なんやかんやで先手を打てるようにったので作戦を立て直し、ミリムを信仰する“竜を祀る民”とやらが敵の軍勢に合流していたという情報を聞き、次の議題に移る。
三獣士とミュウランは既に退出した。
「クレイマンの居場所を特定できれば『空間転移』で殴り込んで終わらせられたんだけどな」
「申し訳ありません。魔素濃度の高い霧が発生している場所があり、危険と判断してその先に進めませんでした」
いや問題ない。分身でも慎重に動くべきだし。
「何名かで手薄になった敵の本拠地を探ってみますか?」
「ですがクレイマンは魔王達の宴に参加するのでは?すれ違いになりそうです」
「そうですな。それに敵の軍勢を舐めてかかって敗北してもつまらぬ。ベニマル様にはしっかりと軍を纏めてもらわねば」
2人にバッサリ言い切られているベニマル。苦々しい表情をしている。
「他に何か意見はあるか?」
「はい!」
元気良く手を上げているシオンを指名してみる。
「そのワルプルギスとやらに乗り込んで、クレイマンだけでなく文句のある魔王達も全て斬り捨ててしまってはどうでしょう?」
聞いた俺が間違ってた。何を言っとるんだお前。
「シオン、どうやって斬り捨てるんだ?お前な、現実的な意見を言えよ?」
厳しく言い含めたが、しょんぼり項垂れているのを見て流石にフォローしようと思った。なんやかんや言って俺はシオンに甘いのだ。
「…だが、乗り込むというのはいいかもな。ラミリス、俺も参加できるかな?」
「うぇっ!?参加する気なのリムル!?」
後ろで現金にも期待の表情をしているシオンからラミリスに視線を写して聞く。
「いや参考までに聞いてみたんだ。クレイマンは会議に参加するだろうしこっちから出向いてみるのも面白いかなって思ってさ」
「うーん、多分大丈夫だと思うけど。でもね、付き添えるのは2人までだよ!」
過去に多数の部下を引き連れたせいで魔王を怒らせた奴がいたらしく人数制限があるようだ。
つまり、過去にも宴の場で争いが起きていたという事。じゃあ俺がやっても問題ないな。
「どう思う?参加するのも面白いか?」
「クフフフフ、素晴らしい案です。その時は是非、この私が御伴を」
「馬鹿めディアブロ!御伴はこの私です。譲りません!!」
「実に楽しい事になるかと。リムル様の御力を魔王達に見せつけてやりましょう。因みに私も御伴に立候補して宜しいですか?」
「あっお前もかレプリカ!どっちにも譲らんからな!!」
聞いてみるとすーぐ3人で喧嘩を始めた。
シオンとディアブロは予想ついてたけどレプリカもか…。素はディアブロに似て好戦的なのかも知れない。
とりあえずこいつらで組ませると大変な事になりそうなので連れてかないけど…。
「いずれにせよ魔王の皆様と戦いになるならば討ち破れば済む話。そもそも、魔王はリムル様お一人で十分でしょう?」
「その通り!馬鹿かと思っていたが新参にしては見所があるぞ!まさに今、私が言わんとした事を言ってくれた!」
「素晴らしい御考えですディアブロ様」
仲が良いのか悪いのかヤバい方向で意気投合してる、しかも見回せば皆殺る気に溢れていた。いや無謀すぎるんだって。
「待て待て慌てるな。まだ決定じゃない。それにディアブロ、レプリカ、お前らはファルムス王国を任せたからどっちにしろ連れて行かないよ」
「そ、そうですね。失礼しました」
「大変出過ぎた発言をいたしました……」
2人共、ファルムス王国攻略を軽く考えているな。大した自信だが失敗しないといいけど。
残念そうだが仕事を任されて嬉しさもある、そんな複雑な表情で了承していた。
「しかし、やはり危険ではないですか?」
「確かに。それにわざわざ参加しなくてもクレイマンの留守に本拠地を陥落させる方が有効なのでは?」
慎重派の皆がそう意見する。
「いや、リムル様が心配しているのは魔王ミリム様の動向だ。ミリム様が裏切ったとは思えないがクレイマンに操られている可能性は否定できない。何らかの御考えがあるのかも知れないが、少なくとも魔王カリオン様を討ったのは事実。魔王達の宴にて、その真意を探るのは悪くない手だと思うぜ」
「その通り。魔王ミリム様まで発議に名を連ねているというのが気になります。やはり、何らかの策謀があるのでは?」
「そうよね。ミリムがクレイマンなんかの言いなりになるなんてまずありえないと思うよ。ミリムって我儘だし!」
「ミリム様がリムル様を裏切るなどと絶対に考えられません。根拠の無い話ですが、間違いないと確信します!」
ミリムはこれでもマブダチだ。ましてやクレイマンごときに操られているなど考えられないし皆が言うように事情はある筈だ。
「ミリムが俺を裏切ってないという意見には賛成だ。とすると何かあったと考える。さっきラミリスが言っていた犯人というか原因がクレイマンだという意見も良い読みだと思う。だからこそベニマルの意見を採用したい。魔王達の宴に参加して、色々と探ってみようと思うんだが……」
少し思案し、護衛にシオンとランガを連れて行く事を決めた。参加する旨はラミリスがやたら高度な術式で通達したらしい。
話は大体決まったが、話を聞いてなかった者……もといヴェルドラが声高高に歩み寄ってきた。
「クアハハハ!そうか、やる気になったか!水臭いぞリムルよ。我も共に行こうではないか!我が付いていくのだ、魔王共など恐るるに足らぬわ!」
「まぁ待てよヴェルドラ。お前にはこの街に残って防衛をお願いしたい」
「何ッ!?我も行くと言ったであろう。我ならば魔王共にも引けを取らぬぞ!」
そう驚愕するヴェルドラに、ベニマルなど諸々の戦力が留守になる魔国連邦を西方聖教会などから守ってもらわないと困ると説明した。
「……てなわけで留守番を頼む」
「ムゥ……」
拗ねないでくれ。
「ヴェルドラ、実は君の噂を流す手筈になっている。それはさっきの会議でも話し合ったが知ってるよね?」
「う、うむ。勿論であるぞ」
嘘だな。
「…それでな、クレイマンの奴はこう考えるだろう。リムルという魔人はヴェルドラの威を借るだけの小者だと」
「なんだと!?クレイマンめ、許さんぞ!!」
「フッ、身の程を知らぬ虫が。やはり私が出向き殺した方が良さそうですね」
「落ち着けお前等。リムル様の言葉はあくまでも喩えだ」
「ベニマルの言う通りあくまで喩えだよ。で、だ。会議にヴェルドラを連れて行ってしまっては、警戒されて意味がないだろ?」
「ほほぅ?そういう事か」
理解はしたらしい。
「成程、流石はリムル様!」
「クフフフフ、リムル様を侮る時点で許し難い。私の手で粛清してやりたいですが、ここはを立てるとしましょう」
「相手を油断させ有利に交渉を進めるという事ですね」
鷹揚に頷く。
「クアーハッハッハ!成程、我は遅れて現れるヒーローという事だな!」
「ズルくない?それ…」
「馬鹿だなラミリス、賢いって言ってほしいね」
その後、ワルプルギスの参加メンバーが決まり会議は終わった。