三好義継の野望(休載)   作:鈴木颯手

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 少し早い展開になってしまいました。


三好包囲網

三好軍5万2000は越前へと侵攻した。しかし挙兵の準備をしていたせいか、朝倉軍はすぐさま駆けつけてきた。杣山城近くで起きたこの戦いは「杣山城の戦い」と呼ばれた。

 

 三好軍はこの時二手に分かれて侵攻していたため三好義継軍3万(別働隊は十河存保を大将とした2万2000)と朝倉軍2万3000で激突した。

 

 最初は兵で振りながらも真柄姉妹の活躍で朝倉軍が押していたが兵力の違いから段々押され始め、更に朝倉軍と衝突したと聞いた別働隊が駆けつけ朝倉軍を敗走させたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「やはり朝倉は朝倉、か」

 

 本陣で朝倉軍が敗走するのを見た俺は史実通りよ分かったと思っていた。

 

 史実でも浅井が裏切らなかったらあっという間にやられていた朝倉である。俺はこの時越前が俺の支配下に入るのを信じて疑わなかった。

 

 しかし、俺は次の瞬間にその思いを打ち消すことになった。

 

 「織田家、浅井家、松平家三好打倒を掲げてこちらに進軍中!その数おおよそ5万!」

 

 まさかの浅井家の裏切りである。もちろん俺は浅井が裏切ることも考えたが、書状の内容からと時間がなかったためにほとんど何もしていなかった。

 

 さらに絶望は続く。

 

 「丹波の兵が裏切りました!」

 

 自軍の中からの裏切りである。数が少ないとはいえ、さっきまで肩を並べて一緒に戦っていた奴が裏切ったのである。混乱するだろう。

 

 「くそっ!このままではほんとにまずいな」

 

 俺は全軍に撤退を告げて安宅信康以下十数名と戦線を離脱した。

 

 しかし、そこで行く手を阻むものが現れた。

 

 「殿!大変です!」

 

 慌てて伝令兵が飛び出してきた。

 

 「いったい何だ!」

 

 俺は大声で叫ぶ。今本陣は混乱して色んな声が飛び交っているのだ。

 

 「すいません!しかし非常事態でしたので」

 

 「分かったからさっさと言え!」

 

 俺はこの時聞いた事をどれほど悔やんだことか。

 

 「はっ!義継様の兄君十河存保様が先ほど討ち死にされました!」

 

 ・・・。

 

 「な、何を言っているんだ?兄上が死ぬわけないだろ」

 

 俺はあまりの事に考える事をやめた。敵がながした偽の情報。そうに決まっている。

 

 「嘘ではありません!某は十河さまの伝令兵です!」

 

 確かによく兄上の後ろにいた。

 

 「・・・討ち取られるところを見たのか?」

 

 「・・・はい。十河さまは某に義継様の本陣に行くように伝えて一人裏切り者のもとへと突っ込んでいきました。しかしその途端にてきの種子島の一斉射撃にて」

 

 「・・・そうか。分かった。下がっていい。お前も早く逃げると言い」

 

 「失礼します」

 

 そう言って伝令兵は下がった。

 

 「殿。早くここを出ないと」

 

 そう信康が言ってくる。

 

 「・・・ああ、分かっている。行くぞ」

 

 そう言って俺は馬をかける。

 

 その後到着した織田・松平・浅井連合軍によって三好軍は死者5000を超え、京に戻って来たものは2万もいなかった。

 

 「杣山城の戦い」は三好軍の惨敗で終わったのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「杣山城の戦い」後、各地で打倒三好を掲げた大名が続出した。

 

 比叡山延暦寺、越前朝倉家、浅井家、織田家、松平家、丹後一色家、波多野家以外の丹波の大名、松永久秀、伊予河野家、更に上杉家が将軍家復活の為に戦の準備をしている事が分かった。

 

 空前絶後の「三好包囲網」の完成であった。

 

 しかし、三好家についてくれる大名も居た。土佐の長宗我部家、伊賀の六角家、波多野家、雑賀衆に本猫寺である。

 

 長宗我部家、波多野家は以前から親交の深かった家なのでこちらについてくれるのはありがたかった。

 

 雑賀衆も前から傭兵として一緒に戦ってくれたものたちだ。

 

 本猫寺は雑賀衆の仲介のもとこちらに協力してくれるように頼んでいて、最近ようやく返事が来たのだ。それは包囲網が出来た今も変わらないようでこちら側として協力すると使者が来て伝えてくれた。こちらは頼もしい仲間が得られたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 不思議と涙が出て来なかった。

 

 戦線から離脱して若狭国をかけている時俺はそう思った。

 

 いくらこちらの世界の兄だとしても17年も一緒だったんだ。涙が出て当然だ。

 

 しかし実際には涙は出るどころか俺は兄の死を聞いた時に考えたのは死んだ兄に代わって指揮をできるヤツを見つけなくては、と考えた。

 

 おかしい、可笑しすぎる。まるで人としての何かを失ったような感じだ。

 

 俺はふと、腰にかけている妖刀に手を添える。それは普通の刀と同じ感触だ。不自然な事はない。

 

 「まさか、な」

 

 俺は思考をここから逃げる事だけを考える事にした。

 

 しかしその時妖刀が怪しく光ったのは俺には見えなかった。

 




 第二章はこれで終わりです。第二章早く終わってしまいました。次は長く続くようにします。これからも「三好義継の野望」をお願いします。
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