私の名は閻魔大王、かの有名な閻魔大王である。
キラキラネームとかでなく日本の冥界の統率者である。
人がが死んだら、何処に行くか?
国や宗教によって大きく異なるが、大抵の場合は天国と地獄と言う概念があり、生前の行いによって、どっちかに向かう。日本の場合、天国と地獄のどちらかに行くか裁判を起こして決めるシステムとなっておりちゃんとしたキリスト教徒とかはそっちの方のあの世に行くが基本的には日本の冥界にやって来て裁判を受けて天国か地獄かを決める。分かりづらいと思えば鬼灯の冷徹に近い感じである。
「ふむ、どれにするか」
他の国ではどうかは語らないが、日本の冥界では色々とルールがある。
例えば大人になる前に死んだ場合、天国でも地獄でもなく賽の河原と呼ばれる三途の川の川辺に行くシステムであり、その河原で転生する時を待つシステムである。
実はこの十数年の間にそのシステムが少し変化している。
大人になる前に死んだ子供達を異世界に転生させる様にしている……無論、ちゃんと転生するつもりがあるかどうかについて聞いている。ただし、転生先は所謂アニメやゲームの世界である。まぁ、一言で言えば二次創作みたいな感じだ。
何故そのシステムを取る様になったのか?と言う問いかけに対しては話すと少し長くなるので割愛をしよう。
子供が大人になる前に死んで、二次元の世界に転生特典を持って転生するかと話を聞いて転生をさせる様になった。私としては子供に長く元気で幸せに生きてくれればそれで構わないと思っているんだが……まぁ、なんだ。世の中、そんなに甘くはないのである。
異世界と言ってもガチの異世界でなく、二次元の世界である。
何故にガチの異世界じゃないの?と聞かれるが、向こうの世界だって独自の文明や宗教を築き上げているのだから下手に干渉するのは良くない事だ。勿論、その逆で日本に住んでいる住人が聞いたことも見たことも信仰もしていない神様が干渉するのは良くないと私と言うか日本の地獄の重役達は普通に思っている。
そして二次元の世界に転生させたのだが……まぁ、なんだ。色々とトラブルが起き続けていた。
例えば僕のヒーローアカデミアの世界なんだが……殆どの転生者が雄英高校に入ることが出来ない。
え?転生者なら転生特典を持ってんだろ!と言う意見は最もだろう。
しかし初期設定であまり触れられる要素では無いんだが……雄英高校って偏差値70越えの高校である。
実技の試験で無双することが出来たとしても一般教養の方の試験で弾かれる。因みにだが偏差値70越えの高校は現実で言うところの灘高校とか、つまりは日本一偏差値が高い高校に入ることが出来るレベルの学力が必須である。
雄英高校に入学したいならば最低でも高校生クイズという番組に出てくるレベルの高校に入学出来るレベルの基礎的な学力が必要である。実技で頑張ろうにも筆記の方で落とされるという事があるあるだ。魔法科高校の劣等生も公式設定で魔法科高校生の知識量って理系の大学生レベルとハッキリと明言されており、文系の人間は魔法科高校に入ることすら出来ないなんてよくあることである。
まぁ、とにかくそういうトラブルが起きたりしたのと転生者としてやっていくならば最低限はこういうのを覚えてね!と言う技術を覚えさせたりする学校を、転生者養成所を設立した。好きな転生先と転生特典を与えた結果、転生先で変な事ばっかやらかしてしまったりする転生者が割と後を絶たないし……私達も正直なところ、手探りでやっている。
二次元の世界に転生させるのだが、転生特典を与えて転生させているだけで基本的には横からああだこうだ言わない。
しいて言うならば転生先でキリスト教とかイスラム教の人間になったら日本の地獄じゃなくてそっちの方の地獄に行く可能性があるから、普通のありふれた日本人になってくれと言っているぐらいだ。
私達地獄の転生者運営Sideはタダ働き過ぎないか?となるが、そこは大丈夫。
地獄の転生者運営Sideは……転生者達が転生先で色々と頑張っている姿を見て酒をツマミにしている。地獄随一の娯楽、それは転生者が頑張っている姿を見ることである。
地獄には娯楽という物が圧倒的に少ない。
ここは地獄とは言え日本ならば娯楽というものにかけては右に出るものは居ないだろう!と言う考えがあるだろうが、それは半分当たっていて半分だけ間違っている。
スゴく分かりやすく言えば……著作権の侵害とかしたらダメ!である。
日本の地獄は頑張って現世との回線を繋いでいるから現世のアニメは見ることが出来るのだが、漫画に関しては極力手に入れる事は禁止にしている。
何故かと言われれば、漫画を手に入れるにはどうしてもお金が必要になる。そして漫画の権利を誰が持っているか?と言う話になる。
例えばONE PIECEや鬼滅の刃等は集英社及び作者が権利を持っている。ONE PIECEの作者は今も生きている。鬼滅の刃の作者も今も生きている。同人誌ならばともかく今もまだ生きている作家の本を地獄で流通させて、そこに金銭での交渉が発生すると実にややこしい。場合によっては地獄の住人への賄賂と認識出来る。
日本の冥界にも漫画家や漫画家志望も居る……なんだったら手塚治虫を始めとするトキワ荘の英雄達が居る。
しかしまぁ、なんだ……彼等が漫画家として働いていた頃は漫画なんて子供の物!と言う思想が根付いている時代だったり、今で言うところのタブレット端末による絵を描けなかったりとか、まぁ、色々とある。後、単純に今を生きている漫画家に対して既に死んでいる漫画家の方が圧倒的に少ない。一部の編集者はあの手塚治虫を思いっきりこき使える!と喜んでいたのだがな。
アニメは一応は皆が見れるように作られているので日本の冥界的にはセーフであるが、漫画やライトノベル等の量に対してアニメに出来る量は圧倒的に少なかったり昔みたいに19時ぐらいに1年じっくりかけてアニメを放送するとかそういうのが無くなったりが多い。
色々とあるが、日本の冥界は娯楽が割と少ないのである。
元々は違う理由でアニメやゲームの世界に転生させていたのだが、地獄の住人達は非常に面白い!と喜んで今や日本の地獄随一の娯楽となっている。
ああ、言っておくが勘違いはするなよ。昔のはともかく今の転生者は転生者になる意思があるかどうかの確認を終えた後に転生者になっても問題は無いようにある程度は鍛え上げている。昔は鍛えてなかったり、与える転生特典をミスったり色々と大変だった。
「カガチ、最近の転生者はどうだ?」
「最近の転生者で面白そうなのはあんまり居ないですね……」
転生者として鍛え上げた後に転生特典を与えて転生させる。
転生先に関してはある程度はランダム、転生特典に関してもある程度はランダムだ……ここで何故ある程度と言うと、例えばバンドブームになった、けいおん!の世界で仮面ライダークウガの力を与えたとして、その力を使う意味とか使う時とかあんの?である。
その転生先にある程度は見合った転生特典を与えている。
私の補佐官であるカガチに最近の転生者で面白いのはないのか?と聞けば最近の転生者で面白そうなのはあまり無いなと言う。
しつこいと感じる可能性が大きいだろうが何度も言うことになるが、ホントに転生特典を与えて転生させた後はノータッチだ。
基本的に転生者は原作に関わりやすい立ち位置に居るようにしているが、この作品が嫌いだから関わり合いを持ちたくない!と思い原作と関わり合いを持ちたくない!と動いても問題は無い!そういう転生者に原作に強制的に関われよ!とこちら側が動くことは0である。
例えば女性の転生者が居たとして、火ノ丸相撲の世界に関われるか?と聞けば色々な観点から無理!だろう。
どう頑張っても女性は力士にはなれない。女性の相撲というのもあるがそこで止まり、原作キャラ達と真剣勝負は出来ない。じゃあ、その世界に転生させなきゃいいだろうというのもあるだろうがそこは例外を持たせるとややこしいので例外は極力無しだ。
そういう子達は転生特典を持って第二の人生を謳歌する感じが多い。それはそれでいいことだ。
「まぁ、昔よりは大分マシになりましたからね……」
「そうだな……昔よりは大分マシになったな」
転生者を鍛える転生者養成所が生まれる前より転生者の品質が上がっている。
カガチはそのことを言うので確かにその通りだなと私は頷いた……転生者養成所が生まれる前の転生者は色々と大変だった……バトル漫画とか、人を平然と流血させるレベルで攻撃しなきゃいけないが、それが出来ない奴が普通だった。
「ここは色々とジャンルを絞ってスコップするのがいいんじゃないんですか?」
「そうだな……取りあえずはメジャーな作品からスコップしてみるか」
カガチ曰く最近の転生者で、コイツは最高だぜ!と言う転生者は居ないらしい。
浄玻璃鏡を使って転生者が過去に色々としていることを覗き見する。何故過去なのか?……それは転生者によっては、コイツ面白えな!と思える奴にその世界で死んだら違う世界に転生する権利を与えている。義務じゃないぞ、権利だぞ。断ろうと思えば断れるんだ。
今まで誰もこの権利を手にして次の世界への転生を拒もうとした者は居なくて、更に次の転生先で面白かったら無限に転生する事が出来る権利を与えるシステムであり、最近の転生者が面白くないので、過去に活躍した転生者の記録映像を見る……今のよりも過去の方がよかったと思うのは大分、おじさん化が進んできている。為政者である以上はある程度は柔軟にならねばいかんのだがな……