やばいスキルがついちゃった   作:ナストマト

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お久しぶりです。ちが、違うんです。忙しかったんです。本当なんです。許してください。何でもはしません。




確信

 

 

「───後はそれぞれパートナーとの連携、陣形などを確認しておいてくれ。それじゃ、作戦会議は以上だ」

 

 

ディアベルが終わりを告げると共に、集まっていたプレイヤー達は散り始める。と言っても、個人個人がバラバラにという訳ではなく、パーティを組むものたちである程度固まってということだ。この後、ボス戦に向けての最終確認をなどを飲食店などに行って食事でもしながらするのだろう。基本的に同じようなメンバーだから、彼らの中では食事が定番になっていたりするのかもな。気も知れているだろうし。

 

俺? 俺はパーティを組まないから知ったこっちゃないです。

 

 

「おーい、ショウ之助よーい」

 

 

誰だよショウ之助って。こんなふざけた呼び方をする奴は1人しかいない。

 

 

「何だよ、根暗イン」

 

「なんだそりゃ?」

 

「こっちのセリフだっての…」

 

 

俺がスベったみたいにすんのやめてくんない? てか、本当に何なんだよショウ之助って。でも、〜之助って何となく武士って感じするよな。そう考えると、刀を使ってる俺としては何か嬉しいな。あれ? もうショウ之助でよくね? よし、今日から俺はショウ之助と名乗ることにしよう。ドーモ、クライン=サン、ショウノスケデス。それニンジャや。

 

 

「で、何の用だ?」

 

「いや、別に用ってことも無いんだけどよ。声をかけるぐらいいいだろ?」

 

「お前が声をかけてきた時点でなんか裏がありそうだから御免こうむる」

 

「ひでぇなオイ!!」

 

「冗談だよ」

 

 

2割ほど。

 

 

「まぁ、なんだ。せっかくだし、飯でも食わねぇか」

 

「お前と?」

 

「たまにはいいだろ?野郎2人ってのもよ」

 

「……まぁいいか。どこに行くんだ」

 

「そうだなぁ、俺の行きつけの店でも行くか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「言っとくけど、俺は酒飲めねぇぞ」

 

「ゲームの世界ぐらい気にすんな」

 

 

連れてこられたのは、いわゆる酒場だった。酒場と言ってもエギルの店やルイーダの酒場のようなファンタジー系の酒場ではなく、居酒屋と言われれば理解できるような雰囲気ではある、主に暖簾。ただ、リアルで居酒屋に行ったことがほとんどない俺でも違和感を感じるほどの造りで、やはりどちらかというと酒場なのだろう。

 

しかし、このゲームのプレイヤーはほとんどが日本人だ。違和感はあるといえども、リアルの懐かしさをどこかに感じていたいのかもしれない。事実、ここはそれなりの広さがあるが、ほとんどの席が埋まっている。俺達はカウンター席が空いていたのでそこに座った。さて、何を頼めばいいのやら。

 

 

「おーい、ビール1つ! お前もそれでいいか?」

 

「酒はダメなんで、オレンジジュースください」

 

「マジメだなオイ」

 

 

グラサンも喫煙もしてないし妖怪でもないけど未成年だし。お酒、ダメ、絶対。てかネタが伝わらなかったことが軽くショック。知らないのか?100%中の100%とか知らない? いや、俺も世代じゃないんだけどさ。

 

NPCに注文するとNPCは裏に下がり、すぐに注文を持ってきた。これがこの世界のいいところだよな。注文してから早いんだ。

 

 

「んじゃ、乾杯といくか」

 

「ん」

 

「「乾杯(!)」」

 

 

少しずつ喉に通すと、程よく冷やされたオレンジジュースが先程までの攻略会議の残った緊張感を流していくようだ。うめぇー。オレンジジュースうめぇー。ネタで注文しちゃったけど、マジでうめぇー。

 

さて、本題に入ろうか。

 

 

「で、本当はどうしたんだよ。本当にただ食事に誘ったわけじゃないだろ」

 

 

2人だけっていうのは本当に珍しいからな。いつもならキリトやエギルとかも一緒だ。それだけに、なにかあるんじゃないかと疑ってしまう。

 

「いや、本当にそれだけだ」

 

 

あれぇ? そうなの?

 

 

「なにかあるわけじゃないのか?」

 

「おうよ。まぁ、おめぇの気分転換になるといいとは思ったけどな。キリトがいないってのもたまにはいいだろ。環境を変えるってのも大事なことだぜ」

 

「まぁな」

 

 

この世界で体を動かしてるのは肉体ではなく精神だ。逆に言えば、気休めとは体休めとも言える。クラインの言う通り、同じことの繰り返しも大事なことではあるが、気分転換、環境を変えるのも大事だ。別にハブった訳ではないんだ。すまんなキリト。今度何か飯を食おうぜ。クラインだけをハブって。気分転換って大事。

 

 

「にしても、おめぇもすげぇよな」

 

「なにが?」

 

「色々とよ。攻略組に戻って来るだけでも大変だってのに、かと思えば二つ名まで付けられるしよ」

 

「あー、うん、二つ名ねぇ」

 

「なんだよ、嫌なのか?」

 

「嫌ではないけどさ」

 

 

そうなのだ、俺が復帰してから結構経ったが、いつの間にか二つ名とやらが付けられていたらしいのだ。

 

二つ名とは、そのプレイヤーの特徴から付けられる、まぁ称号のようなものだ。と言っても、誰にでも付けられる訳ではなく、俺の知る限り確かな剣の腕を持つプレイヤーが二つ名を持っていたはずだ。キリトなら[黒の剣士]、アスナなら[閃光]、ヒースクリフなら[神聖剣]といった錚々たる面々が並ぶ。

 

そんな中、俺にも二つ名が付いたらしい。正直なところ、いいのかという気持ちが強い。そもそも、俺は1度攻略組を抜けている。以前にも述べたが、攻略組からすれば許容出来ることだとしても、それ以外のプレイヤーにいい印象はないだろう。それだけに軽く引け目を感じる。まぁ、これに関しては付けてくれるならありがたいということで気持ちを落ち着けたんだけどな。

 

で、俺に付けられた二つ名が

 

 

「別にいいじゃねぇか。どこが悪いんだよ[火影]の」

 

 

これである。火影って。ニンジャでしょそれ。俺剣士だし。アィエエエエエ!?ニンジャ、ニンジャナンデ!?本当になんでよ。

 

聞いた話によると、俺のスピード、剣筋に見える炎から昔のマンガの忍者みたいだということでそうなったらしい。いやいや、おかしいでしょ。別に忍術とか使ってるわけじゃないんだから。とみんなに反論したところ、それでいいんだと言われた。なにがいいのかわからないが。

 

 

「悪いとは思ってないって。ただ、なんていうか、むず痒い?」

 

「キリトもそんなこと言ってたな。俺からすりゃ羨ましい限りだけどな」

 

「無精髭のクラインとかどうだ」

 

「御免こうむるぜ」

 

 

お互いに笑い合う。うん、確かにたまにはクラインと2人ってのもいいな。キリトとはしないやり取りも出来るし、なによりそういった時間も大切だ。

 

 

「言っとくけどよ、火影の名がついたのは、ただ速えってだけじゃねぇぜ?」

 

「うん?」

 

 

どういうことだ?

 

 

「おめぇはいつもファーストアタックをとってくれるだろ。いくら歴戦の攻略組っていっても、ボスを目の前にすりゃ、そりゃ緊張もするしビビる気持ちもある。でもよ、そんな中でおめぇは真っ先に向かっていくだろ」

 

「それが役割だからな」

 

「そんでも、なかなか出来るもんじゃないぜ。おめぇがみんなを引っ張っていってるようなもんだ。だからこそ、火影の名前が相応しいんだよ」

 

 

あまりあの作品について詳しくはないが、確かに火影についてそのイメージはある。しかし、役割を果たしていただけなのにそんなことを思っていたのか。なんていうか、照れくさい。

 

 

「でもよ、だからってあんまり無理はするなよ」

 

 

心配そうな表情で見てくる。

 

 

「おめぇはやろうと決めたら無理してでもやるからな。心配なんだよ」

 

 

それはただ単に心配する男としての表情だけでなく、まるで保護者みたいな表情もあった。それが自分にはどこか懐かしく思えた。

 

 

「…余計なお世話だっての」

 

「かもしんねぇな。けどよ、大人の言うことは聞いとくもんだぜ」

 

「エギルにも言われたことがあったな」

 

「ならまだまだガキンチョってことだ」

 

 

笑いながらそう言うクライン。

 

俺も心のどこかで現実世界のことを思っているんだな。クラインの顔に見える家族の面影。それに伴う懐かしさ、安堵感。なるほどな、大人たちがこの酒場に日本の懐かしさを求めて集まることが少し理解出来た気がする。

 

 

「だからよ、何かあったら俺にも頼ったっていいんだぜ」

 

「……もしかして、それが言いたかったのか?」

 

「みんなキリトばっかり頼りやがってよ。俺の方が大人だってんだ。そりゃ、頼りになるのはわかってんだけどよ、なんか寂しいじゃねえか」

 

 

笑い顔から一気にしょぼくれる。忙しいやつだな。でもわかった。自分を頼って欲しかったんだな。そのために俺を食事に誘ったのか。寂しがり屋かよコイツ。

 

 

「あのな、いつもクラインをイジったりしてるけど、クラインが仲間思いでイイヤツだってのはみんなわかってる。俺だって最初にクラインに会わなかったらどうなってたかわからなかった。感謝してる」

 

 

本当にどうなってたんだろうな。ずっとソロプレイを貫き通していつか死んでたかもしれない。クラインの優しさがあったから、俺は今を生きている。俺はそう思う。

 

 

「な、なんだよ急に、照れくせえじゃねえか」

 

「うっせ、珍しく褒めてやってんだ。ありがたく思え」

 

「ああ、あんがとよ」

 

「……チッ」

 

 

舌打ちなんか滅多にしないが、コイツの前ならいいだろう。なんだかんだ初めから付き合いのある相棒だ。これくらい許せ。

 

 

「んじゃま、飲んでばかりいないで、そろそろ飯も注文すっか。腹ペコペコだ」

 

「そうだな、すいませーん!」

 

「ショウよ」

 

「ん?」

 

「明日、勝とうぜ」

 

「ああ」

 

 

そうして2人の食事の時間は過ぎていった。明日の攻略の話なんてそれから一切しなかった。する気もなかった。負けるわけが無いという確信めいたものがあったから。根拠なんてない。しかし、こうして仲間との日々が続いて行くのだろうと思った。たぶん、クラインもそうだろう。変だよな、ボス戦だってのにな。死ぬかもしれないのに。

 

負けない。負けるわけがない。

 

 

 

 

 

 

 

次の日、74層が突破されたとの知らせがアインクラッド全域に届いた。

 

 






おまけ

ショウ 「てかここにオレンジジュースなんてあったんだな」

クライン 「たしかにな……ん? それチューハイじゃねえか」

ショウ (´゚ω゚):;*.':;ブッ



はい、ここまでです。

ロストソングのアップデートver.やりました。なんやあの黒雪姫強すぎやろ。もうボッコボコにされました。クエストでの黒雪姫は簡単なのになんなんアレ。初戦で勝つとセリフが変わるらしいですがあそこまでボコボコにされるとやる気しないです。

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