「勢田城撤退戦」であと一歩の所で柴田勝家を撃ち損ねた俺は勢田城に戻っていた。
俺はわざわざ作った風呂に入る。一人で考えたい事があったので人払いを指せたので誰も居ない。
俺は湯につかりながら戦の時の事を思い出す。
俺は倒せるところにいた敵武将を討ち取れなかった。もちろん邪魔が入ったからであり邪魔が入らなければ楽々と討ち取れていた。
それでも失敗には変わらない。しかしその事で落ち込んだりはしない。今日討ち取れなければ次で討ち取ればいい。ただそれだけだ。
「竹中半兵衛・・・」
俺が考えていたのはまだ見ぬ織田の軍師・竹中半兵衛の事である。
「あいつの放った式神によって俺は柴田勝家を討ち取れなかった。式神をたおして追いかける方法もあったがあのままじゃ俺は勝てなかった。そのくらいあいつは強い」
ひとり呟きながらいう。
「やはり抜くしかないか。あれなら式神を楽に葬れるだろう」
俺はその後も今後のことについて考え、風呂から上がったのはそれから2時間後の事だった。
次の日、俺は軍を率いて観音寺城を責めた。
しかしそこに織田墳はおらず小規模の守備兵だけだった。その守備兵も軍勢を見ると我先にと降伏していった。
立った一日で俺は観音寺城までの領地を手に入れる事が出来た。
観音寺城で俺は戦功報酬を行った。
まず敵武将を捕えた三好政康と安宅信康にはそれぞれ金子や刀をあげた。しかし他は特に目立った功績を挙げたものは皆無だったので報酬はそれで終わりだった。
次に捉えた敵武将についての話だ。
「この者の解放を条件に織田が持つ近江国の領地を貰うと言うのはどうでしょうか?何でも織田信奈はこの者に夢中だそうなので」
そう言うのは三好長逸である。対織田戦線の総指揮を任しており三好家の中で織田家の情報を一番多く持っていた。
「ここは後々のことも考えて拘束し続けるべきだと思う」
そう長逸の案に反対するような意見を言ったのはやはり三好政康出会った。今では二人の対立は三好家の定番となりつつあった。
「それではいつまで立っても織田は攻めてくるぞ」
対織田家の総指揮を任されている長逸は織田が毎回攻めてくるのは喜ばしい事ではなかった。
「長逸殿の案は遠回りすぎる。近江国の織田領など力づくで奪えばいいだけのことだろう」
猛将である政康らしい言葉であった。
「それでは兵に犠牲が出てしまうだろう。こちらに犠牲を出さずに近江国織田領が手に入るだろう?」
「それはあくまであちらがそれに応じればの話だがな」
政康が反対する理由はそれだった。政康としても兵に被害が出ずに領土を貰えるならそれに越した事はないがいくら織田家当主のお気に入りだからと言って上洛に必要な近江国の領土を手放すとは思えなかったからだ。それにもし応じたとしても百姓に交じって間者が入る可能性もあるのだ。そこを政康は懸念していた。
「正康のいう通りだ。長逸、お前は少し休め。このところ寝ていないのであろう?それではいい采配が出来ないぞ」
俺はこのところ寝ていない長逸が心配だったので声をかける。今回の案は長逸にしては浅はかすぎた。
「・・・ご配慮ありがとうございます。それではお言葉に甘えて今回はこれで失礼します」
一礼を行い広間から出て行った。出て行ったあと最初に声を掛けたのは友通だった。
「長逸殿も対織田家総大将として頑張りすぎたのでしょう。しばらく休暇を挙げてはどうですか?」
「そうだな。一週間ぐらい休暇を与えるかしばらくは織田も動かないだろうし、それに長逸は老兵だ。大切な古参である長逸を失うわけにはいかないからな」
「そうですな。長逸殿ももう47。隠居してもおかしくないですからな」
「ああ、そうだな。さて話を戻すと暫くは相手の出方次第だなそれによってはあいつは殺す。それでいいな」
「異論はありません」
「それでよろしいかと」
友通、政康が賛成する。
「うむ、それではこれで解散とする」
俺の一言でその場にいたものは下がって行った。
そして俺は隣で控えていた信康に声をかける。
「信康。相良良晴を連れて来てくれ。あいつと話がしたい」
「分かりました」
そう言って信康は牢獄へと向かった。
しばらくすると信康が縄で縛られている相良良晴を連れて来た。因みにこの場には俺、信康、良晴しかいない。
「戦場ではよくも邪魔してくれたな」
「あんな良質のいいおっぱいを持った勝家を殺させるわけにはいかねぇだろ」
俺を睨みつけながら言う。
「ふん、くだらない。信康、お前は下がっていろ」
「はっ、しかし」
「大丈夫だ、俺はこんな奴にはやられねぇ」
信康は少し考えた後、
「分かりました」
そう言って下がって行った。今この場には俺と良晴しかいない。
「さて、と。これでこの場には俺とおめぇだけになったな」
「何が言いたい?」
俺は立ち上がり良晴に近づきながらいう。
「家臣(長逸)の報告にあったがお前は未来から来たそうじゃねぇか」
長逸の報告書にはそんな事が書いてあった。もしこのことを知らなければ俺は良晴を読んだりはしなかった。
「ああそうだ。俺は未来から来たんだ」
断言するように良晴は言った。それを見て俺はうそをついてないと思った。
「(嘘はついてない、そもそもこんな奴に嘘がつけるかどうかだな。とりあえず試してみるか)なら聞くが未来はどうなっている?」
「少なくとも俺のいた所は平和だった。争いもなくて戦争とはかけ離れていたよ」
敵の前でしかも大抵のものは鼻で笑われるようなことを良晴は淡々という。
「(俺と同じ時代か。それにしてもよくこんな事を言えるな。一歩間違えれば重要な情報を言っちまうかもしれないんだぞ?やはりバカか)・・・そうかつまり俺と同じだな」
「は?何言ってんだ?」
話を変えるように俺は言う。
「一つ聞こう。とある山に横暴で民の事をないがしろにする悪僧がいたとするお前なら、いや歴史だったらどうする」
「それは「その山を焼打ちにする」っ!?」
言おうとした事を言われて良晴は驚愕する。今俺が言ったのは比叡山焼き討ちについての事だ。まだ起きていない事を言うのはそれを知って居るもののみ。
「お前も・・・未来人、なのか?」
驚いた表情のまま良晴は言う。
「やっと気づいたか。そうだ俺は前世でトラックにひかれ死んだ。しかし気付いたら三好義継としてこの世界に性を受けていた」
「タイムスリップじゃなくて転生?」
「そうだ。そして俺は三好の天下を作るためにいろいろなことをした。そしてその結果が今だ。松永久秀は裏切ったが、織田家の上洛を阻み観音寺城まで領土を手に入れた。全て俺が努力した結果だ」
「それじゃ信奈の天下が!」
「史実では自分の家臣に裏切られ、あっという間に天下を取られた織田家にその資格があると思ってんのか?この言い方だと三好家もそうだが今は三好が天下人となっている。邪魔はさせない」
「でも・・・」
良晴は歯を食いしばりながら言う。
「でもあいつは織田信長とは違う。織田信奈は天下を確実に取れる!もし重臣に裏切られてピンチになったとしても俺が助ける!」
良晴はそう言った。
「・・・そうか。だがこの俺をたおさない限り織田は天下を取れない。それどころかこのままでは滅亡するだろう」
東には武田信玄がいる。もし武田信玄が天下取りに目覚めたら今の織田家では太刀打ちできないだろう。
「天下に織田は必要ない。織田家の代わりに俺が天下を取ってやるよ」
「それでも天下は信奈がとるべきだ!知ってるか?信奈の夢は天下を取って世界を見て回る事なんだ。俺はそれをかなえさせたい」
俺はこの言葉を聞いて思った。
・・・ああ、やはり天下に織田は必要ない。
「そうか。良晴、俺の夢を教えてやるよ」
俺は元の席に戻りながら言う。
「大日本帝国がなしえなかったことをこの世界でやる」
俺は一呼吸していう。
「俺の夢は白色人種を駆逐してアジアに平和と繁栄をもたらす。つまり『大東亜共栄圏』の成功だ」
義継の夢それは『大東亜共栄圏』。大東亜共栄圏は大日本帝国が唱えたアジアの人による独立と発展です。いまのASEANみたいなものですね。それを行うと言っています。