チャッピーに考えてもらった架空組織   作:缶コーヒー好き

10 / 13
4人の戦術体系、正式整理

トランパー本部、最上階の大会議室。

その日、開催されたのは、JOKER様両名ならびに幹部陣総員による合同会議だった。

参加者は、白のJOKER様、黒のJOKER様、そしてエースからジャックまでの幹部16名。

議題は一つ。

「一般党員2番に所属する、例の4名の戦術体系について」

会議の冒頭、スペードのエースが資料を配布した。

「これまでの訓練報告と実戦記録をもとに、4名の戦術を整理しました。今回は各人の得意分野だけでなく、攻撃距離、戦闘の組み立て、対応可能な状況についてもまとめています」

黒のJOKER様が頷く。

「よし。始めてくれ」

1. オウル・ドロウ

戦術分類:観察・精密投擲・衝撃打撃型

主な武器:拳、投げナイフ

「オウルは、観察能力を中心に戦闘を組み立てるタイプです」

資料には、以下のように記されていた。

観察・分析: 相手の癖、重心移動、攻撃の予備動作を素早く見抜く。

近接打撃: マシンガンジャブ、ショットガンブローなど、単純な打撃を高精度で使い分ける。

衝撃波: 拳撃による衝撃波を発生させ、離れた標的にも攻撃を届かせる。

投擲: ローズと同等レベルの投げナイフ技術を習得。

「つまり、相手の動きを見抜き、最適な攻撃を選択する戦術家ということか」

ダイヤのキングが確認する。

「そうです。本人は派手な技を好むわけではありません。必要な動作を、必要なだけ行う傾向があります」

白のJOKER様が感心したように頷いた。

「シンプルだからこそ、対応しづらいんだねえ」

オウルは会議の端で、少し居心地悪そうに座っていた。

 

2. ローズ・スノウ

戦術分類:高速投擲・拘束・組み技制圧型

主な武器:カード、投げナイフ、肉弾戦

「ローズは、従来のカード投擲に加え、投げナイフと肉弾戦を習得しています」

資料の項目が、少し多かった。

カード投擲: 最大秒間2000枚。衣服を壁に縫い付ける拘束から、急所への精密攻撃まで対応。

投げナイフ: 高い精度と速度を持つ投擲技術。

タックル: 相手の懐に入り、体勢を崩して転倒させる。

シュート: 倒した相手を組み技で制圧する。

肉弾戦: オウルの指導を受け、回避・体捌き・打撃なども習得中。

ハートのクイーンが資料を見ながら言った。

「以前は、近づかれる前にカードで仕留める印象でしたけれど……今は近づかれても、むしろ組み伏せる選択肢があるのですね」

「はい。ローズは相手との距離を選ばず、状況に応じて戦い方を変えられるようになっています」

「本人は、どの戦い方を好んでいるのだ?」

黒のJOKER様の問いに、ローズは微笑んだ。

「その場に応じて、ですわ」

「……便利な回答だな」

 

3. セナ・シウン

戦術分類:投げ技・空中制御・真空波型

主な武器:投げ技、打撃、真空波

「セナは、ロシアンプロレスを軸にした戦闘スタイルです」

投げ技: ロシアンプロレスを主体とし、相手の体勢を崩して大技につなげる。

打撃: 投げ技だけに依存せず、打撃も組み合わせる。

空中制御: エリアルロシアンスラムなど、空中での投げ技や姿勢制御が可能。

蹴りの真空波: 蹴りを振り抜いて発生させた真空波を飛ばす。

腕の真空波: 腕を振り抜くことで発生させた真空波を飛ばす。

「もともとは打撃偏重だったが、今は投げ技の比重が増しているのだったな」

スペードのキングが尋ねる。

「はい。現在は投げ技3、打撃2程度の割合と本人は説明しています」

「そこに遠距離攻撃まで加わったわけか」

セナは元気よく頷いた。

「はい! これで遠くにいる相手にも、近くにいる相手にも、ロシア式の歓迎ができます!」

会議室の何人かが、苦笑した。

 

4. ミヤビ・ヒメハナ

戦術分類:喧嘩空手・特殊オーラ・連続攻撃型

主な武器:ドス、拳脚、赤黒いオーラ

「ミヤビは、我流の喧嘩空手とドスを基礎に、特殊なオーラを組み合わせる戦闘スタイルです」

資料には、かなり細かく技が列挙されていた。

基本戦闘: 独特の構えから、喧嘩空手とドスを組み合わせて戦う。

ネジ込み: 相手の防御を崩すための技。

ギロチン: 左アッパーで相手を打ち上げ、追撃して地面へ叩きつける。

ズームグラップ: 左腕の関節を外してリーチを伸ばし、相手を引き寄せて右拳のオーラ攻撃につなげる。

連続コンボ: 頭部を地面に叩きつけた後、ズームグラップで引き寄せ、ドリル状に形成したオーラをまとった右拳で追撃する複数の連係を持つ。

オーラ球: 直径・高さ約2mの球体を射程約50m、弾速約200m/sで飛ばせる。

「特にオーラ球は、本人が意図的に制御できるようになったことが大きい」

クラブのエースが資料を指でなぞる。

「以前は偶然発生したものだったが、現在は狙って撃てる。近接戦闘の選択肢を維持したまま、遠距離への攻撃能力まで獲得している」

ミヤビは、嬉しそうに微笑んだ。

「まだまだ練習中ですわ。もっと精度を上げたいと思っていますの」

黒のJOKER様は、静かに資料を閉じた。

「……練習中、か」

 

4人の戦術比較

ここで、ダイヤのエースが比較資料を提示した。

「こうして見ると、4人とも遠距離攻撃を持つようになったのですね」

ハートのキングが感慨深げに呟く。

「しかも、戦術の方向性はまったく異なる。互いに似た能力を獲得したわけではない」

白のJOKER様が満足そうに頷いた。

「いいねえ。個性がきちんと残っている」

会議の結論

黒のJOKER様が全員を見回した。

「今回の整理で、ひとつ明確になったことがある」

会議室が静まる。

「この4人は、単純な戦闘能力の高さだけでなく、それぞれ異なる戦術体系を持っている。しかも、互いの訓練を見て刺激を受け、自分の戦い方を更新し続けている」

「うん。誰かの真似をするのではなく、自分に合った形に変えているね」

白のJOKER様が続ける。

「今後も4人の訓練成果を記録し、戦術体系を定期的に更新する。これでいいんじゃないかな」

幹部たちも異論はなかった。

……ただし。

「ところで」

黒のJOKER様が、ふと4人の方を向いた。

「お前たち、今回の成果を踏まえて、幹部昇格について考え直す気はないか?」

四人は顔を見合わせた。

そして、ほぼ同時に答えた。

「「「「私(俺)では幹部級の名を穢してしまいますので」」」」

沈黙。

白のJOKER様は天井を仰いだ。

黒のJOKER様は机に額をつけた。

スペードのエースが小さく呟く。

「……戦術体系の整理はできたのに、昇格問題だけは一向に整理できないな」

ハートのクイーンが、苦笑しながら答えた。

「それはもう、別の議題として永久に残りそうですわね」

その日の合同会議は、4人の戦術体系を正式に整理したという点では大成功だった。

ただし、最後に記録された会議メモには、こんな追記が残された。

『4名の戦闘能力に関する懸念事項は継続審議。なお、幹部昇格については今回も進展なし。』

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。