やばいスキルがついちゃった   作:ナストマト

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新章というわけではありませんが、少しずつ話が広がっていきます。そのため、今回は短いです。


守りたいもの

 

 

 

新たな相棒《紅椿》を打ってもらった俺は、再び攻略組に戻るためレベリングに勤しむことにした。流石に最前線までは行かないもののその1つ2つ下の階層でLv.を上げ、今ではLv.71になっている。因みに今の最前線は64層である。リズに刀を打ってもらった5日後に開放された。もう少しLv.を上げないとな。

 

と言いたいところなのだが、今は59層に来ている。実はとある人物に呼び出しをされているのだ。59層の街にある1件の飲食店。その中にそいつはいた。

 

 

「やあ、待っていたよショウ君」

 

「悪かったな、待たせて」

 

「待つのは嫌いではないよ。それに、私の方から君を呼び出したのだから、待つのは当然のことだと思うがね」

 

「そうかい、安心したよ。それで今日は何の用だ、ヒースクリフ」

 

 

そう、俺を呼び出した人物とはヒースクリフである。言わずと知れた攻略ギルド《血盟騎士団》の団長様だ。そんな人物がなぜ俺を呼んだのかと言うと

 

「一応今日も聞いておきたくてね。我々《血盟騎士団》に入ってくれないか」

 

 

これである。何故か前々からヒースクリフは俺をギルドに誘ってくるのだ。団長様自ら俺をどこかしらの店に呼び出しギルド加入の意思を聞いてくる。俺が中層にいた頃からである。トップギルドに中層プレイヤーである俺が入るなんて図々しいし、そもそも俺はソロで行くと決めている。だからいつも加入はしないと返事をし、後は世間話や剣術のコツなどの話をしてサヨナラだ。今回も俺は加入する意思などない。よって返事は決まっている。

 

 

「いつも言ってるだろ、俺はギルドには入らない。俺はソロで行くと決めてるんだ」

 

「ふむ、そうか。それは残念だ」

 

「てか、なんで毎回毎回誘ってくるんだよ。俺なんて所詮そこら辺の一般プレイヤーと大差ないぜ?」

 

「なるほど、自分の実力を私の思ったより過小評価しているようだ。君はもっと自分の評価を正しくするべきだ。この世界で生きていく上で、それも重要な能力だ。少なくとも、私は君のことを買っているよ」

 

「嫌味かそれは」

 

「真実だよ。これでも、見る目は良い方だと自負しているよ。プレイヤーの実力を把握できなければ、ギルドの団長は務まらないからね」

 

「なら褒め言葉として受け取っておくよ」

 

「そうしたまえ。年長者の言うことは聞いておいた方がいい」

 

「説教か」

 

「大人の助言と言っておこう」

 

 

俺の実力ねぇ。確かにLv.は上がったが、システムアシスト外の実力、すなわち純粋な剣術の腕は大したことないと思ってる。攻略組の中でも悪くはないとは思うが、キリトやアスナと比べてもやはり見劣りする。いや、比べちゃダメだけどさ。あいつら飛び抜けてるし。少なくとも自慢は出来ないな。

 

 

「それともう1つ、話しておきたいことがある」

 

「なんだ、まだあるのか」

 

 

珍しいな、ヒースクリフから言いたいことがあるなんて。

 

 

 

 

「ラフィン・コフィンのメンバーが発見された」

 

 

 

 

ドクンッ

 

心臓が大きく鳴った。

 

 

「少数だがね。42層の街外れでラフィン・コフィンのメンバーが会合していたと報告があった」

 

「…公開するのか?」

 

「いや、あまり不安を煽りたくはない。それに少数を捕まえたところであまり意味はない。一気捕縛するべきだ。さらに言えば、ギルド内にスパイがいないとも限らない。よって私が信頼している人に限って伝えることにしている」

 

「光栄だな」

 

「言っただろう、私は君を買っていると。それだけではない。君はラフィンコフィンに因縁があるらしいからね。伝えることにしたのだよ」

 

「…どこから聞いたのかは知らないが、ありがとよ」

 

「どうやら本当のようだね。何があったのかは詮索しないでおこう」

 

「助かる」

 

「さて、この話は終わりにしよう。せっかくの食事処だ。食事にしようじゃないか。君も、今は力を抜きたまえ」

 

 

言われて俺は、拳を強く握り締めていることに気がついた。ふぅ、落ち着け、焦るな。焦ったところで結果は出ない。落ち着くんだ。俺はゆっくりと拳を解く。

 

 

「それでいい。さぁ、好きなものを注文するといい。今日は私が奢ろう」

 

「奢らんでいい」

 

「こちらが呼んだのだから、奢るのは当然のことだ。違うかね」

 

「わかったよ。ゴチになります」

 

「ふふ、さて、私はこれにしようか」

 

 

いつもは奢らせることなんてないが、今日は奢られよう。なんとなく気を遣われてる気がしたからだ。さて、何を食べようか。俺は料理メニューを見る。ん? ラーメンなんてあんのか。てか、ここってあのラーメンが食べられる所だったのか。原作でもあったな。せっかくだし食べてみるか。

 

 

「なら、俺はラーメンにするか」

 

 

俺たちはNPCの店員に注文すると、すぐに料理が運ばれてきた。この世界はすぐに料理が来るのがいいな。

 

 

「ふむ、ラーメンがあるのか」

 

「みたいだな、いただきます」

 

「行儀がいいのはいいことだ。いただきます」

 

 

さて、感想を言うならば、ラーメンってこんなだったっけ。なんていうか、違うんだよな。見た感じはラーメンなのに違うんだよな。俺が渋い顔をしていると、興味を持ったのだろうヒースクリフが一口要求してきたので、食べさせてやると、……これはラーメンではない。断じて違う。と言っていた。ここで言うのかよそのセリフ。

 

少しは気が紛れた。しかし、食事中もラフィン・コフィンのことが頭から離れなかった。

 

 

笑う棺桶(ラフィン・コフィン)》通称《ラフコフ》

 

このゲーム内で最も悪質な殺人ギルドだ。リーダーはPoH。奴らは、死ねば本当に死ぬかもしれないこの世界で、嬉々として殺人をしている。その手口は様々で、100人を超えるプレイヤーを殺した。まだ討伐はされていない。原作では討伐されていたはずだが、まだ後のことなのだろうか。覚えていない。しかし、許すことはできない。絶対に。つぶす。

 

 

俺の心には、どす黒い感情が芽生えていた。

 

 

 

 

 

 

 

今、俺は58層に来ている。ヒースクリフとの食事を終えた後、1件のメールが届いていることに気がついた。読んでみると、材料集めを手伝って欲しいとのことだ。今日はよくお呼ばれする日だな。特に用事は無いので手伝うことにした。その差出人とは

 

 

「あ、いた! ショウさーん! こっちでーす!」

 

「キュウ!」

 

 

可愛らしいツインテールが特徴のシリカだ。俺が下層で進めているときに知り合い、中層でも時々面倒を見ていたのだ。シリカの方がLv.は上だったけど。今思うとダサいな俺。

 

 

「お久しぶりです、ショウさん!」

 

「キュル!」

 

「おう、久しぶり。シリカもピナも元気そうだな」

 

「はい!」

 

 

シリカの頭を撫でると、照れながらも嬉しそうにする。うんうん、可愛いね。俺は一人っ子なのでわからないが、妹ってこんな感じなのかね。そりゃシスコンになる人も出ますわ。俺? 俺は違うよ。断じて違う。し、し、シスコンちゃうわ! あれ、そうなるとロリコンになるのでは? よし、考えなかったことにしよう。

 

 

「材料集めだっけか。何を集めたいんだ?」

 

「えっと、綿を集めたいんです。この階層になるとソロでは不安で」

 

「綿ねぇ、何か作るのか?」

 

「そうですね、ちょっと作りたいものがあって」

 

「誰かに渡したりするのか?」

 

「え!? その、それは、ちょっと…」

 

 

マジかよおい。誰だよ、そんな幸せそうな奴は。駄目だシリカ! お兄ちゃんはそんなの許しませんよ!

 

 

「まぁ言えないならいいさ」

 

「い、いえ、そういうわけじゃないんですけど…」

 

「いいって、それじゃ行くか。そこら辺の森にいる蜘蛛系の奴を倒してけばドロップするだろ」

 

「はい!」

 

「キュル!」

 

 

フフフと嬉しそうな声が聞こえる。楽しそうでなによりです。見ててこっちも楽しくなる。

 

 

こいつらの生活を奪わせてなるものか。キリトだってアスナだって、みんな俺の大切なものだ。失いたくない。失わせたくない。悲しませたくない。守ってみせる。俺が。

 

 

 

たとえそれが、人殺しをすることになっても。

 

 

 







今回はヒースクリフとシリカの登場です。そしてラフコフの存在が今後どうなっていくんでしょうか。

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