはなっているが、まだ雨は降っている。
和人の予報では止むまであと10分ほどだ。
10分程度ならどう回るか予定を立てていればあっという間だろう。
「さて、と。これからどうするか決めておこうか。」
「そうねー。……とりあえず、ご飯のあとなことだし、動きの少ないのにしない?」
「うごかないの……あのでっかくて回ってるやつのってみたいー。」
「ん?観覧車のことか?じゃあそれにしようか。綾佳もそれでいいか?」
「いいわよー。そのあとは……お城でも行ってみない?」
「おしろ?」
「そうよ。やっぱりここに来たからにはいかないとね♪」
「懐かしいなぁ。昔綾佳と何回か来た時は毎回行ってたなー。」
そんなこんなであっという間に予定は立っていき、楽しい時間は過ぎていく――。
*** ~那須 秋鷹~ view ended ***
*** ~アクエリア~ view ***
……暇です。
こんなことならやはり遊園地について行った方がよかったのでしょうか?
いえ、人込みで騒がしいのはあまり好きではないので仕方ありませんね。
というかもう帰ってくる予定の時間も近いですし、気にしても仕方ありません。
午前中はファーと訓練してはいたのですが、途中でエフリート様に呼び出されてしまいました。
大方、現段階でどこまで和人に力を貸していいかの指示だとは思いますけれど。
シルフィもいまだに戦闘に使うような魔法を教えていないあたり、何らかの指示があるのでしょう。
ちなみに私は自由裁量で、と言われています。
「……さて、これで会場の方の整ったか。」
「西村さん!料理長から伝言です。具材の準備は終わった。設営組の方はどうだ?とのことです。」
「そうか。こちらも今終わったところだ、それじゃあ秋鷹様たちの帰ってくるまでの間、しばし休むとするか。厨房組にもそう伝えておいてくれないか。」
「わかりました!」
那須家の執事長である西村という人間が中心となって、朝から庭で和人の誕生日パーティーの準備をしていましたが、どうやら終わったようですね。
途中、雨が降ったりして右へ左へ、中へ外へのお騒ぎになっていましたが。
和人がいれば警告できたのですが、和人がいなくなったから準備を始めたのでしょうし。
何とも歯がゆいことでした。
何らかの方法で知らせることが出来ればよかったのですけれど。
というか西村の近くの空気を湿らせて雨が降るかもしれない、と思わせようとはしたのですが、通じませんでした。
現代は天気予報などというものがあるから、個人でなんとなく天気が予想できる人、というのが減ってきている気がします。
――『エリア?もうすぐ帰るよ~。』
『了解しました。……と言ってもすることなんてありませんけどね。』
どうやら和人たちが帰ってくるみたいです。
これでようやく暇から解放されます。
『ファーブニルとの訓練はどうだった?』
『結局午前中だけでしたが、悪くはなかったですね。念話の精度もだいぶ上がってたとは思います。』
『へ~。じゃあ、今度テストしてみよっか♪』
『それは遠慮します。シルフィのテストに耐えられるほどは上達してませんので。』
『あはは。……ん?じゃあ午後はどうしてたのさ?っていうかファーブニルはどこに行ったんだ?』
『ずーーーっと暇してました。いやー、ここまでやることないのは久々でしたね。』
『ずっと暇してたならアクエリアもこっち来ればよかったのに。』
『朝行きたくないといった手前なんとなく行きづらくなりまして……。あ、ファーはエフリート様のところです。まぁ大方連絡するの忘れてて絞られてるんじゃないですか?』
『あー。ファーならあり得るねぇ。まったく、何やってるんだか。』
「ただいまー!」
「おかえりなさいませ!」
どうやら家に着いたみたいですね。
玄関の方に行ってもいいのですが、どうせこちらに誘導されるでしょうし、ここで待っているとしましょう。
――食材を載せた皿を持って、那須家の使用人たちが出てきました。
肉、かぼちゃ、玉ねぎ、パプリカ、さつまいも、エビ……バーベキューでの立食パーティーということで本当に多くの種類の食材が次から次へと出てきます。
「パーティーの準備ができております。庭の方へどうぞ。お荷物は屋敷に上げておきますので。」
「わかった。ご苦労だったな、西村。」
「パーティーに改めて必要なものなどがありましたら申し付けてくださいませ。すぐに持って行きますので。」
「わかった。」
――ジャリ、ジャリ。
どうやら和人たちが来たようです。
庭は芝生ですが、玄関からこちらに通じる道は砂利と飛石で構成されています。
「お~。バーベキューだ!」
「準備は粗方出来ているみたいだな。使用人たちも結構集まっているし。」
「そうね。残りの人を呼びに行ってもらって、始めましょうか?。」
「そうだな。それじゃあ……ってもう呼びに行ってたのか。そしたら、始めるとしようか。」
紙コップ入りのビールが配られていきます。
グラスでないのはこちらの方が立食パーティーの時はしやすいからだとか。
和人はもちろんジュースですが。
――お父さんが会場の中央へと出てきました。
「さて、と。堅っ苦しい挨拶は無しだ!今夜は無礼講!使用人たちも飲んで食って騒いで、普段のストレスを発散してくれ!とりあえず、和人の成長を祝い、乾杯!」
「「「「「「「「かんぱーい!」」」」」」」」
「和人、誕生日おめでとう!」
「「「「「「「「おめでとうございます!」」」」」」」」
「いきなりだが、酔って忘れないうちに誕生日プレゼントを渡そうと思う!これは……。」
失笑が漏れる。
……というか流石に忘れなどしないでしょう。
どれだけ飲むつもりですか。
『……父さんはどれだけ飲むつもりなんだ……。』
『いろいろ忘れるくらい、だねー。』
『あれ、今日和人に渡されるのですよね?いろいろ思うところがあるのではないですか?』
『ま、そうだろうねー。というか小学生で渡すように伝えといてってジン様にお願いしたんだけどなー。ジン様は何を思って5歳に変更したのやら。』
『……あれって1歳の誕生日プレゼントってやつか。結局なんなんだよ。アクエリアもファーブニルも知ってるし。』
『ふふー。秘密~♪』
『どうせもうすぐ渡されますし、気にしなくていいと思いますよ?』
『ま、それもそうかなぁ。ちょっと釈然としないけどな。』
「……というわけで、和人、こっちへ。」
「はーい!」
「さぁ、これが、ジン様から賜った宝玉だ。開けてみろ。」
――和人が、お父さんから貰った小さな箱を開ける。
中に入っていたそれを、澄んだ碧の宝玉があつらえられたネックレスを、掲げる和人。
『いつの間にやら加工されてますね。傷つけられていなければいいのですが。』
『自動修復機能もあるし、大丈夫だと思うよ~。』
『……あれが、和人のデバイスか。』
『そうだよ~。インテリジェントデバイス、
『おう、ただいま。しっかしずいぶんと大層な名前だなぁ。』
『それに、和人は地属性の精霊魔法は使えないのではないのですか?自然の秩序を司っているとは言い切れない気がします。』
『昔の精霊王が作った赤いデバイスの設計があったから、それををまた使ってジン様が作ったからねぇ。精霊王が名付け親ならこんなものだとは思うよ~?……地属性は、たぶんだけど、いつか祈祷魔法くらいなら使えるようになるんじゃないかなぁ。』
『そうなのですか?そんな感じはあまりしませんけれど。』
『訓練中転んだりしても軽いけがばっかりだからねー。少なくとも、下位精霊に嫌われてるってことはないと思うよー。』
『なるほどな。確かにそれなら可能性はあるか。』
『……で、デバイス使った訓練は今夜からするのですか?』
『ん?流石に明日からだねー。流石に家の中でやるわけにもいかないし、庭はパーティーで使ってるし。和人にそう言っとくね。』
『了解です。五月蠅いのは苦手なので、海辺にでも行ってきますね。』
『はーい。またね~♪』
『じゃーな。』
『はい、また明日。』
*** ~アクエリア~ view ended ***
‡‡‡ 新暦62年3月21日
今日からデバイスを使った訓練が始まる。
家の中じゃ流石に出来ないということで、庭に出ている。
我が家の使用人は優秀なようで、昨日あれほど色々と散乱していた庭は朝起きたときには既に片付いていた。
『さて、ファー。結界よろしく。エリアは誰か和人を探していないか見といてね。』
『了解。』
『了解しました。』
――世界がモノクロになる。
封時結界。
魔術師がその力を隠すための結界だ。
この結界内には術者が許可したものと、結界内を視認し、結界内に進入する魔法を持つ者以外に侵入は出来ない。
それ故に、魔導師の訓練、戦闘に御用達の魔法……らしい。
『それじゃ、始めようか。まずは、デバイスの起動から。持ってきてるよね?』
『これだろ?Ireneって言うんだっけ。』
『そ。なれれば無詠唱でも起動できるとは思うんだけど、まずはマスター登録しなきゃいけないからねー。というわけで、詠唱復唱してね。あ、最後私が引いたら終わりの合図だから、Irene、セットアップ!って言ってね~。ちなみに念話を上手く調整してデバイスとコンタクト取れるけど、真似はしなくていいから。そっちはそのうち訓練だよー。』
『了解。』
……ふぅ、ついに来たか、詠唱。
厨二……いや、魔法にかかわりに行った時点でいつかするのはわかってたしな。
覚悟決めるか。
『行くよ~。我、使命を受けし者なり。』
「我、使命を受けし者なり。」
『契約のもと、その力を解き放て。』
「契約のもと、その力を解き放て。」
『自然の巡り、四季の巡り、
「自然の巡り、四季の巡り、
『守護の誓いはこの胸にあり。』
「守護の誓いはこの胸にあり。」
「Irene, set up!」
デバイスが、碧い光を発する。
「......I begin starting sequence《起動シークエンスに入ります》.
――バリアジャケットか。
……上下とも白を基調とし、赤のラインを腕や襟、前合わせの部分に入れる。
「
「了解。」
いつものように、
その
「
――体が光に包まれる。
次の瞬間、俺はイメージした通りの服装になっていた。
ちなみにイメージは白い騎士。
「
『ふーん。まぁまぁいいんじゃないかなー?』
『……見た目の評価をする必要はあるのか?』
『見た目ってのは第一印象に大きなイメージを与えるからねー。大事大事。』
『そんなもんか。まぁいいや、ありがと。』
「
『弓。間違っても杖とかにしないようにねー。』
『了解。まぁ、弓術やってたのってこれのためなんでしょ?だったら弓一択だよな。』
弓と言えばイメージするものは決まっている。
もちろん父さんから貰った弓だ。
――Ireneが光り、イメージ通りの弓が出現する。
デバイスのコアたるクリスタルは狙いをつけるときに参考になる
「
「那須 和人、だ。よろしくなIrene。」
「O.K. ......
どうやらIreneの準備が終わったようだ。
これで、俺の魔導師としての体裁がようやく整ったことになる。
ここまで苦節5年、長かっ……たこともないんかな?
訓練ばっかしてたからようわからん。
『さて、それじゃあさっそく訓練開始!、と行きたいところなんだけど、その前に一つだけ!今までは特に制限してなかったけど、これからは私の言ったタイミング以外ではマナをオドに変換しないこと。』
「ん?なんで?」
『マナをオドに変換する際、どうしてもリンカーコアに負担が掛かるからねー。最悪リンカーコアを痛めて、魔法を使えなくなっちゃう可能性があるんだー。』
「こわっ!むしろ今までなんで制限してくれなかったんだよっ!」
『念話と魔力球生成しかしてないんだから、そこまで魔力使用量多くなかったからだよー。それに、適量ならリンカーコアの耐えられる負荷も大きくなっていくんだよ?』
「……なるほど。そのあたりの管理、任せてもいい?」
『りょうか~い♪じゃ、始めよっか♪』
「よろしくお願いしまーす!」
『まずはアクティブプロテクションから。これは、バリアタイプの防御魔法の基本中の基本だね~。触れたものに反応し、対象を弾き飛ばす性質。対物理攻撃性能、発動速度、防御範囲、使用魔力量が優秀。対魔法防御力はあまり期待できないけどねー。』
「範囲が広いってことは、デバイスによる自動防御向き?」
『そそ。ま、それでも能動的に使えるようにしといた方が良いからねー。イメージは、飛んできたものを弾いていなす球状の膜って感じかなぁ。魔法陣はこんな感じねー。』
そう言ってシルフィードが魔法陣を見せてくれる。
――それをよく見て、魔法陣を作成。
――マナを流し込む。
「[
薄い
『んー、お見事!だけど……。』
「......
「あ。ご、ごめん。つい癖で。」
「
『せっかくなんだからデバイス使えばいいのに。さっきのダメだしすると、魔法陣の作成遅すぎ、使用オドが多すぎ、膜に魔力のむらが出来てて強度が落ちてる。全然だめだよ~。あ、ついでにいうと、プロテクションでも問題なく発動するから。』
『ひ、ひでぇ』
「
「ほい。」
「[
そして、出現したのは薄い
俺が作ったのとは違い、安定しているように見える。
『んじゃ、強度検査といこっか~♪』
「まじでか。……ちょっと怖いんだけど。」
「
『だいじょ―ぶだいじょーぶ♪手加減はするから♪[
シルフィードガ魔法を発動すると同時に、強い風が渦巻き、シルフィードの上に俺と同じくらいの大きさのハンマーを形成する。
……明らかにやばい。
なんでゴーゴー音がするんだよ。
風速10mくらい言ってるってことか?
つーかどう考えてもあれで叩くつもりだ。
『ゲイルハンマータイプP、いっきまーす♪』
「
「ぇ。くっそこうなりゃやけだ!かかってきやがれ!」
風のハンマーが振りかぶられた。
音など無駄だと言わんばかりに唐突に音が消える。
そして――。
――パァァァァン!
風船の割れる音をさらに大きくしたような音が響く。
……驚いたことに、バリアの中は風一つない。
バリアの外は庭石が吹っ飛んでたり、近くの芝生が禿げてたりとえらいことになっているが。
『ん、プロテクション傷入っただけかー。流石にデバイスが制御したものはちゃんとしてるねぇ。』
「
「すげぇな……。とりあえずはこれを目指すのか?」
『違うよー。かずくんがやるべきはデバイスありでの練習。デバイスがないって状態になった時点で詰みなんだから、そうならないために力を付けないと。』
「了解。」
『さて、それじゃ今日のもう一つのメインイベントいこうか。』
「……?」
『今日から、かずくんには精霊魔法の練習をしてもらいま~す!』
「……っ!!まじか。」
『うんうん、マジだよー。』
……俺は特典を選ぶとき、敢えて普通の魔法適性ではなく、精霊魔法を選んだ。
理由はとても簡単だ。
なんか常に協力技っぽいイメージがすごく好き。
ただそれだけだ。
だが、転生してから早5年、ようやくこの時が来たかと思うと感慨深いものがある。
『はいはい、無駄にシリアス入ってないで戻ってこーい。』
「あ、はい!よろしくお願いします!」
『まず、精霊魔法の特徴の復習でもしようか。』
「えっと、祈祷、協力、使役の3種類があって、祈祷はイメージと使用魔力全てを術者が負担、精霊はイメージ通りの魔法陣を展開する。協力は術者は消費魔力のほとんどと、どんな攻撃かとか防御かとかといった効果の指針を、精霊側はその指針に合った魔法
陣の提供及び一部魔力の負担、使役は術者負担は効果の指針のみで残りが精霊、状況によっては精霊単独で術者の支援もする、だよな?んで、使役魔法と協力魔法の一部は精霊との契約が必要なんだっけ。」
『はい、正解。精霊に伝えるときは出来る限り念話の方が良いねー。普通に言ってもいいけど、怪しい人だし、作戦漏れるしでいいことないから。』
「了解。」
『それと、祈祷魔法は事前にちゃんと練習しといたものは魔術名と魔力だけでも発動は可能だから。練習ちゃんとしよーね♪』
「はーい。」
『というわけで、とりあえずどうぞ~。』
「え、えっと、『[Gale 』」
――シュッ。
前髪の毛が、数本宙を舞っていた。
『Hmmer とか続かないよね?』
「じょ、冗談だよ冗談。」
『冗談には見えなかったけどなー。というか。魔法の練習中に遊ぶって言うのはご法度だからね?あんまお痛が過ぎるとどうするかわからないからね?』
「は、はい。ごめんなさい。」
「
『イレネにも言われてるじゃん。さ、改めていってみよー。』
……何をしよう。
シルフィードは風精霊だから、風に関すること、だよな。
竜巻?
いや、いきなり重すぎるかなぁ。
ならそよ風……は、軽すぎか。
うーん……。
あ、空気の足場とかどうだろう?
弓撃つときとか足場欲しいし、有用なはずだ。
『その感じだと決まったかな~?』
「うん、決まったよ。」
『じゃあ、イメージしながら念話の要領で私に糸をつなげてー。念話と違って魔力ももらうから、太めにね。』
「了解。」
『イメージは空中の足場、空気でできている。地面みたいな感じで。』
『効果範囲は足裏だけでいいかな。移動時は目標地点に合わせて次々に発動、で。』
そう、イメージをしつつ魔力の糸をシルフィードにつなげる。
シルフィードが薄い緑色の魔法陣を展開する。
魔法陣はいったん光った後、収縮して消滅した。
「……失敗?」
『んー、発動はしてると思うよ?空中に足を踏み出してみたら?』
発動
思った通りの効果になってないのか?
とりあえず、空中に立とうとしてみる。
……う、ぉ。
足を上げたところでそれ以上下がらなくなった。
もう少し足を上げると、今度はその位置から下がらなくなった。
力を込めても、床(?)が抜けたりはしないし、下がりもしないけれど、この上に立とうとするとかなりしんどい。
「これは、失敗か。」
『……移動目標、真上に設定したでしょー。そりゃ上りづらいよ。せいぜい45度くらいにしといた方が良いと思うよ?』
「あ”。そういうことか。あのイメージ、つまるところ空気の階段なのか。」
『そうそう。そんな印象だった。やたらややこしく言われたけど。まぁややこしく言われた方が細かくわかるからいいんだけどねー。』
「うはー。覚悟はしてたけど、イメージを伝えるのって難しいなぁ。」
『この魔法、発想自体は悪くないから、覚えとこうか。移動練習とか必要そうだけど。』
「でも上下移動はできないぞ?ダメじゃないのか?」
『それはそれで作ればいいだけだよー。まぁ、そのうち統合はした方が良いだろうけど。』
「上下移動かー。どうするかねぇ。」
『なんにせよこっちが先だからね~。とりあえず、名前決めて♪』
「そうか、魔法名称決めないといけないんだったな。」
『そうそう。イメージ強化にもつながるから、分かりやすいのが良いなー。』
んー。
俺必殺技ならぬ俺魔法か。
初めての俺魔法だし、ここは……っていかんいかん。
イメージ強化を優先しないと。
でも、自分でつけるとどうしても厨二に走る可能性あるよなぁ。
……よし、ここはあれだな。
「Irene、なんかいい名前ないか?」
「......
「それ、採用!という訳で、シルフィード。[
『ほーい。それじゃ、オドを回復して、プロテクションとエアリーステップスの練習、始めよっか。』
「了解!」
To be continued...
第6話、はじめての いかがでしたか?
とりあえず、後半頑張りすぎた。
デバイスの英語もどきはいつまで続くのか……。
よっぽどきつくならない限り頑張りますが。
magi 魔力(マナ、オド問わず。mana,odという英単語もありますが使いません。)
magus 魔術師(単数)
magi 魔術師(複数)
このあたりややこしいと思います。
気合で見分けてください(←
また、英訳がミスっていたら教え下さい。
日本語の方が正しいセリフ、のつもりです。