リリアの駄菓子屋   作:虚空小白

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第九話 もう一回!

 ——リリアの駄菓子屋、開店七日目。

 

 来店した男の子に、リリアは型抜きを宣伝していた。

 

「新商品の型抜きはどうでしょうか」

 

 男の子はカウンターに手を伸ばし、踵を上げ、リリアが手に持つ型抜きを見つめた。

 

「それはお菓子なの?」

 

「はい。遊んで食べられるお菓子です」

 

「どうやって遊ぶの?」

 

「今からお見せします」

 

 リリアはカウンターに型抜きを置き、爪楊枝を手に持った。

 真剣な表情で型抜きを始める。

 しかし、爪楊枝を持つ手が僅かに震えていた。

 

「あっ」

 

「割れちゃったね」

 

「申し訳ありません。やり直します」

 

 男の子はカウンターから手を離し、踵を床に着け、首を横に振った。

 

「いらない」

 

 リリアは苦笑した。

 

「そう仰らずに。楽しいですよ」

 

 レオンが咳払いを一つした。

 

「型抜きに成功した場合、絵柄に応じた駄菓子を一つもらえる」

 

 男の子は振り向き、聞き返した。

 

「お兄ちゃん、それ本当?」

 

「ああ。騎士に二言はない。型抜きは銅貨一枚だが、どうする?」

 

 男の子は手に持った駄菓子を見つめ、元の場所に戻した。

 

 カウンターに駆け寄った。

 

「お姉ちゃん、型抜きください」

 

 リリアは柔らかく微笑んだ。

 

「はい。銅貨一枚になります」

 

 男の子は銅貨一枚をカウンターに置いた。

 

「動物と花がありますが、どちらがよろしいですか?」

 

「どう違うの?」

 

「動物は、銅貨五枚までの駄菓子、花は難しいので、銅貨十枚までの駄菓子と交換できます」

 

「見せて」

 

「はい。こちらになります」

 

 リリアは左右の手に動物と花の型抜きを摘まみ、男の子に見せた。

 

「動物は他にもあるの?」

 

「はい。犬、猿、アヒル、熊、亀の五種類あります」

 

「それも見せて」

 

「はい」

 

 リリアは右手のひらに五種類の型抜きを置き、手のひらを傾けた。

 

 男の子は背伸びをし、型抜きを見つめる。

 

「アヒルちょうだい」

 

 リリアはアヒル以外の型抜きを傍らに戻し、爪楊枝と一緒に男の子に手渡した。

 

「店先のテーブルをお使いください」

 

「うん」

 

 男の子は手のひらに型抜きと爪楊枝を載せ、慎重に歩きながら外へ向かった。

 

 リリアはため息をついた。

 

「レオン、申し訳ありません」

 

「気にするな。リリアを補佐するのも僕の仕事に含まれている」

 

 男の子が駆け足で店内に戻り、リリアに言った。

 

「お姉ちゃん、さっきと同じ型抜きちょうだい」

 

「はい。銅貨一枚になります」

 

 男の子は代金を支払い、リリアから型抜きを受け取り、外へ向かった。

 

「リリア、今のうちにアヒルの型抜きをしておけ」

 

「レオン、なぜでしょうか?」

 

「あの子は型抜きに興味を示した。すぐにまた失敗するだろう。成功したものを見せてやれば、本当に成功できるのかという疑念を晴らせる」

 

 レオンは口元を緩めた。

 

「誰だって失敗で終わるのは悔しいからな」

 

「はい。わかりました」

 

「リリアは一度成功している。落ち着いてやれば失敗しない」

 

 リリアは型抜きをしながら、ふふっと笑った。

 

「レオンにそう言われると、自信がつきました。ありがとうございます」

 

「礼には及ばない。リリアを補佐するのも」

 

「——僕の仕事に含まれている」

 

 最後の言葉は、レオンとリリアの声が重なった。

 リリアが微笑み、レオンは苦笑した。

 

 彼女が型抜きを成功させた頃、情けない表情をした男の子が再び店内に戻ってきた。

 

「お姉ちゃん、あれすぐ割れちゃうよ?」

 

「大丈夫ですよ。ちゃんと成功できます」

 

 リリアが型抜きしたアヒルを見せると、男の子は目を見開いた。

 

「どうやったの?」

 

「強い力で一度に抜こうとせず、少しずつ削ることが成功の秘訣です」

 

 少年は笑みを浮かべた。

 

「さっきと同じ型抜きちょうだい」

 

「はい。銅貨一枚になります」




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