ナストマトから小説の贈り物だよ!!
え、予定はないのかって?
喧嘩売ってんのかゴラァ!!(`;ω;´)
流石、75層というクォーターエリアだけあってモブも今までと比べて強くなっている。しかしそれはここまで生き抜いてきた攻略組。犠牲者を出すこともなく難なく攻略が進んだ。
スムーズに進んだ要因としてはギルド、プレイヤーそれぞれの間での情報共有が挙げられる。血盟騎士団と聖龍連合の仲も悪くないし(少なくとも上の方は)、2大勢力が協力関係にあるなら得られる情報量も膨大になる。ほんと、ディアベル様々だな。原作とは大違いだぜ。
俺はキリト、クライン、アスナとのパーティで攻略を進めた。1人でも良かったんだが、キリトが流石にここは一人じゃ危ないと有無を言わさないような迫力で言ってきたのでパーティを組むことになった。クラインとアスナは何故かついてきた。お前らギルドあるじゃんよ。
てなわけで攻略を進めてきたわけだが、75層攻略を開始して数日、とうとうボス部屋までたどり着いたのだった。
今までのボス部屋の扉と比べて威圧感が段違いだ。クォーターボスだという先入観もあるのだろうが、それにしても身体にくる。が、ここを突破しなければゲームクリアは出来ない。今はまだその時ではないが……
待ってろよ、必ずぶっ倒してやる。
その帰り際にディアベルたちに会ったので、ボス部屋を見つけたことを伝えた。どうやら見つけたのは俺たちが最初らしい。モヤッとボールが『またお前らかい!なんでや!』という悔しがっていたのが凄く気持ちよかったです。ざまぁ(笑)
ディアベルにマップ情報を渡す(この階層で四の五の言ってられないから無料で)と同時に、あのことを注意をしておく。
「中には入るなよ」
「どうしてだい?」
「最後のクォーターエリアだ。一度入ったら出られないなんてことも考えられる。もし偵察がしたいなら、その可能性を考慮して全員で覚悟を決めて行くべきだ」
偵察部隊の数人でも、死なすことは出来ない。救えるなら救う。
「なるほど、それも勘かい?」
「まぁな」
「わかった、入らないようにしよう。でも、マッピングはさせてもらうよ」
「ああ、もちろん俺たちにも情報はくれるよな?」
「当然だよ」
交渉成立。もしかしたらクエストで行くことになる場所があるかもしれないからな。ボス部屋までの道のりだけが大事という訳ではないのだ。
その後はクエストをしたりレベリングしたりして数日を過ごした。……それだけだよ?特別描写することもないよ?強いていうならクラインがクエストの時に可愛いNPCの女の子にフラれたってことぐらい。クラインだから問題ないよね!
で、そんなことしてたもんだからLv.がね、上がるわけですよ。もう忘れられてるかもだけどスキルの恩恵によって経験値ブーストがかかってるんです。
今のLv.はいくつなんだって?
112
やばいよね。もう原作のキリト超えてるんじゃないかな。それにしても112の3で割れそう感は異常。
さて、余談はここまでにしよう。
ボス部屋が見つかって数日後の今日、ボス攻略会議が開かれる。そう、数日だ。いつもなら、ボス部屋が見つかれば次の日には攻略会議が行われるのだが、今回はその限りではない。俺の忠告を聞いたディアベルが、準備のために時間を設けたのだ。
といっても、その準備というのも、覚悟を決めるための時間なのだが。
クォーターボス、死者が出ないわけがない。現に今までのクォーターボス戦では死者が出ていた。それが今度は自分でない保証なんてどこにもない。悔いのないように、友人や家族に別れを告げる者もいれば、ただ1人今までを振り返る者もいる。
全ては後悔しないように。自分だけでなく、置いていくことになる人にも。そして戦い抜くための覚悟を決める。
後ろ向きといえばそうなるかもしれない。しかし、入ったら最後、部屋から出ることは出来ないのだ。後ろに行くことは出来ない。ならば、前を向くしかない。その時に必要なものこそ覚悟なのだ。
「みんな、よく集まってくれた」
ディアベルが広場に集まる猛者たちに声をかける。
「先日、ついに75層のボス部屋が発見された。ただ、前にも話したように部屋から出られなくなる可能性がある。だからこそ、偵察部隊は出せない。ファーストアタックがラストアタックだと思ってくれ」
部屋から出られなくなることを疑うような声は出ない。これも、人望のなせる技か。
「不安だろうと思う。だが、情報がない訳じゃない」
その言葉に少しざわつく。それを気に止めず、ボス《スカルリーパー》について話し始めた。
事前にディアベルには《スカルリーパー》について知りうる限りの情報を教えてある。と言っても、見た目と武器、ほんの少しの特徴を伝えただけだ。
今までは偵察部隊が出ていたから口は出さなかったが、今回は違う。何の情報も無しに挑むよりは、少しでも情報があった方がいい。
ただ、俺が知ってるのは所詮原作知識。毎度のことだが、この世界では違っている可能性がある。だから、ディアベルには半信半疑で聞いてくれと頼んだ。どこで情報を手に入れたのかと聞かれた時ははぐらかすしかなかったが。
ボス情報を話し終えたディアベルも真偽のほどはわからないから頭に留めるだけにしておいてくれと最後に付け加えた。ただ、それだけでも生存率はかなり変わる。
「攻略法は、タンクとアタッカーの混成パーティで対応する。さっきの情報通りなら、一撃で屠られる可能性もある。決して1人では行動しないように」
そんな所だろうな。それ以外にどうしようもない。
「今回はショウさんもパーティに加わってもらう」
「はいよ」
基本的に俺は1人だったからな。その方が動きやすかったからそうしてきたが、今回に限っては情報も少ないしな。むしろちょこまか動く方が危険だろう。
てか、あれ?もしかしてボス戦でパーティ組むのって初めてじゃね?今になって気づいた事実。謎の感動で涙が出てくるね。てかずっと1人だった自分に泣ける。
「私が組むとしよう」
で、なんでお前なんだよヒースクリフ。
「他の奴に付いてろよ」
「君の動きについていけるタンクがいればそれでも構わないが」
「俺が合わせればいいだけだろ」
「それで勝てると思っているのかね?」
「あん?」
どうしたってんだ?普段からこんなに突っかかってくるやつだったか?
「それで生き残れるとでも思っているのなら、それは思い上がりに過ぎない。周りを気にする余裕などないはずだ」
「お前は余裕あんのかよ」
「少なくとも、アタッカーに比べたらね」
「そりゃそうだが…」
「ショウさん」
ディアベルが間に入ってくる。
「君には今回もヘイトを稼ぐ役回りに付いてもらう。俺としてもヒースクリフさんに組んでもらいたい」
「お前もかよ」
「お互いのためだよ」
「…はぁ、はいはい。わかりましたよ」
そんなに真剣に言われたら引くしかねえじゃねぇか。心配してくれんのはありがたいけどよ。俺としては別のやつに付いてもらって、そっちを守って欲しかったんだがな。こうなったなら、俺が役割を十二分に果たすまでだな。それが被害を最小に防ぐ最良の手段だ。
その後、各自パーティを作り、会議はお開きとなった。解散した瞬間から緊張感がより高まったように感じる。いよいよボス戦が近づいているんだという実感からだろうか。
それはキリトたちも例外ではない。いつにも増して険しい表情を浮かべている。そして、会話を交わすことなくそれぞれ散らばっていく。
「帰るか」
「うん」
アスナと共に帰路につく。俺たちも明日に備えるとしよう。
家に着いても、俺とアスナの間に会話は無かった。俺は何をするでもなく、ただボーッとしていた。アスナも椅子に座って何を考えているのか、心ここにあらずだ。ユイも空気を読んでいるのかアスナの膝の上で静かにしている。
いよいよ決戦だとわかってはいるが、いつもと気分が違う。なんだろう、自分の存在が感じられないような、そんな感覚。死にに行く人はこんな感じなのだろうか。自殺しかり神風特攻しかり。生きているはずなのに希薄に感じる。
何故かなんてのはわかりきってる。スカルリーパー相手という強大な相手に臆しているからだ。原作を知っているだけにその強さがわかる。知らない方が良かったのかもしれないな。どうしても、死のイメージが浮かんでしまう。
なんなら、俺は一度死んでいるかもしれないのだ。トラックに轢かれた瞬間は今でも思い出せる。あれが死ぬ感覚というならそれに似ている。
もちろん、負けるつもりなんてないんだが、確証なんてないからな。あーもう、ウジウジしてんじゃねぇよ。俺らしくもない。
「……っと、もうこんな時間か。そろそろ寝ないとな」
「あ、うん…そうだね」
いつの間にかけっこうな時間になっていた。明日のこともある。早く寝ないとな。体調管理もまた戦いの一つだ。
「ユイも寝よう。ほらおいで」
「あ、あの……っ!」
「ん?」
娘に一緒に寝ようと手招いたら止められたでござるの巻。やだ、反抗期?パパ悲しい。
よし、いつもの調子に戻ってきたな。
「ちょっと話したいことが…あって」
「おう、なんだね。言ってみなさい。お小遣いか?いいだろう、家2件分くらいあげちゃう」
「そうじゃなくて…えっと……」
……こりゃ茶化せる雰囲気じゃないな。
「それ俺だけか?ママも必要か?」
「うん」
「アスナ」
「わかった」
「ほれ、ユイはこっちだ」
「わっ!」
アスナを向かい側に座らせてユイを俺の膝の上に乗せる。決して、一緒に寝るのを止められたからではない。さ、寂しくなんてないんだからね!
「パパ?」
「何でも言ってみなさいな。俺たちはちゃんと聞いてやるからよ」
「うん、そうだよユイちゃん」
「でも…」
ここまで渋るユイを見るのは初めてだな。それほどまでに言いにくいことなのか。でもな、それはそれで悲しいもんだ。
「なぁ、ユイよ。親にとって子に気を使われるって言うのは悲しいもんだぜ? 何を言おうとしてるのかはわからないが、俺たちに遠慮してるってのはなんとなくわかる」
「……」
「話さないならそれでもいいさ。でもな、これだけは覚えておいてくれよ」
「何があっても、俺たちは家族だってな」
「…っ!」
わからんとは言ったけど、言おうとしてることはなんとなくわかる。とはいえ、言えることではないから誤魔化したが。それでも、これだけは伝えたかった。後押しとかそういう意図はない。ただ、思ったことを伝えただけ。
「…ありがとう、パパ。あのね──」
そうしてユイが語ったのは自分がプレイヤーではないということ。MHCPというプログラムであり、実際に存在している人間のようにフルダイブしているわけではないのだと。つまり、データに過ぎないのだと。
カウンセリングする立場にありながら、ゲームが開始してからプレイヤーに接触することが出来ず、その矛盾がバグとなって蓄積していったのだと。
ユイが話そうとしていたことはこのことだったのだ。ユイが渋ることといえばこれぐらいだろうとは思っていたから予想通りではあったが、素直に話してくれて俺は嬉しいよ。
ここまでは原作と同じだ。だが、ここからが違う。バグの蓄積により崩壊仕掛けたそんな時、以前、監視していたプレイヤーの感情に変化があったことに気がついたのだという。
「そのプレイヤーがショウさんです」
「俺か? あ、その前にパパでいいぞ。てかパパにしてください。お願いします」
「…いいんですか?」
「もちろんだ、敬語じゃなくてもいいぞ」
「えへへ、ありがとうございます、パパ!でも敬語の方が話しやすいのでそのままで話しますね」
「こっちこそありがとう、嫌われたのかと思った。いやマジで」
「気持ちはわかるけど茶化さないの。大事な話をしてるんだから。あ、私もママでいいからね」
「お前も同じじゃねえか…。それで、俺がどうしたって?」
「はい。その、パパの傷に少し触れることになりますが…」
「構わんさ。それも背負って俺は生きていくことにしたんだ」
「わかりました。昔、パパはサラさんを亡くしてから、それは酷い精神状態でした。枯木の小枝のように、何かあればすぐに折れてしまいそうなくらいに」
自分でもそう思う。よく自殺しなかったもんだ。
「励まされて再び戦うようになった後も、少し持ち直しはしたものの、依然として脆いままでした。そんな時に月夜の黒猫団に入ったんです」
「ああ、あの時はキリトに無理やり誘われてな」
「月夜の黒猫団で過ごしていくうちに、少しずつですが、精神状態が回復していきました。恐らくキリトさんは、パパを心配して誘ったんだと思いますよ」
「だろうな、その点は感謝してる。気づいたのはそうとう後になってからだけどな」
「それから、シリカさんとの時もそうでした。その時は一気に回復しました」
「そうなのか、自分じゃよくわからんもんだな」
「そういえばシリカちゃんとの馴れ初めを聞いてなかったわね」
「馴れ初めって、仲のいい友達だろ。まぁ今度話すよ。好き好んで話すことでもないからな」
「それからは安定した状態が続きました。モニタリングしていて、ここまで持ち直した人はパパ以外にはいませんでした」
「みんなのおかげだな。俺が強いわけじゃない」
正直、死ぬことすら考えなかったからな。もし誰も声をかけてくれなかったら、あのまま1人ただ生きながらえる人形のようになっていたに違いない。想像するだけで恐ろしい。改めて感謝だ。
「ママともいい関係を築いていたようですし、安心していました。もう大丈夫だと」
「いい関係って……あの時はそんなんじゃ──」
「仲良くやってたわよねー、ショウ君?」
「ハイ、ナカヨクヤッテマシタ」
修羅が見えたぜ…俺の言葉を即座に叩き切るとは、これが噂の一刀修羅か……ッ!!
「ですが…再び大きく精神状態が崩れてしまうことになります」
「……ああ」
ラフィンコフィンの一件だな。
「見ていられませんでした。モニタリングしか出来ることのない立場にありながら、再び崩れていく様を、私は…」
「ユイちゃん…」
「その時、私は思いました。助けてあげたい。この人を。だから私はここに来たんです」
「…そうだったのか」
俺のために、システムの壁を乗り越えてまで来てくれたのか。ああ、幸せ者だな。俺ってやつは。
「無理やり来てしまったのと、蓄積してきたバグの影響で記憶を失ってしまいました。それでも、コンソールに触れて記憶を取り戻すことが出来ました」
ああ、そういえば触れていたような触れていなかったような。てかそうか、コンソールで記憶を取り戻してたんだっけな。すっかり忘れてた。
「今まで言い出すことが出来ませんでした。本当にごめんなさい」
「謝る必要なんかねぇよ」
「え?」
「むしろ感謝してる。記憶を無くしてまでオレを助けに来てくれたんだ。感謝こそすれ、謝られる筋合いなんてない。むしろ謝らせたことに謝るわ。悪かった」
「えっ、えっ?」
「いやいや、なんで咎めると思ったんだよ」
「だって、私は隠し事をしていて…」
「さっきも言ったろ。何があっても、俺たちは家族だ」
「あっ…」
「隠し事?そんなの誰にだってある。俺だって、アスナにだって沢山あるさ。恥じるような事じゃない。人として当たり前のことだ。だから気にすんなよ」
なんなら俺は、経験値5倍なんていうどでかい爆弾を抱えているしな。チート過ぎんだよこいつ。
「ねえユイちゃん、どうして話そうと思ったの?」
それは、俺も気になっていた。
「その…隠したままは嫌だったから…です」
「……そうか」
何気ない言葉。しかし、その言葉の裏を読み取ってしまった。
このタイミングで言う意味。それは、俺たちが死んでしまうことを考えてのことだろう。自分のことを隠したまま、何も言わずに別れるより、せめて自分のことを知ってもらいたい。そういうことなんだろう。
「ありがとな、話してくれて」
「いえ、そんな」
「でもな、俺たちの家はここだ」
「え?」
「勝手にいなくなったりしねぇよ。だから、安心しろ。な、アスナ」
「うん。ボスを倒して、絶対に帰ってくるから。だから待ってて。ユイちゃん」
やっぱりアスナもわかってたか。見ろよユイ、ちゃんとお前のことを理解してるんだぜ。だからよ、1人で悩んでんなよ。子どもは親に甘えろ。応えてやるからさ。
「…はい!! 必ず、帰ってきて下さい!! 待ってますから!!」
浮かぶ笑顔のその目尻には、確かな光るものがあった。
ただのプログラムが気を使ったり涙を浮かべたりするか?お前も俺も同じだよ。この世界に生きている者の1人だ。それになんの変わりもない。
前を向くには覚悟が必要だと言った。これもまた、一つの覚悟の形。ユイの、ユイなりの覚悟だ。
なら、俺は?
俺には、覚悟があるのか?
あるじゃないか、目の前に。
帰ってくると約束したからな。
それだけで十分。
理由なんて何でもいいんだ。
戦えるだけの理由があればそれでいい。
「んじゃ、寝るか」
「はい!! あの、手を繋いでも寝ても、いいですか?」
「フフッ、もちろん」
「恥ずかしいなそれ」
この関係を、俺も気に入ってるからな。今日で終わりになんかしねぇよ。してたまるか。
必ず生きて………生きて帰るんだ。
はい、ここまでです。
やっぱりシリアスは筆者には似合わないね。どうしてもふざけたくなっちゃう(笑)
ところで皆さん、クリスマスはいかがお過ごしですか?
彼氏彼女と出かけるとか言った人、抜刀術で叩き斬るんで覚悟してください。
筆者は……そうですね、1人でカラオケに行ってシングルベッドとかいつかのメリークリスマスとかでも歌いますかね。ははっ。
_| ̄|○ ハァ‥