失恋配信中に悪酔いで女装を仄めかしたらバズって逃げられなくなった   作:誘惑弱者

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第3話

 

『はい、ええー。そう言う事で、今現在こうなっております。他人の不幸は蜜の味と言うので、皆さんは今メシウマ状態なんですかね』

 

取り敢えず、過去の戒めとして例の切り抜き動画にバッドボタンを押しておこう。もう二度とこんな事はしない様に。通報はしないよ、僕が悪いし。許可は欲しかったから、それをコメント欄に書いとこう。

 

あー、やっぱり切り抜きを見るんじゃなかった。結局状況の整理をしなきゃいけないとは言え、見たくなかったなぁ。

 

『夢じゃなかったんですね』

 

《コメント》

・絶望した顔してて草

・言われてもきっと心の中で何処か嘘だと思ってたんだろうな

・具体的に何処が嘘だと思ってたの?

 

『もう全部です。振られた事も配信したのも女装するのも、全て嘘だと思ってました。思いたかったんですよ。まぁ、取り敢えず女装ですよね?』

 

嫌な事は嫌だけど、終わってしまった事と言う事にしとこう。いつまでも傷口をつつくよりは、処置して放置しておいた方が良い筈。

 

『周知の事実だと思うんですが、僕男なんで女性用の服とか持ってないんですよね。しかも、唯の女性用の服なら、まだ何とかなるかもしれないけど』

 

要は女装コスプレって言う認識で合ってるのかな?それは難易度が高過ぎる。まず、その服を用意するのも大変だし。よし、やっぱりそれを口実に引き伸ばせば人の噂も四十五日──。

 

《コメント》

・あ、じゃあ私が作るよ。スリーサイズ測ってくれたら多分、何とかなると思う。コスプレ経験者だから時間さえ貰えれば良い物作れると思う。

・神はここにいた

・神様仏様ですわ

・はい解決

・逃げられるとお思いで?

 

『ッ!?何の事ですかねー。サッパリ分からないですわーおほほほほ』

 

《コメント》

・図星過ぎて見知らぬお嬢様が生えて来ちゃった

・自認お嬢様ですか

・それなのに可愛いのはなんでなんだよ

・もう逃げられないねぇ

・今だに逃げられると思ってるのが凄いな

・同接が平日で五千人って、よっぽどだともう少し理解した方が良いよ

・暇人の変態がいっぱいいるみたいですね。こんな奴らばかりで日本は大丈夫かな?

・と変態が申しております

 

ま、まだ。まだまだ。僕は負けていない。僕のターンは終わっていないっ!

 

『でもですねー。服のデザインが──』

 

《コメント》

・スレで何個か良い案出てたからそれから決めれば?

 

『うっ!そんな時だけ仕事が早い。だけどっ。それを描いてくれるイラストレーターさんなんてそんな都合良く……』

 

《コメント》

・Vの衣装何個か受け持ってるんだけど今暇だから描くよ

・下手で良ければワシも描く

・これがインターネットです

・インターネット怖すぎ

 

『いやいや、良いですよ。そんな申し訳ないですし、お金だって払えないですし』

 

一歩ずつ確実に潰されていく。何も成す術は無いのか。そう思ってしまうぐらい。逃げ道が全て潰されていた。

 

嘘だ。そんな。馬鹿な。

 

【¥10000】《何処でも変態》

ほい。つ一万円

 

《コメント》

・足りないのならクラファンすればええやん

 

『……』

 

変態の行動力を舐めていた。としか言いようが無い。まさかここまでとは。

 

《コメント》

・百万人いるからな。諦めて女装魔法少女コスプレ公開告白配信するんだな

 

『地獄じゃん』

 

全ての逃げ道が塞がれ、詰みとなった。近い未来に地獄が訪れる事が確定し、僕は自分が犯してしまった罪に絶望しながら静かに配信画面を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次の日、大学に向かうと。

 

『……』

 

「ちょっと話があるんだけど良いよね?」

 

一番会いたくて、会いたくない人間がそこにいた。

 

初恋の人が不敵な笑みで、今僕が入ったばかりのドアに鍵を閉めた。

 

「残念、そこは通行止めだよ」

 

その言葉を聞いた途端、まるで蛇に睨まれた蛙の如く、僕の身体は身動きが取れなくなってしまった。

 

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