やばいスキルがついちゃった   作:ナストマト

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少し飯テロ注意かもです。





食事会その2

 

 

 

エギルの店に着いた。中に入ると、見目麗しいお嬢さんと黒くてガタイのいい男が出迎えてくれた。何この凸凹どころじゃないコンビ。誘拐してきたとしか思えないんだけど。

 

 

「いらっしゃい」

 

「うっす、じゃあ皆は円卓の所に座ってくれ」

 

 

さて、俺はエギルに礼を言っておかないとな。

 

 

「店貸してくれてあんがとな」

 

「なーに、俺とおめぇの仲じゃねえか。気にすんな」

 

「そうか、なら気にしない」

 

「おい」

 

「何だよ、気にすんなっつったのはお前だろ」

 

「少しは何か恵んでくれてもいいだろ」

 

 

わがままなやつめ。仕方ないな。

 

 

「少しだけだからな」

 

「交渉成立だな」

 

 

馬鹿め、少しだけとは言ったが何が少しだけなのかは言ってない。つまり、今の時点で肉を食わせてやる義務はないということだ。フハハハ、俺の勝ちだエギル。商人のくせに大したことないな。そんなんでやっていけんのかよオイ。

 

 

「ちゃんと肉を食わせろよ?」

 

「アッハイ」

 

 

前言撤回。流石商人だわ、抜け目ないな。見た目と相まって凄い威圧感だった。ちくしょう、貴重な肉が…。

 

さて、俺も座りますか。あれ? クラインとキリトしか座ってないじゃんか。見れば女子だけで固まって話をしている。どうやら挨拶をしているようだ。ああ、そうか。サチやシリカはアスナのこと知っていても、アスナは知らないか。リズが仲介しているみたいだし、大丈夫だろ。大丈夫だよな。そうだよな?さっきのを見てたら不安で仕方ない。

 

しばらくすると、挨拶も終わったようで席についた。因みに、クラインは一応店に来る途中で挨拶は済ませてある。エギルは全員と知り合いのようだ。流石、顔が広いな。

 

 

「んじゃあ、早速今日の主役達のお披露目と行きますか!」

 

 

おいクライン、なぜお前が仕切る。まぁいいか。コイツは現実世界では社会人だったんだ。こういうのは慣れっこだろ。なんか目がキラキラしてやがるし。楽しそうでなによりです。

 

 

「キリト、ショウ、頼んだ」

 

「あいよ」

 

 

俺とキリトはそれぞれ食材を出す。おお、という喜びの声が上がる。うん、いい反応だ。

 

 

「フ、フ、フ、まだ終わりではなーい!」

 

 

と、クラインが何か言い出した。

 

 

「とくと見やがれ、これがオレ様の土産だ!」

 

「これは、《ヒドゥンバイソンの肉》!?」

 

 

クラインが出したのはS級食材の《ヒドゥンバイソンの肉》だった。こいつはS級の中でもレアなやつだ。キリトの《ハイディ・ボアの肉》よりも手に入れるのが難しい。俺も今まで見たことがない。てかさ、ヒドゥンなのかハイディなのか統一しろよ。しかし、本当にいいのか?

 

 

「いいのか、これ?」

 

「いいんだよ。どうせ持ってたって宝の持ち腐れだからな」

 

「そうか、ならありがたく頂くか」

 

「おう、食え食え」

 

 

いや、本当にありがたい。ここまでのS級食材を食べられるなんてな。俺の腹が早く食べさせろと猛っておるわ。アカン、よだれが。よだれなんて出ないけど。しかし、ここで問題が1つ発生した。

 

 

「《ラグーラビットの肉》が1つ。《ハイディ・ボアの肉》が1つ。《ヒドゥンバイソンの肉》が1つ。この人数だと少し足りないわね」

 

 

リズの言った通り。《ラグーラビットの肉》は一人前、《ハイディ・ボアの肉》は二人前、《ヒドゥンバイソンの肉》は三人前あるが、この場には8人いる。少しだけ足りないのだ。ましてや、男勢はそれ以上に食べそうだしな。

 

仕方ないな、俺が出すか。また取ればいいんだ。アイテムストレージから《ラグーラビットの肉》の残り4つを出す。皆が驚いた表情で俺を見る。ちょ、やめて、恥ずかしいから。

 

 

「ショウ君、これ…」

 

「たまたまゲット出来たんだよ」

 

「たまたまでS級が5つも手に入らないわよ…」

 

 

本当だっての。見つければ倒せるんだから後はドロップするかしないかだ。ドロップなんて確率の問題だ。それをたまたまと言わずして何と言う。まぁ、8割の確率でドロップしてる訳なんですが。どうなってんだよ俺の運は。運だけでカイジにも勝てそう。

 

 

「ま、まあ貰えるなら貰っとこう。いいんだな?」

 

「おう」

 

 

キリトよ、驚きよりも食欲を優先しやがったな。別にいいんだけどね。説明を求められても出来ないし。

 

 

「じゃあアスナ、頼んだ」

 

「うん、任せて。これだけのS級食材があったら腕がなるね」

 

「俺も手伝おう」

 

 

エギルとアスナが厨房へ向かっていった。いよいよか、腹が鳴るぜ!

 

 

「それにしても、アスナ変わったわね」

 

 

と、リズがタイミングを見計らったかのように言った。

 

 

「なんていうか、 今までより生き生きとしてるっていうか」

 

「ああ、確かにそうだな」

 

 

キリトも同意する。生き生きね、そりゃそうだろ。アイツはやっとこの世界に生き始めたんだから。それを考えるとピッタシの表現だな。

 

 

「あたし、もっとお堅い人だと思ってました。けど、さっき挨拶に行った時、凄く優しそうな人だなって」

 

「私もそうかな」

 

「何かあったのかしら?」

 

「そういえば、ショウと攻略に行ってからだな。変わったような気がするのは」

 

「へー、そうなんですかー」

 

 

おい、やめろ。俺に振るな。今思い出すと恥ずかしいんだってアレ。何が『認めろ、生きてることを』だよ。中二全開じゃん、恥ずかしい。てかさ、シリカさん? その顔やめて、笑顔なのに怖いから。

 

 

「ふーん、何があったのかしらねー」

 

「別に、ちょっと説得しただけだ」

 

「説得ねぇ。へー、そう」

 

「信じてないな」

 

「いやー、信じてるわよー」

 

 

こ、この野郎。からかってやがるな。嫌だ、話したくない。主に俺のために。とは言っても、友人のことだ、気になるよな。仕方ないな。ヒントだけやるか。

 

 

「そうだな、あえて言うなら、さっきの生き生きってのは的を得た表現だってことだ。これ以上は何も言わない」

 

 

すると、キリトとリズは思い当たる節があったのか、合点がいったような表情をした。流石だな、伊達に付き合いが長いわけじゃないな。サチとシリカとクラインはわからないようだが、何も聞いてこなかった。あまり詮索することじゃないと思ったのだろう。その心遣いがありがたい。

 

 

「お待たせー!」

 

 

会話しているうちに出来たようだ。アスナが料理を運んで来た。最初に運んできたのは…青椒肉絲か。続いて、肉の野菜炒め、肉じゃが、コトレッタ。和洋様々な料理が運ばれて来た。凄いな、よくこんなに作れたな。さらにエギルがサラダを持ってきた。エギルがサラダって何か似合ってるな。

 

 

「よくこんなに作れたな」

 

「先に下準備だけしておいたからね」

 

 

なるほど、だから待ち合わせに付いて来なかったのか。それにしても美味しそうだ。アスナとエギルが席に着き、いよいよ食事の時間だ。皆がクラインに視線を送る。

 

 

「よし、料理も皆も揃ったところで食べるとしますか。いっただっきまーす!」

 

「「「「「「「いっただっきまーす!」」」」」」」

 

 

さてさて、どれから頂こうか。色々と目移りしてしまうな。青椒肉絲から行こうか。パクっとな。………うまっ!! うわ、うまっ!!それしか言葉が出てこない。味口に入れた瞬間に広がる旨み。決して濃くはないが主張してくる味。ピーマンという味のコントラストが絶妙なバランスを作り出し、肉の味のパフォーマンスをこれでもかと引き上げている。やばい、うますぎる。この世の全てに感謝を込めるレベル。

 

次は肉じゃがを…あっ、キリトてめぇ、肉じゃが何回取ってんだよ。せめて口の中を空にしてから取れよ。エギル、お前は皿に取りすぎだ。何その日本昔ばなしのご飯みたいに盛られた肉の山。クライン…は何か固まって感動してるな。食わないなら食っちまうぞ。女性陣はそれぞれ舌鼓を打っている。凄い勢いで料理が減ってるな。俺もどんどん食べよう。うまいうまい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやー、食った食った。堪能したぜ。俺、生きててよかったよ!」

 

「全くだ、3日に1度はこんな日があるといいな」

 

 

本当にそうだ。生きててよかったって思えるな。あー、旨かった。流石アスナさんですわ。

 

 

「ふふ、お粗末さま。あれだけの食べっぷりを見せられると、作ってよかったー、って思っちゃうな」

 

 

「本当にごちそうさん。マジで旨かった」

 

「もう、褒めすぎだよ」

 

 

こんな料理の腕を持ってるんだ。いいお嫁さんになるな。チラッとキリトを見やる。俺の視線には気づいていないようだ。ちくしょうめ、どうせお前なんだろ。そのうちコイツに毎日料理を振る舞うことになるんだろ。羨ましいやつめ。

 

 

「ずっと、こうして皆で料理が食べられるといいな」

 

 

キリトが呟く。…そうだな、そうだといいな。いつ死ぬかわからないデスゲーム。この中の誰が欠けてもおかしくない。それはもしかしたら俺かもしれない。キリトでさえ、そうならないとは言いきれない。

 

それでも、俺たちは生きる。どんな理由でもいい。生きるための理由。死にたくないでもいい。誰かのためでもいい。自分のためでもいい。それがあれば、俺たちは生きられる。希望なんていらない。ただ、生きる理由があればいい。例えば

 

 

「その時はまたアスナが作ってくれよな」

 

「うん、任せて」

 

 

こんな口約束でも、生きるための理由になる。どんなちっぽけな理由でも、その人にとっては大きな理由。俺は約束をした、だから生きる。それでいいじゃないか。

 

 

「よし、それじゃ、これからもアインクラッド攻略目指して頑張ろうぜ!」

 

 

ったく、最後までクラインが仕切るのかよ。少し癪だが、ここは乗ってやるか。どうやら皆も同じらしい。ノリがよくて助かるね。せーの

 

 

「「「「「「「おー!」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

アインクラッド攻略。それはいつまでかかるかわからない。

 

しかし、今でも確かに攻略は進んでいる。

 

人が進む意志をなくさない限り、攻略出来ないことなんてないんだ。

 

俺たちはやる。ゲームをクリアするんだ。

 

そんな誓いを新たにした1日だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ところで、さっきのサチさんのことについて教えてくれるのよねー」

 

 

余計なことを口走らないようにすることもここに誓おう。

 

 

 





おまけ ピナのAIの思考

・僕の分は?


はい、ここまでです。


筆者は書いててお腹が空いてきました。さて、食事会が終わって、次はボス攻略になりますかね。戦闘描写が大変です。(汗)

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