「何かある?人とか居ない?」
「いえ、特に見当たらないわ。」
依頼を受けた後、無縁塚に到着した命と霊夢は空から変わった所や人影が無いかをチェックしていた。両手で持てるくらいの石が転がっているだけのずさんな墓地は相変わらず人を近づけようとしない様で、人影もなく、去年の秋の彼岸の時期に香霖堂の店主が供えたものであろう花がすっかり枯れてしまっている。
「ま、外から来ない限り普通は誰も居ないわよ。墓参りだけ済ませて帰りましょ。」
「うん。」
何も異常が無いことを確認した二人は地上に降りると、人里で買っておいた花をすでに供えられていた枯れたものと取り替えて、墓標代わりの大きな石の前で手を合わせた。これまでは見回りだけで無縁仏の弔いなどはしていなかったのだが、前回の見回りの際に供えられた花が枯れているのを見つけた命の提案で弔うことになった。
見回りと墓参りを一通り終わらせた二人は、人里に報告に戻ろうと再び空に浮いた。しかしその時、甲高い悲鳴が二人を刺した。驚いて下を見る。命達はすでに少し高い位置に居たのでしっかりとは見えなかったが、無縁塚を囲む木々の中から人影が一つ出てきたのが見えた。更に、人影の後ろには明らかに人の形ではない影も一つ見える。先程の悲鳴の主があの人影だとすれば人が何かに襲われているのでは、と命は考えた。それは霊夢も同じだった様で、
「あれが本当に人かどうか分からないけど、人だとしたら助けた方が良さそうね。」
と言ったので、
「そうだね、行こう。」
と命も賛同し、再び無縁塚に向けて降下していった。二つの影に近づいていくにつれ、徐々にその影の正体が分かってくる。
先程の悲鳴の主であると思われる人影は少女だった。幼い顔立ちと小さな身長から年齢は霊夢よりも少し下に見える。
一方、少女の後ろを追う影はおたまじゃくしを巨大化させたらちょうどこんな感じになるだろうかという球体に尻尾が生えた様な形をした浮遊物だった。霊魂だ。人型をとらず、人を追いかけているところを見ると地獄の怨霊だろうか。
「怨霊…?まあ良いわ。」
霊夢も同じ結論に至った様だが、引っかかるところがあるようで不思議そうな発言をした。
命はその発言が一瞬気になったが、怨霊を追っていた二人はすでに近くまで距離を詰めていて、意味を聞き返す余裕はもう無かった。
「行くよ。」
「ええ。」
と互いに小声で合図すると、命が怨霊に一気に近付き、少女に追いつこうとしていたそれを掴んだ。怨霊は抵抗を見せたが、少しの後、彼の手の中で消えた。浄化成功だ。
「これでひとまず大丈夫かな…」
他に霊が居ないことを確認するとそう言いつつほう、と息をついた。
霊夢も無事に少女を保護出来た様で、気絶してしまったらしい少女の頭を膝に乗せて地面に寝かせていた。
「とりあえず人里に報告しに戻りましょう。この子を背負ってくれる?私には少し重いわ。」
「仕方ないな…」
命が少女を背負い、二人は今度こそ見回りの報告をすべく人里に向かった。
というわけで二話でございました。人に見られるものを書くのは文がおかしくないかとかそんなことに気をつけなければいけないのでただでさえ文書力のない私はもう死ぬしかないじゃない。
命の能力のちょっとした仕組みを今回説明するつもりでしたが次回以降に回します。少しでも早く投稿できるといいな。