【悲報】ちんちん改造したのに戦争に負けるw   作:ひつまぶし太郎

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よんわ。

 

 

 

外周区。

それは華やかな東京エリアとは対照的な、打ち捨てられ戦争の痕跡が色濃く残る元市街地だ。

 

東京の暗部と口さがない者たちは言うのだろう。

僕は別にどうとも思わない。

同情も特にない。

外周区で子どもに悪意を振るう人間はノータイムでぶち殺すが、それだけだ。

 

いやマジで。

フリとかじゃなくね。

 

まぁ僕より彼女たちのほうが人間だろうにとか思うくらいで。

 

───モノリスによって人間とガストレアの住む境界が決まって早十年。

 

大戦によって無傷のまま残ったのは東京都だけで、ぎりぎり無事な周辺地域を統合したためか、外側に行くほど荒廃が激しくなっていく様は、世が世なら廃墟マニアの喜びそうな風情があった。

 

今の時代全員顔をしかめると思うけど。

 

「懐かしいなぁ。ほら、あそこ」

 

「なんですか?」

 

なんかのアニメの作中歌らしき演歌に合わせて、カンジャでパキってきたりしてると普通にキレられたので、安全運転に戻してしばし。

 

だんだんとドライブも暇になってきて、観光案内みたいな様相を呈してきていた。

 

「あそこで戦争中うざい上官のヅラが爆風に煽られて脱げたんだよね、爆笑した記憶あるわ」

 

「笑えません…」

 

「そのあと駐屯所ごと吹き飛んだんだけどね。僕だけ生き残ったからこの話できる相手もいないんだよなぁ」

 

「ほんとに笑えませんが…!?」

 

「そう?」

 

東京エリアの区分けは、中心から順に若い番号が振られており、モノリスに近づくにつれて数字がかさんでいく。

 

今僕が向かっているのは、いわゆる第三十九区にあたる。 

モノリスも都心にいるときよりはるかに近くて、大きく見える。

 

ほとんどの人が外周区には近づかないので、何かの拍子にこの近くまで来るとそのでかさに驚くこともあるくらいだ。

 

まぁあれだ。

見せ槍みたいなもんなのだろう。

普段は小さく見えてるし恩恵も感じないけど、間近で見るとクソデカいっていいよね。

捗る。

 

「今更ながら、こんな場所へ何しに来られたのですか?」

 

「ゴミ捨て」

 

「……?」

 

目的地周辺です、案内を終了します。

というカーナビの声とともにブレーキを踏む。

 

別に僕はカーナビとか設定してないけど。

なんか勝手に起動するんだよなこの車。

 

「…あの、このカーナビの目的地モノリスの外を示してるんですけど」

 

「ああこれ?この車呪われてるらしいんだよね。事故物件ならぬ事故車両?なんかカーナビがどんだけ設定し直してもモノリスの外に連れてこうとするからってタダ同然で譲ってもらった」

 

「なんてものに乗せてくれてるんですか?ホラーじゃないですか!一体この車で何ができると…」

 

ポケモンGoのガストレア版とか?

それかあの世へGo。

 

「まぁ言いたいことはわかるけど車には罪ないからなぁ」

 

「その車そのものが嫌だって話なんですけど…」

 

「わかるよ。この車カップルがキメセクしてて逃げ遅れた結果ガストレア化したらしいし。事故車両じゃなくて事(・)後(・)車両だろって言いたいんでしょ?」

 

「違います」

 

車を止め、助手席の夏世ちゃんにグローグボックスからスピーカー付きのミュージックプレイヤーを出してもらう。

 

いわゆる呼び込みくんと呼ばれる人形の音声データを録音したデータをひたすら流れ始め、そのやかましさに女の子が顔をしかめた。

 

この風情がわからないとか。

これがジェネギャってやつか。

4歳差とかだけど。

 

…チンピラ民警は気絶している。

まったく堪え性のない。

そんな根性だと僕みたいにちんちん改造されたら人生に絶望しちゃうぞしっかりしろ。

 

「はいそっち持って〜」

 

「こうですか?」

 

「そうそう」

 

折りたたみの机を出し、その上にパンが乗ったかごを並べ、準備は完了だ。

 

そんなタイミングを見計らったようにがこり、とマンホールの蓋が上がる。

六十キロはあるそれを軽々片手で持ち上げる子どもなんてのは、ここでは珍しくもなんともない。

 

「いい匂いがしたので」

 

「出たなのでので星人。もっと早く来いよな。そしたら手伝わせんのに」

 

「一番に来れば好きなものを選べるので。おすすめを聞きたいので?」

 

「まぁ一番捨てたいのはアンパンマン…トトロ…そのあたりかなぁ」

 

「あいかわらず意味不明な言い方をしますので。ツンデレパン屋さんは度し難いので」

 

誰がツンデレだよ。

 

「パンを廃棄するにも金がかかんだよね最近は。つまりそんなゴミを食べさせられるのは虐待なわけで。よそでもこんな扱いされると思わないこったな」

 

「これにしますので」

 

「聞けよ」

 

呪われた子たち。

そう呼ばれるガストレアウィルスに意図せず胎児の時に感染した、特別な力を持つ子どもたち。

 

彼女らに人権はなく、社会的地位もない。

ゆえにこそ、こうした彼女たちを守る砦になる外周区は必要なのだ。

 

政府の立ち入らない、捨てられた世界。

だからこそ許される自由もある。

 

「ふっ…お兄さんみたいな火星人の言いなりにはなりたくありませんので。私は何にも縛られない自由な女なので」

 

「なんだとコラガキ。誰か宇宙人だ!てめーみてえな失礼なガキが将来バイトテロ起こすんだよ。冷凍庫に入ったりしてな。今のうちに撲滅してやろうか?」

 

「効いてて草」

 

は?

 

「おいおいおいおい極刑が決定したぜお前はよぉー!いい度胸じゃねえかクソガキ!自由の代償を思い知らせてやる!!」

 

自由だから。

ここは自由なので。

ムカつくガキをしばき回しても許されるはずだ。

 

僕ガキって嫌いなんだよね。

いつも脳内で罵倒してくる幻覚もガキだしよ。

僕がガキ嫌いって言うと先輩が『同族嫌悪か?』とか言ってくるのも嫌い。

 

「ちょ、大人げないですよ!というく沸点低すぎですよ!!!」

 

「必死乙」

 

「あなたも煽らないでください!!」

 

そんなふうに騒いでいたからか、それとも普通にパンの匂いにつられてなのか。

ぞくぞくとマンホールから子どもたちが這い出してくる。

 

赤目、赤目、赤目。

イニシエーター差別主義者たちが見たら発狂するだろう光景だ。

 

僕はゆくゆくこいつらをぶくぶくと育て上げ、まるで世界が優しいかのように錯覚するのが夢なのだ。

 

なんでそんなことするのかって?

 

赦さない

 

別に深い意味はない。

なんとなくだ。

 

まぁ、供養といえなくもない。

大人の都合で産み落とされ、だと言うのに迫害されて。

それでもまだ生きている彼女たちに僕は───

 

赦さない

 

「はいはい、並べよお前ら。お前らみたいなのが親切にされるとしたらそれは性犯罪者か警察だからな。勘違いすんなよ」

 

「「「はーい」」」

 

返事をしながらも目はパンに釘付けな子どもたちにため息をつきながら、僕は車にもたれかかる。

 

しゅぼっ、とタバコのような見た目のそれに火をつけ煙で肺を満たして吐き出す。

 

うん、美味い。

心なしかいつもよりも苦味がつよいけど。

 

「照れ隠しですか?」

 

「バカ言えよ。虐待して照れるやつとかサイコパスでしょ」

 

「ふふ、そういうことにしておきましょう。…それにしても、変わった臭いですね。タバコでもないような」

 

「勘のいいガキは嫌いだよ」

 

煙が青空へと溶けていく。

 

別に、この煙だって意味はない。

 

結局のところ、僕の本質を平凡に見せかけ煙に巻くためのおためごかしでしかないのだから。

 

いつもよりも大きく見えるモノリスを煙で隠す。

 

白い世界のなかでだけは、僕も息ができる気がするのだった。

 

「パン屋さん…」

 

「ああ゛きくぅ゙ぅ゙ぅ゙…」

 

「あの、大丈夫なやつなんですよね?」

 

「噂じゃ合法らしいよ。認可降りてないらしいけど」

 

「違法じゃないですか!」

 

「法律の適用範囲外ってやつらしいよははは!HA HA HA HA HA HA !!!」

 

「ひぇ」

 

ケタケタと笑う僕に隣の少女がなんだかどん引いたような気がするけれど、きっとそれも煙が見せる幻なのだろう。

 

背負い投げ〜あげぽよ〜。

 

「よーしお前らうんちは持ってきたな?」

 

「は?」

 

「「「はーい」」」

 

「じゃ、軽バンに乗せてけよ。はい解散解散。散った散った」

 

「待ってくださいなんですか、どういうことですか!?」

 

「なにって、うんち集めてんだよ」

 

「正気とは思えない発言!!!しかるべきところに通報するべきでは!?」

 

「やだなー、ちゃんとそのしかるべき場所に提出して念入りに嗅いだり温めたり寝かしたりするだけだって」

 

「どんな性癖!?女の敵じゃないですか!!いや、人類悪…!?」

 

なんだかとんでもない勢いで罵倒されているが、なぜなのか。

今にも銃のセーフティを外しそうな少女に向かって小首をかしげる僕は、心底不思議な気持ちで疑問をこぼした。

 

「検便ごときで大袈裟な」

 

「…!!…ああ!?」

 

「変な想像でもした?ませてんなぁ…」

 

真っ赤になり、ぷるぷると震える少女を見ても、ロリコンではない僕からすれば何もそそられるものはない。

 

いや、逆に唆るぜこれは…。

 

お、お前は…メタルセンクウ!?なぜここに!自力で脱出を!?

 

ああ、これで司も倒せる…!

 

メタルセンクウ!さすがだぜ…。

 

「あの…」

 

「ああ、なんだ。今のは幻覚か」

 

「やっぱヤバい薬なのでは?」

 

よく見れば僕に唐突に話しかけたメタルセンクウらしきものは人ではなく石ころだった(意味不明)。

 

うっかりうっかり。

唐突に幻覚と幻聴とダンスをしちゃうのが僕の悪い癖(最悪)。

 

つーかメタルセンクウって誰だよ。

メタル桃子の親戚?

 

「ちなみに検便に使ったあとのうんこはイニシエーター差別主義者の大人に食わせる。楽しいよ」

 

「どこまでいっても人類悪じゃないですかやだー!!助けて将監さん!起きてください!この人ヤバい人でした!会話にずっと脈絡もないし目もキマってます!」

 

「あと君等呪われた子たちは別に病気にはならないから検便とかマジで意味ないしシンプルに研究資材だよね。ちなみにうんちにはガストレアウィルス混じらないらしいぜ、体内には保有されてるはずなのに不思議だよなぁ」

 

 

「もう知りません!!!!!!!!」

 

 

なんだよ人類の神秘の話だってのに。

よく知らないけどこのうんち集めのおかげで最近はガ(・)ス(・)ト(・)レ(・)ア(・)ウ(・)ィ(・)ル(・)ス(・)の(・)抑(・)制(・)剤(・)に(・)侵(・)蝕(・)率(・)減(・)退(・)効(・)果(・)も微々たるものだけど付くようになってきてるらしいんだぞ。

 

すごいんだぞ。

 

「このうんちはまだガンには効かないけどそのうち効くようになるんだって」

 

「……………」

 

「あ、信じてないな」

 

「誰がヤク中サイコパスの発言を信じるんですか」

 

「泣けるぜ…」

 

ま、どちらにせよ僕には関係ない話なわけで。

 

呪われた子たちも。

 

その救済を掲げる人たちも。

 

彼女らを差別するクズも。

 

全てが無関係。

 

それこそが自由ってもんだ。

 

世界のこととか超どうでもいい。

 

まじうんち。

 

 

「さて、帰るか。な、メタルセンクウ」

 

「誰ですかセンクウさん…」

 

「石の名前。たまにしゃべるんだよね」

 

「は?」

 

 

『ぶらっくぶれっど』

 

本日も変わらず休業中。

 

 

 




今回も最後まで読んでくださってありがとうございました。

この主人公はフラスコから生まれてるし常に幻聴が聞こえてるし定期的に幻覚は見るし戦争帰りだしヤニカスで頭ハッピーセットでちんちんは改造されてるし童貞ではないです。
なんだこいつ…。

良ければ感想や評価、ここ好きをいただけるととてもとてもとても嬉しいです(承認欲求モンスター)
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