やばいスキルがついちゃった   作:ナストマト

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最近GGOにショウがいたらどうなるかを考えると胸アツです。




妙技

 

 

 

まぁ、攻略組でもボス討伐に参加するようなプレイヤーが負けるわけないよな。上手いこと二つ名持ちが分かれたこともあり(意図的な気がしないでもない)、俺を含めキリトたちも順調に勝ち上がってきている。それも、相手を全く寄せ付けずだ。当然といえば当然だが。

 

大会の方もブロック予選の終盤に差し掛かっている。え、カットし過ぎじゃないかって? ネタが無いんだよわかれよ。

 

ゴホン、てなわけでブロック準決勝戦。俺の相手は片手棍使いの《Masaki》。名前を聞いたことがないから恐らく中堅かそこいらのプレイヤーだろうが、まぁ過信するわけじゃないけど、勝ったな。片手棍は大振りして遠心力を乗せ一撃にかける武器だ。つまり、当たらなければどうということはないのだ。赤い彗星もそう言ってる。

 

普段ならパーティを組み隙を見つけてスイッチ、そういった戦いが主流だが、ここではPvPの一騎打ち。スピードを活かして戦う俺には不利と言えるだろう。軽く相手をしてやるか。

 

 

「ほれ、かかって来いよ」

 

 

挑発するとムッとした表情を見せる。が、すぐにニヤリと笑みを浮かべた。なんだ、よくわからんやつだな。

 

と、マサキは片手棍を左から右へと真横に振るった。しかし、彼我の距離は5メートルはある。武器の長さを考えれば届かない。なにをしようというのか。

 

そして俺は見た。遥か手前を過ぎるはずの片手棍が徐々に長さを増してこっちに向かってくるのを。

 

 

「ファッ!?」

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

僕はいわゆる中堅プレイヤーだ。始まりの街を出てから、なんとかゲームをクリアしようと精一杯レベルを上げてきたが、攻略組に入るまでには至らなかった。

 

それでも、攻略組に憧れて決して大きくはないギルドのみんなと日々切磋琢磨して腕を磨いてきた。レベルだけが全てじゃないと、僕たちぐらいのレベルでもなんとかなるんだと。自分たちのことを認めて欲しかった。だからこそ、この大会は自分の腕を試すのにちょうどよかった。

 

とはいえ、レベルの差は大きい。しかし、その差を埋めることが出来るのが普段武器としているこの片手棍だ。その特徴は振るうと伸びるというもの。元々VIT(防御力)を重点的に上げていただけに攻撃力が不足していた。そこで伸ばした分の遠心力を利用し威力を上げるこの片手棍を用いることにしたのだ。

 

この特徴がPvPの決闘には役に立った。初見では武器が伸びるというのは想像出来ず、不意をつく形で一撃で勝利というのがほとんどだった。その戦いを見ていたのであろう相手に、仮に初撃を避けたとしても、見たことがない武器に対してその後の攻撃に反応できない。結果、ここまで勝ち上がれた。攻略組のプレイヤーに当たらなかったというのも一つの要因ではあるが。

 

武器が伸びるというのは剣技としていかがなものかと思うが、ソードアートを唱いながらチャクラムなんて飛び道具もあるから問題はないだろう。

 

順調に準決勝まで勝ち上がって来れたが、ここで大きな壁にぶつかった。なんと相手が四天王の1人、ショウなのだ。正直、勝てるなんて思っていない。勝てないまでも、いい勝負が出来れば目的は達成されたと言っていい。

 

火影の異名を持つほどのスピードを持つ相手で武器で不利に立っているが、

 

 

「ほれ、かかって来いよ」

 

 

と挑発していることと棒立ちでいるあたり、油断しているとみていいだろう。となれば初撃を喰らわせられるかもしれない。挑発されたことで少しムッときたが、もし勝てたらと思うとニヤけてくる。

 

片手棍を右から真横に振るう。棒立ちであることから、上下、横への動きがしづらい。もし、縦に振るっていたなら、いくら棒立ちとはいえ少しの横移動で避けることが出来る。だからこその横振るい。事実、今この手にある片手棍の頭部は今にもショウの腹部に吸い込まれんとしている。

 

 

「ファッ!?」

 

 

反応できていない。

 

 

 

もらった────

 

 

その頭部は見事にショウの身体を捉えた──はずだった。

 

 

「!?」

 

 

捉えたと思われた一撃は、僅かな衝撃を残し空を切った。一瞬にしてショウの姿が跡形もなく消えたのだ。

 

確かに捉えたはずだった。見ようによっては貫通したようにも見えた。しかし、この手にはその感触はない。

 

いや、妙な感触はあった。鈍い衝撃ではなく、まるで水中で平手を動かした時のような滑らかな感覚。今まで武器を振るってきて味わったことのない光景と感覚に、戸惑いを隠せなかった。

 

 

「ど、何処に…っ!!」

 

 

だから気づかなかったのだろうか。

 

 

「あっぶねぇ、そんなのありかよ」

 

 

声の方向に振り向く。そして驚く。聞こえてきた声は左後ろから。いや、そんなことはどうでもいい。姿を見つけたとかそんなことは些細なことだ。問題は今いる場所。

 

 

「!?」

 

 

片膝を着きながらいるその場所は、僕が振るった片手棍の頭部だった。

 

 

「ど、どうして、いつの間に!?」

 

「なにが?」

 

「確かに捉えたはずだ! 僕の一撃は決まっていたはずだ! どうしてそこにいる!」

 

 

強敵との戦いということで焦りもあったのだろう、この時の僕はまともな思考が出来なかった。矢継ぎ早に質問をする僕に多少顔をしかめた。

 

 

「えーっと、乗った」

 

「は?」

 

 

返ってきたのはそんな言葉だった。予想はしていた。しかし、予想は時に妄想へとなり得る。そして、僕が予想したことはほとんど妄想に近かった。あの一瞬で攻撃を躱しただけでなく、それに乗るなんて。

 

 

「いやー、危なかったな。割とギリギリだった。そんな武器あるのな」

 

「ば、馬鹿な! そんなこと出来るわけがない!」

 

「事実なんだから仕方ないだろ」

 

「だけど!」

 

「ハァ…、お前、中堅だろ?」

 

「そうだけど、それがどうしたんだよ……っ!?」

 

 

ここで、今までの面倒くさそうな表情から一変する。殺気だった表情。身体が硬直する。射抜かれる感覚。なんという威圧感か。これが四天王たる者の実力か。

 

 

「予想外のことが起こったとしても、それを事実として認めろ。そうじゃなきゃこのゲームは生き残れない。覚えとけ、お前がもっと上を目指すならな」

 

 

そう言うと、未だ鞘に収めたままの刀を抜いた。

 

 

《YOU LOSE》

 

 

「え?」

 

 

突然現れた表示は僕が負けたことを示していた。HPゲージを見れば確かに削れている。しかし、彼は刀を抜いただけなのだ。

 

 

「い、いつの間に…」

 

「たった今」

 

「う、嘘だろ」

 

「言ったろ、認めろ。これが今の俺とお前の差だ」

 

 

そう言い残し退場していく。

 

これが四天王が1柱、《火影》の実力。あんな芸当ができるということは、普通に躱すことも出来たということだ。そうしなかった真意はわからないが、ギリギリなどと言ってはいるが、手を抜かれたのだ。

 

レベルの差どころじゃない。圧倒的実力差。比較しようにも烏滸がましい。

 

 

「…すげぇな」

 

 

だからこそ憧れる。いつか、並んで戦ってみたい。あの人のいる世界を見てみたい。

 

いつか────

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

スタンドへと戻ると、みんな(レギュラーメンバー)が出迎えてくれた。うむ、くるしゅうない。って本格的にジャパニーズサムライっぽくなってきてないか俺。

 

 

「お疲れさん、相変わらずとんでもないことをやってくれるな」

 

 

キリトだ。いやいや

 

 

「お前だってあれぐらい出来ると思うぞ」

 

「いや、あれはショウにしか出来ないよ」

 

「とか言ってあっさりやりそうだから怖い」

 

 

なんなら柄を走って行きそう。ありえるな、キリトだし。

 

 

「でも、厳しいよな」

 

「ん?」

 

「実力差を見せつけることで攻略組は並大抵の実力じゃな務まらないってことを言いたかったんだろ。もし、それで諦めるようなら、言葉は悪いけどその程度だってことだ。逆に、それでも攻略組を目指そうとするなら、そういう奴こそ生き残る。ある意味、篩をかけたんじゃないか?」

 

「正解」

 

「ずいぶんあっさり認めるんだな」

 

「別に隠すことでもないからな。その通り、その方が死者を出さなくて済むと思ったからな。せっかくの舞台だし、利用してやった。その代わり、攻略組に加わるやつも少なくなるだろうけど」

 

「量より質って言葉があるだろ」

 

「違いない、この世界だと尚更な」

 

 

なんて会話をしていると次の試合が始まった。カードは刀使いのJackie(ジャッキー)

 

 

「あいつか」

 

 

もう一方のプレイヤーは、凛とした佇まい。確かにそこにいるという圧倒的存在感を放ちながら、どこか消え入りそうな雰囲気も醸し出している。しかし、味方にすればこの上ない安心感をもたらす。

 

盾と片手剣を装備した鉄壁のカリスマ、神聖剣ことヒースクリフ。

 

 

「刀使いか、お手並み拝見かな」

 

 

刀という武器が手数で攻めるものである以上、どうしてもAGIを優先する傾向が強くなる。したがって、どの刀使いもステータス的にはあまり変わらないのがほとんどだ。だからこそ、プレイヤーの腕次第ということになるのだが

 

 

「まぁ、あまり期待はしないさ」

 

 

おそらく、このジャッキーとやらもAGI優先のステになっているはずだ。俺と同じような相手にヒースクリフがどう戦うのか、参考になればいいが、荷が重いだろう。

 

ていうか、ボス戦でもレッドどころかイエローにも行ったことないのに勝てるヤツいんの?

 

流石にこの75層のスカルリーパー相手にイエロー行かないなんてことはないだろうな?

 

 

 

ヒースクリフ……スカルリーパー………

 

 

ズキッ

 

 

 

「うっ」

 

「ショウ?」

 

 

なんだ、今のは?

頭に……痛み?というより、電流が走ったような?

 

 

「い、いや、なんでもない。これからあいつとも戦うのかと思うと億劫になっただけだ」

 

「確かにな、どう戦ったものかな」

 

 

正直、俺には勝てる見込みなんてないが、こいつなら勝てそうだよな。あっと驚くような方法でさ。てかキリトが負けるところなんて想像出来ない。いくら相手がヒースクリフとはいえ………負ける…………わけ……

 

 

ズキッ

 

 

「ぐっ!」

 

「おい、本当に大丈夫か?」

 

 

なんだってんだよ、どうなってやがる。ここは仮想空間だろ。痛みなんかないだろ。じゃあこれはなんなんだ。

 

 

「いやな、よくわからんが、"そのとき、ショウに電流が走る!!"って感じ」

 

 

コイツに隠し事してもバレそうだし、そうなると後が面倒だ。

 

 

「えーっと、つまりどういうことだ?」

 

「俺にもよくわからん」

 

 

自分でも何言ってんだと思うね。

 

 

「まぁ、大丈夫だろ。気にするな。それより、そろそろ始まるぞ」

 

 

疑うような視線を送ってくるが、こっちだってよくわからんのだ。たぶん大丈夫なんじゃねぇの?死にはしないだろ。

 

 

 

さて、開始と同時に仕掛けたのはジャッキー。レベルの程はわからないが、予想通りというか、なかなかの速さを持っている。と言っても、攻略組の中でも少し速いぐらいだが。

 

ジャッキーは低い体勢からの左水平切りを放つ。それに対してヒースクリフは盾を構えるのみだ。

 

激突

 

見事に攻撃が防がれたジャッキーは大きく体勢を左に崩した。その隙を見逃す相手ではない。一突きで決着を着けた。

 

 

『勝者、ヒースクリフ』

 

 

「流石というべきかね」

 

 

盾で防いで一突きで終わるという、一見、味気ない試合のように見える。しかし、体勢を崩すように防御していた。弾くのではなく受け流す形で。決して容易ではない。

 

 

「真横から来るやつをどうやって後ろに受け流すんだよ…」

 

「間を置いたら不利になりそうだな。体勢が崩されても、攻め続けた方がいいかもな」

 

「得意分野だな」

 

 

手数なら俺の独壇場だ。

 

 

「じゃあ、俺はそろそろ出番だから」

 

「おう、行ってこい」

 

 

キリトはそう言って試合へと向かう。間違っても負けるなよ。お前と戦いたいんだ。

 

ただね、リズとサチからの黄色い声援を受けるのを見ると負けて欲しいって思っちゃうよね。爆発しろ。

 

 

 

この大会も残りわずか──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方そのころ

 

 

「うおりゃあああああ!!」

 

 

無精髭を生やしたおっさんが1人勝ち進んでいたとかいないとか。

 

 

「俺様の扱い雑すぎだろ!!」

 

 

 

 






はい、ここまでです。

なかなかにとんでもな技をやってのけましたが、この小説はチートだし問題ないよね!!

そろそろホロウ編が近づいてきたな。
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