機動戦士ガンダムSEED GREYCHAIN 〜機動戦士ガンダムSEED二次創作〜 作:凰人吹雪
二週間ほどデブリ漁りを続け、スターケージの格納庫はそろそろ満杯といったところ。
「うーん……流石にシグーヘッドは合わないわね」
織衣は拾ったジャンクに囲まれながら、少しでも手に入ったゲイツを高く売るべく、メンテナンスを行っていた。
「色も見た目もちょっと合わないよ」
「ちょっとなんてもんじゃないわ」
少し離れた位置で全体を確認していた千尋の、半笑いで控えめな主張に、織衣が肩をすくめて見せる。
「これなら何も載せない方が見た目はいいかしらね」
「うん。なんかチグハグすぎて、その……変?」
「まーね。高く売れるといいけど──」
「お嬢様!」
笑い合う二人を遮るように、格納庫へエレーナが飛び込んできた。珍しく慌てている様子である。
「エレーナ?何慌ててるの。まさか地球とプラントで戦争でも再開した?」
「まさかぁ……大戦が終わってまだ二年ほどなのに」
「そのまさかです!」
「は?」
キョトンとして顔を見合わせる二人に、エレーナが畳み掛けた。
「プラントのアーモリーワンで、ザフト軍へ謎の襲撃!テロとの報道ですが……!」
「……エレーナ、アメノミハシラに繋いで。千尋、私たちもすぐ動くわよ」
「すぐにご用意いたします」
「は、はいっ!」
エレーナと千尋が慌ただしく格納庫を後にする。そして、
「はぁ……またくだらない争いを始めるのねぇ……」
大きなため息。ツナギを脱ぎ捨てると、パイロットスーツへと着替え、織衣はグレイチェインのコックピットへ。
「お嬢様。通信つながりました。そちらへ繋ぎますか?」
ヘルメットのスピーカーからエレーナの声が響く。織衣はグレイチェインの起動準備を進める手を止めずに短く返した。
「ミナさん?」
「いえ、管制です。ミナ様には、今は」
当然か、と一呼吸おき、
「じゃ、任せるわ。千尋!ドラグーンで入口こじ開けるから、広がったらあなたのタイミングで出て!」
「承知しました」
「了解です!」
そうして織衣たちは、急ぎアメノミハシラへと向かう。大きな戦乱が、また始まる。そんな予感を胸に。
アメノミハシラ、生産プラントの工廠エリア。
いつものスペースにスターケージを停泊させ、織衣が艦から降りると、
「よぉ!えれぇことなったな!」
「アルバートさん。……そうですわね。まだ開戦までは進んでいないようですが。ニュースじゃ謎のテロ、などと言ってますけど」
ハン、と鼻で笑う。
「十中八九、連合でしょう。それ以外のどこがやるんですか、そんなこと」
「だろうなぁ。一国を敵に回すなんざ、半端なテロ組織じゃ、すぐ壊滅だしな」
格納庫が開けられ、拾ったジャンク類が運び出されていくのを横目に、アルバートが織衣の肩をバシバシと叩いた。
「いったい!」
「がはは、キナくせえし上からは使えそうなもんは全部高値で引き取れって指示来てるからよ。とりあえずジャンク類全部運び出させるわ。期待しとけよ?」
「痛いんですけど……。ええまあ、状況が落ち着かないことには小型艦一隻で動き回ればただの餌ですし?しばらく働かなくても良いくらいでお願いしますわ」
カーディガンの上から肩をさすりながら。そしてニヤリと笑う。
「ほぼ完品のゲイツ拾ってきたんで、良いお値段期待してますね」
「まじか。バラしゃ色々使えるしそりゃありがてえや」
最後に織衣の背をもう一度ばしーんと叩いて、アルバートは軽く手を振りながら格納庫へと歩いていった。
「……痛いんですけど。跡、ついてないわよね……?」