黒の影従   作:御剣鎖刃

4 / 10
4話「初顔合わせ、そして暴風復活」

翌日、今後の方針を伝える為にリムル様は幹部を集めた。

我が主―――ディアブロ様は新人の第2秘書となった。私は直属の部下である。

影に潜んでいる事も多いが流石に顔合わせのため立っている事になった。

 

「諸君、よく集まってくれた!」

 

「急にどうしたんです、リムル様?」

 

「先に皆に紹介しておこう。今回、俺を窮地から救ってくれたディアブロとレプリカだ。かなり強くて頼もしい仲間だから、皆も仲良くするように!」

 

「――――ほう?隙が無いのう……。リムル様の仰る通り、かなりの手練のようじゃ」

 

実力者であるハクロウ殿―――剣魔殿に雰囲気が似ている気がする―――が太鼓判を押した事で他の者も我々の強さを悟った様子。

文句も無く仲間に認められたようだ。

 

「今後の方針を決めたからその宣言をしようと思ってね。ヨウムや三獣士の皆さんにも関係あるから、一緒に聞いてもらいたい」

 

「何でも聞きますよ、旦那」

 

「それは、カリオン様の救出に関係あるのですね?」

 

一斉に視線を向けられたリムル様は人化して立ち上がる。

 

「俺、魔王になる事にしたよ」

 

「はい」

 

「だから、魔王にね…」

 

「ええ。もうなってますよね?」

 

それを公表し他の魔王に喧嘩を売るという意味合いだろうか?

 

「そうじゃなくて、世界に向けて俺も魔王だって宣言しようと思ってさ!」

 

「ほほう?つまりリムル様は、他の魔王方にも喧嘩を売る、そう言っているのですかな?」

 

「そう、その通り!」

 

当たっていたようだ。現在の状況を鑑みて標的は一人だろう。

 

「というか、他の魔王に喧嘩を売るというより、相手は魔王クレイマンだ」

 

その言葉に全員が賛意を示す。

 

「成程な。自分から魔王の座を奪うってわけですね。面白い」

 

ベニマル殿が不敵な笑みを浮かべた。

 

「そうだ。今回、シオン達を襲撃したファルムス王国の陰でミュウラン達を操っていたのが魔王クレイマンだった。俺はこいつを許せない。その上、獣王国ユーラザニアへ魔王ミリムや魔王フレイをけしかけたのもクレイマンの可能性がある。叩くには十分な理由だろ?」

 

リムル様が大事になされている者に手を出すとはなんと罪深い。クレイマンとやらは唾棄すべき愚か者のようだ。

その後、西側諸国との今後の国交やファルムス王国との戦争の後始末に西方聖教会に対する牽制、獣王国連中との約束である魔王カリオン救出を進めていくことを宣言した。

その上で全員に仕事が割り振られる。

 

「リグルド!お前には西側諸国との交渉を任せる事にする。商人達をブルムンド王国へと避難させた事で少しは有利な交渉ができるだろう。今までの信頼関係を大事に、慎重に事を進めてくれ!」

 

「御意!お任せください、リムル様」

 

「ベニマル!お前は、全員の進化結果を纏めろ。全戦力を持ってクレイマンを叩き潰す。そのためにも自分達がどれだけの力を持つのか把握しないとな」

 

「了解です。リムル様」

 

「シオン!お前には捕虜の尋問を任せる。ヨウム、ミュウラン、シオンを手伝ってやってくれ。できる限りファルムス王国の内情を吐き出させ国を奪う」

 

「まず、戦後処理をきちんと終わらせないとな。ヨウムを新たな王として新国家を樹立する、そのためにはアイツ等の情報が必要だ」

 

「決して殺すなよ?今後なにか利用価値が出るかもしれないからな」

 

「お任せを、リムル様!」

 

「任せてくれよ旦那」

 

「少しは恩返しになればいいのだけど、できるだけの事はさせてもらいます」

 

不穏な光を眼に浮かべる第一秘書のシオン殿だが、どのような尋問になるのやら。そもそも尋問ですむだろうか?紫の係累ほど残忍ではなかろうが…。

 

「ソウエイ!」

 

「速やかに、クレイマンの情報を集めてまいります」

 

主の意志を名を呼ばれた時点で汲んでおり、行動が速い。これは相当に優秀だ。

 

「三獣士の諸君。今言った通り、俺はクレイマンを潰す。獣人にも協力をお願いしたいのだが?」

 

「願ってもない事ですわ、ジュラの森の盟主様」

 

「なんでも言ってくれよ、オレ達は今暫くアンタの命令で動くぜ!」

 

「俺達は皆、心は一つ。獣人は、信頼には信頼で、恩には命を持って報いる。俺達は今、貴方を信頼し返しきれぬ恩を得た。次はこの命を持って貴方様に報いる番です!」

 

「分かった、それじゃあ命じる。英気を養い来るべき決戦に向けて備えよ!」

 

「「ハハーーーッ!!」」

 

「後はソウエイの調査報告を持って会議を行う。それまでに各自、与えられた仕事の問題点などを纏めて実行可能な計画を立てておくように!」

 

「「「御意!!」」」

 

            *

 

部屋にはディアブロ様とリムル様とシュナ殿と私が残った。今はリムル様がベスターという人間にこの世界の戦後処理を習っていた。

先程まではシオン殿がディアブロ様に秘書の心得とやらを説いていた。それを聞いていたディアブロ様は嬉しそうにしており私も主を楽しませてくれて嬉しく思った。

少々内容が長いというか増長されていたので、シュナ殿が止めなければ未だ続いていた可能性はあった。

すると、話を終えたリムル様が不意に立ち上がった。

 

「俺はちょっと用事があるから席を外す。付き添い不要だ。シュナ、ディアブロとレプリカに街を案内してやってくれ」

 

「承知しました。それではお気をつけて」

 

「心遣い感謝致します、リムル様」

 

「有難うございます」

 

「では行ってくる」

 

その後……リムル様は3日も戻ってこなかった。

加えて、消失した扱いになっていた竜種が唐突に復活し大混乱になりかけた。

 

「だからよ、あの方がいなくなるとオレ達ではカリオン様をお救いできない。なんとしても救出しないと駄目なんだよ!」

 

「ですから何度も申し上げているでしょう?リムル様は御自分で向かわれたのです。なんらかの御考えがあるのは明白で、我等が口を出すなど許されないのです」

 

「しかし、もう3日だぜ?このままじゃ…」

 

「全く煩いネコですね。大人しくしなければ潰しますよ?」

 

思わず手は出なかったが遠慮のない言葉が出た。

 

「なんだと!?」

 

「やめろディアブロ、レプリカ!仲裁になってねぇ!」

 

「スフィアさん、大丈夫です。リムル様が御無事なのは間違いない。危険があるなら俺達が動く。ただ、ジュラの大森林の守護神たるヴェルドラ様が復活なされたとなると、我等としても迂闊に動けないのだ」

 

その口論の最中、後ろからリムル様の気配を感じて振り向く。

 

「ああ、皆。心配かけたようでスマン」

 

「「「リムル様!!」」」

 

皆に無事を伝えるリムル様のすぐ後ろに見知らぬ魔人が不満気に立っていた。…いや待て、あの気配はまさか。

 

「皆にも紹介しておこう。こちら、ヴェルドラ君です!ちょっと人見知りだけど皆も仲良くしてあげてください!」

 

「ちょっと待て、我は人見知りではないぞ?ただ単に我の前まで生きて辿り着ける者が少なかっただけなのだ」

 

「「「…」」」

 

その場が一瞬で騒然となったのは言うまでもない。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。