ハイスクールD×D ~ネメアの獅子と挑戦者 獅子王の英雄譚~   作:sho_greenhouse

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レグルスのレイナーレ圧倒は書かなくても分かりますよね!


第2話 目撃者たち

 僕らが気づいたのは今朝のことだった

 堕天使と思しき少女が一般生徒に接触していた

 駒王学園は裏で悪魔が管理している特殊な学校だ

 とはいえ、基本的には人間が大半を占めている。公には表の学校と変わりない場所だ

 だが、その内部には確かに悪魔が潜んでいる

 僕、木場祐斗もその一部である。生まれは人間だったけど、諸事情で悪魔となった身だ

 閑話休題、当学園が悪魔の管轄であることは異形社会で周知の事実である

 ゆえに解せない。堕天使が一般生徒に接触する理由は何か

 いくつかの可能性は思い当たった。だが、情報が欠けていた

 そんな中で真っ先に動いたのは、セーラさま率いるバアル眷属だった

 セーラ・バアル

 学園では黒神星羅と名乗っている上級悪魔で、僕の主たるリアス・グレモリーの従姉妹である

 ちなみに僕から見たら姉弟子である

 僕と彼女は同じ師匠から剣を学んだ。今でも時間のあるときに剣を交える関係だ

 大王バアル家に生まれた上級悪魔である彼女が他者に教えを請い、修行を欠かさないのは家系の能力を宿さなかったことが起因しているのだろう

 でも、そんなことは些事である。そんなものは彼女を形成するピースの一つに過ぎないことを僕と師匠は知っている

 彼女が師匠から学んだのは基礎だけだった。あとは自力で自身の剣技へと昇華させた

 それは口でいうほど簡単なことじゃない。だからこそ、彼女はすごいのだ

 そして、彼女は生まれ持たなかった家系の能力さえも、独自のアプローチで後天的に獲得してみせた

 そんな彼女を「無能」と蔑む者もいれば、それを覆すほどの「才女」と評す者もおり、いつしか「無能才女」と称されていたのだそうだ

 彼女自身は、そんな周囲の評価など気にもせずに邁進している

 加えて、何よりも人格者であり、実績に裏打ちされた自信から成る風格には憧れや羨望を抱く者が少なくない

 かく言う僕もその一人だ

 聖剣計画で失敗作として教会から処分され、逃げ出した果てに悪魔となって生き長らえるという二重苦を味わった僕は塞ぎ込んでいた

 胸のうちに絶望を抱え、周囲すべてを敵視していた。我ながら無理からぬことだ

 いつの日か、自分も聖剣を――エクスカリバーを扱える日が来ると、そう信じて毎日祈りを捧げた。なのに、失敗作と断じられて、処分された

 逃げ出した果てに力尽きて死ぬ――それだけなら、まだ良かっただろう

 ところが僕は、あろうことか悪魔となって生き長らえた。自然にそう変化したなら、まだ救いがあっただろうし、納得もしたはずだ

 だが、真実は残酷だった

 理由もわからずに死んで、次に目が覚めたらバケモノの手下になっていた。そんなの心が折れて当然じゃないか

 罰なのかとも思った

 「逃げて」「キミだけでも生きるんだ」――そんな、同志たちの言葉に甘えて逃げ出した。名指しされたわけでもない、なのに僕は逃げた

 あのまま力尽きて、死後の世界で同志たちと再会できたら、謝れたら、どれだけよかったことか

 どうして、こんなことになってしまったのか。何も分からない状況の中で考えた

 そして、聖剣を恨んだ。エクスカリバーの存在がなければ、こうはならなかったと、間違った答えへと進みかけた

 そんな僕に、師匠――沖田総司に連れられる形で彼女は会いに来た

 師匠は、同じ転生悪魔としての経験から僕の心を解きほぐしてくれた

 そして、彼女は、セーラさまは僕の心の憎悪に真っ向から向き合ってくれた

 彼女に指摘された。僕が本当に恨み、憎んでいたのがなんだったのかを

 僕は最初、エクスカリバーを破壊して聖剣に復讐することが自分の生きる理由だと思った

 でも、それは違ったんだ

 聖剣計画があったからこそ、同志たちとの思い出がある

 エクスカリバーなくして同志たちとの出会いはなかったんだ

 僕は、ただ意趣返しがしたかったんだ

 エクスカリバーを破壊するという理由で死にに行く。そして、同志たちの元へと戻る

 そう。僕が憎んでやまなかった、僕の復讐の本当の標的は、リアス・グレモリーだったんだ

 彼女に指摘されて、そのことに思い至った僕は自害することを試みた

 そんな僕をセーラさまは止めなかった

 僕の前世も、憎しみも、復讐心も、すべて認めた

 そのうえで、もう一つの道を教えてくれた

 それは、同志たちへの恩返しと贖罪のために生きるというものだった

 自害して、復讐を遂げたとして、同志たちに何を返せるのか

 同志たちとの絆と、悪魔への憎悪

 どちらを優先したいのか、答えは明白だった

 初めて信用した悪魔が師匠なら、彼女はお仕えしたいと願った対象だ

 契約上はリアス・グレモリーの眷属だが、それは僕が選んだ結果じゃない

 だから、トレードシステムを使って、あの悪魔に離別を突きつける。そして、セーラさまの眷属騎士としてお仕えする。それが、転生悪魔として生きる僕の当面の目標だ

 話が長くなったけど、そんな彼女は曖昧なことをそのまま放置する方じゃない

 僧侶のレイヴェルさん、騎士の白音さんを連れて、何も言わずに堕天使の追跡調査へ向かった

 僕もそれに便乗した。個人的に見過ごしたくなかったからね

 

 

 

***

 

 

 

 少女の正体はやはり堕天使だった

 目的はとある一般生徒の、神器の有無の調査

 それだけならおおよそ想定通りの、よくある話だったのだろう

 だが、それはとある別の生徒による介入で思わぬ方向へと動き出した

 学内で入手した情報によれば、堕天使は天野夕麻という名前で兵藤一誠くんに接触してきたようだ

 放課後、堕天使と行動していたのは一誠くんの兄、一輝くんだった

 彼なりに弟の身を案じて警戒していたのだそうだ

 そんな彼の思いに堕天使は付け込み、利用しようとした

 だが、そこに待ったをかける者が現れた。一誠くんだった

 堕天使は兄弟二人をまとめて殺害しようとした

 これ以上は静観できない、僕らも介入しようとした時だった

 思わぬ形で事態は急変した

 一輝くんの全身から迸るような黄金のオーラが溢れ始めた

 その波動から感じられる力は明らかに上級クラスを凌駕していた

 そして、一輝くんの呼び声に応じて顕現したのは金色の獅子

 「レグルス」と呼ばれたその獅子から感じられる力とプレッシャーは堕天使が小さく見えるほどだった

 呆気にとられる中、誰かが呟いた

 「ネメアの獅子」と――

 ネメアの獅子。かの大英雄ヘラクレスに退治され、星座に召されたとされる神話の怪物

 その後は、あっという間の蹂躙激だった

 堕天使が放った光の槍は、獅子から漏れるオーラにかき消される

 獅子が前足の片方を振るえば、それだけで堕天使は吹き飛び、地面には巨大な爪痕が残される

 圧倒的だった

 目の前に存在するアレこそがネメアの獅子なのだと、そう信じざるを得なかった

 

 

 

***

 

 

 

 レグルスを呼び出した後は、あっけなく終わった

 特別驚くことじゃない。俺はコイツの強さを身を以て味わってきたのだから

 レグルス自身は現在の力を後付のようなものと称している

 神器と化したことと信仰が合わさった結果だと聞いたが、それらも総じてコイツの強さだと俺は考えている

 

(できることなら自力で一発食らわせてやりたかったけど、そんなことはチャンスがあったらってヤツだ。それよか、問題はこの後だな)

 

 そう。イッセーになんと説明するのかが問題だった

 レグルスからある程度のことは聞いているが、俺も全容を把握しているわけじゃなかった

 

(さて、どうすっかな……)

 

「な、なあ、カズキ? 俺、何がどうなってのか全然分かんねえんだけど、説明してくれねえか? 夕麻ちゃんが俺を殺しに来たってどういうことだ? それに、このデカい金ピカライオンはなんなんだよ?」

 

 イッセーは絶賛困惑中だった。無理もない。逆の立場だったら俺だってそうなっていた

 

「あ、ああ……実は俺も正直な所、全部把握できてるわけじゃなくてだな。知ってる範囲で「なら、私たちが説明するわ」っ!?」

 

 突如、新たな介入者が現れた

 声の方向へ目を向ける俺とイッセー。近づいてくる人影には見覚えがあった

 

「黒神に、木場?」

「一年の白音ちゃんに、レイヴェルちゃんまで……」

 

 同じ学園の生徒だった

 ただし、その身にまとう雰囲気には異質なものを覚えた

 けど、敵じゃない。少なくとも、さっきの堕天使とは違うと直感した

 

「あなたたちの知りたいこと、知らないこと、知るべきことを教えてあげる」

 

 そう言いながら、黒神は俺たち兄弟へと歩み寄ってくる

 

「怪我の治療を済ませた後でね」

「そうだっ、早く救急車!」

 

 イッセーが携帯電話を取り出すが、黒神がその手を止めた

 

「心配なのは分かるけど、大丈夫よ。私たちで治すから」

「失礼します」

「すぐに済みますのでじっとしててくださいな」

 

 白髪の少女が俺の脚に手を当て、金髪の少女が俺の傷口に薬瓶らしきものから雫を垂らす

 

「なっ!?」

「マジでか……」

 

 信じられないことに傷が一瞬で治った。その事実に驚く俺とイッセー

 

「驚いた? この世界は意外にもファンタジーに溢れてるのよ」

 

 黒神は俺たちの反応に微笑む

 

「セーラさま、あの堕天使はどうしましょうか? 気絶しているようですが」

 

(あの女、生きてたのか……)

 

「過程がどうあれ、私たちに堕天使を裁く権限はないわ。拘束して正規のルートで堕天使陣営に送りましょう」

「承知しました」

 

 木場は返事とともに茂みの奥へと向かった

 

「お前ら、何者なんだよ」

「そうね、そこは前もって答えておきましょうか」

 

 黒神の次の言葉を待つ俺とイッセー

 

「悪魔――と言ったら信じるかしら」

 

 この日から、俺たち兄弟は非日常の渦へと巻き込まれるのだった――




レグルスを強化し過ぎではないか? と思わなくもないですけど、DDですから笑
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