戦いたくない魔法少女は、それでも引き金を引く   作:菊水晴雅

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第三話

ある日の夜、たまたま家でくつろいでいたら、突然悲鳴が聞こえた。そして、防災無線が流れる。

 

『警報。警報。レベル3。神薙町に魔物が発生中。周辺の住民の皆様は速やかに避難を開始してください。現在魔法少女が急行しています。それまでは、慌てず、速やかに避難をしてください。繰り返しますーー』

 

「魔物、ねぇ・・・。」

 

少し興味がある。最初に見て、一目ぼれした銃、Mk99.1-A小銃といつも、かつての私の右腰のホルスターに収まっていた拳銃を取り、ストラップを肩にかけながら外出の準備をした。帽子を目深にかぶりながら玄関を開ける。鍵を閉めて通りに出た。この時間は人が少ない。家の中に籠っている人も多いのだろう。避難指示が出たのにも関わらず、通りは閑散としていた。

 

「こっちかな?」

 

建物の屋根越しに光が見える。魔法だろうか。少し走った。

 

少し走り、通りからのびる路地に入ったところで、ついに現場に到着した。警察や消防はまだ来ていない、遅いな。あれが魔法少女に魔物か。三人の少女といっても、同年代だろうか?が、傷ついて倒れていた。出血もしている。ただ、あの出血量から見るに、動脈は切れていない。少し見て帰ろうとした。興味があるのと巻き込まれにむやみに顔を出すのは違う。そう思っていたのだが・・・。

 

「そこにいるのは誰かしら?」

 

ばれた。

 

「参ったな。隠密は得意のつもりだったんだけど。」

 

何度か夜襲に参加したことがあって、そこで隠密行動のスキルを学んだ。だから、気配を隠せている自信はあったのだが、甘かったらしい。

 

「あなた、馬鹿なんじゃないの?自分から殺されに来るなんて。」

「速く逃げなさい!」

 

倒れている一人が叫ぶ。

 

「そうね・・・、馬鹿、か。確かに私は馬鹿よ。だけど、私に生きようと思えることなんて何もないから。殺したいならさっさとこの馬鹿を殺しなさい。」

 

魔物は、狼のような気持ち悪い見た目の奴が五体。そして、それを操っているであろう人物が一人。

 

ダメだな。思わず笑ってしまう。

 

「なにがおかしいの?」

「いいえ?特に何も。」

 

ただ、軍人だったころの私の血が騒ぐ。それだけだ。バレはしたが、向こうが何もしてこないようだったらこちらも何もしない。そこの三人には死んでもらうだけだ。だが、何かをしてくるようだったらその時は、全力で反撃する。

 

「はぁ、死んでもいいっていうなら、もう殺すわね。」

 

魔物を操作し、私を襲わせる。

だが、所詮は人間の知能にははるかに及ばないただの獣。動きは単純かつ遅い。気配を感じて回避する。

 

小銃のボルトを解放して、五発クリップを押し込む。そして、ボルトを閉鎖し、一体二狙いを定めて射撃した。

 

久しぶりに聞く、懐かしい発砲音。肩に伝わる衝撃。この静かな住宅街にはふさわしくない。

 

続けて二発、三発と打ち込み、五発すべてを直撃させて、ボルトは解放したままにした。

 

「何者なの?あなた。」

「さあ?私は誰なんだろう?」

「クッ!こうなったらせめて!」

 

魔物を操作していた人物が走ってくる。肉弾戦か、これも懐かしい。殴るために突き出された左腕を手に取って、肘関節を逆方法に折った。悲鳴が上がる。そのまま腕を取って投げ落とし、右ひざで腹、左足で右腕を押さえつけ、装着した銃剣を口に突っ込んだ。

 

「こうなったらせめて、・・・何?」

 

何か叫んでいるが、銃剣が口をふさぐのを邪魔して何を言っているのか聞き取れない。

 

「もうちょっとはっきりしゃべってくれる?」

 

相手は泣き始めた。ここまでくるとちょっとかわいそうになって来たので、

 

「ねぇ、こいつ殺してもいい?それとも捕虜にする?」

 

「え⁉ぇえ⁉えっと、・・・どうするんだろ?ちょ、ちょっと殺すのは待ってください!」

 

それを聞いて、相手の顔に希望が灯る。私は銃剣を口から引き抜き、そして銃の上下を変えた。

 

「な、何を・・・?」

 

無言で振り下ろす。銃床が額にあたり、気絶した。立ち上がって、銃剣で四肢を刺す。これで動けなくなっただろう。

 

「あ、あの・・・?」

「ちょっと見せて。」

 

少女たちの体の傷を見る。背負っていたリュックから救急箱を取り出して応急処置を始めた。ほとんどは大した傷ではないが、少し深い傷もある。おそらく噛みつかれたのだろう。

 

「ちょっと破くけど我慢してね。」

 

銃剣で服を切り裂き、傷口をよく見る。消毒液をしみこませた脱脂綿できれいにする。

 

「ちょっと動かないでよ。もうやりづらいでしょ。・・・ああもう、そこの二人、ちょっと動かないように抑えといて!」

 

痛がる彼女にうんざりしながら処置を終わらせた。

 

「じゃ、後はあんたたちでやりなさい。」

「あ、あの!」

「何か?」

「助けていただき、ありがとうございます。お名前をうかがってもよろしいでしょうか?」

「後日、改めてお礼に伺いたくて・・・。」

 

そんな律儀にならなくても・・・。少なくとも戦場ではそんなこと言ってらんないよ?

 

「名前を教える気はないわ。ついてこないでね。」

 

そう言い放ち、その場を後にした。

 




信じられる?この主人公が魔法少女になるんだぜ?
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