機動戦士ガンダムSEED GREYCHAIN 〜機動戦士ガンダムSEED二次創作〜   作:凰人吹雪

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第二章「進化する剣」 〜10thChain 進化する剣〜

 ペダルを踏み込んだ瞬間、急激に加速するグレイチェイン。

 「う、わっわっわっわっ!」

 コックピット内では、織衣の叫びがこだまする。

 「何やってんの!ペダルを蹴り込むな!お姫様のように扱いなさい!」

 「お姫様を踏ますな!」

 ヘルメットから聞こえるロールの声に怒鳴り返しながら、織衣は操作を調整する。

 試運転を開始してすぐのこと。いつの間にか、ロールが機体の調整まで行っていたらしく、今までとは全く違う操作感に戸惑っていた。

 「ピーキーすぎるわ!なんで!ここまでにした!言え!」

 「核エンジンの出力が高まったんだから、それを活かしただけじゃない。小さくまとまってんじゃないわよ」

 「限度があるわ!」

 怒鳴りながら、試験すべき項目を一つ一つ潰していく。

 特に大きかったのは、ドラグーンの運用方法だろう。

 散々飛び回らせたドラグーンを機体に再接続。今までであれば、エネルギーの充填で、グレイチェイン本体のエネルギーが底をつき、システムがダウンしかねない行為だったが、

 「うわ、ほんとに半分くらいしか減ってない……」

 その減った半分も、時間の経過とともに急速に回復していく。

 「当然よ!いろんなジャンクからパーツ集めたせいでそれが限界だけど、本来ならそこまでエネルギーが減ることもないんだから。ビームライフルとビームソード、ミサイルも目の前のデブリに向かって使ってみなさい」

 「はいはいっと……」

 シールドに内蔵されたビームライフルが光を放つ。着弾した巨大なデブリの表面には、

 「クレーター……出力高すぎない?」

 「連続で二発撃ったらシステムダウンするわ!やーっぱロマンよね!」

 「何してくれてんの!?」

 叫びながら、脚部に搭載されたコンテナからミサイルを放つ。

 「う、く……」

 いくつか逸れたものの、軌道を引き戻して着弾させる。

 「ドラグーンと同様に思考誘導できるはずなんだけど?」

 「勝手が、また違うっての……」

 「ふぅん?ま、アタシは扱えないから、頑張って!」

 ケラケラと笑う声に怒りを覚えつつ、手にしたビームソードを振り上げる。先の大戦で量産された対艦刀「シュベルトゲベール」をグレイチェインに合わせて出力を調整したものである。

 「悪くはないけど、振りが重いわね」

 「物理的に、反発が発生してるし。説明したじゃない」

 「話に聞くのと!体感するのは!別だって話!」

 叫びに合わせてレバーを操作して振り回す。哀れ、ただ浮遊していただけのデブリは、続けて行われた火器の試験の的となり、残骸すら消滅させられてしまった。

 

 試運転を終え、織衣はアメノミハシラへと向かう。

 「ふふん、どーよ?」

 「……正直、見違えたわ。別の機体って言われても納得できるくらい」

 素直に感嘆する織衣に気を良くしたか、ロールはそうでしょうそうでしょうと頷いてみせる。

 「あなたが来なければ、グレイチェインの修理も進まなかったでしょうし、感謝してるわ」

 「ふっふーん……あ、そうだ」

 鼻高々に胸を張るロールが、人差し指を立てた。

 「グレイチェインって名前、ダサいし変えましょ。せっかく生まれ変わったんだし」

 「あ?」

 「そうねえ。『ハイパーウルトラヴィーナスエレガント最強ゴッドプロヴィデンスゴッドオメガ』なんてどう?」

 織衣の険しい表情が、みるみるうちに優しくなっていく。

 「ありがとう。独創的な名前ね。だけど、戦闘中とか、通信の時に長いと困ることも多いから、遠慮しておくわ」

 「えぇー。ま、アンタがそう言うなら仕方ないわね」

 不満げにするロールに、優しい笑顔で織衣は続ける。

 「話は変わるけど、もしあなたに子供が生まれた時にはすぐ連絡してちょうだい。この修理のお礼に、あなたの子供の名付け親になってあげる」

 「いや、別にいらないけど」

 「なってあげるから。未来の人々を導く私が。だから、必ず、絶対、すぐに連絡をちょうだい」

 有無を言わさぬ織衣の勢いに、ロールはただ、コクコクと頷いて返すのであった。

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