個人的にショウのプレイスタイルは大好きです。自分だったらこんなステにしたいですね。紙装甲は嫌ですけど。
74層突破の報はすぐにアインクラッド全域に伝わった。毎回のことだが伝わるの早いなホント。大方、アルゴあたりの情報屋が号外でも出して広めているのだろうが、いい仕事をする。街で待っている人たちにとってこれ以上はない朗報であり、ゲームクリア出来るのではないかという希望、そして明日への活力になる。
逆もまた然りで、号外には戦死者の名前も載せられる。それを見ることで、このゲームの厳しさを実感することにもなる。特に攻略組のプレイヤーにとっては。が、幸い今回は戦死者を出さずに済んだ。てか、俺が復帰してから戦死者は出ていない。ふむ、つまり俺のおかげということだな!!(満面のドヤ顔)。
それはともかく、俺たちは最後のクォーターエリアである75層にとうとうたどり着いた。最後というだけに、今までにないほど協力なボスが待ち受けていると予想されている。実際その通りなんだろうけどな。恐らく、原作最恐ボス《スカルリーパー》が居ることだろう。今までのフロアボスが原作通りであったことを考えると、ここでボスが変わっているとは考えにくい。であるなら、ある程度情報がある《スカルリーパー》の方が戦いやすいと言える。変わってないよな? てか変わらないでくださいお願いします。
で、そのボスの前にフロア攻略を進めないといけないのだが、なにやら催しを行おうということになったらしい。最後のクォーターエリアなので、ここらで一息入れようとのこと。まぁ別に良いけどさ、攻略はそんなに慌ててやるようなものでもないし。
じゃあ催しって何やんのよとアスナに聞いたところ
「最強を決める大会だぁ?」
「そうみたい」
天下一武闘会かよ。なに? ピッコロとか出ちゃうの? ビビデバビデブゥ的な手下にエネルギー吸い取られちゃうの? あ、毎回相変わらずのヤムチャっぷりには惚れ惚れしました。
「なんでも、今のうちに決めてしまおうと言うことらしいよ」
「……なるほどな」
覚悟しているのだ。みんなも。今度の戦いは死人が出ることは必至だろう。現に、過去にクォーターエリアのボス戦で死人が出なかったことはない。だからこその大会。その人が確かにいたということを刻むために。まぁ、純粋に誰が一番強いのか知りたいっていうのもあるんだろうけどな。それも、あまり考えたくはないが亡くなる前の今がラストチャンスなのだ。
「いいんじゃないか。アスナは出るのか?」
「というより、私たちはもう出る雰囲気になってるよ」
「"たち"?」
「私とショウくんにキリトくん、団長よ」
いわゆる二つ名持ちの連中だ。
「そいつらがいなきゃ始まらないだって。ほんと、自分勝手だよね」
と、辟易とした表情を浮かべる。けどよ、緩んだ口元が隠せてないぜ。
「でも出るんだろ」
「もちろん」
挑戦的な顔をこっちに向ける。
「あの時は歯が立たなかったけど、私、負けたままでいるつもりはないから」
「おお、怖い怖い」
「その余裕がいつまで続くかしら」
リベンジに燃えるアスナのその目には炎が迸っていた。本当に負けず嫌いだな。てかさ、怖いって言ったのは嘘じゃないんだぞ。実際、俺と戦った時と比べると彼女の成長には目を見張るものがある。経験値ブーストのかかった俺でさえ危機感を抱くほどに。なんていうか、あの一件以来、力が抜けたっていうか、状況判断とそれによる動きがシャープになった。
とある両手剣を使うモブモンスターを相手にした時だが、正確に両手剣の芯を突き武器破壊という技をやってのけた。いやね、使うのが片手剣とか斧ならまだわかるよ。でもアナタ、細剣ですよね。それで武器破壊ってなにそれ怖い。他にも回避から攻撃に移るまでの流れのスムーズさとか、色んな面で成長を見せている。もうね、ただでさえ強かったのにさらに強くなるとかなんなの?戦闘力53万なの?それとも百八式まであるの?
まぁ、それでも
「俺だって負けるつもりはねぇよ」
「ていうことは出るのね?」
「こうも挑戦的じゃあな、受けるしかないだろ、男として」
男って本当に難儀な生き物ですよね。女性にこうも言わせて断れるわけないじゃん。
お互いに顔を見合わせる。かかってこいと言わんばかりの表情を浮かべ挑発する。が、アスナも俺を倒すという意志をありありと見せつけた。いいね、いい目だ。そういう所にキリトは惹かれたのかもしれないな。
「絶対に負けないから」
うん、いい覚悟だね。でね、そろそろ目を逸らしたいんですよね。女性と目を合わせるなんてことは俺には相当レベルの高いミッションでして、もう恥ずかしさMAXなんですわ。しかし、ここまでやられて目を逸らすわけには……あ、コイツ、からかってやがる。さっきまでの挑戦的な目はどこへやら、コイツ面白いわー見たいな目をしてる。俺を使って遊んでやがる。
チクショー、いいだろう、俺だっていつまでもやられっぱなしじゃないんだ。俺は少しずつアスナの方へ顔を近づけていく。アスナはギョッとした表情を浮かべ、次第に顔が赤くなっていった。俺は既にゆでダコになっているだろうけどな。ほら、どうした、逃げないとこのまま接触しちまうぞ。主に一部分が。手を軽くバタバタ動かしつつも目を逸らそうとしないところには流石の精神力の強さを感じる。
そして残りほんの数センチという所まで来たところで覚悟を決めたようにゆっくりとアスナが目をつむった。それが何を意味するか。
え、ちょ、待って、ごめん、本当にするつもりじゃないんだけど。何で待ち受けてんの?
もっと、こう、ビンタするとかさ、抵抗すると思ってたのに。え、良いの? しちゃうよ? 倫理コードとか無視してしちゃうよ? 黒鉄宮行っちゃうよ?
据え膳食わぬはなんとやら、男、大宮翔、行きます!!
「………」ポケ-
…ん? 何やら視線を感じる。
「………」ポケ-
「」
「………」ポケ-
「アスナ」
「う、うん、いいよ」
「いや、アスナ、すまん、ちょっとこっち見て」
「え?」
「………」ポケ-
「」
いつから見ていたのだろう。ユイが眠たそうにしながらもこっちを見ていた。
「パパー、ママー、何してるのー?」
「いや、何もしてないぞ! うん、してない!」
「そ、そうよー! 何もしてないよー!」
あれか、行為を見られた親の気持ちってこんななのか。やばい、なんというか、やばい。親にエロ本見つかった時とはまた違った緊迫感がある。まだ幼い子に性的な行為を見られるとか、なにそれ興奮する。しねぇよ。
「ふーん、ファ〜」
「起こしちゃったか、すまんな。もう少し寝てるか?」
「うん…」
再び布団に潜りすぐに寝息を立て始めた。昼に近いとはいえ、まだ朝だもんな。声が大きかったかな。これからは自重しよう。色んな意味で。
「子どもは寝るのが早いな」
「ホントだね」
「俺たちももう少し寝るか、攻略もしないならたまにはいいだろ」
「そうしようか」
急ぐことはないんだし、ゆっくり体を、というより精神を休ませることも大切だ。ユイを見てたらこっちも眠くなってきた。寝よう寝よう。慌てない慌てない、一休み一休み。
え? 今までの会話?
全部アスナの家のベッドの上でですけど何か?
誓って何もしてないからな、本当だからな!!
75層、主街区《コリニア》。転移門があるこの街は、古代ローマ風の街並みをしており、コロッセオを意識してかはわからないが、闘技場がある。キリトとヒースクリフが決闘を行った場所だ。そこで大会は行われるらしい。
参加受付を行っている闘技場内部に入る(アスナとユイも一緒)と、既に多くのプレイヤーが集まっていた。見覚えのある攻略組の連中から、恐らく中堅であろうプレイヤーまでいる。とりあえず受付を済ませることにする。そこで説明された大会の概要はこうだ。
⚫ 大会はまず、5ブロックに分かれてのトーナメント
⚫ 勝ち上がったプレイヤーたちで総当り戦を行い、上位2名で決勝戦
⚫ ルールは初撃決着で行う(30分の制限時間あり)
⚫ 参加には一定のLv.以上が必要(Lv.差による死亡事故を無くすため)
⚫ 試合前、試合途中での棄権は可能
⚫ 試合途中での武器の交換は可能
⚫ 時間内に決着がつかなかった場合はジャンケン(運も実力のうち)。ただし、本戦に限り延長あり。それでも決着がつかない場合は引き分けとする
[禁止要項]
⚫ ソードスキルは禁止
⚫ 試合前、試合途中でのアイテムの使用は禁止
以上を行った場合は即失格とする。
と、こういう事らしい。ちゃんと事故が起きないように配慮している部分もあり、大会を行うにあたって問題は無いように思える。よく出来ている。肝心の組み合わせは後々発表されるらしいが、今からワクワクが止まらない。
思い出すのは小学生の頃、ポ○モンのカードバトル大会のために東京に行こうとしたのに乗る電車ミスって気がついたら甲府だもんな。デッキ構成考えすぎて夜更かしして睡眠不足で頭が回らなかったことが原因だな。いやー、懐かしいなぁ。悲しい思い出。まぁ何が言いたいかというと、催しって楽しいよねってこと。
「やぁ、君も出るのかい」
と、声をかけてきたのはディアベルだ。相変わらずの爽やかスマイルを振りまいてやがる。去れ、イケメンは去れ。でもいざとなったら手を貸してもらいます。てか、"も"って言うことはコイツも出るんだろうな。
「半強制的だけどな」
「みんな期待してるからね」
「勝手な期待だな」
「それに応えてきたのは君だろ」
「やれることをやってるだけなんだけどな」
「それがどれほど難しいことか、なかなか出来るもんじゃない」
「ま、今回もやるだけやるさ。で、お前も出るんだろ?」
「ああ、もし当たったら、いい戦いをしよう」
「当たればな。その前に消えるなよ」
「君が消えるということは無いのかい?」
「言ったろ、やれることをやるだけってな」
負けるつもりはねぇよ。
「……変わったな」
「あん?」
「君は変わった。いや、悪い意味でじゃない。精神的に強くなったと思う。前よりずっと。きっとこれを、成長と言うんだろうな」
「そりゃそうだろ、リアルじゃ学生だぞ。成長しなきゃ困るっての」
「ははっ、それもそうか」
身長は伸びないけどな。ゲームだし。これでも170くらいはあるんだけど。現実に戻ったらもう少し伸びてるんだろうか。
「アスナさんも出るんだよね、もし当たったらよろしく」
「はい、こちらこそ」
アスナと軽く挨拶をして去っていくディアベル。ユイに手を振ることも忘れずに。くそぅ、ユイは渡さんぞ。
成長ねぇ。人は一人で成長できるものじゃない。もし、変わったと、成長したというなら、それは
「ん?どうしたの?」
「いや、何でもない」
それは、コイツらのおかげだろうな。
『長らくお待たせしました。それでは、PoS、プレイヤー・オブ・ソードアートオンラインを開催したいと思います』
《うぉおおおおおおおおおおおお!!!》
闘技場全体に響き渡る歓声。天候は晴れ。青い空に通るは期待の現れ。白い雲はこれからのことへの不安という陰り。
『予選を勝ち上がり、本戦への切符を手にするのは誰なのか。長ったらしい説明なんてしません。早速行ってみましょう第一試合、
なら、その陰りを照らすのが
『Sho選手!』
《ワァァァァァアアアアアアアア!!》
火影ってもんだろ。
『片手剣を使うEdward選手、Sho選手の火影の異名をとる正しく忍者の如きスピードにどう対抗するのか』
3、2、1───
《YOU WIN》
でも、成長しすぎた感はあるよね。
おまけ
ショウ 「お前、倫理コード解除してた?」
アスナ 「あ」
ショウ 「あぶねええええ!!」
はい、ここまでです。
大会を行うという試みをしましたが、長引かせるつもりはありません。まぁ、対人戦ならショウの独壇場ですよね。とは言っても、例の3人に通用するのかどうか。
さて、終わりが見えてきたな。