やばいスキルがついちゃった   作:ナストマト

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家畜ブーミリオンは酷いよね。
思わず笑っちゃったよ。




日常

 

 

迫りくる黒の剣をすんでのところで躱すと、間をいれずに白の剣が眼前に迫る。顔を逸らしてなんとか回避するが、躱しきれず頬を掠める。一旦距離をとりHPゲージを確認。げっ、割と削られてるな。よく今ので負けなかったな。

 

こっちの装甲は紙だからな。へたすりゃ今のでも決まるかもわからなかった。てかさ、大丈夫なの?俺ってば紙どころか卵の黄身程の防御力よ?キリトの攻撃まともに食らってHP残りますのん?

 

キリトとの一戦は開始から大きく展開した。俺が真正面からキリトに向かって行き、キリトがそれに反応し、片方の剣で防御、同時にもう片方の剣で攻撃というカウンターを仕掛けてきた。

 

ギリギリで回避したが、その隙をついて今度はキリトの方から二刀を活かしてタイミングをずらし攻撃してきた。これもなんとか躱すが、そんなこんなで攻撃を仕掛けても防戦一方となっている。こっちの攻撃もダメージはそこそこあっても威力はないからな。防がれたらどうしようもない。そこは武器の差だ。

 

なんだかなぁ、クラインは反応出来なかったっていうのに、アスナやらキリトやらはどうしてこうもあっさり対応してみせるのかね。対応できるなら、攻撃と防御を同時に出来るとか、汚い、流石二刀流汚い。

 

 

「ったく、これだからチーターは」

 

「ショウが言えたことじゃないよなそれ」

 

 

なんでや!ちょっと(ほとんど)AGIに振っただけやろ!

 

つっても、そのスピードが見切られてるんじゃ意味無いよな。さて、どうしたもんかいね。いくつか手はあるんだが、どれも確実性に欠けるものばかり。むしろ今のキリトなら防ぐことは容易いだろう。

 

…いや、1つあるか。勝てる見込みが大きいものが。でもなぁ、大丈夫かこれ。別に負けても何にもないんだけどさ、やるからには勝ちたいわけで。しょうもないことで負けがついたら困るんだが。

 

知ったこっちゃねぇや。やっちまえ、やらなきゃ可能性は出ないんだ。

 

でもその前に

 

 

「あー、キリトよ」

 

「どうした?」

 

「ちゃんと証言はしてくれよ?」

 

「?」

 

 

心配すんな、すぐにわかる。

 

地を蹴り出した瞬間には目の前にキリトがいる。周りにはほとんど消えたように見える(ってクラインが言ってた)だろうが、キリトはどういうわけかこれを見切る。そして俺の攻撃をギリギリまで引き寄せて防ぐ。

 

のが今までだが、今度はそうはいかんぞ。

 

右足を軸にして身体を旋回させる。その動きに合わせて青色の光が愛刀を包む。

 

下級ソードスキル《旋車》

 

キリトの顔が驚きと焦りと戸惑いが入り混じったような表情を浮かべる。そりゃそうだ、ソードスキルを使うことは禁じられているんだから。

 

 

 

でも、使っても発動はしなければいいんだろ?

 

 

 

回転を始め勢いが乗り、これからキリトに切り込まんとする所で無理やり力を入れ、さらに切り込む力を強くしようとする。すると、青色の光が徐々に萎んでいき、消えた。が、勢いはそのままに刀身はキリトへと向かっていく。

 

何とかガードしようと試みる、しかし盾として構えられた白の剣は今までのように弾くことなく、むしろ弾かれたのは自分の方だった。

 

大きく仰け反ってしまうキリトは先ほどとはまた違った意味での驚きの表情を浮かべる。

 

そこに俺は間髪入れずに一刀。阻むものは存在しない。勝敗を決するのにふさわしい一撃だった。

 

 

 

YOU WIN

 

 

 

踊る文字に踊る心。やった、やったぞ。ついに、キリトに勝ったんだ。

 

 

「しゃあおらぁ!! 見たかオイッ!!」

 

 

キリトを指差し高々と声を上げる。ハッハー!どんなもんじゃい!!貴様の時代はこれまでじゃい!! これからこの物語は俺が乗っ取った!!

次回から《Sho Art Online》でSAOじゃい!!

ブハハハハハハハハハ!!

 

 

《ショウ選手、失格です》

 

 

ですよねー。そうなりますよねー。見逃してくれないよねー。

 

理由なんて分かりきってるんだが、一応聞いておこうか。

 

 

「ええと、どうしてですか?」

 

《ソードスキルを発動したからです。この大会ではソードスキルは禁止されています》

 

「だってよキリト」

 

「……なるほどな、こういうことか」

 

 

そゆこと。

 

キリトは運営係の方を向き説明し始める。

 

 

「今のはソードスキルじゃない。いや、途中まではソードスキルだった、と言った方がいいか」

 

《…と、言うと?》

 

「途中でソードスキルをキャンセルしたんだ」

 

 

っていうわけですよ。

 

ソードスキルはシステムによる、あくまでもアシストだ。本人の動きを補助することが目的であるから、その本人がそれとは違った動きをしようとした時、システムアシストは適用されない。つまり、途中でのキャンセルが可能ということだ。ただし、システムにソードスキルが発動したと認知されてしまえばキャンセルは出来ないが。

 

前にソードスキルに合わせていいタイミングと強さで動作を行うと威力が上がるという話をしたが、あれは自身のソードスキルの動作に更にアシストが入ったことで威力が上がる。これの逆だ。発動しかけのところで動きを変える。

 

では、キャンセルにどういう意味があるのか。例えば、今回はソードスキルの動作を無理やり速めようとしてキャンセルした。が、途中まではアシストの効果で勢いがついている。その勢いはソードスキルに及ぶべくもないが、それでも普通の攻撃よりも威力高い攻撃を放つことが出来る。結果、キリトの剣を弾くに至ったというわけだ。

 

便利なように思えるが、勢いを元に威力を高めているらしいので、これを利用できるソードスキルは限られているのが難点か。

 

そして、もう一つ大きな要素がある。

 

 

「そもそも、ソードスキルだったなら硬直があるはず。でも、今のはなかった。それが何よりの証拠だ。どれほど下級のソードスキルでもスキル後の硬直はあるからな」

 

 

スキル硬直の排除。これが非常に大きい。ある程度の威力を持ちながらも硬直が存在しないとか、これをもっと磨けば、ソードスキルに近しい威力を持ちつつ硬直無しで攻撃が放てるという、夢のようなことが可能になるかもしれない。特に俺の抜刀術は硬直が長いからな。

 

 

「つーことよ。決してソードスキルを発動したわけじゃない。対戦相手もこう証言してるんだから別にいいだろ」

 

《…わかりました、認めましょう。勝者、ショウ選手》

 

《ワーワーオメデト-スゲェ-カッコヨカッタゼ-チ-タ-ヤ!!ワーワー》

 

 

うむ、こうして祝福されるのも悪くないな。なんかモヤっとボールが混じってた気がするけど。

 

 

「負けたよ」

 

 

キリトが話かけてくる。

 

 

「いやいや、反則ギリギリだし。そうしなきゃ勝てなかったんだからどっこいどっこいだろ」

 

「そうかもな、でもいつかショウには負けると思ってた」

 

「あん?」

 

「第1層で初めて一緒に戦った時から、センスはずば抜けてると思ってた。すぐにβテスターのアドバンテージなんか無くなってたし、どんどん成長するショウを見て、どこまで強くなるのか楽しみだった」

 

「なんか上から目線だなオイ」

 

「そんなことないよ。でも、だからこそ負けたのは納得できるというか、清々しい」

 

 

原作のアスナの時といいアリシゼーションのユージオの時といい、こいつは純粋に成長を楽しめるんだな。それがキリトのいい所だ。

 

 

「…俺は、キリトが目標だった」

 

「え?」

 

「ずっと前からお前みたいに強くなりたいと、だから最初は片手剣を使っていたし、技を盗もうと躍起になった」

 

 

ずっと憧れていた。強く優しいその姿に。自分もいつかああなりたいと。原作を読んでいた時から、ずっと。

 

 

でも

 

 

「でも、俺は強くなれなかった。精神的にも、ステータス的にも」

 

 

俺はキリトみたいにはなれない。

 

 

「そんなことない」

 

「ああ、そう言ってくれるだろうな。優しいお前なら。でもな、自分のことは自分がよくわかってる。俺は強くなんかなかった」

 

 

だけど

 

 

「そう思ってた、今まではな」

 

 

それがどうした

 

 

「今は強い。確かな力がある」

 

 

俺がキリトになる必要なんてない。

 

俺は俺だ。

 

俺がやりたいようにやる。

 

だから

 

 

「守れるもんは全部守ってやるよ」

 

 

お前も含めてな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果は俺の優勝で終わった。それも全勝で。しかし、そのうち1勝は不戦勝だ。ヒースクリフが俺と戦う際に棄権し、決闘を辞退したのだ。曰く「勝てる気がしないから」だそうだ。

 

いやいや、何言うてますの。アンタそれでも俺以外に全勝じゃないすか。不可解ではあったけどな。

 

アスナの時もそうだが、キリトの時も同じように回避できないはずの攻撃を躱し、その隙を突いた形での勝利となった。また、これも同じように頭に違和感があった。何なんだよ一体。ようやっと75層までたどり着いて体調が悪いから攻略辞退しますなんて許されないぞ。

 

まぁ、てなわけで順位は1位俺、2位ヒースクリフ、3位キリト、4位アスナ、5位クライン(誰コイツ)となった。いやー、どれもいい勝負だったな。特にアスナとの一戦は本当にいい戦いだった。みんなもそう思うでしょ。え、そんな描写ない?考えるな、感じるんだ。

 

で、全ての進行が終わって軽く表彰されて家に帰ったわけですが

 

 

「つかれた〜」

 

「私も〜」

 

 

2人してベッドにバタンキュー。いや流石に疲れるわ。いくら攻略が待ってるからって2日で全部終わらせなくてもいいだろ。

 

本選なんかほとんど休憩なしでやるんだぜ? いや、それ自体は別にいいんだ。いつもの攻略と変わらんから。問題は相手だ。あんな強い奴らと一気にやるって何なのよ。どんなボスラッシュだよ。体力もそうだけど精神力も削れるわ。あ、仮想世界だからどっちも精神力か。俺ってばうっかりさん。アハハ、どっちでもいいよ。

 

いかん、あまりの疲れに思考がおかしなことになってる。もぅマヂ無理。寝よ…。

 

 

「すまん寝る。飯食えん」

 

「私も寝ていいかな。ユイちゃん、お腹空いた?」

 

「ううん、大丈夫」

 

「そう。ごめんね、ママたちちょっと疲れちゃったからもう寝るね」

 

「私も寝る!」

 

 

ボフンとベッドに飛び込んで来る。元気でいいね。でもそれで寝れるのん?

 

いわゆる川の字になってみんなで寝る。今となっては当たり前のことになったが、当たり前を当たり前と思ってはいけない。特にこんな世界では。

 

ほのぼのとした日常でも突如として破滅を迎えることもある。大切なものは無くして初めて気づくとは誰の言葉だったか。だからこそ尊ぶべきものなのだ。無くす前に気づくべきなのだ。

 

横に眠るアスナとユイを見る。2人とも早くも夢の中へフルダイブ中のようだ。はええな、ユイなんかさっきまで元気100倍アンパンマンだったじゃん。子どもは寝るのが早いね。

 

さて、こんな日常に感謝しつつ、俺も寝るとしますか。

 

 

「おやすみ」

 

 






はい、ここまでです。

話の大筋は出来ているんですが、それを文章にするスキルが足りないんですよねぇ。不足……圧倒的不足……ッ!!

ホロウ編は来年ですかね、そっちは全く話を決めてないので、ゲームをやり直してある程度決めておかないとなのですよ。もし書いて欲しいイベントがあれば受け付けますよ(書くとは言ってない)。
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