三好義継の野望(休載)   作:鈴木颯手

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 透かし間が空いてしまいました。「三好義継の野望」第3話目です。


義継「君は誰?吉?よろしくね」

 「来たぜ。来たぜ。ついに来たんだ」

 

 おれは両手を広げて叫ぶ。

 

 「堺にきたああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 「うるせぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 隣で騒ぐ俺に兄の存保が拳骨を食らわせて来た。しかも俺より声を挙げてだ。

 

 「兄上俺より声がデカいよ」

 

 「あ?おめぇが悪いんだろぉが!」

 

 またも拳骨を食らわせてくる。身長的にもちょうどいいからか最近拳骨を食らわせてくる。

 

 「まあ、おめぇの気持ちもわかるけどよ」

 

 そう言って存保は周りを見る。既に堺に入っているため賑わっている。まあ、騒ぎ過ぎて何事かと皆こちらを見ているが。

 

 「これだけ繁栄している街を見てはしゃぎたくなるのもわかるよなぁ」

 

 隣で存保が言う。

 

 「ほらほら、何をやっておるのだ?さっさと行くぞ」

 

 父の一存はそう言ってマチを歩いていく。俺は慌ててその後をついていく。

 

「熊王丸!おめぇは迷いやすいんだから俺の後をついて来いよ!」

 

 「それでは俺も迷子になってしまうではないですか」

 

 「おめぇ、それはつまり俺が迷子になると?」

 

 「さぁ?どうでしょうか?」

 

 「上等じゃねぇか!俺はゼッテェ迷わねぇからなぁ!」

 

 「兄上、煩いし人前でしかも大声で言うことではありませんぞ」

 

 「はぁ、全くこの二人には困ったもんじゃ」

 

 前を歩く一存のため息が小さく漏れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「何でだ・・・。何でこんなことになったんだ!?」

 

 現在俺は一人で堺の街をさまよっている。つまり迷子だ。

 

 アノ喧噪の後十分もたたずにはぐれてしまった。それだけ人が多いのだ。

 

 俺は仕方なくわき道を抜けて人の少ない通りに出て今に至る。

 

 さっきから俺を見て「大丈夫?」「坊や迷子なの?」「おじさんと一緒においで。大丈夫だよ。怖くないから、ゲフフ」など親切に言ってくる。・・・まあ、最後の人は結構危ない目付きで俺を撫でまわしていたが。精神年齢が30近い俺にとっては凄くウザったい。最後の奴に関しては一瞬刀で殺してやろうかとも思ったが子供なので刀を持っておらず丸腰だったため無反応でやり過ごした。

 

 

 「危ない奴もいたがやっぱ日ノ本一の貿易都市だけあって結構繁盛してんな」

 

 堺は会合衆と呼ばれる大金持ちの豪商たちにによって統治されている独立都市である。その為いくら摂河泉を収めている三好家といえども堺には頭が上がらなかった。

 

 「ま、どこにも味方しないからいつでも繁盛してんだがな・・・ん?」

 

 俺は歩いていた足を止める。俺の目線の先には西洋で見かけるよな巨大な建物があった。因みに屋根の上には十字架があった。

 

 「おっ、教会か。この時代は南蛮寺、だったか?」

 

 おれはこの時代で初めて見た教会に近づく。

 

 「どうせやることも無いし、南蛮寺でも覗いていこうかな」

 

 完全に迷子になっている事を忘れている俺は扉を開ける。

 

 中は今の教会とさほど変わらなかった。十数名の信者と思われる集団が不規則に西洋風の椅子に座って祭壇に立つ神父の話に耳を傾けていた。因みにその神父だが若い印象を受けるが病弱なのか今にも倒れそうな感じを受けた。

 

 「ん?おや、これは可愛い子供が来ましたね」

 

 俺に気が付いた神父が俺を笑顔で出迎えてくれる。

 

 「本日はどうしたのですか?」

 

 「今日初めて堺に来たのですが父上たちとはぐれてしまいまして、さまよっていたら偶然この寺が見えたので」

 

 俺は普通に日本語をしゃべる神父に驚きつつ応える。

 

 「へぇ、堺に初めて来たの?私とお揃いね」

 

 すると一番前の席に座って居た女の子がこちらに話しかけた。

 

 「君は?」

 

 「私は吉。父上に連れられて堺に来たけどどれもこれも見たことないものばかりで凄いわ。父上には感謝しないと」

 

 「君の父上は商人か何かなの?」

 

 その言葉に吉は少し迷った後こう答えた。

 

 「父上は大名なのよ。しかもお金持ちの」

 

 胸を張って答える。胸はないが。

 

 「へぇ、そうなんだ。僕は三好家重臣十河一存の子供の十河熊王丸って言うんだ。よろしく」

 

 俺の言葉に吉は驚く。

 

 「三好の重臣⁉ならとっても偉い人じゃない」

 

 「まあ、お互い様だよね」

 

 おれは本当は黙っているつもりだったがあちらが名乗っているのにこちらが名乗らないのは失礼だと思い言ったのだ。まあ、少し言い過ぎた気もするが。

 

 「ところで君は何でここにいるの?」

 

 「それは南蛮に興味があるからよ。この宣教師にいろいろ聞いているの」

 

 「本当に吉お嬢ちゃんはすごいよ。この年でそこまで考えられるなんて」

 

 「そ、そうかな」

 

 吉は照れながら言う。

 

 「南蛮・・・ねぇ。確かに技術力は高いよな。一度だけ南蛮の船を見たことあるけどとても日ノ本の船では相手にならないよな」

 

 俺の言葉に二人は黙る。俺、何か変な事を言ったか?

 

 沈黙を破ったのは吉だった。

 

 「ふふ、あなたとは気が合いそうね。ねぇ、ちょっとついてきてくれる?」

 

 「ん?別にかまわないよ」

 

 そう言って俺達は南蛮寺を出て行った。

 

 着いたのは南蛮寺の前にある茶屋だ。おれたちは外の椅子に座る。

 

 「ねぇ、一つ聞いてもいい?」

 

 「何でも聞いていいよ。俺の応えられる範囲なら」

 

 そう言うと吉は何かを決心したような目を向けてこう言った。

 

 

 

 「熊王丸は南蛮が攻めてくると思う?」

 

 

 




 幼少期の信奈の登場です。神父が信奈の初恋相手という設定にしました。ちょっとがたがたですね。
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