七月。
北海道、空知地方。
午前六時二十分。
「……なんだ、これ」
水田の脇に立った農家の男性は、思わず声を漏らした。
用水路に、枝が詰まっていた。
一本や二本ではない。
大小さまざまな枝が折り重なり、その隙間に草や泥が押し込まれている。
水は完全には止まっていない。
ただ、明らかに流れが悪くなっていた。
「……誰だよ、こんなことしたの」
昨日の夕方にはなかったはずだ。
水路の脇には、小さな足跡がいくつも残っている。
人間のものではない。
男性はスマートフォンを取り出した。
最近、何か分からない生き物を見つけた時には、まず政府のポケモン図鑑を確認するようにしていた。
四月から、もう三か月。
最初こそ半信半疑だったが、今では知らない動物を見つけても驚くだけでは済まない。
何を食べるのか。
どんな能力があるのか。
人間に危害を加えるのか。
それを知らずに近づくのは危険だった。
「……あった」
画面に表示されたのは、茶色い小さなポケモン。
『ビッパ』
分類は、まるねずみポケモン。
大きな前歯を持ち、木や岩をかじる習性がある。
水辺に生息し、枝などを集めることがある。
「……こいつか?」
男性は用水路を見る。
枝。
泥。
足跡。
そして、画面のビッパ。
「……いや、勘弁してくれよ」
朝から、余計な仕事が増えた。
◆
午前七時十分。
「また詰まったのか?」
「いや、昨日は何ともなかったんだよ」
隣の農家がやってきた。
男性は水路を指した。
「見てくれ、これ」
「……なんだこりゃ」
「たぶんポケモンだ」
「ポケモン?」
「ビッパってやつ。図鑑に載ってる」
二人で画面を確認する。
「……ああ、こいつか」
「知ってるのか?」
「昨日、うちの畑の脇で見たぞ」
「本当か?」
「ああ。二匹いた。何か草をかじってた」
「……じゃあ、やっぱり」
男性は頭を掻いた。
北海道に新しいポケモンが現れ始めてから、まだ日が浅い。
ニュースでは毎日のように新しい名前が紹介されている。
ムックル。
コリンク。
ビッパ。
それまで見たことのなかった生き物が、あちこちに現れ始めていた。
「……で、どうする?」
「とりあえず枝をどかすしかないだろ」
「また作られたら?」
「……その時はその時だ」
男性はため息をついた。
農業用水は、好きな時に止められるものではない。
田んぼの水管理には時期がある。
流れが悪くなれば、下流の農家にも影響が出る。
「……役場にも連絡しとくか」
「そうだな」
二人は長い柄の道具を持ってきた。
そして、少しずつ枝を取り除き始めた。
幸い、大きな損傷はなかった。
作業を始めて三十分ほどで、水は元の勢いを取り戻した。
「……よし」
「流れたな」
「ああ」
男性は額の汗を拭いた。
「これで終わりならいいんだけどな」
その言葉が、妙に引っかかった。
◆
翌朝。
「……またかよ」
同じ場所に、枝が積まれていた。
昨日より多い。
しかも、今回は泥までしっかり詰められている。
「……おいおい」
男性はしゃがみ込んだ。
枝の組み方が、妙に丁寧だった。
ただ流れてきたものが引っかかったわけではない。
明らかに、何かが意図して積み上げている。
その時。
「ビッ」
小さな声がした。
「……ん?」
顔を上げる。
用水路の向こう岸に、茶色いポケモンがいた。
ビッパだった。
一匹ではない。
三匹。
そのうち一匹は、口に細い枝を咥えている。
「……お前らか」
「ビッ?」
ビッパが首を傾げた。
男性は立ち上がる。
「そこ、塞がれると困るんだよ」
「ビッパ」
「……分からんよなぁ」
当然だ。
相手はポケモンである。
しかも野生だ。
こちらの事情など知るはずもない。
男性が一歩近づくと、ビッパたちは少し後ずさった。
「……ああ、分かった分かった」
男性は足を止めた。
「別に捕まえようってんじゃないんだ」
ビッパたちは警戒したままだった。
しばらくすると、枝を咥えた一匹が水路へ近づいた。
そして。
ぽとん。
枝を落とした。
「……おい」
「ビッパ!」
「いや、だからな」
男性は頭を抱えた。
どうやら、彼らには彼らなりの目的があるらしい。
それは分かる。
分かるのだが。
「……そこじゃないと駄目なのか?」
ビッパは答えなかった。
また枝を探しに行ってしまった。
◆
午前十時。
役場から職員が二人やってきた。
「……なるほど」
「これが昨日から続いてまして」
「ビッパですか」
「はい」
職員は水路を確認した。
写真を撮る。
周囲の足跡も記録する。
「他の場所では?」
「今のところ、ここだけです」
「分かりました」
職員は少し考えた。
「とりあえず、流れを確保する必要がありますね」
「ですよね」
「ただ、何度も同じ場所に作るなら、単純に取り除くだけでは解決しないかもしれません」
「……でしょうね」
農家の男性は頷いた。
すでに二日続けている。
このまま毎朝、枝を片づけるわけにもいかない。
「……捕まえるとかは?」
隣の農家が聞いた。
職員は首を横に振った。
「野生ポケモンの捕獲には手続きや対応できる人員の問題があります。今すぐ捕獲というわけにはいきません」
「じゃあ、追い払う?」
「それも慎重に考えたいですね」
職員は用水路の上流を見た。
「別の場所へ移動しても、そこで同じことをするかもしれませんし」
「……ああ」
確かにそうだ。
隣の農地で同じことを始められたら、問題を移しただけになる。
「……何かいい方法ないですかね」
「調べてみます。ただ、まずは水を通しましょう」
職員はそう言った。
結局、その日も枝を取り除くことになった。
◆
その日の夕方。
ビッパたちは、また用水路へ集まっていた。
「ビッ」
「ビッパ」
「ビッ」
三匹が枝を運んでいる。
一本。
また一本。
昨日まで積まれていた場所に、次々と枝を置いていく。
ただし、今朝の作業で、ほとんどの枝は取り除かれていた。
水の流れは速い。
小さな枝を置いても、すぐに流されてしまう。
「ビッ!」
一匹が大きめの枝を引っ張ってきた。
水路の縁へ押し出す。
しかし。
ざぶん。
枝は流れていった。
「ビッパ……」
ビッパは、しばらく水面を見つめていた。
それから、また枝を探しに行った。
彼らに悪意はない。
ただ、そこに水がある。
枝がある。
そして、何かを作ろうとしている。
それだけだった。
だが、人間が作った用水路は、ビッパたちのためにあるわけではない。
水を流すための設備だ。
そこに枝を積まれては困る。
人間とポケモン。
どちらが悪いという話ではなかった。
ただ、同じ場所を違う目的で使おうとしている。
それが問題だった。
◆
翌朝。
農家の男性は、いつもより早く家を出た。
今度こそ、枝を積んでいるところを確認しようと思ったのだ。
用水路へ近づく。
まだ薄暗い。
遠くで鳥が鳴いている。
「……ん?」
男性は足を止めた。
水路の脇に、何かがいた。
ビッパではない。
もっと大きい。
茶色い身体。
平たい尻尾。
大きな前歯。
「……何だ、あれ」
男性は慌ててスマートフォンを取り出した。
図鑑を開く。
似たような姿のポケモンを探す。
「……ビーダル?」
ビッパの進化形。
図鑑には、水辺に巣を作り、木や泥を使って水の流れを変える習性があると書かれていた。
「……こいつもかよ」
男性は小さく呟いた。
しかし、すぐに妙なことに気づいた。
ビーダルは、用水路へ枝を積んでいなかった。
むしろ。
「……ん?」
ビーダルが、ビッパたちの作った枝の山を見ていた。
「ビッパ!」
一匹のビッパが、嬉しそうに枝を咥えてくる。
ビーダルの前へ置く。
「ビッ!」
だが。
「ビダ」
ビーダルは枝を見た。
それから、用水路を見る。
そして。
ぐいっ。
枝を咥え直した。
「……お?」
男性が目を細める。
ビーダルは、その枝を用水路へ入れなかった。
口に咥えたまま、上流の方へ歩き始めた。
「ビッ?」
ビッパが首を傾げる。
「ビダ」
ビーダルが振り返った。
短く鳴く。
「……ビッパ?」
ビッパたちは顔を見合わせた。
それから、ビーダルの後を追い始めた。
「……何だ?」
男性は少し離れた場所から、その様子を見ていた。
◆
ビーダルが向かったのは、用水路から少し離れた場所だった。
そこには、昔からある小さな沢が流れていた。
農業用水とは別の自然の水路だ。
周囲には草が茂り、倒木がいくつか転がっている。
水の流れは緩やかだった。
そして、沢の途中には、少し窪んだ場所がある。
「……ああ、あそこか」
男性は思い出した。
昔、子供の頃に遊んだことがある場所だ。
今ではほとんど人が入らない。
沢の水は下流の小川へ流れ込んでいるが、農業用水にはつながっていなかった。
ビーダルは、その窪みの近くで立ち止まった。
周囲を見回す。
水へ入る。
流れを確かめるように、何度か場所を変えた。
それから。
「ビダ!」
咥えていた枝を、沢の浅い場所へ置いた。
「ビッ?」
ビッパたちが近づく。
ビーダルはもう一度鳴いた。
「ビダ」
そして、別の枝を拾ってきた。
今度は、水の流れに対して斜めに置く。
その上から、小石を押し込む。
枝が動かなくなった。
「……」
男性は黙って見ていた。
ビーダルは次々と枝を運んだ。
ビッパたちも、やがて手伝い始めた。
ただし、何でもかんでも置いているわけではない。
ビーダルが置いた枝の隣へ、ビッパが枝を持ってくる。
ビーダルがそれを咥え直し、別の場所へ移す。
またビッパが枝を持ってくる。
今度は、そのままにする。
「……へえ」
男性は思わず声を漏らした。
どうやら、ビーダルの方が慣れているらしい。
ビッパたちが作ろうとしていたもの。
それを、もっと適した場所で作り直している。
少なくとも、男性にはそう見えた。
◆
午前八時。
「……で、こっちに移動したって?」
「ああ」
隣の農家がやってきた。
男性は沢の方を指した。
「ほら、あそこ」
「……おお」
ビーダルとビッパたちは、まだ作業を続けていた。
小さな枝。
草。
泥。
それらを積み重ねて、水の流れを少しずつ変えている。
「……すごいな」
「だろ?」
「これ、巣でも作ってるのか?」
「分からん」
「……分からんのか」
「ポケモンのことなんか、俺に聞くなよ」
「そりゃそうだ」
二人は笑った。
それから、しばらく作業を眺めていた。
「……で、用水路は?」
「今朝は詰まってなかった」
「本当か?」
「ああ」
男性は頷いた。
「今のところ、な」
もちろん、これで完全に解決したとは限らない。
ビッパたちがまた用水路へ戻るかもしれない。
別のビッパが現れるかもしれない。
それでも、少なくとも今朝は違った。
「……あいつが連れてきたのかね」
「ビーダル?」
「ああ」
「さあな」
男性は首を傾げた。
「ただ、こっちの方が作りやすかったんじゃないか?」
「……なるほど」
ビーダルに、人間の農業用水を守るつもりがあったとは思えない。
そんなことを知っているかどうかも分からない。
ただ、自分たちにとって都合のいい場所を見つけた。
そして、ビッパたちもそこへ移動した。
結果として、人間の困りごとがひとつ減った。
そういうことなのだろう。
「……ありがたい話だな」
「ああ」
二人は頷いた。
◆
その日の午後。
役場の職員が再び現場を訪れた。
「……なるほど」
「今朝から、あっちでやってるんですよ」
「ビーダルが?」
「はい」
職員は沢の方を確認した。
小さな堰のようなものができている。
水は少しずつ溜まり始めていた。
「……確かに、こちらの用水路とは別ですね」
「そうなんですよ」
「ただ、下流への影響は確認しておいた方がいいですね」
「……ああ、そうか」
男性は頷いた。
農業用水を塞がなくなったからといって、どこで何を作ってもいいわけではない。
沢の流れが変われば、別の場所へ影響が出る可能性もある。
「一度、水路の管理担当とも確認します」
「お願いします」
職員は写真を撮った。
位置を記録する。
水の流れを確認する。
ビーダルたちは、少し離れた場所で作業を続けていた。
「……しかし」
職員が呟いた。
「こんなことまでできるんですね」
「俺も驚きましたよ」
「政府の資料には書いてありましたけど」
「実際に見ると違いますよね」
「本当に」
職員は頷いた。
ビーダル。
ビッパの進化形。
木や泥を使い、水の流れを変える。
文字で読めば、それだけだ。
しかし、実際に目の前で作業している姿を見ると、印象は随分違った。
枝を運ぶ。
置く。
水の流れを確認する。
また置き直す。
その繰り返しだ。
何か特別な技を使っているわけではない。
ただ、自分たちの身体と周囲のものを使っている。
「……これ、下手に壊したら怒るんですかね」
農家の男性が聞いた。
職員は少し困った顔をした。
「……分かりません」
「ですよね」
「ただ、必要がなければ触らない方がいいと思います」
「……そうですね」
男性は沢の方を見た。
ビーダルが、また枝を運んでいる。
ビッパたちも忙しそうだ。
「……せっかく作ってるんですもんね」
◆
それから三日。
用水路が詰まることはなかった。
毎朝確認しているが、枝が積まれる様子はない。
代わりに、沢の方では小さな池ができ始めていた。
ビーダルたちは、そこを拠点にしているらしい。
ビッパが枝を運ぶ。
ビーダルが泥を押し込む。
水が溜まる。
時々、別のビッパがやってくる。
そして、また作業が始まる。
「……よくやるなぁ」
農家の男性は感心した。
こちらも毎日仕事をしている。
田んぼの水を確認する。
畑を見る。
機械を整備する。
やることは多い。
それでも、あのポケモンたちも負けず劣らず忙しそうだった。
「……お前ら、休まんのか?」
少し離れた場所から声をかける。
「ビッ?」
一匹のビッパが顔を上げた。
男性を見る。
それから、また枝を運び始めた。
「……聞いてないな」
男性は笑った。
別に、返事を期待していたわけではない。
ただ、何となく声をかけただけだった。
ビーダルが水辺から顔を出す。
「ビダ」
低く鳴いた。
ビッパがそちらへ向かう。
枝を置く。
ビーダルが位置を直す。
「……へえ」
男性はしばらく眺めていた。
何だか、工事現場みたいだ。
親方がいて。
作業員がいて。
それぞれ仕事をしている。
……いや。
勝手に人間の仕事へ当てはめるのも変な話か。
あいつらは、ただ自分たちの暮らしを作っているだけなのだから。
◆
一週間後。
役場から連絡があった。
沢にできた堰について、現時点では大きな問題は確認されていないという。
ただし、今後も水位や周囲への影響を確認することになった。
農業用水についても、しばらく巡回を続けるらしい。
「……まあ、よかった」
男性は電話を切った。
完全に安心できるわけではない。
大雨が降れば、あの堰がどうなるか分からない。
ビッパが増えれば、また別の場所で問題が起きるかもしれない。
けれど、今は落ち着いている。
それだけでも十分だった。
夕方。
男性は仕事帰りに、沢の方へ寄った。
小さな池ができていた。
水面には、木の枝が浮かんでいる。
その向こうで、ビッパたちが何かをかじっていた。
ビーダルは、堰の上に座っている。
「……おう」
男性は軽く手を上げた。
ビーダルがこちらを見る。
「ビダ」
「……元気そうだな」
ビーダルは返事をしなかった。
ただ、しばらく男性を見ていた。
そして、ゆっくり水へ入った。
ざぶん。
大きな尻尾が水面を叩く。
水しぶきが上がった。
「……おっと」
男性は少し後ずさった。
服に水がかかった。
「……何だよ」
思わず笑う。
ビーダルは気にした様子もなく、池の向こうへ泳いでいった。
ビッパたちも後を追う。
「……まったく」
男性は濡れた袖を払った。
別に、仲良くなったわけではない。
触れるほど近づいたこともない。
餌をやったこともない。
向こうが自分を覚えているかどうかさえ分からない。
それでも。
用水路は流れている。
田んぼに水が届いている。
ビッパたちには、自分たちの池がある。
今のところ、それで十分だった。
◆
翌朝。
いつものように、男性は用水路を見回った。
水は問題なく流れている。
枝も詰まっていない。
「……よし」
確認を終えて、歩き始める。
すると、隣の農家が声をかけてきた。
「おーい」
「おう」
「あのビッパ、どうなった?」
「ああ、沢の方にいるよ」
「まだ工事してるのか?」
「してるしてる」
「……好きだなぁ、あいつら」
「本当にな」
二人は笑った。
「しかし、よかったな」
「何が?」
「結局、追い払わずに済んだだろ」
「……ああ」
男性は頷いた。
最初は困った。
毎朝、枝を片づける羽目になった。
どうにかしてほしいと思った。
それでも、ビッパたちが悪いことをしているわけではないのは分かっていた。
ただ、場所が悪かった。
そして、たまたま現れたビーダルが、別の場所を選んだ。
それだけのことだ。
「……あのビーダル、頭いいよな」
「そうだな」
「俺らが何日も困ってたのに、あっさり場所変えちまった」
「……まあ、あいつらにとっちゃ普通のことなのかもしれんけどな」
「そうかもな」
二人はしばらく沢の方を見ていた。
遠くで、何かが水を叩く音がした。
ばしゃん。
少し遅れて。
「ビッパ!」
小さな鳴き声が聞こえた。
「……元気だなぁ」
「本当にな」
男性は笑った。
そして、いつもの仕事へ戻っていった。
◆
その後、役場には一件の報告が残された。
『農業用水路におけるビッパによる枝の堆積について』
発生場所。
発生日時。
確認された個体数。
水路への影響。
対応内容。
そして、経過。
『近隣の自然水路へビッパの群れが移動したことにより、農業用水路への枝の堆積は現在確認されていない』
続けて、担当職員は一文を追加した。
『移動には野生のビーダルが関与したとみられる。ただし、人間側の事情を理解して移動を促したかどうかは不明』
職員は少し考えた。
それから、もう一文。
『今後も自然水路の水位および周辺環境への影響について、継続的に確認する』
保存。
報告書を閉じる。
窓の外では、いつも通り車が走っていた。
畑では農家が働いている。
その少し離れた沢では、ビッパたちが今日も枝を運んでいる。
人間の生活。
ポケモンの生活。
互いに何も知らないまま、同じ場所で暮らし始めた者たち。
問題は、これからも起きるだろう。
すべてが平和的に解決するとは限らない。
それでも、今回のようなこともある。
人間が何とかしようと頭を抱えている間に、ポケモンたちが自分たちの都合で動き、結果的に問題が解決してしまう。
そんなことも、あるらしい。
そして翌朝。
農家の男性は、また用水路を確認した。
水は流れている。
問題なし。
「……よし」
いつものように頷く。
その時、沢の方から大きな音が聞こえた。
ばしゃん!
「……」
男性はそちらを見た。
少し考える。
「……あいつら、今日も工事か」
思わず笑った。
人間の農作業も忙しいが。
どうやら、ポケモンたちの土木工事にも休みはないらしい。