世界は、三つに分けられた。
一つは、人間が暮らす……おもに
二つは、死後の世界。三つの世界に散らばる魂魄のバランスを整える死神の根城、『
三つは、現世と尸魂界の間に位置する。人間の魂魄を主食とする
その虚圏の果てを放浪する者がいた。
名を、
「う、うあああああああ!!!」
「逃げ、られない……殺されるっ……!!」
「逃げるな、なさい。……僕が、殺すしてあげる」
虚が自らの魂魄を埋めるために共食いを重ねた
「……弱い」
破面となって幾万年か経った現在も、彼は飢えていた。人に似た姿になり、銀の長髪をたなびかせる今も。
たどたどしい喋りで大虚たちの恐怖を煽りながら、彼は虚圏を歩く。
経年劣化を続ける
その膨大な霊圧は、ただただ異質なものだった。後に生まれるコヨーテ・スタークほどの霊圧は無いものの、どこか揺らぎがある。自我の確立された最上級大虚であった筈のスァロは、数多くの共食いを重ねる中で自我の疲弊を味わっていた。
スァロには、生前──人間だった頃の記憶があるからだ。共食いを重ね言葉を失っていく中で、唯一名前だけは鮮明に覚えていた。それが、ひとつ選択を間違えれば暴走しかねないほど折り重なった魂魄を繋ぎ止めていた。
「……どこ、だですか」
誰かを探すように、居場所を探すように。
辺りを見回して、ただ広がる色のない砂漠の中に佇む黒を見つけて、少し足を止めた。
(……死神)
最近、現世や虚圏で虚を退治しているバランサーだ。斬魄刀を携え、虚を狩り、魂魄の循環を補助する役目を持つ。
「いたぞ、例の割れた
スァロはこれまでも何度か死神と相対していた。
「……お前がたは、私を攻撃する理由はない筈ですます」
「ああ……だが、実際に見て気が変わった。貴様のその魂魄、悲鳴を上げている」
白い羽織を着ていないところを見るに、時折来る隊長とやらではなさそうだ。
「お前を斃せば、俺は功績を認められ隊長にもなれる筈だ……!」
どうやら、この男は何もわかっていないらしい。
「私死神さんがたから攻撃されないのは、特命であるだ」
「関係ねぇ!俺はお前を倒してやる! ──
彼の持つ斬魄刀が揺らめいて、灰色に溶け込む。
刀身が見えづらい。直後に胸元から流れた血を見るに、自分の鋼皮を切り裂く威力はあるようだ。
「あァ、名前を名乗ってなかったな。俺は
昏目台と名乗った男は砂地を蹴り上がり、スァロの首の辺りに刃を向けた……のだろう。刀身が見えづらいから、少しわからない。
「……溺れろ」
そうまでして敵意を向けたのならば、此方も喚ばねばいけなくなる。
「
スァロの口調は、某唆るぜに出てくるアレから取ってきています。わかる人ならすぐにわかるかと。