架空近未来国家召喚   作:zero3 ガイル

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第一話 ロウリア王国編2

 

クワ・トイネ公国 アカツキ帝国大使館

 

クワ・トイネ大使館に在中する外務省キャリアの浜中は、職員からクワ・トイネ公国側の外交官がアポなしで突然と大使館に訪問してきた事を報告してきた。早朝で起きたばかりにアポなしで訪問した事に浜中は新世界の住人は常識がないのかと思いたいが、アポなしで来たという事は余程の緊急事態か、それとも新世界ではアポなし訪問が当たり前のどちらかと認識する。

 

そしてクワ・トイネ公国の外務局員がアポなしで来た事を詫びて、浜中は新世界でもアポなし訪問は無礼である事を認識して新世界でも前の世界同様の礼節がある事を理解してホッとした。そしてアポなし訪問までしてアカツキ帝国大使館に来た理由はクワ・トイネ公国の西側に存在するロウリア王国がクワ・トイネ公国に侵略する事がほぼ確実である事が伝えられた。

 

「ロウリア王国の侵略ですか」

 

「はい、ロウリア王国が我がクワ・トイネ公国に向けて大規模な軍事行動を開始しているとの情報が多方面から来ています」

 

「ロウリア王国軍の大規模演習という訳ではないんですね」

 

「それは間違いなく。今回のロウリア王国軍の行動はこれまで他国に侵略した軍事行動と寸分狂いなく一致していますから我が国に対する侵略行為が遂に始まったと判断しています」

 

クワ・トイネ公国外務局員の説明を聞いて浜中はやはりなと心の中で納得する。

 

クワ・トイネ公国の外務局員に説明されるまでもなくアカツキ帝国も新世界に転移してから新世界の情報を得る為に各地に諜報員を派遣しており、その中でロウリア王国が近いうちにクワ・トイネ公国に向けて軍事行動を起こすという情報は本国から説明を受けていた。

 

新世界に転移して短い為にロウリア王国に対する情報が不足しているが、ロウリア王国はワイバーンといった新世界独自の航空戦力を除けば産業革命前の中世時代の武器が主流である事は調査済みであるためアカツキ帝国基準で考えれば造作もない相手だが、同じ様に中世時代の軍隊からの脱却が完了してないクワ・トイネ公国からすれば脅威に変わりないし、自国だけで対処するのが難しいのなら、軍事力で圧倒的に優位に立っているアカツキ帝国を頼るのは浜中からすれば分かりきった事であった。

 

無論クワ・トイネ公国もアカツキ帝国だけに頼るのではなく、アカツキ帝国軍が旧式化して一部の限られた部隊しか使用してない32式小銃を始めとしたアカツキ帝国製兵器を購入してロウリア王国の国境に近い軍事基地に優先配備し、そして軍事顧問としてクワ・トイネ公国が規模こそ小さいがアカツキ帝国軍の駐屯を認めてる事からクワ・トイネ公国も本気でロウリア王国対策をしていた。

 

「ロウリア王国軍はロデニウス大陸最大の軍事力を誇ります。無論、我が国の問題ですので我が国だけで対処するのが筋なのですが、やはり我が国だけで対応するには心許ないので出来ればアカツキ帝国に援軍をお願いしたいのです」

 

アカツキ帝国の使節団として首相のカナタや将軍達と派遣された時に見た文明圏や列強国を超えるアカツキ帝国の豊かさに加えて、アカツキ帝国軍の力強く行進する鉄の巨獣の群れや、ワイバーンを遥かに超える速度で一糸乱れぬ統率力で飛んでいた鉄の怪鳥や鉄竜を多数保有しているアカツキ帝国軍が援軍に加わればロウリア王国軍など簡単に蹴散らせると判断していた。

 

そして浜中も、本国が援軍派遣を躊躇する理由はないだろと判断していた。新世界で転移して間もない時期にアカツキ帝国の食料事情を一国だけで賄える奇跡の様な国と友好関係を構築した。そんなアカツキ帝国にとってもクワ・トイネ公国は重要な生命線である事は明白であるならだ。

 

「貴国は新世界に転移して右も左も分からない状況の我が国を助けてくれた恩があります。直ぐに本国に対して援軍派遣の許可を打診します」

 

「ありがとうございます」

 

こうして浜中は直ぐにクワ・トイネ公国の駐屯している軍団だけでは心許ないので本国に対して援軍を派遣する様に通達した。

 

ーーー。

 

クワ・トイネ公国のアカツキ帝国大使館からロウリア王国がクワ・トイネ公国と、クイラ王国に対する戦争状態になる事は明白という事がアカツキ帝国本国に通達され、アカツキ帝国首相は直ぐに緊急幕僚会議が開かれた。

 

「諸君。既に聞いての通りだが新世界で食料及びエネルギー資源を輸出してくれるアカツキ帝国にとっての生命線であるクワ・トイネ公国とクイラ王国が人間至上主義を掲げるロウリア王国との戦争になる事が確定した。クワ・トイネ公国とクイラ王国がロウリア王国に負ける様な事になれば転移直前の状況に逆戻りなる。そこで私はクワ・トイネ公国政府の援軍を要請を受けたいと考えてるが君達の意見は?」

 

総理の意見に直ぐに反応する様に国防大臣が起立して話を始める。

 

「アカツキ帝国軍はロデニウス大陸の追加派遣は直ぐにでも可能です」

 

国防大臣の言葉に呼応する様に外務大臣、経済大臣も同じ様に意見を言う。

 

「外務省としてもクワ・トイネ公国やクイラ王国にインフラ整備の為に多数の建設関係者や技術者がいます。彼等の安全を確保する為にもアカツキ帝国軍の派遣は賛成します」

 

「経済観点から見ても総理が仰る通り新世界で食料やエネルギー資源を大量に輸出してくれるクワ・トイネ公国とクイラ王国はアカツキ帝国にとっての生命線です。経済的観点から見てもクワ・トイネ公国とクイラ王国の援軍は賛成です」

 

「と、この様に我々は全員はロデニウス大陸に派遣する事は賛成です。中田閣下の意見を聞きたいのですが」

 

総理の言葉に反応する様に会議室に参加するアカツキ帝国政府・軍事のTOP達の視線が一人の青年に集中する。

 

アカツキ帝国の事実的な政治・軍事の最高権力者となっていた中田は心の中で。何で俺が国の命運を左右する最終決定権を握っているんだよ!という叫びたい心情を何とか抑えていた。

 

「そうだな。総理や皆んなの意見の言う通り俺も派遣に賛成だ」

 

更に俺は英雄でもなければ軍神でもない中身は平凡なアラフォーのサラリーマンでしかないんですけど!と、も叫びたいが周りに正体がバレない様に中田は威厳ある軍人を演じながら答えた。

 

「では中田閣下も賛成の様なのでロデニウス大陸に軍の派遣を決定する」

 

こうしてアカツキ帝国の生命線であるクワ・トイネ公国とクイラ王国を助ける為にアカツキ帝国軍を派遣する事が決定した。

 

ーーー。

 

中央歴1639年 四月十一日 午前 ロウリア クワ・トイネ公国国境付近 ロウリア王国東方征伐軍 先遣隊 野営地

 

クワ・トイネ公国外務局から国境から兵を引く様に魔法通信で何度も連絡が来ていたが、全て無視していた。既にロウリア王国はクワ・トイネ公国とクイラ王国を滅ぼしてロデニウス大陸統一の為に戦争をする事は決定事項であるからだ。

 

「明日、ギムを落とす」

 

そして、クワ・トイネ公国の国境から一番近い街であるギム攻略を任命されたロウリア王国軍将軍パンドールより先遣隊を任されている副将アデムは伝令兵に話をかける。

 

歩兵2万、重装歩兵1500、騎兵2000、攻城兵器等を扱う特殊兵1500、遊撃兵1000、魔獣使い250、魔道士100、そして主戦力である竜騎兵150という三万の大軍を任された事にアデムは嬉しさから笑みを浮かべていた。

 

特に10騎いれば一万の歩兵を足止め出来ると言われる竜騎兵150も任された事に本国が自分達先遣隊に期待している事がわかる為に余計に嬉しさから笑みが止まらなかった。

 

そんな獰猛な笑みを浮かべるアデムに恐怖心を抱く伝令兵はギムでの戦利品に関してどうするか質問した。アデムはギムでの略奪を咎めないとして兵士達の好きにしろと言い、更にギムから一人も生きて町から出さない様に一人残らず皆殺しにする様に厳命した。

 

そんなアデムの残酷な命令に伝令兵は更に恐怖心を覚えてその場から直ぐに去ろうとした時にアデムに呼び止められる。

 

「いや待て……100人ばかりは生かして解放せよ。恐怖を伝播させるのだ……敵騎士団の家族がいた場合はなるべく残虐に処分するのだ」

 

「は、はは!承知時した!」

 

やはり噂通りこの人に良識の心は持っていない。ロウリア王国軍の間で有名なアデム副将の残虐性は本当だったと心底理解した伝令兵は先遣隊全軍にアデムの命令を正確に伝える為に走り出した。

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