チャッピーに考えてもらった架空組織   作:缶コーヒー好き

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オウル・ドロウ、ペットボトルに敗北する

オウルが三日間の休暇を取得した、その初日。

午前中のことだった。

訓練を休み、部屋で静かに過ごしていたオウルは、喉の渇きを覚えた。

「……水でも飲みますか」

テーブルに置いてあった未開封のペットボトルを手に取る。

普段なら、片手で本体を支え、もう片方の手でキャップを回すだけだ。

何も難しいことはない。

ところが。

「…………」

キャップが回らない。

もう一度、力を込める。

「……っ」

回らない。

握力が落ちていることは分かっていた。食器を支えるのもギリギリで、ドアノブを回すのにも苦労したのだから。

しかし、まさか未開封のペットボトルすら開けられないとは。

「……いや、待て」

オウルはペットボトルを両手で持ち直した。

本体をしっかり固定し、キャップに指を掛ける。

ぐっ。

……動かない。

ぐぐっ。

……やはり動かない。

しばらく無言で格闘した後、オウルはキャップを見つめた。

そして。

「…………」

キャップに歯を立てた。

本体を両手で抱えるように持ち、歯でキャップを挟んで、首を捻るように回す。

ぎりっ。

ぎりぎりっ。

ぽきっ。

小さな音とともに、ようやくキャップが開いた。

「…………」

オウルはペットボトルを見下ろした。

開いた。

確かに開いた。

水も飲める。

だが。

「……嘘だろ、オイ……(笑)」

自分の口から、思わずそんな言葉が漏れた。

投げナイフの技術は一流。

拳撃で衝撃波を発生させ、近接戦闘でも並外れた実力を持つ男。

その男が、今しがたペットボトルのキャップを歯で回して開けたのである。

「……ははっ」

笑いが込み上げてきた。

「いや、何をやっているんだ私は……」

自分に呆れ返る。

笑うしかなかった。

しばらくの間、オウルはペットボトルを手にしたまま、肩を震わせていた。

その日の午後

オウルは休暇中の記録として、今回の出来事をメモに残そうとした。

しかし、ペンを握るのも少々つらい。

「……本当に、どうしようもありませんね」

なんとか書き終えたメモには、簡潔にこう記されていた。

休暇初日。

握力の低下が想定以上。

未開封ペットボトルのキャップを手で開けられず、歯で回して開封。

……嘘だろ、オイ(笑)。

本人は真面目に記録したつもりだった。

ただ、最後の一文だけは、どうしても消せなかったらしい。

数日後・四人の会話

休暇を終えたオウルが復帰すると、ローズが何気なく尋ねた。

「お休み中は、ゆっくりできました?」

「ええ。十分に休養できました」

「それはよかったですわ」

「ただ、初日に少々ありまして」

「何かございましたの?」

オウルは一瞬だけ目を伏せた。

「未開封のペットボトルが開けられませんでした」

セナが首を傾げる。

「えっ、どうやって飲んだの?」

「……歯で開けました」

「えっ」

ミヤビが目を丸くする。

「歯で、ですの?」

「はい。本体を両手で持って、キャップに齧り付いて回しました」

沈黙。

ローズが口元を押さえた。

セナは目を見開いたまま固まっている。

ミヤビは何か言いかけて、やめた。

そしてオウルは、少し遠い目をした。

「……嘘だろ、オイ……(笑)」

セナが吹き出した。

「自分で言ってる!」

ローズもとうとう笑い出す。

「ふふっ……! オウルさん、申し訳ありません……!」

ミヤビも肩を震わせた。

「ま、まあ……無事に開けられたのなら、よろしいのではありませんこと?」

「ええ。水は飲めました」

「そこはよかったですわね!」

四人の笑い声が訓練場に響いた。

なお、オウルはその後、握力が完全に戻るまで、ペットボトルの開封を他人に頼むことにした。

投げナイフの赫刀化には失敗したが、ペットボトルのキャップを歯で開けるという、本人にとって不本意な新記録を樹立した三日間だった。

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