これは多分夢だ。
気がつくと、上も下もない真っ暗闇の中にいた私はそう思った。だってそうでしょう?あまりにも現実味がない光景過ぎる。たとえここが、暗闇の支配する宇宙空間だったとしてもここまでではないだろう…宇宙、行ったことないけど。
『BLEACHのキャラと斬魄刀で好きなのは?』
だからこそ突然なんの脈絡もない質問がとんでこようと、私は動じない。だって夢なのだ。質問の内容が漫画というのが、果たして年頃の乙女としてどうなのかという問題が新しく提議されてしまったが、所詮は夢。睡眠中でも働き続ける脳が見せる、データ整理の副産物。そう考えれば、こちらに質問してきているのは極論、自分だ。別に変に繕う必要もないだろう。
「キャラは雛森。刀は流刃若火」
何故かって?そりゃあ雛森さんは現世では絶滅危惧種の正統派美少女。そして割と搦め手というか、なんか小難しい能力が多い斬魄刀の中で珍しく、流刃若火は正面火力最強。あまり頭の良くない私でも、適当に刀を振り回してるだけでも使えそうなところがとても好印象だ。そんな私の答えに、少しだけ笑いながら声の主は続けてこう尋ねてきた。
『なら、もしその組み合わせでBLEACHの世界に行けたら──どうする?』
…そんなの一択しかないでしょう。
「喜んで」
そして世界は光に包まれた。
「夢だと思ったんだけどなぁ…」
光が収まった私を待っていたのは、全く見知らぬ森。おまけに見通しの効かない夜という悪条件付き。例え私がサバゲー好きな女の子だったとしても、全力でご遠慮したい、そんな場所だ。
「お腹減った…」
当然だが食べ物の持ち合わせなどない。突然放り出されたのだ。無理もない。森、というフィールドを考えれば辺りを探せば何か見つかるかもしれないが、だからといって、それが果たして食べても大丈夫なものかどうかなんて、ただの小娘に分かるはずもない。
「他にあるものといえば…」
チャリンと手を伸ばした先で鳴る、一振の刀。立派な紅い鞘に納まったそれを、少しだけ引き抜く。
「夢だと…夢だと、思ったんだけど、なぁ…」
本日2度目となる言葉を吐きながら、私は深く、深く項垂れる。
鞘から引き抜かれたその刀身。闇の中でもなお輝くそれに写る自分のその顔──雛森桃の顔を見て、私はいよいよこれが夢ではなく現実なのだと、認識を改める。そうして何とかこの状況を抜け出そうと頭を回し始める。しかし…
「…あはっ…あははははははははははははは!!」
正しく現実を認識し現状を理解すればするほど、自分の置かれた立場が詰み過ぎて嗤うしかない。
まずこの状況。土地勘もなく、餓えと渇きを癒す方法もない。おまけに夜で迂闊に動けば自分が獣の糧となってしまう可能性が高い。刀があるとはいえ、剣術など学んだこともないし、なんなら木刀すら持ったこともない。本当にこの刀が流刃若火だったとしても、使い手がこれでは全くの宝の持ち腐れである。仮に始解出来たとしても──
「……始解?」