戦いたくない魔法少女は、それでも引き金を引く   作:菊水晴雅

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第四話 この世界の警察ってねすごいねー。

 

正直言って舐めていた。この世界の警察を。この世界は、軍事技術こそ、前の世界と変わらないが、文明レベルはおそらく半世紀近く離されている。まぁ仕方ない。総力戦体制を100年近く続けていたんだから。軍事技術の民間転用なんて夢のまた夢だ。

 

まぁ、なにが発生しているのかというと・・・。

 

「あなたが、このカメラに写っている子で間違いないね?」

 

玄関には、青い制服を着た二人のお兄さんと一人のお姉さん。その後ろにスーツを着たおじさんが立っている。どうやら防犯カメラにばっちり映っていたようだ。もう家まで特定してきた。恐ろしや。

 

「ええ、確かに私ですね。なるほど、逮捕ですか。それでは。」

 

右腰のホルスターから拳銃を引き抜く。警察官が警戒状態になり、距離を取る。まぁ、その動きは間違ってはいない。この場においてはね。私の持つ拳銃の銃口は、私自身のこめかみにあてられた。別に、この世界での生に執着するつもりはない。逮捕歴がついて、生活しづらくなるようだったら、死んだ方がマシだ。

 

「待て!はやまるな!」

「こんなくそったれの世界、生きていても意味がありませんから。」

 

それに、十分平和を享受できた。これ以上は感覚が麻痺して、平和のありがたみを感じることができなくなるだろう。その前にこの世界からはおさらばする。

 

「待ちなさい。我々は君を逮捕しに来たわけでは無い。ほら、三人ともこっちに来なさい。」

 

まだだれかいるのか?と思ったら、昨日の三人だった。

 

「彼女たちは、昨日君に助けられた。そのお礼がしたいといっていてな。それに、傷の処置も的確で、後も残らずにきれいに治ってくれた。私からも感謝がしたい。ありがとう。」

 

三人もそれに合わせて感謝の言葉を述べる。

 

「終わりましたか?それでは。」

 

「待て、まだ話は終わっていない。」

 

まだ何かあるの?

 

「昨日の君の戦いを、映像ではあるが見させてもらった。そこでだ、一つ提案がある。」

「なんでしょうか?」

 

ろくでもない提案だったら即座に断ろう。

 

「魔法教会に入りなさい。」

「お断りします。」

 

ろくでもない提案だった。なので、即座に断った。

 

「これで終わりですね。それでは。」

「待て待て待て待て!もうちょっと聞いてほしい!」

 

その声を無視して部屋に戻ろうとした、が、

 

「私たちからもお願いします!」

 

なんで・・・?

 

「なぜ?」

 

理由を聞く。なぜ私に執着するのか。

 

「私たちは今、大きな試練にぶつかっている。その試練のために、少しでも多くの戦力が必要だ。」

「はぁ・・・、私は魔法は使えませんよ。」

 

これは少し嘘である。一応、銃を隠すための魔法というか、色々なものを収納できる魔法を持っている。引っ越しの際はそこに銃などを入れて移動した。これがなければ、銃刀法違反で一発アウトだ。

 

「魔法が使えるかはどうでもいい。今は、君の戦闘スキルが欲しい。魔法なら、今から勉強しても遅くはない。これから使えるようになる。」

「であれば、自衛官から引き抜けばいいのでは?」

「君には素質がある。素質がある君でなければだめなんだ。」

 

素質、そんなものがあるのか。

まぁ、この世界にも退屈してき始めた頃だ。興味は出てきた。

 

「条件は?」

「衣食住の保証。一応公務員という扱いになるから、給料も出る。各種公共サービスの保障。医療の無償提供。他にもあるが、長くなるから今はこんなもんだ。」

「契約の条件は?」

「公務員として君を雇用する。対価は街を魔物から守ること。命を捧げろとは言っていない。そして、雇用後は育成学校に通ってもらうことになっている。見たところ、君の中学までの成績は優秀なようだ。今は夏休み中で、秋からの編入になるけど、君なら大丈夫だろう。」

「国家への忠誠は?」

「必要ない。そうだな、最低限自分自身への忠誠は誓っておきなさい。」

 

自分への忠誠か、なかなか面白い。

 

「分かった。話だけは聞いてあげる。後の詳しい話は書類でお願いしてもいいかしら?」

「もちろんだ。後で送ろう。君、電話やメールなんかはあるかな?」

「持ってないわよ。」

「そうか。分かった。・・・これが私の電話番号で、こっちがテレフォンカードだ。何か確認したいことがあったら公衆電話からこの番号に電話しなさい。」

「分かったわ。ご親切に。」

 

そういって玄関の扉を閉めようとしたところ、

 

「あの!昨日は、本当にありがとうございました。あなたが来てくれなければどうなっていたことか。」

「はい!学園に来たら私たちができる限りサポートするね!」

「ですので、ぜひ学園にいらしてください。」

 

何か勘違いしているな。これは今のうちに正しておくべきだろう。

 

「一つ言っておくけど、私は助けたわけじゃない。あくまでも自分の身を守っただけ。相手が何もしてこなければあのまま帰るつもりだった。」

「それでも、私たちにとっては、あなたのおかげで命が助かりました。改めて、感謝を。」

「そう。」

 

玄関を閉め、部屋に戻る。銃と弾薬の整備をしようとすると、あることに気が付いた。

 

「弾薬が戻ってる?」

 

昨日使用した弾薬はMk101-7.7mm弾を五発。この世界になぜかあった弾数は200発。本当は使用した分を引くと195発があるはず。なのに、200発の弾丸がある。

 

「どういうことだ?」

 

この世界は不思議だ。記憶を持ったまま転生したし、愛銃はあるし。

 

そして、この日に愛銃を再び使うことになった。

 




いやさすがにこんなとこで死なれたら困る。
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