試験4日目最終日
今日は特別な模擬レースに使われるコースに来ている。
4つある特殊コースの3番目。
ここは阪神レース場をモチーフに造られており、重賞など大きなレースがある前は度々トレセン学園のレジェンド級ウマ娘達が練習に使っていた。
「おはよう、遥君。」
「おはようございます。本日はよろしくお願いします。」
試験最終日の今日、
俺の試験を担当してくれるのは、テレビでも何回か見た事があるあの有名な東条ハナさんだ。
「今日行う試験は、この第3コースを使った長距離タイム測定です。 距離は3200m。 今回、時間制限などがある訳ではありません。 あくまで遥君がどれだけ走れるのかを大まかに知る為の試験です。 なので君のペースで自由に走ってもらって構いません。 既に君の実力は知れ渡っていますから。」
長距離とは聞いていたが3200mとは驚いた。
てっきり有マ記念の様な2500mぐらいだと思っていたので、今日はきちんと走り切れるか心配だ。
「早速向正面のスタートラインに向かいましょう。」
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「もう一度言いますが、タイムは計測しますが遅過ぎて失格などは無いので自由に走って下さい。 ・・・それでは用意。」
俺はスタート構えをとった。
調子は絶好調。
昨日のトレーニングの疲労も無い。
朝食もルドルフにお勧めされた料理を選び適度に食べて来たので体力も万全。
今まで2500までしか走った事ないけど、走りきれない事は無いだろう。
「スタート。」
俺は合図と共に勢いよく飛び出した。
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スタートしてすぐ外回りの3コーナーに入る、
3コーナーからゴール前までは緩やかな下り坂なので、過剰にスピードが出ない様調整しながらコーナーを曲がって行く。
4コーナーを曲がり正面に向くと、先程まで誰も居なかった観客席に男性が1人立ち俺に応援の声を掛けてくれていた。
試験期間中一度も見た事のない人だったので名前は分からないが、私服姿だったので恐らく学園のスタッフか教員だろう。
男性を横目に見ながら、ゴール前付近の坂にさしかかる。
この坂を力んで進むと、疲労的な意味でかなり足を持っていかれるので無理のない程度で坂を進み、問題なく半周が終わり1コーナーに入る。
1.2コーナーは3.4コーナーよりも若干小回り。
3.4コーナー程ではないものの、本来のレースで発生する外側を回らされ体力と足を削られたりする場合もあるが、今回は俺1人で走っているので気にする事なく内ラチギリギリを狙ってロスなくコーナを曲がって行く。
2コーナーを抜け再び向正面に戻ってくると、スタートラインの位置に俺のよく知るウマ娘が2人立っていた。
そこには、ルドルフとシリウスが今か今かと俺を見ながらスタートの構えをとっていたのだ。
呆れてしまい一瞬走るのを辞めてやろうかと思ったが、これは試験中そんな訳にもいかないので俺はそのまま2人の横を通過した。
すると2人は俺が通過したと同時にスタートをし、外側に付く形で俺の横に並んだ。
「ルドルフが珍しく走りたいって言い出してな、便乗させてもらった。」
「安心しろ、君の試験の邪魔になる様な事はしないと誓おう。」
「当たり前だろ!」
トレセン学園では試験中に併走が始まるのは普通の事なのか?
東条さん見た目は厳しく厳格な先生に見えたが案外生徒に緩いのかな?
それに俺は試験中、
普通なら誰も入っちゃいけない筈なんだが。
少し考え事をしながら、俺たち3人は内回りの3コーナーに入った。
ここからが正念場。
試験勉強の時に考えたこのコースで試したかった走りを今ここで実践してみる。
3コーナー中間から徐々にゆっくりとペースを上げていく。
2人は気付いたのか少し遅れてペースを上げ始める。
今の地点でかなり息が上がってはいるが余裕はまだ十分残っている。
そして4コーナーを回り終え再び正面の景色を見る。
残り400m近い直線が目の前に広がった。
俺はここぞとばかりに、後の事など考えない全開のラストスパートに入った。
ルドルフやシリウスも同じで、俺の視界の端で超加速をし始めた。
最後の坂、
もう心臓が、肺が、両足が限界だと脳に信号を送る。
だがそんな事は一切気にしない。
何故なら俺たちは今、
100m先のゴール盤しか見えていないからだ。
「「「はああぁぁぁぁあああ!!!」」」
これは試験だ。
だが始まってしまった以上勝負には負けたくない。
俺たちは各々が持ちうる限りの力で走り、遂にゴールをかけ抜けた。
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「お疲れ様。 以上を持って本日のトレーナー試験を終了します。よく頑張りましたね。」
「ありがとうございました。」
「お礼を言いたいのはこちらの方ですよ。 貴重なデータと彼女達にも良い経験になりました。」
「ありがとう遥。 やはり無理を言って走らせてもらった甲斐があったよ。」
「次やる時は正々堂々最初からだ。 それまでせいぜい鍛えておけよ?」
俺は無事最後の試験を終え、4日間のトレーナー試験の全課程を終了した。
その後午後から暇だったのでウッドコースでの追い切りに混ぜてもらったり、シービー達の併走の手伝いなどをして他の受験者達が帰ってくるまで時間を潰した。
夕方になると昨日連絡を取っていた先輩受験者をはじめ全員が無人島から戻って来ていたが、
全員、スピードパワースタミナと呟きながらフラフラな足取りでトレセン学園を後にしていたので心配で仕方なかった。
主にこの学園が。
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自宅に到着すると、両親と従姉妹家族が俺を出迎えてくれた。
「お疲れさま。 試験どうだった?」
「何とかやれる事はしたよ。 まあ後半は殆ど強化訓練みたいな事をやらされたけどね。」
その後、トレセン学園でどんな事をしたのか詳しく説明すると、父さんと母さんと従姉妹両親は苦笑いをしながら再度俺を労ってくれた。
比べて従姉妹達は俺の話を聞いてもっと他には無いのかと目を輝かせていた。
来年再来年は自分達も入学するつもりらしいから当然の反応かもしれない。
晩御飯は俺の好きな特大ハンバーグを作ってくれて、
もう一手間と言いながら母さんが徐に熱々の人参を一本、ハンバーグのど真ん中に突き立てその場に居る家族全員が沸いた。
食事が終わった後。
従姉妹家族を見送ってから自分のスマホを開くとLINOに大量のメッセージが来ており、
それはまだ連絡先を聞いてないルドルフ等をはじめとした自己紹介すらしていない子の連絡先追加申請だった。
その中に紛れて六平さんに奈瀬さんやシンザン会長達の名前もあり驚いてひっくり返りそうになった。
大量の追加申請の後、シービーから1件のメッセージが新しく届き。
[追加しといて。]
あいつ自分の知り合い全員に俺のLINOの連絡先を広めたな。
合否はまだ出てないのに、これで落ちてたらこの人達に対して最高に気まずいのだが?
だが拒否するのも大変失礼なので全員追加したものの、一気に50人近く追加したので後の挨拶が大変だった。
しかし、
たづなさんのプロフィール画像に写っている人物は何者だろうか?
この小さい写真の真ん中に、勝負服の様なものを着た後ろ姿の人物が誰かまでは判別出来ない程物凄く小さく写っていた。
たづなさんは見た目だけで言えば耳も尻尾もないから普通のヒトミミだと思っていたが、或いは憧れの人物か何かなのかな?
しかし特にそこまで気になる事でもなかったので、俺はすぐに考えるのを辞めた。
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[現在の登場人物と大まかな立ち位置など]
若本 遥 (主人公/特異体質/ヒトミミ)
ミスターシービー(中等部1年生/ウマ娘)
シンボリルドルフ(中等部1年生/ウマ娘)
カツラギエース(中等部1年生/ウマ娘)
シリウスシンボリ(中等部1年生/ウマ娘)
マルゼンスキー(中等部1年生/ウマ娘)
メジロラモーヌ(中等部1年生/ウマ娘)
遥 両親 (元トレーナー/元G1ウマ娘)
従姉妹 (黄金一族な予感がする姉妹)
従姉妹 両親 (金細工職人/元競走ウマ娘)
秋川やよい (理事長/扇子)
駿川たづな (理事長秘書)
六平銀次郎 (ベテラントレーナー)
奈瀬文乃 (若手天才トレーナー)
東条ハナ (実力トップトレーナー兼教員)
シンザン (高等部2年生/生徒会長/ウマ娘)
テンポイント (高等部2年生/副会長/ウマ娘)
トウショウボーイ (高等部2年生/会長副会長補佐/ウマ娘)
タマモクロス (中等部1年生/ウマ娘)
スーパークリーク (中等部1年生/ウマ娘)
森の中にいた外国人 (イイウマデスネ)
黄金の像 (島を豊かに)
先輩受験者 (体力不足不合格)