「おええ…気持ち悪い…」
会議室での最上級祓い師達の前での報告が終わり、トイレへと駆け込んだ
胃の中を思いっきりトイレの中に吐き出す
「クソ…あそこホント気持ち悪くなるんだよな…」
そう言ってさらに吐くレン
祓い師には「
そして、この祓源には副次的な効果が存在する
それは多い方が圧倒的な優勢を発揮することである
優勢と言っても様々であり、骨の脆弱化、皮膚の裂傷、レンのような体調を崩すなど基本的に身体に発生する
レンは祓い師の中でも屈指の祓源を持つ最上級祓い師の集まる場所に長時間滞在した
その結果、今のように吐いている
(それにあの女どもの目…こっちを玩具としてしか見てねぇ)
レンが体調を崩したのは何も祓源の量だけではない
報告している時の最上級祓い師達の目線
それはレンの体を舐めまわすように、愛でるようだった
レンは見られている感覚を思い出して肩を震わせる
「はぁ…もう出るか…」
胃の中身をすべて吐き出したんじゃないかと思うくらい吐いて、吐ききってからトイレを後にする
最上級祓い師どもが根城にしてる「簾中宮」には女しかおらず、視線が気持ち悪いので下を向いて足早に外に出る
「今回は…ツイてるな。本部近くか」
簾中宮から一歩出た瞬間に景色が変わる
簾中宮は場所が秘匿されており、簾中宮から出ると簾中宮から一定距離離れた何処かへと転移させられる
今回転移したのは祓い師達の本拠地である「祓魔天球街」
とある祓い師が遺したと言われている「天球」を中心とした巨大な街であり、住んでいる人々を守るために祓い師達が多数駐在している
「よぉレン!今回も生き延びたか!」
「ほら!串焼き食って元気出しな!」
「ありがとう」
街を歩いていると色んな住民が声をかけてくれる
礼を言って、串焼きを受け取る
豚肉を串に刺して甘辛いタレを絡めたもので食べると口の中に甘い豚の脂と甘辛いタレが広がって食欲が戻ってくる
「やっぱり皆から愛されてるね」
「ありがたい限りだ」
街をブラブラと歩いていると隣にいつの間にか女が歩いていた
彼女は悪戯っ子のようにニヤニヤと笑いながら喋りかけてくる
「カナタ。また依頼の話か?なんで毎回俺に持ってくるだ」
「君が相応しいからさ。さ、今回の依頼について話そうか」
祓魔天球街の街中を進み、レン自身が所持している部屋に入る
カナタもその後に続いて部屋に入ってくる
「さ、今日は下級妖魔だ」
「……つい最近、死にかけたばかりなんだが…」
「前回のは私が回した仕事じゃないでしょ?私は信用に値するでしょ」
カナタ……「星空カナタ」はレンに仕事を斡旋している仲介人であり、基本的にレンはカナタからしか仕事を受けない
彼女の情報は正確であり、レンも全幅の信頼を置いている
「今回は「暁の森」に下級妖魔が目撃されたらしい。1体だけだから君だけでも大丈夫そうだよ」
暁の森……常に紅葉している木が群生しており、中に入るとコンパスが無ければ道に迷い、一生出てこられない
そんな場所だが、出てくる妖魔も下級までであり、レンのような底辺祓い師でも対処出来るレベルだ
「……わかった。今日の夜に出る」
「はいよ〜帰ってきたら一緒にお酒飲もうね」
そう言ってカナタは去っていく
レンは夜の任務に向けて、早めにご飯を食べ、その時間まで仮眠に就いた
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~夜~
「はぁ…今日は妙に肌寒いな…」
街も静まり、動物でさえ休む夜中、レンは暁の森を歩く
夏のはずなのに鳥肌が立つほど肌寒い
「それに…妖魔の気配もない…と言ってたら…」
そんなことを言っているうちに一体の妖魔が現れた
片手に剣を持った、日本で言えばゴブリンのような妖魔
名前は「緑魔」。下級妖魔であり、体色が緑色のためそう名付けられた
緑魔は剣を構え、こちらを威嚇してきている
だが、次の瞬間にはもう視線の先にはレンはいなかった
すでにレンは緑魔の体を断ち切っていた
ズルリと体がズレ、そのまま緑魔は灰になって消えていった
レンは消滅後もその場を動かない
周囲を警戒し、剣を構えていたが…何も起こらなかった
(おかしいな…いつもなら数十体の群れが来るはずだが…)
緑魔は生態もゴブリンらしく群れを成している
だからこそ今も群れの追撃を警戒していたが、何も追撃に来なかった
「コイツ…逃げてきたのか?」
もう死体は残っていないから確認出来ないが、野生で群れから逸れるなど、よっぽど単独行動して逃げないと行けない理由でもあったのだろう
まだ低級なら同じ低級にも負ける可能性はあるが……
「いや…そういえば野生の妖魔もいない…依頼の妖魔もいないし……なんかおかしいな」
ポケットに手を入れ、中に入っているある宝石を取り出す
それは「帰還石」
祓源を込め、砕くことで元々マーキングした場所に帰れる便利な宝石
一応握りしめて先を進む
「……寒いな…」
先に進むほど、冷え込んでいく
最初は肌寒いだけだったが段々と震えるほどの寒さになっていく
「………マジかよ」
そして、レンは見てしまった
百を超える数の妖魔が氷漬けにされているところを
その中にはつい最近レンを殺しかけた上級妖魔でさえただ凍りついていた
(これは不味い…)
急いで帰還石に祓源を注ぎ込み、力を入れて握り締める
だが、どれだけ握っても砕けない
「ッこんな時に……」
帰還石を投げ捨て、レンは踵を返して戻ろうとする
「あら、もう帰ってしまうのかしら?」
だが、突如帰り道は氷の壁で埋められてしまう
そして、首筋辺りに冷たい空気がかかる
「怖がっているの?うふふ…可愛いわね」
体を動かせない
レンの体の上を誰かの指が触っている
後ろから誰かに抱き着かれ、足が絡められる
「そんなにガチガチになっちゃって……可愛い♡」
その声音に、聞き覚えがあった
日本で、プレイしていた時に何回も聞いていた声
「もう……そんなに怖がらなくてもいいのに……」
後ろに抱き着いていた彼女が体を捻って正面に来る
白い髪、白い肌、赤色の目…画面の中で見ていた容姿そのままだ
これがギャルゲのキャラだったなら興奮していただろう
だが、今レンは恐怖に震えていた
「……その顔、私が誰か分かってるみたいね。おかしいわね……ここ数千年は外に出てなかったのに……」
数千年間冬眠し、原作開始と共に目覚める最上級妖魔……そのうちの一体
白い容姿と氷の能力から古代の祓い師は彼女にこう名付けた
「貴女、良い顔してる♡」
「白面のブリザーニャ」と