やばいスキルがついちゃった   作:ナストマト

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お久しぶりです。投稿が遅くなってしまい、申し訳ありませんでした。

ロストソングの大型アップデートがあったそうですね。筆者はまだやれておりませんが、時間が取れれば思い切ってやりたいと思います。その前に最後のクエストのボスを倒さないと。強すぎるでしょアレ。




家族

 

 

私は卑怯者だ。サラさんのことをどう思っていたのかを聞いてどうしようというのだろう。いや、違う。本当はわかっていたんだ。もし、ただの友達とかならば、私が付け入る隙があるのではないかという打算があった。考えて言った訳ではない。あまり見せない弱気なショウ君を見て勝手に口から出た言葉だった。無意識下での打算を含んだ言葉。だから、私は卑怯者だ。

 

 

「サラのことが、好き、だったんだ」

 

 

そして、後悔した。聞かなければよかったと。これもわかっていたはずなんだ。話を聞いただけでも、ショウ君にとっていかにサラさんが大事な人であったかなんて。それがその感情からであってもおかしくないことくらい、わかっていた。それでも、聞きたかった。だから聞いた。しかし、ショウ君の中のサラさんは大きい。私が、今更付け入る隙なんて…

 

 

「アスナ」

 

 

ふと呼ばれてショウ君を見る。俯いていたから気づかなかったが、いつの間にか寝ていた子が起きてきていた。そして、何故かショウ君がその子に抱きついている。え、何してるの? と疑問に思うと同時に

 

 

「悪い」

 

 

そう言ってショウ君が抱きついてくる。正面から背中に深く回される彼の手。

 

 

「〜〜〜〜〜〜っ!?」

 

 

ちょ、ちょっと、急にどうしたの!?

 

男性プレイヤーが女性プレイヤーに対してセクハラ紛いの行動をとった場合に出るハラスメントコードが警報を鳴らす。これで私がyesのボタンを押してしまえばショウ君は黒鉄宮に転送されてしまう。押すつもりはないが、何かの弾みで押してしまわないとも限らない。今すぐnoのボタンを押すべきなのだろうが、突然の事態に混乱していてそれどころではない。

 

いったいどうしたというのだろう。とりあえず自分への意味も込めてショウ君を落ち着かせようとした時

 

 

「わがままなお願いしてもいいか」

 

 

お願い?何だろう?もちろん、断る理由はないので余程のことでなければ聞くけど。

 

 

「生きてくれ。俺のためじゃなくていい。自分のためでいい。とにかく生きてくれ」

 

 

 

 

 

───お前が生きている限り、俺はお前を守る

 

 

 

 

 

それは、ショウ君の心の叫び。より力が込められた腕から伝わってくる。もう二度と失いたくないという悲痛の叫び。しかし、その腕からは、確かに命の灯火が強く煌めいていた。

 

この言葉は、私だけのものじゃないはずだ。きっとショウ君なら、助けを求められたら誰だって助けるのだろう。見知らぬ人でさえ。

 

でもね、ショウ君。君は十分私を守ってくれてるんだよ? 私も、守られてばっかりじゃなく、いつか守る側になりたいな。それでも、こんな状況なのに嬉しいと思ってしまった。

 

 

 

やっぱり、私は卑怯者だ。

 

 

私はゆっくりとnoのボタンを押した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ずっと抱きしめていたら離すタイミングを失ってしまった。どうも、ショウです。

 

いやね、感極まってアスナに抱きついたのは良いんだけど……いや、良くはないか。とにかく、落ち着いた今、この状況は非常にまずいんじゃないかと思ったわけですよ。付き合ってもいない男女が抱きしめあっているのってどうなのよ。いつの間にかアスナも俺を抱きしめてるし。やばい、どうしよう。

 

ていうか、アスナってけっこう柔らかいのな。女性の体にここまでちゃんと触れるのは初めてかもしれない。それに、その、正面から抱きしめてるから、あれだ、胸部装甲がですね。なかなかの厚さを誇っていると言いますか。

 

 

「何してるの?」

 

「うおっ!?」

 

「きゃあ!?」

 

 

声に驚き、お互いバッと離れる。そうだった、ユイがいたんだった。

 

 

「これはね、えっと、その…」

 

 

いかん、アスナがテンパっている。ここは俺がなんとかするしかない。考えろ、考えるんだ。男女が抱きしめあっていてもおかしくない状況を。……これだ!!

 

 

「あ、愛を確かめあっていたんだ」

 

 

はい、終わった。終わりました。俺もどうやらテンパっているらしい。今更手遅れだが。でもさ、それ以外に何があるんだよ(逆ギレ)!! こんなちっちゃい子に命の尊さを感じていたんだよとか言ってもわかんないだろ。てか、それは俺が恥ずかしい。いや、俺が言った言葉も非常に恥ずかしいんだけどさ。ほら、見てみろよ。アスナの顔めっちゃ赤くなってるじゃん。これ絶対怒ってるよね。穏やかな心を持ちながら激しい怒りによって金髪の戦士に目覚めちゃうよね。

 

 

「二人は、ええと、夫婦? なの?」

 

 

いかん、これはいかん。変な勘違いをさせてしまった。俺とアスナが夫婦? おいおい待ってくれよ。ついこの間まで絶交していた仲だぜ? 一方的にだけど。アスナが俺を好きなわけないだろ。思い返してでも見ろ。久しぶりに会ったと思ったら急に決闘ふっかけてくるわ、いきなり付いて来るって言って死にそうになるわ、わざわざ自分から出向いて呼びに来るわ、妙にひっついてくるわ、妙に俺の方見てるわ。あれ?最後の方おかしくない?なんか可愛くない?マジで恋する数秒前じゃない?ま、まぁいい、とにかくそんなアスナが俺を好きなわけがない。ここはちゃんと間違いを正しておこう。

 

 

「いや、そうじゃなくて、「そうよ、私たちは夫婦なのよ」そうそう、実は夫婦………は?」

 

 

え、コイツなに言っちゃってるの? 違うじゃん、嘘ついたらダメじゃん(ブーメラン)。

 

 

「ちょ、ちょっとごめんよ」

 

 

アスナを引っ張りユイを背に向けて小さな声で会話する。

 

 

「何言ってんのお前!? なにサラッと嘘ついてんの!?」

 

「し、仕方ないでしょ!! そう言っておけばこの場はなんとかなると思ったのよ!! 」

 

「他に何かあっただろ!!」

 

「最初に言ったのはショウ君でしょ!!」

 

「ぐっ」

 

 

それを言われると弱い。俺もテンパっていたとはいえ、それで逃れられると思ってたからな。そっとユイの方を見てみると、何やらキラキラした目でこっちを見ている。あ、ダメだわこれ。

 

 

「そ、そうなんだよー、俺たち夫婦なんだよー」

 

「わあ、ラブラブなんだ!!」

 

「そ、そうね」

 

「えっと、チューしないの? チュー」

 

「チュ…ッ!?」

 

 

もう無理です。早くも破綻しそうです。ああ、やっぱり嘘なんてつくもんじゃねえな。特に小さい子には。純粋であるが故に計画を破綻させる。某嵐を呼ぶ5歳児みたいに。

 

 

「そ、それより、もう身体の具合は大丈夫なの? 寝てなくて平気?」

 

 

何とかアスナが話題を変えようとしている。もうやばいくらい顔が赤くなっているのは見ないふりをしておこう。たぶん俺もやばいから。

 

 

「うん、大丈夫」

 

「そっか」

 

 

それはよかった。話題替えとかじゃなく純粋にユイのことも心配だったんだ。見た感じも元気そうだし、たぶん大丈夫だろう。

 

さて、ならさっそく寝起きで悪いんだが、質問タイムと行きますかね。

 

 

「じゃあ、いくつか質問していいかな」

 

「うん」

 

「君の名前を教えてくれるかな」

 

「名前……ユイ」

 

「ユイ、うんいい名前だ」

 

 

やはりこの子はユイでよかったんだな。もしかしたら知ってるのと違うかもしれないと思ったが、そこは安心した。むしろ違ってたら色々ごっちゃになって困る。主に俺だけ。

 

 

「どこから来たのかな?」

 

「ええと……わかんない」

 

「……そうか」

 

「わからない?」

 

 

おっと、そうか。ユイが記憶喪失かもしれないという情報を知っているのは俺だけだった。今の反応は訝しく思われたかもしれない。気を付けないとな。

 

 

「もう一つ質問。君は1人なのか? 他に誰か知り合いは?」

「……わかんない」

 

「やっぱりな」

 

「ねぇ、ショウ君。これって…」

 

「たぶん、記憶喪失だろうな」

 

 

ある程度予想してました、という体で話す。これなら疑われないはず。てか頼む、疑わんでくれ。地味に自分の事について隠すのって心が痛いんだ。いつか話さなければならない時が来るだろう。このゲームがクリアされたら俺はどうなるかわからない。

だから少なくとも、それまでには話しておきたい。包み隠さず、全てを。

 

 

「そんなっ、こんな小さな子が…」

 

「事実、こうして記憶を失ってる訳だからな。なんとかしてやりたいが、記憶に関しては俺たちが今すぐどうこう出来ることじゃない。けど、1つ気になることがある」

 

「え?」

 

「ユイの装備は見たところ武器は装備してないし、着てる服もワンピースで防具としての機能は薄い。ユイがいたのは53層だ。こんな装備でやって行ける訳が無い」

 

「ということは、誰かと一緒にいた?」

 

「わからん。けど、それも可能性の一つだな。だとしたら、どうして置いていったのか気になるところだが」

 

 

恐らくそうではないだろう。これは本当に勘になるが、たぶん原作と同じはずだ。ユイは誰かに会いに来たのだ。それがキリトなのかはわからない。が、その可能性は高いだろう。だって主人公だし。そうじゃなくてもキリトだし。

 

 

「もう一つ考えられるのはユイが装備を外してたってことだが…、ユイ、メニューを開けるか?」

 

「メニュー?」

 

「こうやるんだよ」

 

「こう? わ、なんか出た」

 

「アイテムに何か入ってるか? 例えば、剣みたいな名前のものとか服みたいな名前のものとか」

 

「え、ええと…?」

 

 

わからんか。仕方ない。

 

 

「ええと、その画面、俺たちが見えるようにしてもいいか?」

 

「うん」

 

 

普通なら自分にしか見えないメニュー画面だが、可視モードなるものが存在し、設定すれば本人以外にも見ることが可能となるのだ。だからこそ、犯罪に使われたりもする。睡眠PKと同様に、睡眠時に可視モードにし、強制的にアイテムを譲渡させるなんてこともある。また、勝手に覗きこんでアイテムを確認し、欲しい物があれば脅すなりなんなりして奪うなどがある。なので、普通ならあまり使わないし、また、使う際には慎重にならなくてはいけない。

 

結構面倒なのだが、こういう時には役に立つな。正直、なんでこんなのがあるのか謎だった。結婚してるならアイテムストレージは共有してるし、それほど仲の良くない人となら見せることはしないし、逆に気が置けないような仲なら隠すようなこともしないだろう。あ、いや、そんなことないか。俺、スキル隠してるし。なら、余計要らないじゃん。なんであるのよこれ。

 

とりあえず、ユイの許可が得られたので可視モードにさせてもらうとしよう。操作は自分の指でやらないといけないので、アスナにユイの指を持ってもらい操作する。俺がやっても良かったんだが、なんというか社会倫理的にどうなのかと思ったんだよ。うん。抱きついといてなんだけどな。

 

ふと思ったんだが、もしかしたら俺が落ち着けたのは、MHCPであるユイのおかげかもしれないな。だとしたら、悪いことをしたな。ユイが記憶をなくしたのは俺たちの負の感情が原因だというのに。

 

 

「たぶん、このあたり……あ、出た」

 

 

おっと、上手く行ったようだな。可視モードとなったユイのメニュー画面を覗いてみると、俺たちプレイヤーの画面と違い、ただ簡素に名前の部分に《MHCP001 YUI》と書かれているだけだった。予想通り。というより原作通りというべきか。

 

 

「こ、これ、どういうこと!?」

 

「…と言われてもな」

 

 

アスナの反応は正しい。プログラムが人に会いたいと思って会いにいくなんて誰が想像できる。だからこそ、この事態に対してこの反応は正しい。この世界で驚かずにいられるのは俺ぐらいのものだろう。恐らく、茅場も含めて。

 

 

「わからないことだらけだな。最後の《YUI》の部分はユイだってことはわかるが、その前の《MHCP001》ってのはなんだ?」

 

「…わからない。なんだろう、何かの暗号かな。それに、この画面はなに?」

 

 

やれやれ、気づかない振りをするのも大変だな。元々、演技なんて得意じゃないんだ。いつかボロが出るかもしれないな。

 

チラっと時刻を確認する。もう夜も遅い。アスナも血盟騎士団の仕事があるだろうし、そろそろお暇しないとな。

 

 

「わからないことを悩んでてもしょうがないな。とりあえず、情報を集めた方がいいな」

 

「うん、そうだね」

 

「けど、今日はやめとこう。もう夜も遅い」

 

「あ、ホントだ」

 

「じゃあ、そろそろ帰るわ。悪かったな、こんな遅くまで」

 

「あ、ううん、大丈夫だよ。私の方こそ、ごめんね」

 

「気にすんなよ。俺はもう大丈夫だ」

 

 

そう、俺はもう迷わない。俺の力は皆を守るために使う。その結果、俺の大切な人を守れたなら、それでいい。けど、決してその意味を忘れちゃいけない。そうあるべきなんだ。だよな、サラ。

 

 

「じゃあな」

 

「うん」

 

 

と帰ろうとしたところで

 

 

「え、どこ行くの?」

 

 

ユイに声をかけられた。

 

 

「どこって、帰るんだけど」

 

「二人は夫婦なんでしょ?」

 

 

……俺は知っている。この流れはマズイことになると。

 

 

「一緒に暮らしてないの?」

 

「「…………」」

 

 

アスナと顔を見合わせる。どうすんのこれ。

 

 

「そ、そうよねー、もちろん、一緒に暮らしてるわよー。何言ってるんだろうねー、ショウ君は。あはははー」

 

「お、おい、アスナ」

 

「ん、なーに?」

 

 

その時、アスナの目は言っていた。《責任をとりなさい》と。アッハイ。え、いや、責任て。あ、ダメですね。逆らったらダメだわあの目。うん、無理。

 

 

「じゃあショウ君、先にシャワー浴びてきて」

 

「……はいよ」

 

 

こうして、しばらく一緒に暮らすことになりましたとさ。ちゃんちゃん。

 

 

「そういえば、自己紹介してなかったね。私はアスナ。よろしくね」

 

「俺はショウ。よろしく」

 

「え、ええと…?」

 

「急には覚えられないかな。うん、わかった、好きなように呼んでいいよ」

 

 

まぁ、記憶喪失だしな。それに、人の名前って覚えるの難しいよな。顔と名前が一致しないことってよくあるし。そんで、自分の中であだ名をつけて覚えるのな。わかる、わかるよ。うん、好きなように呼びたまえ。

 

 

「ママ!!」

 

 

……俺は知ってい(ry。

 

 

「パパ!!」

 

 

この時、アスナと俺の顔が真っ赤に染まったのは言うまでもない。

 

 

 

俺、パパになりました。

 

 

 

 





はい、ここまでです。


いきなりになりますが、リクエストを取りたいと思います。恐らく、あと10話程でホロウ編に移ると思いますが、ホロウ編で読みたいシナリオがあれば、頑張って書きたいと思います。シナリオによっては今のうちに伏線を張っておきたいので。リクエストは活動報告の方にお願いいたします。

長い間投稿できなかったにも関わらず、お気に入り、また、評価を入れていただいた方、本当にありがとうございます。非常に嬉しいものがあり、筆者のモチベーションになります。それだけに、遅くなってしまい、繰り返しになりますが申し訳ありませんでした。
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