最強魔法少女はニチアサ枠から引退したい 作:おすすめのプリキュアは何ですか
今回ペラトが登場しますが、ペラトとの会話が傍から見て意味不明なことに気づいたので、脚注でニュアンスを補完することにしました。
「おはようございまぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「朝から元気だねぇ」
休日、一切予定がない日とかだとキヨラちゃんは朝から(時給の為に)バイトに入ってくれたりするのだが、今日は来店一秒でうるさかった。いつもは三十秒くらいはうるさくないのに。
「うわぁぁぁぁぁ!!!」
「え、なに? 本当にどうしたの? 風邪?」
うるさいのは割と通常運転だが、今日はなにか様子がおかしい。
まるで幽霊でも見たかのように驚いて、
まさか虫でもいたかなと思い、周囲に探知を飛ばすが、うん。そこは飲食店としてプライドがある。
「え、え、え」
「え?」
「えっちなもの食べてるぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!」
先日、ヒスイのところを訪れた際に買っておいたバナナ。
バナナは元からあまり日持ちするものでも無いので、幾つか試しに作ってみて、残りは
実はバナナは特別好きでもないが、人間だった頃は朝食によく食べていたので、それを懐かしみながら、せっかくだからと手を咥えて。
チョコバナナに、してみたのだが。
「ちょ、え、な、いやえっちというか猟奇!? 何やってるんですか店長!?」
「何って、朝ごはんだけど」
「ぎゃああああ! 食べないで!」
…………まさか、ね。
バナナは確かに、イマドキの女子高生であるキヨラちゃんは見たことない可能性はあるが、まさかそんな、そんなこと叫んでいたら、いくらなんでもキヨラちゃんがポンというか、アホの子過ぎるだろ。
どうしよう、さすがに魔法少女の口からそういうことを言うのは、ニチアサとか深夜とか関係なしにアウトだし、キヨラちゃんは初めて見るバナナに完全にビビっちゃってるし。
「せんせぇ〜! ざぁこ♡蒼天已に死す♡黄天当に立つべし♡*1」
とかやってたら、最近割とちょくちょく店に顔を出しているペラトまで来てしまった。
ペラトは絶叫しているキヨラちゃんを無視し、
ペラトも恐らく、バナナの実物は見たことないが、彼女の方は元野生児。森で動物や木の実を取って生き延びていた経験があるのだ。
さすがにそこのムッツリ女子高生みたいに、変な勘違いは……。
「……夏侯惇!?*2」
「二人とも! 正座!!!」
魔法少女以前に、食べ物に関してそういうのとかは、人としてさすがにアレなので、久しぶりにちゃんと怒ることにした。
◆
「へぇ、これがバナナですか」
「味はどう?」
「美味しいですけど、大金払って食べる程じゃないですね!」
良くも悪くも正直なキヨラちゃんの意見に、思わず笑ってしまう。
そりゃそうだ。
「でも、朝ごはんに毎日食べられると考えたら、旧文明っていい時代だったんですね」
「良いか悪いかは分からないけど、まぁ色んなもの食べれたって点では、いい時代だったかもな」
選択肢があって、そこから自由に選べる。それが幸せなことだって気付いたのは、全部無くした後だった。
正直キヨラちゃんは結構抜けている子だと思っているけれど、なんの屈託もなくこういうことを言える点において、魔法少女としての素質は高いんだろうなぁと感じる。
だって、この子が頑張ってたら絶対応援したくなるもん。
こういうのも、魔法少女にとっては大事な素質、だとは思う。
「……ざぁこ*3」
「と、ごめんごめん。どうしたんだペラト」
ペラトは頬を膨らませながら、懐から何枚かの紙を出してカウンターに並べていく。
「それは?」
「ざぁこ♡*4」
「え、なんだろ。結婚相手の紹介状とか?」
「ざぁこ*5」
「冗談だよ。……なんか怒ってる?」
「ざぁこ*6」
「店長とペラトさんの会話聞いてると思いますけど、日本語って奥深いですね〜」
何も分かってなさそうな顔でバナナを食べているキヨラちゃんは、多分本当に何も分かっていない。
そんなぽけーっとした顔をしている彼女を、一瞬ペラトが睨みつける。
何故だか分からないが、ペラトはあまりキヨラちゃんのことをよく思っていないみたいだ。
普段は誰にでも礼儀正しくメスガキなんだけどなぁ。
メスガキって礼儀正しいのか? まぁいいや。
メスガキの武将の部分で礼儀正しいから。
とりあえず内容に目を通してみると……簡単に言ってしまえば、仕事の紹介状だ。
「えー……なにこれ」
「親は幾年月経ようと親♡*7」
あ、アイツ……。
疲れて退職した
「子曰く、生き甲斐スカスカ♡マグロ漁船♡*8」
…………はい。
いや、それじゃあ
そういうのじゃなくて、ずっと休んでると罪悪感が出てくるというか、勝手にできること探し始めちゃうタチなのは否定しないけど。
「でもなぁ……今は店があるし」
「どうせ店開いてても誰も来なくないですか」
キヨラちゃん本当に正直だね。
そうだけど、それを言ったらおしまいだよ?
「よく分かりませんが、お店を空けたくないとの事なら、あたしがワンオペしますので!」
「えー……」
「なんですかその顔」
だってキヨラちゃんって、新メニューに竜田揚げ考えるような、いい子なんだけど少しだけズレているところがあるし。
とはいえ、マクマンの言うことは
「あ、そうだ。ペラト、しばらく手が空いてるって言ってたよな?」
「スカスカ♡*9」
「なら、キヨラちゃんと一緒に店番してくれないか?」
「呉越同舟♡*10」
だって、キヨラちゃん一人だと心配だけど、ペラトがいるなら問題ないだろうし。
「え、アタシってこの語彙が変な人より信頼ないんですか!?」
「そうだよ」
「なんでぇ!?」
「普段の言動かなぁ……」
いい子であることと、任せられることは両立しないんだ。
キヨラちゃんに任せると、いい方向に持って行ってはくれそうだけど、帰ってきたら店の食器全部粉々になってそうというか、ね。
正直歳を食いすぎたからか、社会に出てない子のことを皆赤ちゃんくらいに見ている節があるのは否めない。だって、新卒だって赤ちゃんみたいなものなのに、それより若いってまだお母さんのお腹の中にいるべきになっちゃうじゃん。
「んぃー……」
ペラトの方も、不満気な顔をしてキヨラちゃんを睨みつけている。
たしかにペラトは、キヨラちゃんに対して少し態度が硬いけれど、ペラトは昔から人見知りが強いところがあったからな。
いざ話してみると仲良くなれる、みたいなことも多かったし、意外と中身はしっかりしているしで、話してみればキヨラちゃんとお互い良い影響を与え合うかもしれない。
それに、今店を任せられる他の選択肢が、冗談抜きにマクマンしかいない!
キヨラちゃんの言う通り、うちにお客さんなんてほとんど来ないけれど、本当にたまに、店に来てくれる子がいて、その子達はコーヒーを飲んだあと、すごくいい笑顔になってくれる。
それだけでも、この店には開けておく意味がある、と
「頼む、ペラト! ペラトだけが頼りなんだ!」
「…………はぁ。ずるい人。【いいですよ】」
「本当か!?」
「【せんせぇに嘘なんて吐きませんから】」
「嘘より凄いもの吐き出してませんか? 武将の要素とか」
「黙れ♡*11」
またバチバチしだしてしまったが、この程度のじゃれ合いなら、本気で険悪になるものでも無いだろう。
後進育成をしていた時纏めて面倒を見ていたことがあるが、その時の経験からして、この二人は本当に合わないという感じでも無さそうだ。
さて、店のことも大丈夫そうだし、仕事について目を通してみるか。
魔法少女の実技訓練の手伝い。悪くないけど、
ダンジョン内での素材回収。これはいいな、若い子に会う必要も……ないと思ったけど、よく見たら新人の子の外回りの手伝いか。ちょっと嫌だな。
地域興行……これは、ナシだ。魔法少女として、愛想を振りまいたりすることなのだが、できなくは無いが、さすがに還暦のおっさんがやることじゃない。
あとは……
一応他は……アイドル活動。ほんとに舐めてんのかあのクマ。
「【それ私が入れました】」
「へぇ! アイドル。店長可愛いですし、似合いそうですけどね〜」
「絶対無理無理! 死んでもやらないから!」
昔はなんでもやるつもりだったから心を殺してやってたけど、今はわざわざ
あー……思い出したら死にたくなってきた。あの頃は人々に笑顔になってもらうためなら何でもやっていたから、ちょっとダンスとかも練習して、ね。
「……まぁ。とりあえず仕事は受けるから、店の方はちょっと頼むよ、二人とも」
「任せてください。あたしがこの店を守りますから!」
「【任せてください、せんせぇ】」
この時の
案の定というかなんというか、この二人は
登場している魔法少女の身長順は
アメジア>クリナ>キヨラ>イシュシュ>ペラト>>ユラリ>=ヒスイです。
魔法少女はみんなよっぽど酷い生活をしないと太ったりもしないので、体重も概ね身長順ですが、体重順の後ろ三人だけはヒスイ>>ユラリ>>>イシュシュになります。イシュシュは体重測定をいつも魔法で誤魔化すので、正式な記録がありません。