なので、いっぱい書きます。書きすぎました、今回─長いです!
初めて会ったその日から、私はその子のことが気になっていました。
目を離したら、消えてしまいそうなそんな姿も誰のことも愛して、可愛らしく笑うのも…そしてそんな人懐こいのに何処か一歩だけ退いている所とか。一人で、悲しんでいることとか。
全部…色んな所を見て、それで分かったんです。あの子は誰よりも無垢で無知で─暴力が嫌いだってことが!
だから、あの日暴力を振られているあの子の姿を見て動きを止めることなんて出来ませんでした。
心はちっとも痛くなんか無かったのに、それでも守りたいって思ったので職員さんに同じことをしようと思ったんです。
あの子が大嫌いな暴力であの子を救おうとしたんですよ。
きっと、それは─。いえ、そんなことではなく振り上げた拳を振り落とすその時、私の目の前にあの子が居ました。
あの時もし、私の拳があの子に当たっちゃったら…そう思うととても恐ろしいですね!
でも、何とか止めれたんです。けど、それだとまたあの子に暴力が振るわれてしまうと思って直ぐ動けるようにしたんですよ。
その時でした、私があの子の知らないところを知ったのは。
あの子は、無垢で無知で守らないといけない存在なんかじゃなかったんです。
いえ、ここはあの人と表した方がいいのでしょうか?まぁでも、何はともあれ…あの子の中にいるあの人は私に目と耳を塞ぐように言って職員さんに向かっていきました。
けれど、あの人は知らなかったんです。私がコッソリと目と耳を塞ぐことをしなかったことに。
えぇ、ですから私は全部知っちゃったんです。あの人がすっごく怒っていたこともわたしたちの事を守ろうとしたのも。
それは、初めてでした。ここで知ったこととは本当に真逆で─。
だから、そんなあの人が誰よりも綺麗な笑顔でわたしを見た時に、心臓が跳ね上がったんですよね。それが、一体何でかまでは分からなかったんですけど。
きっと、いつか分かる…そんな気がしました。
でもですよ?あの事が起きてから私はハルちゃんの顔を直視することが出来なくなってしまったんですっ!
だって、見れば見る程あの時の笑顔が頭に浮かんできてしまうんですからしょうがないですよね。
それで、色んなことがあって…やっぱり私はあの子の傍になんかいちゃいけないことが分かったんです!
あの子と違って私は…□□ですから!しょうがないですよね、きっとあの人もそう思うんです。でも、それをあの子の口から言われてしまったらと思うと少し怖くて─だから、離れることにしたんです。
それに、その時家族が丁度出来ましたから!だから、だから─私とあの子の探偵業は終わりました。
これからは、一人で名探偵を目指して頑張らないとですね!
わたしはシェリーちゃんといっぱい仲良くなりました。お勉強のこととか、好きな本とかいっぱい教えてもらって…。
やっぱり大好きだったんです。誰よりも自由なところとか楽しそうにしているところとか…。
だから、急に家族が見つかったって言われて離れ離れになってしまうことを伝えられて、いっぱいいっぱい泣きました。
離れたくないって、ずっと一緒がいいって…初めてわがままを言ってしまいました。 それにシェリーちゃんは─。
「大丈夫ですよ!また会えますから!だから、その日まで少しだけさよならですー!」
笑顔で、そう答えました。やっぱりずっと居ることはダメみたいで…だから大切な思い出を仕舞うことにしました。
探偵ごっこも、ミステリーも全部全部…大切に心の奥に。
得意なんです、だって幸せは長続きしないんですから。
思い出にするしかないんです。そうじゃないと、前に歩くことなんて出来ないですもん。
ですから、私も新たな家族の元に行ったときにはもう普通になりました。
新しいお父さんは暴力なんて振るわない人で、お母さんという人も居て…また新しい幸せがそこにありました。
「お母さん、お父さん!行ってきますー!」
そう言えば、お父さんとお母さんから笑顔でこう返してくれます。
「「いってらっしゃい、気を付けて」」
それは、本当にうれしくて。だから、私は笑顔で外へ行きました。
学校なんて初めてですから、どうすればいいのか少しだけ不安で─。
でも、そんなこと気にしなくて良いぐらい素敵な出会いをしたんです。
それは、すこし抜けているところのある優しい子と厳しいけど優しい子でした。
二人は幼なじみというものらしくて、仲良しでした。
だけど、その中に私のことを入れてくれて─。
エマは優しく私の手を取っていっぱいお話してくれて、ヒロは私のことを叱りながらも色んなことを教えてくれたんです。
例えば─。
「ハルちゃん、今日は折り紙しよ?ボク、いっぱい練習したんだ」
「わ、やろー!ヒロもやる?」
「はぁ、今は授業の準備をする時間だ。そこで遊ぶなんて正しくない。だから昼休みにな」
「そ、そっか!じゃあお昼休みにみんなでやろうね!」
エマからの誘いで遊ぼうとしてヒロに窘められたり─。
「あぅ、いたた…」
「ハルちゃんっ!大丈夫…?えっと、ヒロちゃん…どうしよう」
「私が保健室から絆創膏と消毒液を借りてくる。エマはハルのことを見ててくれ。分かったな?」
「うん、ボクに任せて!ハルちゃん、あそこのベンチで一緒に座ろ?」
転んでしまった私のことを二人が優しく守ってくれたり。
そんな幸せな日々を過ごしていました。けれど、それは小学校で終わってしまいました。
中学ではヒロとエマと別々のクラスになってしまったのです。
悲しかったんです。だから、他に友達を作ろうなんて思えなくて…私は屋上に行くことにしました。
どこまでも続く空は、こんな悩みをちっぽけなものにしてくれる気がして。
だけど、そこでか細い声が聞こえました。
「貴方は、どうしてここに来たんですか?」
「…私?うーん、悩んでたから!えっと、貴方は?」
また少し悩んで私は、本心を言うことにしました。だって、その女の子は少し辛そうだったから。
「私は、孤立していたから…でしょうか」
「そっか、私と一緒!あ、そうだ!ねぇねぇ、おともだちになろ!」
それは、初めての私からの行動でした。いつも、私は誰からか誘われなきゃ動けない子でしたから。
それでも、少し不思議そうにここに来た理由を言う彼女と友達なりたいとそう思って…だから勇気を出しました。
「─っ、おともだちに…なってくれるんですか?」
彼女は少し驚いた顔をして、逆に不安そうに聞いてきました。
それは、予想もしなかったことで…どう答えるべきか悩んで─そこに大好きなおともだちの声が聞こえました。
「ボ、ボクも!おともだちになりたい!いいよね、ハルちゃん!」
それは、救いのようで…私は笑顔で答えました。
「─うん!エマと私と友達になって!えっと─」
「ユキと、そうお呼びください。エマ、ハル」
エマも笑って、それにユキも笑って…私たちは暇な時間に屋上で集まることにしました。
いつの間にかそこに、ヒロも来て。
いっぱい、いっぱい!私たちはお話をしました。ユキは少しだけ変な子で色んな面白いことを話してくれて、私たちはそのお話に夢中になっていました。
けれど、冷え込むと私は体調を崩してしまいますから…冬の間は空き教室で集まって─。
そうやって、仲良く仲良く…永遠に─。
そんなこと、ありませんでした…。ある時、ヒロは留学に行く事になってしまったんです。
私は、いっぱい泣いて…エマとユキに励まされてやっと、ヒロにお別れを言いました。
その時、ヒロから言われました。
「ハル、君は愚かでへなちょこで─でも正しい…だから、二人のことを任せたよ。君なら、守れるだろうから」
「─うん、任せて?エマもユキもわたしも…ここでヒロのこと、待ってるから」
「あぁ。元気でな」
離れる背中を眺めて、私は頑張るぞって腕を上げて─。
毎日、ユキのところに行きました。
ユキはなんだか色んな人から人気で、悪戯をされてしまうらしいから。
皆ので前で笑われるユキを教室から連れ出したり、二人でバケツの水を掛けられたり…汚れてしまった服を一緒に洗ったり─。色んなことをしました。
でも、エマはなんだか私たちを見て悲しそうにしていたんです。だから、エマの手も取ろうとして─。
「『ダメです』。濡れた私たちがエマに触れてしまったら、汚れてしまいますよ?だから、『ダメ』なんです」
そう言う、ユキの言葉に従って私はエマから離れました。そうすると、エマもなんだか徐々に屋上に来なくなって─。
それが辛くて、私は泣いていました。ユキはそんな私の頭を笑顔で撫でてくれて…だから、だから─殴られそうになったユキを見て、また私は願ったんです。
たすけて─てんしさまって。
シェリーと離れて、それでもエマとヒロと仲良くなって幸せそうなハルを見ながら…俺はこれから起きる地獄を覚悟していた。
なぜなら、ヒロとエマはある人物によって歪まされるのだから。
そして、案の定…そこの輪にハルも入ってしまった。
けれど─けれど…ハルはもう歪まされていたのだ。とっくのとうに─俺の手によって…。
守れてなどいなかったんだ。俺は…俺は─やっぱり…わるい子で─!
割れた硝子が、俺の惨めな顔を写す。涙と鼻水でぐちゃぐちゃな…幼い頃の俺の顔を。
だけど、そんな後悔に身を投げ出す暇はなかった。
また、手を引かれてしまったんだ。ハルに─助けてって。
だから、守るために俺は…。
笑いながら、暴力を振るおうとする女の子とユキの合間に入った。
その拳が俺に触れて、弱すぎる身体は吹き飛ばされた。
「─ハルっ」
そんな俺を見てユキは心配そうな顔をして─それが演技なんかじゃないことが見えてしまって…。だから、彼女のことも守らないといけないとそう思った。
全部の黒幕だと知っていながら、その俺と…ハルと同じぐらいの小さな手を取ったんだ。
そして、魔法を使った。もう二度と、ハルとユキに虐めなんて出来ないように。
その魔法が写したのは、虐めから死んでしまった幽霊で。その行為がどれほどの痛みを与えるのか、その恨みがどれ程深いのか知るには十分だと思ったんだ。
けれど、けれど─。忌み嫌われる魔女の性質を俺は軽んじていた。
この幻自体が、ユキによるものだと彼女達は逆上したんだ。
暴力は、殺意へと変わりそれがユキに振りかかろうとした。
だから、俺は幻で自分をユキに─ユキをハルに変えた。
あぁ、でもこれじゃハルを守れない。傷ついてしまう。
そう悩んで、そんな時声が聞こえた。わざと離れたユキの方から─。
「なるほど、ハルは一人じゃなかったのですね。なら、貴方にも─」
それで、何となく分かった。ユキは俺に魔女因子を与えようとしている。いや、与えたのだと。
だから、だから─。俺は初めて俺の力を使った。
それは分かりやすく、そして─あの日から…妹を失う前から願って、願って…願い続けた力だった。
守る魔法。所謂結界、それは振るいかかる殺意をハルとユキから遠ざけた。
何度も、何度も結界を彼女達は殴って、木の枝を振るって。
でも、一切傷つかない俺にやっと、諦めて逃げていった。
それでも、一番はじめに喰らったダメージはハルにとって…誰よりも弱い彼女にとって致命的だった。
ポタポタ、血が流れる。口を切ったんだ、そしてあちこちが痛かった。
吹き飛ばされた時、地面に勢いよくぶつかったから折れてはいないが、骨に傷が入ったんだろう。
あぁ、守りきれなかった。ハルを─。そんな後悔に浸る俺の前に笑顔のユキが近づいた。
「なるほど、だからハルは無垢だったんですね。貴方が、ハルの変わりに汚れたのですから。なら、なら…お別れです。ハル、貴方はゆっくり休んでいてください。もう、手遅れになるその時まで─『さようなら』」
その言葉で、俺は目を閉じた。けれど薄れゆく意識の中、見たのだ。悲しそうに、俺の…ハルの頭を撫でる─可哀想な女の子を。
だから、だから─俺は決めた。ユキのことも、やっぱり守るって…救って見せるって、心に誓ったんだ。
私は、酷い痛みで目を覚ましました。そこは、真っ白なカーテンで覆われていて…見たことのない部屋でした。
そして、私の傍にお母さんとお父さんがいたんです。
泣いて、泣いて…私の手を取っていました。なんでだろう、何があったんだろう?
不思議で、私は声を出しました。
「お母さん、お父さん…どうしたの?」
その声を聞いて、二人はもっと涙を溢して─私の身体に抱きつきました。
そして、こう言いました。
「ハル、ハルはずっと寝ていたんだ。もう、皆中学二年生になったんだよ」
そう聞いて、私は顔が青ざめました。だって、ヒロと約束していたんです。ユキとエマを守るって。
だから、身体を起こしました。でも、立てなかったんです。
なんで、どうして?言うことを聞いてくれないの?このままじゃ、エマもヒロもユキも、離れていっちゃう。だから、立って!
そう、叫びました。当然、心の中で。だって、お母さんとお父さんを不安にさせたら離れていっちゃうかもしれないですから。
そして、私はお父さんとお母さんによってまたベッドに寝かされて二人はお医者様を呼びました。
お医者様は言いました。私の身体は、長い間眠っていたから先ずはリハビリをしないといけないこと。
そして、普通ならリハビリは2、3ヶ月で終わるけれど私の場合は一年以上掛かるかもしれないこと。
最後に、私の友達がいまお見舞いに来ているからここに呼んでもいいかと聞かれました。
私は答えました、是非呼んで欲しいと。
そうして、彼女は来てくれたんです。大好きで、けれど離れていってしまったヒロが─。
「私が、間違っていた!君に、君に二人を守れなんて言ったから…!」
泣いていました。悲しそうに。でも、それは私のことを見放す冷たさじゃなくて、ただヒロは自分を責めていました。
だから、痛む身体を無理矢理動かしてヒロを抱き締めました。
「ううん、ヒロは間違ってないよ。私が、ダメダメだったの。もっと、強かったら…二人とも守れたのに」
その言葉に、ヒロは更に涙を溢しました。なんでだろう、どうしてだろう?私は間違ったことを言ってしまったのかな。不安で、もっともっと…ヒロのことを抱き締めて、聞いてしまったんです─。
「エマのせいだ、ユキが居なくなったのも…ハルが寝込んだのも全部、全部─!」
小さな、怒りでした。でも、それは違うんです。エマは悪くありません。それでも、その言葉を口に出来ませんでした。
だって─だって、ユキが居なくなった。そのことに、私は震え上がってしまったから。
居なくなった、守れなかったから?それで私のこと、嫌いになったから?
やだ、いやだ!居なくならないで!ずっと傍に居て!私から離れないでっ!!
お父さんも、お母さんもシェリーもユキもっ!全員、居なくならないでよぉ!一緒に居てよっ!痛くてもいいっ!殴ったっていいから、だから─!
離れていく幻にそう叫んで、願って…でもそこに嘘があることが分かって。
私は、涙を溢しました。だって、痛いのは嫌いです。殴られるのは慣れたけれど、辛いんです。笑っていて欲しいんです。
だから、全部、全部─しまいました。
そこで、仕舞い忘れた記憶に気がつきました。私の名前は本当はハレだったという記憶です。
私を生んで死んでしまったお母さんが、本当はハレと名前をつけようとしていたこと。けれど、お父さんが苦しみながら書いたお母さんの歪んだ字から誤ってハルと名付けてしまったこと─そんな記憶でした。
なんで、仕舞い忘れていたんでしょう。大切な思い出なのに。仕舞わないと、仕舞わないと─。
普通に、戻らないと─。ヒロも、離れてしまう。だから、隠して仕舞って─私はヒロと長い時間居ました。
リハビリをする私にヒロは付きっきりでお世話をしてくれたんです。
そうなると、新しい不安が出来ました。私が元気になったらまたヒロは何処かに行ってしまうんじゃないかって。
だから、リハビリの途中聞いたんです。
「ヒロ、ヒロは─私が良くなったらまた、留学に行くの?」
「まさか、行かないよ。目を離したら君はまた無茶をして傷付くだろうからな」
その言葉はとっても嬉しかったんです。それって、もう離れないってことですもんね!だから、だから頑張ったんです!リハビリをいっぱい、いっぱい!
そうするとお父さんもお母さんも嬉しそうで!ヒロも嬉しそうで!私も嬉しかったんです!
だから─だから、高校生になったら走る運動とかも出来るってぐらい回復したんです!
お医者様は驚いていました、だってもっと時間が掛かるって思っていたから。
お父さんもお母さんもヒロも、その結果に喜んでいました。
あぁ、明日から─高校生から私はもっともっと、ヒロの隣に居れる。
そう思って、目を閉じました。
次に目が覚めた時には、高校生ですから!早めに寝たんです。
けれど─けれど…目が覚めたら、私はまた知らないところに居ました。
牢獄みたいな─そんなところに。
ハレとケ。その言葉最近知ったのですが齧っただけでも面白い概念なのでここに組み込みました。
そして、お話についてなのですがかなり飛ばしながら書いた理由は牢屋敷内での魔女化や犯行時に判明させるためなので知りたいって方は続きをもっとお楽しみにしていただけたら嬉しいです。
では、二件の感想、25個のお気に入り、五人の方からの評価。大変嬉しく、これからも精一杯書きますのでこれからもどうぞご贔屓にしていただけたら嬉しいです。
次のお話も是非読んでくださると嬉しいです。