どもです。遅くなってしまい、申し訳ないです。今回の言い訳はですね、話を少しばかり訂正してましたら大幅に変更することになってしまったということです。そう言う事にしといてください(懇願)
目を覚ました時にはすでに夜が明けていた。それどころか、時刻を見てみれば12時を過ぎていた。あんな夢を見ていた割には随分と寝ていたんだな。それとも、ずっと眠っていたかったのかもしれない。夢の中とはいえ、サラに会えた喜びが確かにあったのだから。悪夢ではあったが。だからか、目が覚めたのは。
「はぁ」
ため息をつく。昨日のことを思い出した。俺は人を殺した。もちろん、覚悟はしていたつもりだった。少なくともPoHだけは殺すつもりでいた。しかし、殺してしまったのは別のプレイヤー。その時に感じたのは、罪の意識。俺がしたかったのはこういうことなのか。サラの仇を打とうと思っていたのではなかったのか。これでアイツは喜んでくれるのか。……そんな訳が無い。逆の立場なら俺は嫌だ。そんなことして欲しくない。なら、これは俺の自己満足。
《Ha、これでお前も人殺しだなぁ!!》
PoHの言葉が頭に響く。人殺し。それが俺に貼られたレッテル。俺もアイツらと同じになってしまった。悔しさが溢れる。ちくしょう。
と、コンコンとドアをノックする音が聞こえた。誰だろうか。
「開いてるぞ」
入ってきたのはキリトとアスナだった。
「こんにちは、ショウ君」
「俺にとってはおはようだな。今起きたばかりだし」
「お寝坊さんだね」
「悪かったな」
二人が苦笑する。
「で、どうしたんだよ」
「ああ、昨日のこともあったし、リフレッシュのために出かけようと思ってさ」
「ほう、あてはあるのか?」
「温泉にでも行こうかと思ってる。53層のさ」
53層は前に俺とキリトが紅椿の素材を取りに行った階層だ。確かにあそこは温泉が有名だからな。
「それいいな、行こう」
「決まりだな」
みんなも誘ってあるらしい。いいね、こういうのはみんなで行った方が楽しい。
「今から行くのか?」
「ああ、もう少ししたら行こうと思ってる」
「そうか、じゃあ準備するわ」
「俺たちは外で待ってるから」
「ああ」
さて、さっさと準備しますかね。
アイツらのせっかくの心遣いなんだからな。
────────
「思ったより元気そうだね」
「でも、やっぱり無理してる感じだな」
「……うん」
「少しでも気分転換になればいいんだけどな」
「そうだね」
──────────
「で、どこまで行くつもりだよ」
「もうすぐだよ」
キリトの案内で進んでいく、のだが、何故か随分遠くまで来ていた。いや、転移門の近くに普通にあったじゃん。何で迷宮区の逆側の、しかもこんな遠くまで来てんだよ。暑くてしょうがないんだが。現実なら汗びっしょりだろうな。そこはゲームに感謝だわ。
このゲームでは、色々と設定が出来る。その中に、汗の設定もあり、ON/OFFの切り替えが出来る。汗の他に、原作でもあったが、いわゆる性行為をするための倫理コードの設定も出来る。俺には縁のないものだけどな。はは、泣ける。
そんなわけで、俺は汗の設定をOFFにしてるので、汗はかいていない。他のみんなもそうしていると思われる。
ああ、今日来ているのはアスナ、シリカ、リズ、キリト、サチだ。エギルは店の方で、クラインはギルドの方での用事があるらしい。クラインはものすごく来たがってたけどな。アイツのことだ。どうせ女子風呂覗こうとか思ってたんだろ。ふ、残念だったな。だが安心しろ、俺がバッチシ見といてやるからよ。
「アンタ、何か変なこと考えてないでしょうね?」
「ンナワケネェダロ」
「棒読みになってるわよ」
そうか、リズはエスパーだったのか。それともあれか、女のカンってやつか。あれだよね、女のカンって本当にエスパーみたいだよね。身の危険を感じるのかね。それとも俺がサトラレなのか。
「ここだ」
ようやく着いたらしい。どれどれ、どんなもんかね。
「…すげぇなコレ」
そこにあったのは天然の露天風呂。かなりの大きさで、少なくともこの人数の倍くらいは入れるだろう。驚くべきはそれよりも、目の前に広がる光景。広大な山々、その麓には木々が茂っており、大自然のパノラマがそこにはあった。こんな所にこんなのがあったなんてな。
「よくこんな所知ってたな」
「前にクエストをやってる時にたまたま見つけたんだ。その時は浸かれなかったけど、いつか浸かってみたいと思ってさ。圏内のようだからモンスターも来ないし」
ほう、そうだったのか。やっぱり探索って大事だな。
さて、そんな素晴らしい温泉だが、問題が1つ。
「仕切りが有りませんね」
そう、この温泉何も区切る物が何もないのだ。これではお互いに裸を見られてしまう。いや、俺は別にいいんだよ? これはこれで風情があるというかなんというか。いや、むしろこの方が……リズがこっちを見てるのでここまでにしとこう。
「にごり湯だし、いいんじゃないかな。それに、大きいから端と端なら大丈夫だよ」
「うーん、まぁいいかな」
「アタシも大丈夫です」
よくやったアスナ。
「じゃあ、俺たちはこっちで」
「私たちは向こうね」
それぞれ別れて着替える。着替えるといってもタオルを巻くだけなんだけどな。
着替えも終わったところで、さっそくお湯へ。
「ん、あ〜」
ふわぁ、めっちゃ気持ちいい。疲れが取れるわー。娯楽の少ないSAOの中でこういうのは本当にありがたい。やっぱり違和感はあるけどな。このゲームでは水の質感を完全に再現できておらず、言葉にするのは難しいが、とにかく違和感があるのだ。それでも気持ちいいものは気持ちいい。
「癒されるな」
「そうだな」
お、女性陣がつかり始めたぞ。キリトはそっちを見ないように顔を逸らしている。ふっ、青いヤツめ。俺は逃げはせんぞ…………あの、何で皆さんそんなに睨んでなさるんですか?
「こっち見んな!!」
「アッハイ」
クライン、覗きはそんなに甘くなかったよ。
「ふぅ」
俺たちはしばらくの間、お湯を堪能する。女性陣は楽しそうに談笑している。なんかいいな、こういうの。
「ショウ」
「ん?」
キリトが声をかけてくる。
「その、大丈夫なのか?」
……やっぱり聞いてきたか。
「悪いな、心配させちまって」
「悪いことなんてないよ。俺たちは仲間なんだから」
「そうかい」
しかし、やはり悪い気がするな。コイツがこういうやつだっていうのはわかってるのにな。だが、だからこそ俺も正直になれる。
「大丈夫ではないな」
「………」
「人を殺してしまったという罪悪感が正直ある。どんな理由であれな」
キリトは黙って聞いてくれる。今はそれがありがたい。
「だけどそれよりも、サラを殺したやつと同じ人殺しになったことが1番悔しい。PoHに言われた言葉が頭から離れない。《お前も人殺しだ》って言葉が」
ああ、こんな俺に、サラならどんな言葉をかけるのだろうか。罵るか、それとも、同情してくれるのか。
「なぁ、キリト。俺はどうすればいいんだろうな」
音が遠くなるような感覚がする。風の音も、アスナたちの声も、全てが自分の中へ通らず、闇の中に消えていく、そんな感覚。俺がこの世界に来る時のような、何もない世界。自分という存在すら疑う空間。
確か、あの時は一筋の光が──
「ショウ」
キリトに呼ばれ、闇から戻ってくる。こっちではなく上を向きながら、キリトは話す。
「もしあの時、ショウがやらなかったら、俺がアイツを殺していたと思う」
……何を言い出すんだコイツは。
「俺は、ショウに死んで欲しくない。俺だけじゃない、アスナだってクラインだって、みんなそう思ってるはずだ」
それはこっちのセリフでもある。お前らに死んで欲しくなんかない。だからこそ、討伐隊に加わったんだ。
「俺にはショウのその気持ちを共感することはできない。そうすることもショウに対して失礼だと思う。だから、これはショウ自身が、人を殺めてしまったその意味、そしてその重みを受け止めて考え続けるべきだと思う」
………意味……重み…。
「なんて、考え続けるべきとか他人事だと思って偉そうに言っちゃったな。ごめん」
「いや、いいんだ」
キリトがこっちに微笑みながら言う。
「ただ、心配してる奴がいる、これだけは覚えておいてくれ」
「……あっ」
それは、俺がキリトと初めて会った時に言った言葉と似ていた。だが、言葉は少しばかり違えど意味は同じ。そしてこの顔、わかってて言ってやがるな。
「今度は言われる立場になるなんてな」
「あの言葉、相当響いたからな。今のショウにはピッタリだと思って」
ああ、確かに響いたよ。本当に響いた。どうやら人間というのは、追い込まれると自分自身しか見えなくなるらしい。周りには自分を心配してくれる人がいる。だが、言われなければ、そういった存在はわからない。今のキリトの言葉は、自分だけではないことを思い出させてくれた。
「キリト」
「ん?」
「ありがとうよ」
相談してよかった。俺がこれからすべきことが見つかった。それは、殺してしまったその意味、その重みを受け止めて考え続けること。自分の行為が正しかったのか考え続けること。もしわからなくなったら、また相談してみよう。俺にはこんなにも頼もしい仲間がいるんだから。
光が、あの時と同じ一筋の光が見えた気がした。
────────
さっきよりもショウ君の顔が良くなったような気がする。キリト君と話していたようだから、きっとキリト君が上手く話してくれたのだろう。やはりこういうのは、男同士のほうが話しやすいのだろうか。うーん、なんだか悔しい。
「ア〜ス〜ナ、何さっきからキリトたちの方見てるのよ」
「ひゃ、リズ!? そ、そんなことないよ!」
「何言ってるの、アタシが声をかけてもポケーッとして全く反応してくれなかったじゃない」
「え、そ、そうなの?」
「そうよ、まったく。せっかくの温泉なんだから、パーっとやっちゃいなさいよパーっと」
「パーっとって…」
「ええい、めんどくさい。とりゃあ!!」
バシャーンとリズがお湯をかけてくる。いきなりのことだったので躱す事も出来ず大量に浴びてしまった。
「きゃあああああ!!」
「ウハハハハ、それそれ!!」
「キャア!! リズさん、こっちにもかかってます!!」
「もう、リズぅ!!」
お返しにこっちもお湯をかけかえす。ちょっと倍返しとばかりにSTRをフルに使って大量にお湯を飛ばした。リズが悲鳴を上げる。フンだ、自業自得よ。
正直ショウ君の事も気になるけど、でも、今ばかりはこの時を楽しもうかな。
───────
「あー、いい湯だった」
「そうだね、ちょっと遠いけどまた来たいな」
談笑しながら帰る。温泉とか久しぶりだったわ。以前は一人だったし、みんなで入るのはまた違ったモノがあるな。いや、女性陣とは遠く離れてたけど。あ、女性陣の裸は見れませんでした。だってさ、アイツら黒鉄宮送りも辞さないとばかりにこっちを睨んでくるんだもん。怖いよ。
「またいつか来ようか」
「いいわね、ただ、クラインとショウは抜いた方がいいかもしれないわね」
「え、なんで?」
「アンタねぇ……」
おっかしいなー、特に変なことしてないんだけどなぁ。まだ。出来なかったからね。未遂で終わりだからね。俺は悪くない。
と、
「キシャアアアアアア!!」
「ん? モンスターの声が聞こえるな」
どこからともなく聞こえたモンスターの声。53層だから俺たちは問題ないとはいえ、ここの階層で攻略してる人が危険に巻き込まれてる可能性もある。急いで声の元を探す。
「あっちだ!!」
キリトの索敵スキルがいち早く探知し、先頭を切る。
そこに見えてきたのは、倒れている一人のプレイヤーと、それに群がるアリ型のモンスター数体。プレイヤーの方は倒れたまま動こうとしない。
「くっ!!」
キリトを抜き去り一目散にモンスターに向かう。そして《抜刀術》でモンスターを殲滅する。危ないところだった。
「おい、君、大丈夫か!!」
キリトが倒れているプレイヤーに声をかける。のだが、俺はその人物を見て驚愕した。
「なっ!?」
白いワンピースに小さな体。髪は腰まで届くほど長く、見事な黒髪を持つ少女。
そう、その人物は、
はい、ここまでです。
ユイちゃん登場!!
あのですね、ここしかなかったんですよ、登場させるところが。ユイちゃんというヒロインを途中まで忘れてたものですから、いきなりぶち込むことになってしまいました。てへぺろ。
次回はGWぐらいには投稿できたらいいなと思ってます。