サクロサンクト   作:揚げパンcat

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虚飾

「な、なんだ……!? こりゃあ、始解なのか……!?」

 

 昏目台(くれめだい)と名乗った男が驚くのも無理はない。彼が見ているものは、死神の斬魄刀に近いそれだった。

 なんせ、今まで彼ら死神が相手にしてきたのは「大虚」。それとはまた別の存在として成ったスァロに、大虚の常識は通用しない。まだこの時代に、「破面(アランカル)」という生物はデータにないのだ。

 

「眩し……!」

 

 スァロの周囲を回る銀色の砂がキラキラと光を反射し、反射的に目を瞑る。

 

「……な、なんだこれ……!?」

 

 昏目台が目を開くと、スァロの背中から羽が生えていた。それはまるで、天からの使いのような……それとも、気味の悪い悪魔かもしれない。

 

 だが、それに驚くばかりの昏い目台ではない。

 

「これは……砂、か?」

 

「そうです、これは砂、銀の砂だです」

 

 スァロはそのまま、「砂銀天使(バナグロリア)」が持つ力を説明する。

 

「この力は、帰刃(レスレクシオン)と言うます。お前がたの斬魄刀、始解と同じようなものだです。俺の「砂銀天使(バナグロリア)」は、私の周囲に銀の砂を生み出し、操る」

 

 この銀の砂は、一粒一粒が高密度の霊子でできている。そして、その砂粒はスァロの霊子から作られているものだ。つまり──

 

「血は、出さないであげる。ゆっくり飲み込まれる、なさい」

 

「な……!? 砂がひとりでに動いて……!!」

 

 スァロはこの砂粒を自在に操作して、地形を自由に作り出すことが可能となる。

 

「……この砂に呑まれることは、僕に食べられることと同じだです」

 

「そんなっ!?」

 

 彼が嘆くが、時すでに遅し。「朧月」の半透明の刃で切り裂こうにも、スァロの持つ鋼皮(イエロ)を前に何もできない。ただ、足元からゆっくり呑まれるのを待つだけ。

 

「嫌だ……嫌だぁ……!!」

 

「大丈夫。死ぬ時は、一瞬ですだから」

 

 ついに恐怖から斬魄刀を手放した死神は、次第に砂へと骨を埋める。ゆっくりと、ゆっくりと。しかし、死ぬ時は一瞬で。

 

「……これが、死神の霊圧だですか」

 

 あまり美味しくはないとぼやきながら、スァロは帰刃を解いて再び歩き出した。

 

 食らった霊圧は、そのままスァロの霊圧と混ざり、溶け合う。そうして、自己を失っていくのだ。

 斬魄刀とやらが生まれて十万年ほど経過したが、どうやら己を写す鏡のようなものらしい。

 それが本当ならば、もしかしたら更に自分がすり減っていくかもしれない。

 

「……一応、拾っておくますか」

 

 スァロは死神が手放した斬魄刀を拾い、歩き出した。

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