秘密結社『トランパー』設定資料
組織概要・階級制度・二人の宗主・異例の一般党員四名
トランパーは、トランプのカードをモチーフにした厳格な階級制度を持つ秘密結社。しかし、その内部には幹部級の実力を持ちながら、幹部への昇格を頑なに拒絶し続ける四人の一般党員が存在する。
幹部も宗主も彼らを高く評価しているのに、本人たちは「自分が幹部の名を名乗るなど、恐れ多い」と本気で考えている。
その結果、組織の上層部は今日も頭を抱えている。
① 二人の宗主『JOKER様』
トランパーの頂点には、どちらも『JOKER様』と呼ばれる二人の存在がいる。
白のJOKER様
静謐・威厳・秩序
首から上を完全に覆うジョーカーの仮面
白いスーツジャケット
白いスーツパンツ
黒いカッターシャツ
黒い革靴
青系統または紫系統のネクタイ
黒のJOKER様
奔放・威圧・変革
首から上を完全に覆うジョーカーの仮面
黒いスーツジャケット
黒いスーツパンツ
白いカッターシャツ
白い革靴
赤系統または緑系統のネクタイ
二人の関係性
二人は、どちらも単独で『JOKER様』と呼ばれる特別な存在。組織内では宗主という最高位に並び立っている。
二人の性格や役割を対照的にすると、秘密結社としての奥行きが出る。
白のJOKER様: 組織の秩序、伝統、規律を重んじる。党員の実力だけでなく、その責任感や覚悟も評価する。
黒のJOKER様: 実力、発想、個人の可能性を重んじる。優秀な党員が下位階級に留まり続けることを、もったいないと感じる。
もちろん、これは性格づけの一案。二人が実際にはどのような関係なのか、双子なのか、対立しているのか、それとも一心同体に近いのかは、謎として残しても面白い。
特に、二人が同時に同じ党員へ昇格を勧めた場合、その党員にとっては組織最高峰からの直接命令に等しい圧力になる。
それでも断る者がいるのだから、トランパーも大変である。
② 党員の階級制度
JOKER様
宗主・組織の最高位
A エース
最高位の党員階級
K キング
上位幹部
Q クイーン
上位幹部
J ジャック
幹部級の最低位
一般党員階級
10
階級
9
階級
8
階級
7
階級
6
階級
5
階級
4
階級
3
階級
2
最下位
幹部級の特別なルール
エース、キング、クイーン、ジャックは、一般党員とは明確に区別された幹部級である。
そして、それぞれの階級には四つの席しか存在しない。
※役割は設定を広げるための提案。各階級の定員は合計16名となる。
幹部の席が限られているからこそ、昇格は単に強くなればよいというものではない。
その階級を名乗る責任、組織を背負う覚悟、そして他の党員からの信頼。それらを兼ね備えた者だけが、幹部級にふさわしいとされる。
……少なくとも、あの四人はそう信じている。
③ 一般党員『2』に潜む四人の怪物
通称案:四人の特異点/フォー・ジョーカーズ・フォイル
一般党員の最下位階級である『2』。本来なら、上位階級への昇格を目指して経験を積む立場である。
しかし、その中に組織の常識を根底から覆す四人がいる。
四人に共通する実力
相手はエース四名。
全員がそれぞれの適性に合わせて武装を徹底的に組み上げた本気の戦闘状態。
その四名を相手に、一人で正面から戦闘を仕掛ける。
平均鎮圧時間は約5秒。
最短記録は2秒未満。
ここでの「鎮圧」は、相手を戦闘続行不能にすること。必ずしも殺害を意味しない。
重要なのは、四人がエースに勝てるというだけではない。
相手は、単にエースの階級にいる四人ではない。各人が自分の適性を最大限に引き出した武装を揃えた、ガチモードのエース四名である。
つまり、相手の得意分野を理解し、対策を重ね、武装まで最適化した精鋭を、たった一人で正面から制圧してしまう。
これは、トランパーの戦闘能力評価にとって異常事態である。
もっとも、これだけの記録があっても四人の階級は『2』のまま。
なぜなら、本人たちが昇格を拒否しているからだ。
④ 四人の人物設定
以前の設定にある四人の名前と性別を踏まえて、個々の戦闘スタイルと性格を割り振ってみる。
オウル・ドロウ
戦闘特性:相手を理解する速度が異常。
敵の構え、視線、武器の癖、連携のタイミングを瞬時に読み取る。エース四名が完璧な連携を組んでも、その連携が成立する条件そのものを崩してしまう。
本人は「自分は観察が得意なだけです。幹部の器ではありません」と主張する。
ローズ・スノウ
戦闘特性:相手の攻撃を正面から受け止め、崩す。
防御、迎撃、反撃の切り替えが極めて速い。敵の攻撃を避けるだけでなく、攻撃そのものを利用して相手の体勢を崩す。
「幹部の方々は、私よりずっと立派です。私が席をいただくのは間違っています」と真顔で辞退する。
セナ・シウン(紫雲星南)
戦闘特性:攻防の切り替えが誰よりも速い。
一対多の戦闘で、相手が次の行動を選ぶ前に戦況を変える。四人のエースが互いにカバーしようとするほど、判断の隙を突かれる。
「私のような未熟者が幹部になるなんて、他の方々に申し訳ありません」と、最短記録を叩き出した本人が言う。
ミヤビ・ヒメハナ(姫華雅)
戦闘特性:どんな相手にも最適解を見つける。
特定の分野だけが突出しているのではなく、相手の武装や戦術に合わせて自分の戦い方を組み替える。四名のエースが個々の強みを押しつけても、その組み合わせを上回る。
「私にはまだ学ぶべきことがございます。幹部の席など、到底務まりません」と、丁寧に、そして絶対に譲らない。
※戦闘スタイルと人物像は、名前・性別から発展させた提案であり、既存設定を確定するものではない。
⑤ トランパー上層部、頭を抱える
この設定の一番おいしいところは、四人が単に昇格を拒否するのではなく、自分たちは幹部にふさわしくないと本気で信じている点である。
幹部たちは、彼らを評価していないわけではない。むしろ評価しすぎている。
ある日の幹部会議
エースの一人が、机に戦闘記録を叩きつけた。
「……平均5秒だぞ?」
キングが腕を組む。
「こちらは全員、武装も戦術も事前に調整した。相性も悪くなかった。なのに、だ」
クイーンが記録をめくる。
「最短記録は2秒未満。しかも、本人は『相手が少し油断していた』と報告しているわ」
ジャックが顔を覆った。
「その油断を突いたのが誰なのか、分かって言っているのか……?」
そこへ、四人が呼び出される。
白のJOKER様が、静かに告げた。
「君たちの実力は、すでに幹部級に達している。そろそろ昇格を考えてはどうだろうか」
四人は一斉に姿勢を正した。
「「「「恐れ多いことでございます」」」」
黒のJOKER様が、仮面の奥で深々とため息をつく。
「いや、だから! 君たちの実力なら十分だと言っているんだが!?」
オウルが答える。
「私など、まだまだ観察の甘い未熟者です」
ローズが続く。
「私が幹部の名を名乗れば、現在の幹部の方々に失礼です」
セナが真剣な顔でうなずく。
「私では幹部級の名を穢してしまいます」
ミヤビが深々と頭を下げた。
「そのような大役は、私には到底務まりません」
沈黙。
キングが天井を見上げる。
クイーンは手元の資料を閉じる。
ジャックは隣のエースの肩を叩いた。
「……もう一回、説明するか?」
エースは力なく首を振った。
「いや。前回も、その前も、その前の前も同じだった」
黒のJOKER様がとうとう叫ぶ。
「お前ら、もう……! はよ幹部になれよぉ! なんで拒否しちゃうんだよぉ!?」
四人は、宗主の嘆きを聞いてもなお、揺るがなかった。
「「「「私(俺)では、幹部級の名を穢してしまうからです」」」」
白のJOKER様は、仮面の額にそっと手を当てた。
「……実力を理由に昇格を拒む者は、初めて見たな」
黒のJOKER様が即座に返す。
「実力を理由に、じゃないんだよ! 謙遜を理由に拒否してるんだよ!!」
その日、幹部会議は本来の議題を一つも進められなかった。
⑥ この四人がトランパーにもたらす面白さ
階級と実力が一致しない
トランパーでは階級が組織内の立場を示すが、必ずしも個人の純粋な戦闘能力を示さない。『2』なのにエース四名を鎮圧できる四人は、その象徴となる。
本人たちの価値観が組織の評価を上回る
四人にとって、幹部になることは名誉ではあっても、望んで手に入れるものではない。実力が足りないと思っている以上、昇格を受け入れるわけにはいかない。
上層部が四人を敬いながら困り果てる
彼らを無理やり昇格させれば、本人たちの信念を踏みにじることになる。一方、放置すれば、組織の戦力と人材配置に不自然な状態が続く。
本人たちは大真面目なのに、周囲にはコメディになる
四人は誰もふざけていない。宗主への敬意も、幹部への尊敬も本物。それなのに、上層部は昇格を拒否されるたびに精神を削られていく。
⑦ 特におすすめの追加設定
四人をさらに印象的にするなら、四人とも幹部級に対して一切の敬意を崩さず、命令にも忠実なのに、昇格の話だけは絶対に譲らないというルールがよく似合う。
たとえば、JOKER様から「今日からお前はジャックだ」と宣言された場合でさえ、
「ご命令は承りました。しかし、正式な就任については辞退させていただきます」
と返す。
反抗でも、挑発でも、権力への無関心でもない。
ただただ、自分たちは幹部にふさわしくないと思っている。
そして、彼らが辞退した四つの席は空いたままになるのか、それとも別の党員が座るのか。そこにも組織運営上のドラマが生まれる。
トランパーは、最強の四人を抱えているのに、その四人を幹部にできない秘密結社。
この矛盾こそが、組織の威厳とコミカルさを同時に引き立てる、非常に強い設定だと思う。