ホロメンワチャワチャ話   作:吾輩は偏食である

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三人揃えば博物館も騒がしい

 

 第一幕 バーチャル上野、午前十時

 

 

 

「いやぁ~! ついにやって来たよ〜、バーチャル上野!」

 

 上野駅を出て、両手を広げる一条莉々華。

 

「莉々華、まだ博物館にすら着いていないよ」

 

 隣を歩く火威青が、苦笑しながらツッコミを入れる。

 

「だってさ! 博物館だよ!? ロマンじゃん! 歴史じゃん! 知的好奇心じゃん!」

 

「ふふっ。莉々華ちゃん、随分とテンションが高いですねぇ」

 

 二人の少し後ろを歩いていた儒烏風亭らでんが、楽しそうに笑う。

 

「らでんちゃんはどうなの?」

 

「もちろん楽しみですよ。国立博物館は何度来ても新しい発見がありますからねぇ」

 

「おおー! さすが学芸員!」

 

「学芸員ではないんですがねぇ」

 

「そこは否定するんだ」

 

 青が小さく笑う。

 

「それにしても、今日は三人で博物館巡りですか。なかなか珍しい組み合わせですね」

 

「確かに。らでんちゃんがいるから、今日は解説付きツアーみたいなものだよね!」

 

「いやいや、私も知らないことはたくさんありますから。三人で見て回るのが一番ですよ」

 

「じゃあ、今日は一番楽しんだ人が優勝ね!」

 

「何の勝負なの、それ?」

 

「優勝賞品は?」

 

「えっ、そこまで考えてなかった!」

 

「ふふっ」

 

 三人の笑い声が、上野の朝の空気に溶け込んでいった。

 

 

 

 第二幕 東京国立博物館

 

 

 

「おおおお……!」

 

 本館に入った瞬間、莉々華の目が輝いた。

 

「すごい! なんかもう、建物からして強い!」

 

「強い?」

 

「うん。ラスボスがいそう」

 

「莉々華ちゃん、ここはゲームのダンジョンじゃないんですよ」

 

「でも分かる。青もそう思わない?」

 

「分からなくはないけど、展示品にラスボス感を求めるのはどうなのかな」

 

 らでんは二人のやり取りを聞きながら、展示室へと進んでいく。

 

「まずは日本美術から見ていきましょうか」

 

「おっ、先生!」

 

「先生ではありませんよぉ」

 

 最初に足を止めたのは、甲冑の展示だった。

 

「うわっ! これ本物!?」

 

「もちろん、実際に使われていたものや、当時の技術で作られたものが展示されていますよ」

 

「すっご……。これ着て戦ってたんだよね?」

 

 青がガラスケースの向こうを覗き込む。

 

「重そうだなぁ。これ着て動けるの?」

 

「実際の重量や構造は時代や形式によって違いますけど、見た目以上に工夫が凝らされているんですよ」

 

「へぇ……」

 

 らでんは甲冑の細部を指さした。

 

「ここなんかも見てください。装飾だけでなく、実用性と美しさが両立しているでしょう?」

 

「なるほど……。機能美ってやつだ」

 

 青が感心したように頷く。

 一方、莉々華は甲冑の正面に立ち、じっと見つめていた。

 

「……ねえ、らでんちゃん」

 

「はい?」

 

「これ、私が着たら似合うかな?」

 

「莉々華ちゃんが?」

 

「うん。社長だし。こう、戦国時代の女社長みたいな」

 

「戦国時代に社長という概念を持ち込むんですか」

 

「天下統一する会社!」

 

「それはもう会社じゃなくて国家ですねぇ」

 

 青が吹き出した。

 

「莉々華ちゃん、絶対にその会社には入社したくない」

 

「えー! 福利厚生いいよ! 週休七日!」

 

「それ会社として成立してないよ!?」

 

 

 

 第三幕 芸術は爆発……? 

 

 

 

「これは……美しいですねぇ」

 

 らでんが足を止めたのは、日本絵画の展示室だった。

 屏風に描かれた風景や、繊細な筆遣い。

 色彩の重なり、余白の使い方。

 らでんは一枚一枚を丁寧に眺めていく。

 

「こういうのを見ると、当時の人が何を美しいと思っていたのか、少しだけ分かる気がするんですよね」

 

「らでんちゃん、こういうの本当に好きだよね」

 

「ええ。作品そのものもそうですけど、作品が生まれた時代や背景を考えるのも楽しいんですよ」

 

「なるほど……」

 

 青は展示品を眺めながら、ふと口を開いた。

 

「でも、こういう絵って、今のイラストにも通じるものがあるよね」

 

「おっ!」

 

 らでんの顔がぱっと明るくなる。

 

「青さん、良いところに気づきましたねぇ!」

 

「えっ、そんなに?」

 

「構図や視線誘導、色彩設計など、現代のイラストにも応用できる考え方がたくさんありますよ」

 

「確かに。ここに人物を描くなら……」

 

 青は少し離れて、展示品を眺め直す。

 

「この余白の使い方、キャラクターを目立たせるのに使えそう」

 

「そうそう!」

 

「え、待って。二人とも急に専門家みたいな会話始めたんだけど」

 

 莉々華が二人の間に割って入る。

 

「莉々華ちゃんも一緒に考えてみましょうよ」

 

「えーっと……」

 

 莉々華は屏風を眺める。

 数秒後。

 

「……これ、背景めっちゃ描くの大変そう!」

 

「そこ!?」

 

 青のツッコミが展示室に響いた。

 

「いや、だって! これ全部手描きでしょ!? すごくない!?」

 

「それは間違いなくすごいですねぇ」

 

「でしょう!?」

 

「莉々華ちゃん、そこは素直に感心するんですね」

 

「芸術は努力の結晶だからね!」

 

「急に良いこと言った」

 

 三人は再び作品に目を向けた。

 

 

 

 第四幕 らでん先生の本領発揮

 

 

 

「おおっ! なんか土器がある!」

 

 莉々華が展示ケースに近づく。

 

「縄文土器ですね」

 

「縄文土器!」

 

「はい。縄文時代の土器は、地域や時期によって形も装飾も様々なんですよ」

 

「これ、どうやって作ったんだろうね」

 

 青も興味深そうに覗き込む。

 

「粘土を紐状にして積み上げる方法などが使われていました。表面に縄目の文様をつけたり、立体的な装飾を施したり……」

 

「へぇー!」

 

「ちなみに、縄文土器という名称の由来は、縄目の文様にあります」

 

「なるほど!」

 

 莉々華が勢いよく頷いた。

 

「じゃあ、弥生土器は?」

 

「弥生時代の土器ですねぇ」

 

「じゃあ、古墳時代は?」

 

「古墳時代には埴輪などもありますね」

 

「じゃあ、奈良時代は?」

 

「莉々華ちゃん、クイズ大会になってるよ」

 

 青が笑いながら指摘する。

 

「いや、せっかくだから知識を吸収しようと思って!」

 

「ふふっ。良い姿勢ですねぇ」

 

 らでんは楽しそうに説明を続ける。

 

「博物館というのは、ただ展示物を見るだけじゃなくて、そこから当時の人々の生活を想像するのも面白いんですよ」

 

「生活かぁ……」

 

 青は埴輪を見つめた。

 

「これを作った人も、仕事終わりにご飯食べて、家に帰って寝てたんだよね」

 

「そうですねぇ」

 

「なんか不思議。何千年も前の人なのに、やってることは今とそんなに変わらないんだ」

 

「そういう感覚、私は好きですよ」

 

 らでんが微笑む。

 

「歴史って、遠い世界の話のようでいて、結局は人間の営みの積み重ねですからね」

 

「……良いこと言うなぁ」

 

 青が感心したように呟く。

 

「らでんちゃん、今日ずっと良いこと言ってるね!」

 

「いやぁ、照れますねぇ」

 

 

 

 第五幕 休憩時間

 

 

 

「つ、疲れた……」

 

 椅子に腰掛けた莉々華が、机に突っ伏す。

 

「まだ半分くらいしか見てないよ」

 

「青ちゃん、そんなこと言わないで……。私の足はもう限界なの……」

 

「さっきまであんなに元気だったのに」

 

「知的好奇心と体力は別腹なの!」

 

「別腹って、そういう使い方でしたっけ?」

 

 らでんが笑いながら飲み物を置く。

 

「まあまあ、少し休憩しましょう」

 

「らでんちゃん、ありがとう……」

 

「それにしても、思った以上に見応えがありますね」

 

 青がスマートフォンを取り出す。

 

「写真もいっぱい撮っちゃった」

 

「青さん、どれくらい撮ったんです?」

 

「えーっと……」

 

 画面をスクロールする。

 

「百二十枚」

 

「多っ!」

 

 莉々華が顔を上げた。

 

「私なんかまだ三十枚くらいだよ!」

 

「いや、三十枚も十分多いですからねぇ」

 

「らでんちゃんは?」

 

「私は……」

 

 らでんがスマートフォンを確認する。

 

「二百枚くらいでしょうか」

 

「一番多い人いた!!」

 

「だって、気になるものがたくさんあるんですもの」

 

「さすがだ……」

 

 青は感心しつつ、飲み物を口に運んだ。

 

「でもさ、今日来て良かったね」

 

「え?」

 

「こういう場所って、一人で来るのも楽しいけど、誰かと来ると自分じゃ気づかないものに気づけるじゃん」

 

「……確かに」

 

 莉々華が頷く。

 

「私も、最初は甲冑とか土器とか、見た目のインパクトしか見てなかったけどさ。らでんちゃんの説明聞いたら、ちょっと違って見えてきた」

 

「それは嬉しいですねぇ」

 

「青ちゃんも、絵の話してたしね!」

 

「まあ、僕はクリエイターだからね」

 

「おっ、出た! イケメン!」

 

「そこは関係ないでしょ!」

 

 三人の笑い声が、休憩スペースに響いた。

 

 

 

 第六幕 帰り道

 

 

 

 気がつけば、夕方になっていた。

 三人は本館を出て、上野公園へと向かっていた。

 

「いやぁ、楽しかった!」

 

 莉々華が満足そうに伸びをする。

 

「思ったより長居しちゃったね」

 

「気づいたら閉館時間が近かったですからねぇ」

 

「らでんちゃん、今日は本当にありがとう!」

 

「いえいえ。私も楽しかったですよ」

 

 青がふと立ち止まり、博物館を振り返る。

 

「……また来たいな」

 

「おっ、青ちゃんも?」

 

「うん。今日見たものを、今度はもう少し違う視点で見てみたい」

 

「それなら次は、もっとじっくり見ましょうか」

 

 らでんが微笑む。

 

「次回は展示品の時代背景を予習してから来るのも面白いと思いますよ」

 

「いいね!」

 

 莉々華が手を挙げる。

 

「じゃあ次回は、私が企画する!」

 

「おっ、何か考えがあるんですか?」

 

「もちろん!」

 

 自信満々に胸を張る莉々華。

 

「次回は博物館の後に美味しいものを食べるツアー!」

 

「……それは博物館がメインなのかな?」

 

 青が呆れたように笑う。

 

「もちろん! 博物館で知識を蓄えて、美味しいもので栄養を蓄える! 完璧な計画!」

 

「ふふっ。良いですねぇ」

 

「らでんちゃん、賛成してくれるの!?」

 

「ええ。食文化も立派な文化ですからね」

 

「ほら! らでんちゃんもこう言ってる!」

 

「いや、僕も反対はしてないけどさ」

 

 三人は再び歩き始める。

 歴史を学び、芸術に触れ、くだらない話で笑い合った一日。

 それぞれに違う興味を持つ三人だからこそ、同じ景色を見ても、見つけるものは違っていた。

 

「ところで莉々華ちゃん」

 

「ん?」

 

「次回の食事場所は、もう決めているんですか?」

 

「えっ?」

 

「まさか、まだ決めていないんですか?」

 

「……青ちゃん」

 

「何?」

 

「次回の企画、任せた」

 

「丸投げ!?」

 

「ふふっ」

 

 らでんの笑い声が、夕暮れの上野に響いた。

 

 

 

 次回、『三人寄れば、食欲も止まらない』

 

 

 

「いや、タイトルまで決まってるの!?」

 

 青のツッコミとともに、三人の休日は幕を閉じた。




AIに小説書かせるとかすごい世の中になったもんだ……と思いながらも、AI小説読んでるとAIの癖が気になって時たま集中して読めなくなる時がありますね。あの癖はセーフティみたいなものなのだろうか……。
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