視界が暗くなっていく。
周りは、小銃や機関銃の発砲音、榴弾砲の着弾音、そして、ドローンの音が絶え間なく聞こえる。そして、時折ジェット機の轟音が空気を震わす。
ーーああーー
ここで死ぬんだな
腹と頭からは、おびただしい量の血液が流れ、土を赤く染めている。手元には、今まで15年以上の歳月を共にしてきた愛銃が二丁転がっている。
ーーああーー
これで、死ねるんだな。
これで、ようやくこの地獄から解放される。あの、土が混ざったクソまずい戦闘糧食を食べなくて済む。銃で撃った相手の頭が破裂する瞬間を見なくて済む。傷つき、死んでいく戦友の断末魔を聞かなくて済む。泥水が流れ込む最悪な寝床で寝ずに済む。あの忌々しい羽虫のようなドローンの音を聞かなくて済む。
・・・烈欧戦線に参加していた兵士は、エリコのラッパや、グルジアのオルガンを聞いてどんな気持ちを抱いていたのだろうか。きっと、俺みたいにおびえながら、地下に必死に身を隠していたに違いない。
自然と笑みがこぼれる。
今まで20年近く、戦争で戦ってきた。祖国を守るため。敵を葬るため。なにより、家族を守るために。
さっきの、敵の攻撃で負傷してしまった。周りを見渡すと、塹壕の底に敵味方双方の死体が積み重なっている。
「死んだら、みんな一緒だ。あの世では仲良くしような。」
かつては、非公式ながら存在したという生誕祭休戦みたいなものを望んでいたが、結局そんな幻想は訪れなかった。
家族はどうなっているのだろう。ちゃんと食べれているかな。ちゃんと寝れているかな。
重症を負って、内地に送還されたかつての戦友はどうなったのだろう。あれは障害が残る怪我だ。親戚とかいたっけ?
ーーみんなに、会えるかなぁーー
最後に、このクソみたいな戦場を目に焼き付けておこうと思い、立ち上がる。
ーーああ、やっぱりクソだーー
ーー戦争なんて、クソくらえだーー
神よ、もしも本当に存在するのならば、
もしも、本当に輪廻転生が存在するのならば、
次は、戦いのない、平和な世界に産み落としてくれ
***
俺は、神に願った。
もしも、本当に存在するのなら、
もしも、本当に輪廻転生が存在するのならば、
次は、戦いのない、平和な世界に産み落としてくれ
と。
確かに願った。
確かに、それは叶った。
半分だけ。
転生した世界は、生まれ育った国、日本は、確かに平和だ。
表面上は軍隊を持っていないし、専守防衛を掲げているし。
それでもだ。
記憶を引き継ぐなんて聞いていない。
それに、魔法とかいう訳のわからないもの?まで存在している。なにこれ?
さらに、なぜか愛銃まで一緒についてきている。なんで?
そして、最初に見て、一目ぼれした小銃まである。なんで?
しかも、弾薬完備だし。意味わからん。
それに、一番の問題がある。
男ではなく、女として転生したのだ。なんで?いやホントになんで?
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