やばいスキルがついちゃった   作:ナストマト

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筆者 「さーて、そろそろ書き終わるかな〜」カチカチ

書き溜めたデータ 『さよならやで』

筆者 「」

書き留めたデータ 『ちゃんと保存せんからあかんねや』

筆者 「」


てなわけでデータが全て吹っ飛んで2週間ほど遅れました。へへっ、笑えよ。7000字ほどが一瞬にしてパーだぜ……




来訪

 

 

「……んあ?」

 

 

不意に目を覚ました。今は何時だろうか。外が明るくなっていないところを見るとまだ早い時間か。俺を挟むように抱きついて眠るアスナとユイ(誓って言っておくが何もしてないからな)を優しく退かして時間を確認するとAM4時になろうかというところ。

 

いかんな、完全に目が覚めてしまった。1度夜中に起きるとなかなか眠れないよね。あれ本当にやめて欲しい。最近夜中に目が覚めてちゃんと睡眠が取れてないって筆者が言ってた(実話)。

 

さてどうしようか。もう1度眠れはしないだろうしな。……そうだな、せっかくだし夜風でも当たりに行こうか。ついでに刀を振ってこよう。2人を起こさないようにゆっくりと部屋を出る。

 

俺が寝ていた部屋は新たに76層に開いたエギルの店の2階にある。2階には寝室が複数ある、といっても客を泊めるようなことはなく、部屋が無くなった俺たちのために用意してくれたそうだ。エギルさん流石っス、マジリスペクトっス。

 

1階は商店兼BARになっていて、商品売買だけでなく幾つか設置されているテーブル席とカウンター席で食事を楽しむことも出来る。因みに、この間シリカに正座させられそうになったのはこの1階のど真ん中であり、ここじゃ邪魔になるだろうがとエギルに2階に追い出されたのはどうでもいい話。

 

降りた1階には当然だが誰もいない。そのまま外に出ると、仄かな街灯の灯りと静寂が辺りを包む。未だ浮かぶ月は星々を従え、自己を主張するように燦々と道を照らす。いい月だ、歌人が詠みたくなる気持ちもわかる。マイクロウェーブが来てもおかしくない。

 

ほんのりと肌に当たる風がまた心地いい。うん、たまにはこういうのも悪くな───。

 

 

「あら、こんな時間にどうしたのかしら?」

 

「うぇい!?」

 

 

唐突に声をかけられた。アィエエエエ!?ヒト、ヒトナンデ!?ビビった、マジでビビった!?

 

 

「……そんなに驚かれると傷つくんだけど」

 

 

……なんだ、お前か。ビビらせんな。いやマジでやめてください心臓に悪い。

 

エギルの店には隣接して外にテラスがある。その向かいにはちょっとした噴水広場があり、そこに設けられたベンチに彼女は座っていた。仏頂面を浮かべながら。

 

 

「あ、いや、悪い。誰もいないと思ってたから」

 

「ふーん、まあいいわ」

 

「どうしたんだこんな時間に?」

 

「ちょっと眠れなくて……あんたは?」

 

「目が覚めちまってな。せっかくだし散歩でもしようと」

 

「そう……、ねぇ、それなら私の練習に付き合ってくれない?」

 

「いいけど……前も言ったが、別にお前が戦う必要は無いんだぞ?」

 

「嫌よ、いつまでも守られてるなんて、そんなの自分が許せない」

 

「そうかい、なら俺はもう何も言わんよ」

 

「ありがとう」

 

 

その気持ちはわかるからな。

 

 

「ここじゃ目立つし裏の方に行くか。人気のない広場があるんだ」

 

「ええ、そこでいいわ」

 

「……あっさり了承するんだな。いいのか、俺も男なんだぜ?」

 

 

襲っちゃうぞゲヘヘ。スタイルも顔もいいしな。誘ってんのかおい。教えてやろう、時に男は狼になるんだぜ。弁当争奪戦にでも行きたくなるな。ともかく、襲われても文句は言えないよなぁ?

 

 

「いいのよ、何かしたらアスナに言うから」

 

「安心しろ、絶対に何もしない。さくせん、いのちをだいじに」

 

「あんたはアスナをなんだと思ってるのよ……」

 

 

女の子を襲うなんて最低だと思います。そんなのクズのやることだ。俺?俺はいいんだよ。どうせ出来やしないんだから。システム的にも性格的にも。あれ、何か自分で言ってて悲しくなってきた。

 

 

「んじゃ行くか」

 

「ええ」

 

 

誘導する俺の後ろについてくる彼女。クールな表情だがその目には燃えるものが見える。やる気はあるみたいだが、俺としてはあんまり無理はしないで欲しいというのが本音だ。

 

最近知り合ったばかりだが、軽口を叩ける程度には仲は悪くない……と思っている。それだけに強くなりたいと言うのであれば協力はしたいとは思うんだが……。

 

彼女は少しばかり事情があり、レベルが低い。聴いたところによるとLv.70だという。ここ76層でやっていくにははっきり言って厳しい。

 

では、そんな彼女は誰であり、どうして知り合ったのか。全ては1週間前に遡る。

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

 

アインクラッドに帰還しシリカに正座させられた日の翌日、《ホロウ・エリア》に案内するべくキリトとクラインとシリカとユイを連れて転移門へと向かった。

 

他の面子は用事があるので残念ながら来れないとのこと。仕方ないね。

 

 

「よっしゃ、オレ様から行かせてもらうぜ!転移《ホロウ・エリア》!」

 

 

転移門に着くやいなや先走るクライン。やっぱ男なら冒険に憧れるよなぁ。わかるわかる。でも先走ったから後で飯奢らせよう。別に怒ってないよ? 俺が先に行きたかったとかないよ?

 

転移先を告げると光に包まれていくクライン。そんなことより優しさに包まれて欲しい。きっと目に映る全てのことがメッセージになるのに。

 

そういえばフィリアに連絡してなかったな。まぁ今回は攻略に出るわけじゃないし別にいいだろ。もし向こうにいたら、いきなり変なおっさんが現れて驚いたりしてな。はは、それも面白いな。ぜひとも反応を見てみたいものだ。

 

なんて考えていると消えゆく光の中から変なおっさんが現れた。……はい?

 

 

「……あら?」

 

 

定説、クラインだった。

 

 

「なにしてんのお前?」

 

「おっかしいな……ええい、もう一度だ!転移《ホロウ・エリア》!」

 

 

またしても光に包まれていくクライン。今度こそ行ったか。と思いきや、再びそこに立ち尽くしてるクラインが現れた。んー?

 

 

「なぁショウの助よ、本当に《ホロウ・エリア》で合ってるんだよな?」

 

「そのはずだが……今度は俺が行ってみる」

 

 

クラインと入れ替わり、転移門に立つ。

 

 

「転移《ホロウ・エリア》」

 

 

視界が白く染まっていき色を取り戻した時、目の前の景色は変わっていた。眼前に広がるは文字の波、モニター、コンソール。

 

 

「行けるじゃん」

 

 

なぜクラインは行けなかったんだ? これもバグか? 76層より下に行けなくなっているし、同じようなバグなのだろうか。じゃあ何で俺だけ? それとも権限とやらが無いとここには来れないのだろうか。しかしフィリアには俺のような紋様なんてないし……。

 

うーん、よくわからんな。とりあえず俺はここに来れるということがわかった。それと、アインクラッドからの転移先はここで固定だと思うが、逆にこっちから77層より上には行けるのだろうか。この間帰った時には行き先を伝えず転移としか言っていなかった。その結果76層主街区《アークソフィア》に転移したのだからこちらも固定なのだろうか。まぁそれはおいおい確認するとしよう。今はどうしようもないし。

 

そういえばフィリアは……いないのか。軽く挨拶くらいと思ったが、アイツも帰ったのかな。ならそのうち向こうで会え──

 

待てよ?

 

現状こっちからの転移先は《アークソフィア》、つまり圏内だ。圏内にオレンジプレイヤーが入ると鬼の様に強いガーディアンが現れオレンジプレイヤーに襲いかかってくる。そしてフィリアはオレンジ。ってことは。

 

 

 

「アイツ帰れないじゃん」

 

 

今更気づいた事実。なら、まだ圏内のあるこっちにいた方がいい。あ、だから昨日フィリアは帰らなかったのか。俺と一緒に帰るのが嫌だった訳じゃ無いのね。よかったよかった(感涙)。

 

じゃあショップがあるかもわからないこの場所でアイツはアイテムをどうやって補充してるんだ。まさかダンジョンだけで賄ってるとか? マジかよ、宝箱なんて限られてるんだ、ポーションとか絶対に枯渇するだろ。

 

……おっと、少し長居し過ぎたか。クラインたちを待たせてるし、とりあえず帰ろう。その前に少ないが手持ちのポーションを置いていこう。どうぞ使ってくださいな。ってか使ってマジで。心配になるから。オブジェクト化して……よしOK。

 

さて、帰りますか。

 

 

「転移」

 

 

今度からアイテムおすそ分けしてあげようと心に心に誓いつつ、俺は《ホロウ・エリア》を後にするのだった。

 

 

 

 

アークソフィアに戻った後、俺たちはいくつか実験を試みた。結果から言おう。キリトたちも《ホロウ・エリア》に行くことが出来た。

 

しかし、1人では先ほどのクラインのように行けず、俺が連れていかなければならない。しかも連れていけるのは1人まで。俺が何回も往復すればいいじゃんと思うかもしれないが、何の力が働いているのか、1人を《ホロウ・エリア》に連れていくと、どうしてももう1人以上を連れていくことが出来なくなるのだ。

 

 

「ユイ、どういうことなんだ?」

 

「……わかりません。ですが、今のカーディナルシステムに大きな負荷がかかっています。もしかしたらそれが影響しているのかもしれません」

 

「負荷?」

 

「はい。すみません、負荷の原因まではわからなくて……今の私はシステム権限を失っていますから」

 

「いやいいよ、しょうがない」

 

「えへへ……」

 

 

ポンと頭に手を置き撫でてやる。くすぐったそうにしながらも満更ではないようで、はにかんでいる。うん、可愛い。

 

負荷ねぇ、行ける行けないではなく、そもそも俺が飛ばされた原因がそれだったりしてな。

 

それともヒースクリフ、いや、茅場晶彦のせいなのか? とりあえず茅場のせいにしとけばいいや。全ては茅場に通ず。

 

 

「それにしても面白そうな所だったな。時間がある時でいいから連れてきてくれないか?」

 

「何言ってんだキリト、最初からそのつもりだっての」

 

「楽しみにしてるよ」

 

 

てかむしろついてきてください。あそこ妙に強いやつがゴロゴロしてるからさ。フィリアと2人だけだときつい場所があるし、人数が多い方が心強い。それにレベリングにもなるしな。悪いことは何も無い。

 

さてと、《ホロウ・エリア》のことはこれぐらいにしとくか。俺たちはやらなきゃならんことがあるしな。

 

 

「そんじゃ攻略に行くか」

 

 

攻略。俺たちは攻略組が果たさなければならない使命といってもいい。スカルリーパーとの戦いから間もない今現在、再編は完了していないらしい。だがそれでも攻略は進めなければならない。

 

まして、自分で言うのもなんだが、崇められていた四天王のうちの1人、ヒースクリフが茅場晶彦だとわかり、それを倒したにも関わらずクリアがされていない。その情報は既に下層へと伝わっている。信頼していた強者のうちの1人がラスボスとなっていたのだ、混乱はあるだろう。

 

だからこそ、進んでいかなければならない。希望を見せること、それは攻略組の役目でもある。一刻も早くクリアすることがプレイヤーの願いなのだから。

 

その前にアイテム補充しないとな。フィリアにも分けたし、手持ちが全くない。

 

 

「キリト、どこかショップはないか?」

 

「ああ、それなら──」

 

「あの……」

 

 

とシリカが恐る恐ると言った感じに声をかけた。が、俺たちに意識が行っているわけではないようで、空を見上げていた。

 

 

「どした?」

 

「何でしょうか、アレ?」

 

 

と言って空を指さすシリカ。アレ? アレって何だよ!? アレって言ったら決まってんだろ、合体だ!! なんて天元突破なやり取りは一切なかった。ゴホン、気を取り直して、シリカの指さした方向を見上げる。

 

 

「んー……!?」

 

 

見れば空に……いや、空間に穴が空いていた。何だよアレ……。目から放たれた光は吸い込まれ帰って来ず、目に映し出すのはただ暗闇。さながらグランゾンのワームホールのような。それにしてもサイバスターのカッコよさは異常。

 

 

「なんだ……アレ……」

 

「あっ!?」

 

 

シリカが叫ぶのも無理はない。突如として現れた穴から何かが姿を現し始めたのだ。最初に見えたのは緑色、その後手や足、顔のようなものが見え始め、そこでようやく緑が服の色だったとわかる。そして重要なのはその物体の形。

 

あれ人間じゃね?

 

アィエエエエ!? ヒト、ヒトナンデ!?

いや本当になんでだよ。人が現れたということは一種の転移装置なのか? しかし、あんなの今まで見たことがないぞ。

 

全ての姿が現れた時、穴と人間との繋がりは断たれ、穴から真っ逆さまに落下し始めた。堕ちたな(確信)。

 

何て言ってる場合じゃねぇ!?

 

落ちてる!?落ちてるよ!? 地面に向かってI can flyしてるよ!? フォーリンラブでラヴイズオーヴァーだよ!?

 

 

「くっ!」

 

 

一目散にキリトが駆け出す。地面に落ちても圏内だしダメージは無いだろうが、あまりにもイレギュラーが多くなってる今、果たしてその常識も通用するかどうか怪しい。もしかしたらとんでもないダメージを食らうかもしれない。実際に落ちたら痛いし。

 

まぁそれ以前に人助けなんだろうな、キリトは。ダメージがどうこうなんて考えていないだろう。ただ危ないから助ける。それがキリトってやつだ。しかし、キリトの足と距離、落下速度を考えると間に合わない。地面と壊れるほど愛し合うことになるだろう。

 

だから俺は走るのだ。蹴り出した瞬間に景色は後ろへと吹っ飛ぶ。キリトとすれ違いざまに視線を交わす。任せておけって、伊達にAGIを鍛えてないってな。

 

余裕を持って落下地点へと入り捕球(人)体勢。オーライオーライ。

 

 

「よっ……と」

 

 

衝撃を和らげ優しくキャッチする。うおっ、柔らか。顔を見てみれば見れば女性で、気を失っているのか目は閉じられていた。結構、いや、かなり可愛い。親方ァ、空から女の子が!

 

 

「ショウ!大丈夫か!」

 

 

キリトたちが駆け寄って来る。

 

 

「ああ、大丈夫だ」

 

「よかった。それにしても、これは一体……?」

 

「さぁな」

 

 

そこのところは、このお嬢さんに聞いてみるしかないだろ。……それにしても、この子どっかで見たことがある気がするんだよなぁ。

 

 

「……ん」

 

「お、目が覚めたか」

 

「ここは……っ!?」

 

「うおっ!?」

 

 

目が覚めるやいなや俺を引っぱたいてきやがった。手で身体を支えてやってるから避けようにも避けられなかった。圏内だから良かったものの、下手すればオレンジになってたんだぞ。何考えてやがる。

 

 

「何してんだてめぇ!?圏内じゃなかったらどうするつもりだゴラァ!?」

 

「あんた……アタシに何したの……?」

 

「それはこっちのセリフだボケェ!!」

 

「シ、ショウ、落ち着けよ」

 

「え、ええと、勘違いしてるようですけど、ショウさんはあなたを助けたんですよ? 空から落ちて来たあなたを」

 

「アンタが……?」

 

 

シリカがフォローしてくれる。見た目は小学生だもんな、嘘を言ってるようには見えないだろうし、同じ女性という立場もあるだろう、ちゃんと話を聞いてくれる。シリカさんアザース!

 

 

「そうですよ、ショウさんは決してあなたに手を出したりしてません。というよりショウさんが手を出す勇気なんかある訳ないです!!」

 

「君は俺をなんだと思ってるのかね」

 

 

その通りです、はい。

 

 

「そう……ごめんなさい、あなたのこと勘違いしてたみたい」

 

「いや、それはいいけど……」

 

「ええと、聞きたいことがあるんだけどいいかな?」

 

 

キリトがおずおずと手を挙げ尋ねる。そうだった、こんなことに時間を食ってる場合じゃない。彼女のことを

 

 

「どうしてあんなところから落ちてきたんだ? それにあんな転移みたいことないけど、どうやって?」

 

「あんなところ……?」

 

「空中に開いた転移空間……って言うのかな、とにかく、君は空中から落ちてきたんだ」

 

「……そう、でもごめんなさい。わからない」

 

「……じゃあどこから来たんだ?上層だと見たことないけど」

 

「……わからない」

 

 

……嫌な予感がする。得てしてこういう予感は当たるものだ。腹立たしいことにな。まさかとは思うが、確認してみるか。

 

 

「……お前の名前は?」

 

「……だめ、わからない。何もわからない!」

 

「おいおい、こいつぁ……」

 

「ショウ……」

 

「ああ」

 

 

記憶喪失だ。

 

精神状態のこの世界において、記憶を失うということはあるのだろうか。しかし、ナーヴギアは脳の命令を神経から遮断し、読み取り、ゲーム内に反映させているのだから脳を介している以上無いとも限らないか。

 

身体を抱え震える彼女。不安だろう。何も覚えていない恐怖というのは如何程か、その人にしかわからないが、自分がそうなったら……と、ただ想像するだけでも恐ろしい。とにかく、このままにしておくわけにもいかない。

 

 

「落ち着け、大丈夫だ。名前だけならわかる」

 

「え……」

 

「指をこう振ってみろ」

 

「こう……っ!?何よこれ!?」

 

「そこに名前が書いてあるはずだ」

 

「ええと……し……の……ん……。シノン、それが私の名前みたい」

 

「シノンね……ん?シノン?」

 

 

どっかで聞いたことがあるような……?

シノン……シノン……だめだ思い出せない。まぁいいや、そのうち思い出すだろう。

 

……気楽なものだな、思い出せなくて苦しんでる女の子が目の前にいるというのに。全く、自分が嫌になる。

 

 

「で、どうする?」

 

「このまま放っておくわけにもいかないし、出来る限りの協力はしてあげたい」

 

「だよな、確かエギルの所まだ空き有ったよな」

 

「ああ」

 

「よし。クライン、悪いけどエギルんとこ行って事情説明してきてくれ」

 

「おうよ、任せろ!」

 

 

グレートマジンガーもかくやというダッシュを見せ去っていくクライン。いやー、些細な仕事を簡単に引き受けてくれるから使いやす……頼みやすいな。

 

 

「てな訳だ。シノン、俺たちと来い」

 

「え?」

 

「記憶失ってるような奴を置いてハイさよならなんて出来るわけないだろ。心配すんな、しばらくは面倒見てやるさ」

 

「……」

 

「もちろん嫌だって言うなら構わない。自分で決めろ」

 

「……どうしてそこまでしてくれるの?」

 

「ん?」

 

「見ず知らずの私に、どうして……」

 

 

そりゃそうだ、不審に思うだろうよ。知らんやつに声かけられてウチへ来いなんて裏があるとしか思えない。俺でもそう思う。ましてや可愛らしい女性なんだからな。でもな、残念ながらその理屈は通じない。

 

 

「お人好しがこっちには揃ってるもんでな。俺もそれはどうなんだって困る時もある」

 

「……あんたもその一員?」

 

「まさか、自分の周りだけで手一杯だっての」

 

 

全部を守ろうなんて烏滸がましいことは言わない。それでも、守りたいものを最期まで守り通す。それなら俺でも語っていいはずだ。誰にも文句は言わせない。ただ俺だけの決意。

 

 

「だから……その……なんだ、アイツらと仲良くしてくれれば俺としてもやりやすいって言うか……」

 

「……ふふ」

 

「何だよ」

 

「不器用なのね」

 

「うっせ」

 

 

こちとら人見知りなんだよ。しかも女性相手なんだ、まともに喋れると思うなよ!

 

 

「……わかったわ。しばらくお世話になる」

 

「そうか」

 

「でも、いつまでも世話になるつもりは無いわ」

 

「ああ、それでいい」

 

 

そこからシノンとの付き合いは始まった。なお、シノンを連れて帰った時にアスナに厳しく問い詰められたのは、また別の話。

 

 

 

 

 

思えば、この時点でもっと考えるべきだったんだ。なぜシノンが、そしてもう一人の少女がこの世界に来たのか。来てしまったのか。

 

もしかしたらあんな事態は防げたかもしれないのに。

 

 

 

 

 

 

 





おまけ

ユイ 「パパ、浮気はダメですよ?」

ショウ 「するわけないだろ命にかかわる」

アスナ 「うふふ〜」

ショウ 「……え、マジで何するつもり?」


はい、ここまでです。

思いがけないToLOVEるがあって投稿は遅くなりましたがそのおかげで拙い文章を修正できたからいいかな。

ようやくシノンを出せました。シノン本当に好きなんですよ。奴はとんでもない物を撃ち抜いていきました。私の心です。シノン、私も(2次元に)連れてって!!

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