ホロメンワチャワチャ話 作:吾輩は偏食である
1. 熊本への小旅行
「いやー! 熊本まで来ちゃったねー!」
レンタカーの助手席で、大空スバルが声を上げた。
「でござるな! なかなかの長旅でござった!」
運転席の風真いろはも、楽しそうに笑う。
今回の目的地は熊本県山都町にある幣立神宮。
二人がわざわざここまでやってきた理由は、もちろん一つ。
「五色神面!」
スバルが勢いよく宣言した。
「そうでござる!」
「いやー、ずっと気になってたんだよね。五色のお面!」
「拙者もでござる。赤、青、黄、白、黒の五つのお面……一体どんなものなのか、実際に見てみたかったのでござる!」
「写真で見ても結構インパクトあるもんな!」
「はい!」
二人は以前、五色神面について話題にしたことがあった。
世界の人々の祖神を表すという伝承や、五色の人々が集って平和を祈ったという話。
歴史や伝承が好きな二人にとって、興味を引かれるには十分だった。
「よーし! 今日はしっかり見ていこう!」
「いざ、参るでござる!」
2. 幣立神宮に到着
「おおお……!」
境内に到着したスバルは、思わず周囲を見渡した。
「なんか空気が違うな!」
「木々が大きいでござるね……」
境内には立派な木々が立ち並び、静かな雰囲気が漂っている。
二人は鳥居をくぐり、参道を進んでいく。
「こういう場所って、なんか落ち着くよね」
「分かるでござる。自然に背筋が伸びるというか……」
「いろはちゃん、こういう場所似合うよなぁ」
「えっ、そうでござるか?」
「うん。なんか侍って感じ!」
「拙者、侍でござるから!」
「そうだったわwww」
二人は笑いながら階段を上がっていく。
途中、スバルが立ち止まった。
「……いや、ちょっと待って」
「どうしたでござる?」
「階段、思ったよりあるな……」
「まだまだこれからでござるよ!」
「いろはちゃん元気だなぁ!」
「日頃の鍛錬の成果でござる!」
「スバルも負けてらんねぇ!」
二人は最後まで上りきり、参拝を済ませた。
3. お目当ての五色神面
「さて……!」
スバルが両手を合わせる。
「いよいよですよ、いろはさん!」
「はい、スバル殿!」
二人は五色神面について案内を確認する。
ところが、そこで一つの事実を知る。
「……えっ?」
スバルが案内を読み直した。
「これ、実物は普段見られないの?」
「社宝として大切に保管されているそうでござるな」
「えええー! せっかくここまで来たのに!」
「スバル殿、落ち着くでござる!」
「いや、だってさぁ!」
「でも、五色神面の写真は見ることができるようでござるよ」
「おっ! そうなの!?」
「はい!」
二人は気を取り直して、五色神面の写真を見に向かった。
そして。
「……おお」
スバルの口から、自然と声が漏れた。
そこには五つの面。
赤、青、黄、白、黒。
それぞれ異なる表情をした面が並んでいる。
「これが……五色神面」
いろはも、じっと写真を見つめていた。
「実際に見ると、やはり独特の雰囲気があるでござるな」
「うん。なんか想像してたのと違うなぁ」
「どのようなところがでござる?」
「もっとこう、綺麗に整った感じなのかなって思ってたんだけど……なんか、すごく生々しいというか」
「分かるでござる」
いろはは一つ一つの面を眺める。
「表情がそれぞれ違っていて、見ていると不思議な気持ちになるでござる」
「赤、青、黄、白、黒……」
スバルは順番に色を確認する。
「この五色の人たちが、昔ここに集まったっていう伝承があるんだよね」
「はい。五色人が集い、互いの和合と世界の平和を祈ったという伝承でござる」
「すごい話だよなぁ……」
「本当に」
二人はしばらく黙って写真を眺めていた。
「……なあ、いろはちゃん」
「はい?」
「これって、実物を見たらもっとすごいんだろうな」
「そうでござるね」
「いつか見られる機会があったらいいなぁ」
「拙者も、ぜひ見てみたいでござる」
二人は顔を見合わせた。
「よし! そのときはまた来よう!」
「はい!」
4. 御神木と東御手洗
五色神面を見学した二人は、境内をさらに散策することにした。
「おおっ! こっちにも何かあるぞ!」
スバルが見つけたのは、立派な御神木だった。
「でっか……!」
「本当に大きいでござるなぁ」
二人で見上げても、全体を視界に収めるのが難しい。
「これ、何年くらい生きてるんだろうね」
「長い年月をこの場所で過ごしてきたのでござろうな」
「なんかさ、こういう木を見ると、人間の時間って短いんだなって思うよね」
「……確かに」
いろはは木の幹に目を向ける。
「何百年、何千年と、この場所を見守ってきたのでござるから」
「いやー、すごいわ」
その後、二人は東御手洗にも足を運んだ。
水の流れる音が静かに響く。
「わぁ……綺麗」
「落ち着く場所でござるね」
「こういうところでゆっくりするのもいいなぁ」
スバルは近くの水辺を眺める。
「今日、来てよかったね」
「はい。拙者もそう思うでござる」
5. お土産選び
参拝と散策を終えた二人は、お土産を見て回ることにした。
「何買おうかなぁ」
「お守りもいいでござるね」
「いろはちゃんは何にする?」
「拙者は、こちらにしようかと」
いろはが手に取ったのは、神社のお守りだった。
「おお、いいじゃん!」
「スバル殿は?」
「うーん……これ!」
スバルも一つ選ぶ。
「よし! これで今日の記念品ゲット!」
「ふふっ。大切にするでござる」
「もちろん!」
二人はお土産を手に、境内を後にした。
6. 帰りの車内
「いやー、楽しかった!」
帰りの車内。
スバルは助手席で、撮影した写真を見返していた。
「五色神面、実物は見られなかったけど、写真でも結構迫力あったなぁ」
「そうでござるね。いつか実物を拝見できる機会があれば、ぜひまた来たいでござる」
「次は五色神祭の時期に合わせて来る?」
「おお! それは良い考えでござる!」
「じゃあ決まり!」
スバルはスマートフォンを操作しながら、ふと思い出したように言った。
「そういえば、今日の写真、あとで送るね!」
「ありがとうございます!」
「いろはちゃん、結構いい写真撮れてるよ!」
「本当でござるか!?」
「うん! ほら!」
スバルがスマートフォンを差し出す。
そこには、境内の木々を背景に笑顔で写るいろはの姿があった。
「おお……! これは良い写真でござるな!」
「でしょー!」
「スバル殿も撮ってあげるでござる!」
「おっ、お願い!」
いろはは車を停められる場所を探し、二人で記念写真を撮った。
その写真には、満足そうに笑うスバルと、隣でピースをするいろはが写っていた。
「いやー、また来ような!」
「はい! 次はどこへ行くでござるか?」
「んー……熊本のほかの神社もいいし、宮崎とかも行ってみたいな!」
「おお! 高千穂も気になるでござる!」
「いいねぇ!」
二人の次の旅行計画は、帰り道のうちに始まっていた。
その日の夜。
スバルのスマートフォンに、いろはからメッセージが届いた。
『今日はありがとうございました! 五色神面、とても興味深かったでござる!』
『こちらこそ! また一緒に行こうな!』
『はい! 次は実物を見られる機会があるといいでござるね!』
『だな!』
スバルは今日撮った五色神面の写真を、もう一度開いた。
五つの面が並ぶ写真。
「……いやぁ、不思議なもんだなぁ」
歴史や伝承に思いを馳せながら、スバルは満足そうにスマートフォンを閉じた。
次は五色神祭。
二人の小旅行は、まだまだ続きそうだった。