クルタ族転生   作:ryyonn

24 / 63
開眼する写輪眼、追いつく金髪の忍

 

 

1.眠気の消えたうずまきナルト

 

「仲間だからだ!」

 

ナルトの言葉に、イナリは目を見開いていた。

 

ガトーの手下たちは、目の前の少年を取り囲んでいる。

 

「生意気なガキだ。そろそろ終わりにしてやる!」

 

男の一人が拳を振り上げ、ナルトへ殴りかかった。

 

ナルトは反射的に身を引いた。

 

拳が鼻先をかすめる。

 

「おっ?」

 

ナルトは自分の身体を見下ろした。

 

先ほどまでは、寝起きのせいで身体が重かった。昨日の修行の疲労も残り、思うように動けなかった。

 

だが、何度も動き、走り、攻撃を避けているうちに、少しずつ身体が温まってきた。

 

固まっていた筋肉がほぐれ、眠気も吹き飛んでいる。

 

「へへっ……」

 

ナルトの口元に、いつもの笑みが戻った。

 

「なんか、身体が動くようになってきたってばよ!」

 

「何を笑ってやがる!」

 

別の男が横から殴りかかる。

 

ナルトは腰を落としてかわし、その勢いを利用して相手の足を払った。

 

男が地面に転がる。

 

「なっ!?」

 

「遅いってばよ!」

 

背後から迫る男の攻撃も、ナルトは振り返らずに身をかがめてかわした。

 

拳が空を切る。

 

続けざまに繰り出された蹴りも、半歩横へ移動するだけで避けた。

 

以前なら、ここまで滑らかには動けなかっただろう。

 

心との日々の修行で身につけた足運びと体術。そして、サスケに負けたくないという気持ちで磨いてきた反応速度。

 

それらが、今になって実を結び始めていた。

 

「くそっ! ちょこまかと!」

 

男たちは苛立ち、次々とナルトへ襲いかかった。

 

しかし、もうナルトの身体は鈍っていなかった。

 

一人の拳をかわし、別の男の腕をくぐり抜け、さらに飛びかかってきた男の足元をすり抜ける。

 

攻撃が当たらない。

 

ナルトは相手の動きを見て、身体を動かすことに集中していた。

 

「よーし! 今度はこっちの番だ!」

 

ナルトが両手で印を結ぶ。

 

「影分身の術!」

 

ボンッ、ボンッ、ボンッ!

 

煙とともに、ナルトの分身が次々と現れた。

 

「な、何だこいつら!?」

 

「分身だと!?」

 

男たちが驚いている間に、ナルトたちは一斉に動き出した。

 

「行くぞ、みんな!」

 

「「「おう!」」」

 

一人が足払いをかけ、もう一人が腹へ拳を叩き込む。別の分身は背後へ回り、逃げようとした男を投げ飛ばした。

 

本体のナルトも負けていない。

 

相手の攻撃をかわして懐へ飛び込み、勢いをつけた一撃を叩き込む。

 

「これで終わりだってばよ!」

 

最後の男が地面に倒れた。

 

あっという間だった。

 

つい先ほどまでナルトを取り囲んでいた男たちは、全員が戦闘不能になっていた。

 

ナルトは息を整えながら、倒れた男たちを見回した。

 

「よしっ! 全員やっつけたってばよ!」

 

影分身たちが次々と消えていく。

 

ツナミは呆然としたまま、ナルトを見つめていた。

 

「すごい……」

 

イナリも、目の前の光景を信じられない様子だった。

 

あれほど大勢の大人たちに囲まれていたのに。

 

ナルトは一度も逃げず、最後には全員を倒してしまった。

 

「ナルト……」

 

イナリが小さく名前を呼ぶ。

 

ナルトは振り返り、いつもの調子で笑った。

 

「怪我はねーか?」

 

「……うん」

 

「そっか! ならよかった!」

 

ナルトは安心したように頷いた。

 

だが、すぐに表情を引き締めた。

 

「やべっ! みんなのところに行かなきゃ!」

 

「え?」

 

「再不斬との戦いだってばよ! オレ、寝坊しちまったんだ!」

 

ナルトは慌てて走り出した。

 

「おい、ナルト!」

 

ツナミが呼び止めようとしたが、ナルトはもう遠ざかっていた。

 

「イナリ! お母さんを頼んだぞ!」

 

最後にそう叫び、ナルトは仲間たちのいる橋の方角へ駆けていった。

 

イナリは、その背中を見つめ続けた。

 

昨日、自分はナルトを叩いた。

 

英雄などいないと、彼の言葉を否定した。

 

それでもナルトは、迷わず自分たちを助けてくれた。

 

「……馬鹿だよ」

 

イナリの目から、涙がこぼれた。

 

「本当に……馬鹿だよ、ナルト」

 

けれど、その声にはもう、昨日のような冷たい絶望だけはなかった。

 

2.氷の鏡に閉じ込められた少年

 

その頃、橋へ続く森では、サスケが絶体絶命の状況に追い込まれていた。

 

「くっ……!」

 

サスケはクナイを構え、周囲を警戒する。

 

彼を取り囲むのは、無数の氷の鏡。

 

その一枚一枚に、白い仮面をつけたハクの姿が映っていた。

 

「どうしました? もう終わりですか?」

 

声が響いた。

 

どこから聞こえてくるのか、判別できない。

 

次の瞬間、鏡の中から千本が飛び出した。

 

「っ!」

 

サスケは身をひねった。

 

一本をかわし、二本目をクナイで弾き、三本目を肩すれすれで避ける。

 

だが、四本目が腕をかすめた。

 

「くそっ……!」

 

サスケは歯を食いしばった。

 

速すぎる。

 

ハクが鏡から鏡へ移動する速度は、普通の目では捉えきれない。

 

それでも、サスケは諦めなかった。

 

心との修行で培った観察力を総動員し、ハクの動きを見極めようとする。

 

――必ず、どこかに規則があるはずだ。

 

ハクは無差別に攻撃しているわけではない。

 

千本が飛んでくる角度。鏡に映る姿の位置。攻撃の間隔。

 

そのすべてを見逃すまいと、サスケは目を凝らした。

 

しかし、ハクの速度はサスケの予測を上回っていた。

 

「そこです!」

 

ハクの声が響く。

 

サスケが振り向いた瞬間、複数の千本が一斉に飛来した。

 

避けきれない。

 

サスケは腕を交差させて急所を守ったが、千本が身体に突き刺さる。

 

「ぐっ……!」

 

膝が揺らいだ。

 

それでも、サスケは倒れなかった。

 

「まだ……だ!」

 

再びクナイを構える。

 

その姿を、氷の鏡の中からハクが見つめていた。

 

「どうして、そこまで戦うんですか?」

 

ハクの声は静かだった。

 

「もう、十分に戦ったはずです。これ以上続ければ、あなたは倒れてしまう」

 

「……黙れ」

 

サスケが顔を上げた。

 

「俺は……こんなところで負けるわけにはいかない」

 

一族を失った自分には、やらなければならないことがある。

 

兄を殺す。

 

うちは一族の名を背負い、復讐を果たす。

 

そして、いつか心にも追いつく。

 

自分を鍛え続けてくれた、あの少年にも。

 

「俺は強くなる……!」

 

サスケは再び前へ踏み出した。

 

その瞬間、ハクが動いた。

 

鏡の中から現れたハクが、サスケの背後を取る。

 

千本が振り下ろされる。

 

サスケは振り向こうとしたが、間に合わなかった。

 

――速い!

 

その時。

 

サスケの視界が、突然、鮮明になった。

 

ハクの肩の動き。

 

腕の振り。

 

千本の軌道。

 

それらが、先ほどまでとは違う速度で理解できる。

 

サスケの瞳が、変化していた。

 

黒い瞳の中に、赤い色が浮かび上がる。

 

そして、瞳の周囲に一つの巴が現れた。

 

写輪眼。

 

うちは一族に伝わる、血継限界の瞳術。

 

その一つの巴が、サスケの瞳の中で回るように輝いていた。

 

「……何?」

 

ハクがわずかに驚く。

 

サスケ自身も、自分の目に起きた変化を理解していなかった。

 

だが、理解する時間はない。

 

迫りくる千本を見た瞬間、身体が自然に反応した。

 

サスケは上体をひねり、一本をかわす。

 

続けて、もう一本。

 

三本目はクナイで弾き、四本目は身体を沈めて避けた。

 

先ほどまでは避けきれなかった攻撃を、今度は連続してかわしていた。

 

「見える……!」

 

サスケは驚きながらも、ハクを睨みつけた。

 

「お前の動きが……見えるぞ!」

 

ハクは鏡の中で目を細めた。

 

「その眼……写輪眼ですか」

 

サスケの瞳に浮かぶ一つの巴。

 

まだ開眼したばかりで、その能力を十分に使いこなせるわけではない。

 

それでも、相手の動きを捉え、攻撃を見切るための大きな助けとなる。

 

サスケは再び構えた。

 

「今度は……俺の番だ!」

 

彼は氷の鏡へ向かって駆け出した。

 

3.心の援護

 

少し離れた場所で、心は戦況を見極めていた。

 

サスケの動きが変わった。

 

それまで反応できなかった千本を、連続してかわし始めたのだ。

 

そして、あの瞳。

 

「……写輪眼」

 

心は小さくつぶやいた。

 

サスケが写輪眼を開眼した。

 

しかも、今は一つの巴。

 

極限状態の中で、うちは一族の血継限界が目覚めたのだ。

 

――原作と同じだな。

 

心は内心で安堵しながらも、警戒を緩めなかった。

 

写輪眼が開眼したからといって、ハクに勝てるとは限らない。

 

ハクの魔鏡氷晶は、単なる高速移動だけではない。鏡の内側から繰り出される千本の連撃は、写輪眼で動きを見切れても、すべてを避けられるとは限らない。

 

ましてや、開眼したばかりのサスケだ。

 

心はサスケの援護に入れる距離を保ちつつ、サクラとタズナの守りも固めていた。

 

「サクラ、タズナさんのそばから離れないで!」

 

「分かってる!」

 

サクラはクナイを握り、周囲を警戒している。

 

タズナもまた、緊張した面持ちで二人の戦いを見守っていた。

 

その時、心はハクの攻撃が一瞬だけ途切れたことに気づいた。

 

サスケの写輪眼に対応するためか、ハクは攻撃の仕方を変えようとしている。

 

「サスケ、油断するな! 相手もお前の変化に気づいている!」

 

「分かってる!」

 

サスケが叫ぶ。

 

心はわずかに笑った。

 

以前のサスケなら、写輪眼が開眼したことに気を取られていたかもしれない。

 

だが、今は違う。

 

勝つために何をすべきか、目の前の敵にどう対応するか。

 

そのことに集中している。

 

それは、修行を通じて少しずつ身につけてきた成長だった。

 

しかし、心は同時に別のことも考えていた。

 

――そろそろ、ナルトが来る頃か。

 

寝坊したことは原作通り。

 

ナルトがこのまま戦いに加わらず終わるとは思えない。

 

仲間の危機を知れば、必ず駆けつける。

 

心はサスケの戦いを見守りながら、森の奥へと意識を向けた。

 

その時、遠くから聞き慣れた声が響いてきた。

 

「みんなーっ! どこだってばよー!」

 

心は思わず苦笑した。

 

「……来たか」

 

ナルトの声は、戦いの音に負けないほど大きかった。

 

その声を聞いたサスケは、氷の鏡の中でハクと向き合ったまま、口元をわずかに緩めた。

 

「遅いぞ、ナルト……!」

 

新たに開眼した写輪眼が、再び赤く輝く。

 

氷の鏡の中で、ハクが静かに構え直した。

 

戦いは、ここからさらに激しさを増していく。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。