幹部級への昇格を頑なに拒み続ける、四人の規格外
① オウル・ドロウ
「観察して、殴る。それで十分です」
戦闘スタイル:高度な観察に基づく超高速打撃
戦闘の特徴
オウルの戦闘スタイルは、驚くほど単純。基本的には、殴る。
しかし、その「殴る」に至るまでの観察と判断が途轍もない。
相手の肩の動き、重心の変化、視線、呼吸、拳を握るタイミング。そういった細かな情報を読み取り、相手が次に何をするかを高精度で予測する。
そして、その予測をもとに最短の動きで拳を叩き込む。
マシンガンジャブ: 相手が防御を整える暇もないほど、ジャブを連続して浴びせる。
ショットガンブロー: 複数の打撃を至近距離から一気に叩き込み、相手の防御を崩す。
超高精度の迎撃: 攻撃を見てから対応するだけでなく、相手が攻撃を選ぶ段階から先回りする。
派手な武器も、特殊な技名も必要ない。
相手の実力が高ければ高いほど、癖や戦術が明確になるため、オウルにとっては観察材料が増えてしまう。
エースたちからの評価
「なぜ攻撃が当たらない?」
「いや、当たっている。こっちの攻撃が届く前に、先に殴られているんだ」
「ならフェイントを――」
「そのフェイントにも、もう対応されている」
オウル自身は、相手を圧倒している自覚が薄い。
「皆さん、動きが非常に洗練されています。だからこそ、次の行動が読みやすいのです」
この発言を聞いたエースたちが、複雑な顔をするのは言うまでもない。
② ローズ・スノウ
「見せてさしあげるわ、スノウ一族の真髄を……!」
戦闘スタイル:超高速投擲・精密制圧
戦闘の特徴
ローズの武器はカード。
トランプのカードを投げるという、一見すれば優雅な戦い方。しかし、その実態は優雅という言葉で済ませてよいものではない。
「ちょっと」頑張れば、秒間2000枚。
もはや投擲というより、カードの奔流である。
しかも、ただ大量に投げるだけではない。狙いは異常なほど精密で、カード一枚一枚を個別の攻撃として扱える。
拘束: 対象の服をカードで壁に縫い付け、動きを封じる。
精密攻撃: 相手の防御の隙間を狙い、必要な場所にカードを通す。
連続制圧: 大量のカードを用いて、複数の相手に同時に対処する。
致命的な一撃: 急所を狙う精度まで含め、片手間でこなせる。
なお、本人にとってこれらは、必ずしも本気の技ではない。
服を壁に縫い付けて拘束するところから、急所への攻撃まで、欠伸をしながら片手間で実行できる。
ガチスイッチ
ローズには、本気で戦う際のルーティンがある。
「見せてさしあげるわ、スノウ一族の真髄を……!」
この言葉を口にした瞬間、普段の余裕ある態度から、戦闘者としての集中へ切り替わる。
普段のローズを知っている党員ほど、この台詞を警戒する。
なにしろ、普段から秒間2000枚を投げられる人物が、わざわざ「一族の真髄」を見せると宣言するのだ。
エースたちからの評価
「カードだぞ!? なんで弾幕みたいになっている!?」
「防御しろ! いや、服を縫い付けられた!?」
「ローズ、まだ本気じゃないのか!?」
ローズは小さく欠伸をする。
「ええ。皆さん、ずいぶん元気ですこと」
そして、カードを一枚つまむ。
「そろそろ、真髄をお見せしましょうか?」
エースたちが一斉に身構える。
この瞬間、彼らの脳裏には、たった一つの言葉が浮かんでいた。
頼むから、もう十分だと言ってくれ。
③ セナ・シウン(紫雲星南)
「こんな投げ技もあるのね!?」
戦闘スタイル:打撃・投げ・空中制動
戦闘の特徴
セナの戦闘スタイルは、我流のロシアンプロレス。
もともとは打撃を主体とし、投げ技を組み合わせる戦闘スタイルだった。
しかし、ある日、彼女は『ストリートファイター6』をプレイする。
そして、ザンギエフを扱ったことで、彼女の戦闘スタイルは変貌を遂げることになった。
「こんな投げ技もあるのね!?」
その日から、セナの訓練内容が変わった。
戦闘比率の変化
以前のセナ
打撃 4 投げ 1
打撃を主体とし、投げ技を補助的に使用する。
現在のセナ
打撃 2 投げ 3
投げ技が主体に近い構成へ変化。打撃は組み技への導入や牽制にも活用する。
※比率は本人の戦闘スタイルを表す目安で、実際の攻撃回数を厳密に示すものではない。
エリアルロシアンスラム
新しい技を死ぬ気で習得する過程で、セナは「エリアルロシアンスラム」に加え、多少の空中制動まで身につけた。
つまり、投げ技のために飛び上がるだけではなく、空中で姿勢や動きをある程度調整できるようになったのである。
相手からすれば、投げを警戒して距離を取ったところで打撃が飛んでくる。逆に接近戦を挑めば、投げ技の餌食になる。
そして、空中へ逃げても、セナはある程度なら追従してくる。
「待って!? なんで空中で軌道を変えているの!?」
「えっ? 少し練習しました!」
少しの練習で済ませていい技術ではない。
ストリートファイター6の影響
この設定の面白いところは、セナがゲームを単なる娯楽として終わらせていないこと。
ザンギエフを使い、投げ技の魅力に気づき、現実の身体能力と訓練によって自分の技術体系に取り込んでしまう。
しかも、彼女は新技の習得に対して非常に前向き。
「新しい投げ技を覚えたら、もっと強くなれるのでは?」
この発想を実行に移し、実際に強くなる。
エースたちにとっては、ローズとは別方向の意味で恐ろしい相手である。
④ ミヤビ・ヒメハナ(姫華雅)
「他の部位については勢威特訓中ですわ!」
戦闘スタイル:独特の構え・近接格闘・特殊なオーラ
戦闘の特徴
ミヤビの構えは、一度見たら忘れられない。
足幅は肩幅より少し広め。
胸を張る。
右手はポケットに入れる。
左手は脇腹のあたりで握る。
一般的な空手の構えとは大きく異なる、我流の喧嘩空手である。
そこにドスを組み合わせることで、素手と武器の両方を視野に入れた戦い方をする。
ただし、ミヤビの真価は、その独特な構えだけではない。
右手の赤黒い特殊オーラ
ミヤビの右手は、赤黒い特殊なオーラを扱うことができる。
このオーラの詳細な効果は、現時点では未確定。ただし、彼女が右手を特別な部位として扱っていることは明らかだ。
そして、他の部位について尋ねられた際の返答が、あまりにもミヤビらしい。
「他の部位については勢威特訓中ですわ!」
つまり、現在は右手を中心にオーラを扱っており、他の部位への展開はまだ訓練中ということらしい。
本人にとっては、右手だけで十分な成果を出していても、そこで満足するつもりはないのだろう。
エースたちからの評価
「なぜ、その構えで戦えるんだ……?」
「右手をポケットに入れているぞ。隙ではないのか?」
「いや、あの左手も妙だ。こちらが踏み込んだ瞬間に対応できる位置にある……」
ミヤビは胸を張る。
「我流ですわ。細かいことは気にせず、堂々と参りましょう」
そして、右手をポケットから出す。
赤黒いオーラが、その手を包む。
「では、参りますわね」
それまでの余裕ある雰囲気が、わずかに変わる。
エースたちは理解する。
あの構えも、あの右手も、見た目の奇抜さだけで判断してはいけない。
⑤ 四人の戦闘スタイル比較
四人に共通するのは、戦闘スタイルが既存の教科書どおりではないことだ。
オウルは観察眼とシンプルな打撃を極限まで磨き、ローズはカード投擲を独自の戦闘体系へ昇華させ、セナはゲームから得た発想を身体能力で再現し、ミヤビは我流の喧嘩空手に特殊なオーラを組み合わせている。
そして、これほどの実力を持ちながら、四人とも自分を幹部にふさわしいとは考えていない。
白のJOKER様が「実力は十分だ」と保証し、黒のJOKER様が「頼むから昇格してくれ」と懇願し、幹部たちが頭を抱えても、答えは変わらない。
「俺(私)では、幹部級の名を穢してしまうからです」
……トランパーの幹部人事が難航する理由は、今日も明白である。