人里に戻ってきた命と霊夢は、ひとまず気絶してしまった少女を休ませるべく依頼人の居る寺子屋に向かっていた。
「慧音さん、居ますか?」
少女を霊夢に預け、命が寺子屋の扉を叩く。すると程なくして中から青みがかった白髪の女性が姿を現した。彼女は上白沢慧音といい、この寺子屋の教師をしている半獣半人の女性だ。
彼女が無縁塚の見回りの仕事の依頼人であるのは、人里の代表の様なものであるからだそうだ。
「二人ともいつもご苦労様。それで、今日は何か変わったことは…あったみたいだな。」
そこで慧音は霊夢が抱えていた少女に気付いた。表情が少し険しくなる。
命が軽く頷くと、彼女は険しい表情のまま、
「中で話を聞きたい。上がってくれ。」
と言って寺子屋の中に歩いて行った。
命達も彼女に従って寺子屋の扉をくぐった。
「…そうか、少女が怨霊に襲われていたのか。彼女の様子は?」
寺子屋の教室の奥、慧音の部屋で霊夢と命は今回の無縁塚の見回りについて一通り報告した。助けた少女は慧音が普段寝ている布団に一旦寝かせた。
「気絶しているだけみたいです。怪我も見たところ擦り傷があるくらいですね。」
慧音の言葉に命がそう答えると、彼女は
「なら、ひとまずは安心した。」
と安堵の表情を浮かべた。
人里の責任者としてではなく、人間を愛する者としての安堵だろう。彼女は人間が大好きだった。
「怨霊は何体居た?」
次にそう問いかけた彼女の問いに
「一体だけだったわ。」
と霊夢が答えると
「一体?」
慧音の声に疑問の色が混じった。
「怨霊は群れるものだろう?」
彼女の言った事は正しい。怨霊は地獄で生成された金など、特定のものの付近にのみ集まる性質がある。そのため、基本一体居たら10体くらいは少なくとも居るものだから、一体しか見当たらないのは不自然だった。
命も頷いて、答える。
「奴を浄化した時、周辺に怨霊の気配は無かったです。だから、他の場所に集まってたけどはぐれたみたいな感じでもないと思います。」
浄霊師という役職上霊気には敏感で、近くに怨霊が居ればなんとなく感じ取ることが出来るんです。と後に付け足した。
「理由は判明してるのか?」
「してたら報告してるわ。」
慧音のその問いには霊夢が即答した。
「そうか…」
彼女の顔がまた険しくなる。そして少し考えた後、命達にこう依頼した。
「偶然なら良いがやはり少し不安だ。悪いが無縁塚の見回りの頻度を増やしてくれるか?無論、出来る範囲にはなるが報酬も増やす。」
それを聞いた命は霊夢の方を見た。霊夢は少し面倒臭そうにしながらも、
「仕方ないんじゃない?依頼来ない限りアンタも私も暇でしょ。報酬が増えるのを見逃す訳にも行かないじゃない。」
と賛同した。報酬増と言われたからだろう、態度に反して目がちょっと輝いているのを見た命は吹き出してしまい彼女に叩かれた。
「まあ、そういうことなんで、やりますよ。」
頭をさすりながら命が改めて答える。
「ありがとう。頼む。…ああ、そう言えば。」
と、慧音は思い出したように何かを服のポケットから取り出した。
「報酬と言えば、今日の報酬もまだだった。危なく忘れるとこだったよ。」
そう言って便箋を命に渡した。中には報酬の銭が入っていた。命は笑いながら、
「どっちにしろ金の亡者な霊夢が最後に多分思い出してましたよ、」
と言ってまた霊夢に叩かれていた。そうして霊夢は立ち上がり、命を引っ張った。
「ほら、要件済んだでしょ、帰るわよ!」
「ちょ、待って待って!女の子はどうするの?」
「私も心配だけど人里の子なら人里の代表に任せた方が良いでしょ!」
少し怒り気味な霊夢と少女を心配する命のやり取りを見た慧音は軽く笑うと、
「霊夢の言う通りだ、あとは私に任せて二人は帰って休んでくれ。」
と命に言った。命は「でも…」と食い下がろうとしたが、
「女性同士で二人きりの方が色々と話しやすいだろう?」と言われたので引き下がるしかなくなってしまった。
「…分かりました。でも、何か情報を聞けたりしたら今度来た時に教えてください。それでは。」
と渋々と言った感じで言うと、霊夢に引っ張られながら寺子屋から出て行った。
少女が目を覚ましたのは、それからおよそ30分後の事だった。
小論文とか書けるようにするための練習だよって言ったっけ。そんな感じの小説ですこれ。文をなんとかまとめようとしてます。あれ、まとまってねえ。
もう修正しましたが前話の後書きで今回人里で事件起こるとかいう嘘ついたのは私です許してくださいなんでもしまかぜ。次回は慧音と少女のシーンから始まるよっ。展開出来るだけテンポ上げていきたいけどもう少し我慢だ!