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これも皆さんのおかげです。これからも精進してまいりますので、読んでいただけるとありがたいです。
パーティを組み、森に入った俺たちは綿狙いで蜘蛛系のモンスターを狩ることにした。綿は主に生産系スキルの手芸スキルで用いられる。手芸スキルは、防具を作ることができるスキルだ。しかし、できる防具の性能は鍛冶スキルと比べて極めて低い。せいぜいなにかしらの耐性が強くなるくらいの、趣味系のスキルだ。
命がけのゲームでそんなスキルを取っていいのかと疑問に思うかもしれないが、俺は別に構わないと思ってる。以前述べたが、精神的疲労はこの世界では命取りになるときもある。ストレスを発散させることで危険性を低くするという意味では、趣味スキルも重要な役割を果たす。原作でキリトも釣りスキルを取ってたしな。
趣味ねえ、俺も何か取ってみようか。などと考えながらシリカと一緒に蜘蛛を狩っていく。シリカは素早い動きで蜘蛛をかく乱し、うまく隙をついて攻撃していく。ソードスキルのクリティカル精度も高い。危なげなく敵を倒す。あれ、俺必要だったの?そもそもシリカはこの階層ならソロでも大丈夫なはずなのだ。ソロでは不安と言っていたが、パーティを組んでいた時間がほとんどだったからだろうか。
と、一匹の蜘蛛が俺に飛びかかって来た。普段なら後ろに回り込み攻撃するところだが、俺はあえて敵に突っ込んでいき、蜘蛛の腹に《浮舟》を放った。蜘蛛系のモンスターは足の付け根と腹が弱点だが、ダメージは腹の方が大きい。下から振り上げる《浮舟》は、そこを狙うのにうってつけなのだ。俺の攻撃を見事にくらった蜘蛛は、一撃でHPが0になった。とりあえず片付いたかな。ふぅ、と一息入れると、シリカがこっちを見ているのに気が付いた。
「どうした?」
「い、いえ、ショウさんってお強いんだなあって」
そうか、最後にシリカに会ったのって俺がまだ《愚者の勇志》を持っていない時だったな。Lv.がシリカより低かった時だ。急に強くなったことを不審に思ったのかもしれない。Lv.が一気に上がったんですよ、なんて言えるわけない。ていうか《紅椿》が本当に強いんだよな。レベル差があるとはいえ下級ソードスキルの《浮舟》一発でさっきの蜘蛛を倒せるくらい。今までなら二発は与えないとおそらく倒せなかっただろう。
「こいつのおかげだよ」
と《紅椿》を指す。そう言っておこう。事実、要因の1つだ。
「新しくしたんですね。燃えるような色をしていてショウさんに似合ってますね」
「そうか?」
「そうです!」
似合ってるか。言われて悪い気はしないな。
「綿は集まったのか?」
「はい、十分集まりました」
「よし、それじゃあ帰るか」
あまり長居してもなんだしな。そうして俺たちは街に戻ろうと歩いていたのだが
「あれ、人が倒れてるような?」
森を抜けようかという辺りでシリカが何か見つけたようだ。シリカの見ている方向に目を向けると少し離れたところに確かに人が一人倒れているようだ。どうしたのだろう。と、疑問に思っていると、一体のオークがその人に向かって斧を振り上げるのが見えた。
その瞬間、俺はオークに向かって駆け出し《抜刀術》で切り裂いた。一撃で屠る。
「大丈夫ですか!」
声をかけるが声にならない声を発するだけで返事はない。これは…
「グオオオオオオオオ!!!」
唸り声が聞こえたので周りを見渡すとさらに5体のオークがいた。どうやら俺を狙っているようだ。なら都合がいい。俺は倒れていた人からオークを連れて引き離し、オークが一直線に並ぶように誘導した。
さあ行くぜ。
左膝をつき鞘から刀を一気に引き出し、斬りつける。すると5体並んでいたオークは同時にHPが0になり、散っていた。
《抜刀術》のソードスキル《
しかし俺は次の瞬間、地面に倒れていた。
俺に当たり、消えていくピック。
「ショウさん!」
駆け寄ってくるシリカが目に映る。
「シリカ!転移だ!」
シリカは叫ぶ俺に戸惑いながらも転移結晶を取り出し、俺と倒れている人をつれ、転移しようとする。そのとき、俺は見た。何者かがシリカに向かいピックを投げるのを。ピックはどんどんシリカに迫って行き、今にも届かんとした時、俺の視界は光に包まれた。
視界が戻ると、47層フローリアにいた。どうやら転移が間に合ったらしい。
「ショウさん、大丈夫ですか!?」
「ああ、大丈夫。ちょっと麻痺っただけだ」
シリカが安堵の表情を浮かべる。おそらくあいつが投げたピックに麻痺付加の効果があったのだろう。いまだ動けないが時間が経てば解ける。
「それより彼女はどうなんだ?」
俺は倒れていた人(女性だった)の様子を伺う。
「あ、あの、わた、私…」
どうやら話せるようにはなったみたいだな。まだ少し混乱してるようだが。
「とりあえず大丈夫なようだな。まぁ落ち着け。周りの花でも見て気を落ち着かせろ」
「は、はい…」
言われて彼女は花の周りを歩いていく。ここフローリアは花が多く咲いていることで有名で、一つのデートスポットになっている。原作ではキリトがシリカとピナを生き返らせるためにプネウマの花を取りに来ている。そういえば
「なんでここに転移したんだ?」
シリカに聞く。いや、特に理由はないのだが、なんとなく気になったのだ。落ち着くからここに転移して正解だし。
「真っ先に思い浮かんだのがここだったんです」
少し顔を赤らめながら言う。ははん、なるほどな。シリカも女の子でそういうお年頃だ。恋人ができたときに行ってみたい場所を調べておくのは不思議なことではない。それで転移の時にここを選んでしまったのだろう。どうだ俺の名推理!俺はラノベの主人公みたいに鈍感じゃないんだよ。ただね、シリカ。お兄ちゃんちょっと寂しいななんて。ハハハ。
「あれ、どうかしたんですか?」
「いや、どうやってキリトをボコろうか考えてた」
「なんでですか!?」
だってどうせキリトでしょ! シリカとキリトは面識がある。以前俺とシリカで狩りに出かけたときにたまたまキリトに会い、俺経由で紹介したのだ。さらにいえば、プネウマの花もキリトと取りに行っている。ピナは死んではいなかったが、あった方がいいということで取りにいったのだ。俺はLv.が足りなかったので行けなかった。ダサすぎる。お、麻痺が解けたな。
「あの…」
「ん、落ち着いた?」
ちょうどそこで彼女が声をかけてきた。
「はい、さっきは、その、助けていただいてありがとうございました」
「いや、いいんだ。こんな世界だ、助けるのは当然だ」
最初の俺なら信じられないセリフだな。クライン達を置いて行こうとした頃が懐かしい。あの時は本当にすいませんでした。
「それじゃ、悪いけど何があったか話してくれるか?」
「はい」
俺たちは転移門近くにある椅子に座り、彼女の話を聞く。
「私は今日、友人と二人で森でレベリングをしていました。少し狩りをした後、今日は終わろうということになって帰ろうとしたんです。しかしそこで私は何故か麻痺になってしまって、そ、その時オークがたくさん現れて、それで!」
「落ち着け。大丈夫、大丈夫だから」
「は、はい…。そ、それで敵わないから逃げようということになったんです。友人は動けない私を背負ってくれて、もう少しで森から抜けるというところで友人も麻痺になってしまって、オークに追い詰められてしまいました。私たちは何もすることができなくて、ただ攻撃されて、友人は…その、…」
「…そうか。悪いな、嫌なこと思い出させて」
「いえ、そんな…」
俺が助けに行ったとき、すでに彼女1人しかいなかった。あの時の動揺の仕方といい、つまりはそういうことだ。
「ありがとう、話してくれて」
「いえ、本当にありがとうございました」
「もう一言だけ言わせてくれ。君は生きるんだ。この世界でも死んだら終わりだ。どんなに無様な姿を見せようとも、生きろ」
「…はい!」
彼女は俺の言葉に目を見張ったが、しっかりと返事をした。強い奴だ。
「じゃあ帰ろうか、シリカ」
シリカはゆっくりと頷き、俺たちは転移門へと向かった。恐らく、彼女と俺たちを麻痺にさせたのは、全て俺が見たあいつの仕業だ。彼女たちにはモンスターによるPKを狙い、俺たちにはどうしたかはわからないが、全員麻痺させた後、PKをするつもりだったのだろう。許せねえ。必ず見つけ出してやる。そして…
「あの、ショウさん、怖い顔してます」
そんなシリカのつぶやきは、俺の耳には届かなかった。
「デュエルしようぜ!」
けして遊戯王ではない。俺は今日キリトにデュエルを申し込んでいた。
「遊戯王じゃないんだから…」
知ってんのかよ遊戯王。てことは、こっちの現実世界にもあるってことか。ますますこの世界がわからなくなってきたな。もしかして未来に飛んだのか?まぁそのことはまた今度考えよう。
「デュエルしてくれ、キリト」
「それは構わないけど、どうしたんだいきなり」
「いや、攻略組に戻れる実力が今の俺にあるのか確かめたくてな」
それだけじゃないがな。もしもの時のために対人戦を鍛えておく必要がある。この間みたいにいつ襲われるかわからない。護身のため、俺が守りたいものを守るため、だからキリトにデュエルを申し込んだ。
「わかった、やろう。ルールはどうする?」
「半減決着で頼む。それとソードスキルは無しで」
「了解」
俺たちは街の広場に移動した。狭い所ではできないからな。ありがたいことにそこには誰もいない。キリトにデュエル申請を送り、キリトが承諾する。するとカウントダウンが始まった。
このSAOの
因みに、このデュエルではたとえ安全圏内でもダメージが通る。以前はそれを利用して睡眠PKなんていうのもあった。よって街中では昼寝などはしないようにという警告が出されたこともある。キリトは普通に街中で昼寝してるけどな。
さて、そろそろカウントが終わるな。10秒前になる。俺とキリトは身構える。キリトは二刀流ではなく片手剣で行くようだ。それもそうだ、キリトはまだ二刀流を公開していない。いくら今は誰もいないとはいえ誰がいつ来るかわからない。ユニークスキルが見つかったと騒がれてしまう。俺も”抜刀術”は封印しておく。まあ、俺の場合は相手を一撃で殺しかねないというのがあるのだが。
5秒前になる。3、2、ここでキリトが俺に向かって来た。先ほど、カウントダウン中は攻撃できないと言ったが、動けないわけではない。デュエルでは初撃が重要になってくる。先に先制できればその後も有利に進められるし、先にダメージをくらえば焦りが生まれる。だからこそ1秒前に俺に向かって来るキリトは何もおかしくはない。始まると同時に攻撃を食わらせるつもりなのだろう。
キリトは体勢を低くし、胴に向かって剣を振り上げる。俺はそれを受け止める…フリをした。剣を受け止める直前、AGIをフル活動し横に一歩動く。キリトの斬撃は俺のすぐ横をかするが当たらない。見事に空振りをしたキリトは俺に背を向ける形になり、俺はその背に一太刀浴びせ、下がる。1割ほど削れた。キリトがこちらに振り向き体勢を立て直す。
今度は俺から行くか。正面に突っ込む。キリトがやったのと同じように斬りこんでいくが、その速さは段違いだ。キリトにもほとんど見えないと言わしめたほどである。決まる。そう思った俺の斬撃はキリトの剣に受け止められた。
嘘だろおい、反応したのかよ。そして、巻き込むように上手く力を流され、今度は俺が背中に一撃をくらう。3割ほど削れる。…なるほどな。
「ありがとう。ここまでにしよう」
「もういいのか?」
「言ったろ、俺の実力を確かめるためだって。十分わかった。俺の負けだ。今度なんか奢るよ」
「いや、あのまま続けてたらどうなるかわからなかった。ショウのステ対人戦向き過ぎるだろ。動きがほとんど見えなかったよ」
「それに反応してたのは誰なんですかねぇ」
頬を掻くキリト。どんな反射神経してるんだよホント。いや、勝負勘と言った方がいいだろうか。とりあえず今の実力はわかった。まだまだだな。相手が強すぎたってのもあるが。
「でも、もう攻略組に戻れると思うぞ」
「そうか、でももう少し鍛えたい。万全な状態で戻りたいからな」
「そうか」
その言葉は非常に嬉しいんだけどな。やっと攻略組に戻れるくらいの実力が身についたのだから。 ただ、もう少し鍛えたい。Lv.ではなく剣術を。対戦してみてわかった。最近の俺はLv.を上げることに集中し過ぎて剣術を鍛えようとはしなかった。結果、さっきみたいに刀を流されたことに対応できなかった。まだ決闘だからよかったものの、モンスター相手の場合、否応なしに殺しに来るからな。それにレッドの奴らも。
「ショウ」
キリトが声をかけてくる。
「何があったのかは知らないけど、一人で何かを抱え込むなんてやめてくれ。ショウに何かあったら、俺も皆もきっと悲しむ」
…こいつは本当に人のことを見てるな。だからこそ、皆キリトのことを信頼するんだろうな。ハーレムが出来てもおかしくないな。
「気が向いたらな」
いくらキリトでも話せないことはある。しかし、俺にかけてくれた言葉はありがたかった。一人で抱え込むな、か。まったく、クラインといいキリトといい皆優しすぎるんだよ。
俺の中にあった黒い感情が少し薄まったような気がした。
おまけ この作品を書いている時の筆者
・俺も書いてたら文章力スキル経験値5倍にならないかな(´•ω•`)
はい、ここまでです。だんだんとショウが強くなっていってますね。この調子でいったらどこまで強くなるんでしょうか。筆者にもわかりません(笑)